ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~ 作:SIS
昼休憩。私は食事の傍ら、スマホでビルドロボオンラインの攻略サイトを調べていた。
今時分、個人製作の攻略サイトなんてまず存在しない。大体が企業の運営している攻略サイトで……正直、それらはかなり質が低いというか、しょうもない事しか書いてないイメージがある。
それを踏まえても、なかなかにビーム系装備についてのコメントは辛辣だった。
『……以上のように、高い装備負荷を乗り越えた先に待つのは、アサルトライフル1発分の攻撃力でしかありません。逆に、ライフルを持てば僅かな装備負荷で同等以上の攻撃力を得られるので、ビームは装備するだけ無駄です。装備する事自体が敗北と言えましょう』
「辛辣だなあ……」
ボロクソにかかれていていっそ笑える。
だがまあしかし、言いたい事もわからないでもない。
調べた限り、あのマシンピストルは本当に最弱武器で、弾切れした時の保険とか、複数腕のあるロボが装備して強引に手数で攻撃力を誤魔化す、といった使い方をするのがメインらしい。
では普通の武器や強い武器はどうなのかというと、ど安牌とされるライフルなら数発で蟻を撃破できるらしい。マガジン10発入るうちの数発、である。つまり、1マガジンで3匹は余裕で相手が出来る。
初期武器でもそれなのに、ちょっと攻略を進めれば14発弾が入るライフルが製造可能になるし、そこからさらに進んで対人戦に挑む頃になってくると、攻撃力は初期ライフルと同じままマガジン30発も弾がある奴とか、攻撃力が倍近くあるやつとか、選り取り見取りになってくるらしい。
しかも、装備負荷はビームと比べてもかなり低い。基本的にはマガジンだけ追加で持ち歩くのが鉄則らしいが、マガジン交換の隙を突かれるのを嫌がって3~4挺ライフルを持ち歩くようなカスタマイズも普通にあるとの事だ。数値で見てもビーム兵器の三分の一以下、というかビーム兵器が性能に反して不必要に負荷が大きいのか?
それに加え、武器は他にも色々ある。ショットガンにマシンガン、ハンドガンにグレネードランチャー、スナイパーライフル、ミサイル、etcetc……。敢えて、滅茶苦茶重たいしエネルギー喰いまくるし威力もないビーム兵器を使う理由なんて、どこにもない訳だ。
それにしたって、情報が無さすぎだとは思うけど。
「遊びもコスパ重視の時代か……」
私は物悲しい気分になりながら、攻略サイトを閉じた。
◆◆
まあそんな事関係なくビームは使うけどね!
どうせオフラインモードだし、人の目を気にする必要はない。私は私のやりたい事をやろう、どうせ遊びなんだ、楽しんだもん勝ち!
「よし、重量二脚は完成してるな」
ゲームを起動し真っ先に確認するのは、昨晩建造したパーツの状態だ。
ウキウキしながら覗き込むと、ハンガーに鎮座するのは銀色に輝く太く逞しい二本足。
待ちに待った新パーツである。
『重量二脚:HEVY-2L-Megatheriumを入手しました』
新しいパーツをゲットしたら早速カスタマイズだ。
それまで使っていた肉抜き二脚と入れ替える。すると……。
「おお……積載量滅茶苦茶余裕がある。ビーム兵器をもう一個ぐらい積めるんじゃないか?」
流石というか、一気に伸びる最大積載量。ダダ余りさせているのはもったいないので、早速根本的に機体構成を見直す。
まず胴体は重機パーツを取り除いて、初期から使える中型パーツに入れ替える。そしたら重機じゃなくて戦闘ロボット用のコクピットを入れられるので、ジェネレーターを背面に移動させて、左腕には普通の腕をつけてマシンピストルを握らせる。んでもって外していた頭部をくっつけて……。
「出来た! まあ悪くないんじゃない?」
これでもまだ積載量はあまっているが、とりあえずはこんなもんでいいだろう。あとはコクピットの設定を弄って、ビーム制御スキルを操作するボタンを設定。これで戦闘中、いつでも出力を調整できるようになる。
せっかくだから、機体の色も変更しよう。初期カラーのグレーから、ぎんぎらぎんの金色一色に変更して
……よし!
「完成! 今日からお前は『ネオビーム号』だ!」
カスタマイズが完了したら、早速出撃である。
ワクワクしながらいつもの丘に出撃する。早速、カスタマイズの変化が感じられた。
「おぉー……」
なんていうか、視界が広い。理屈でいえば全面ガラス張りの重機コクピットだって視界が広いはずなのだが、この場合は対象の操作能力が違う。
頭部をつけた事、コクピットがちゃんとした戦闘用であるからか、視界範囲内の対象が自動的に選別されている。かなり遠くの敵までロックオンカーソルが表示されている他に、何らかの地形の変化……ビームで破壊した地形のクレーターとか……が警告マークで強調されている。成程、頭部にはコンピューターが入っているから、こうして取得した情報を自動的に選別してくれるのか。将来的にブースターとか使って高速移動するようになったら、こういうアシストが効いてくるんだろうな。
おかげ様で、蟻の群れを探す必要もない。
画面の情報を頼りに、私は最寄の群れに接触するべく、最初の一歩を踏み出した。
が。
「お……おお……?」
遅い。
いや、今まで使っていた足も早くはなかったが、これはそれに輪をかけて遅い。
とてもじゃないけど、これまでのように引き撃ちしたらビーム砲の冷却が終わる前に追いつかれる。
「そう美味しい話は無かったか……」
一応腕がある分、アサルトライフルでも握って普通に戦えばいいのかもしれないが……。それだと、ビーム砲というハンデを背負っているだけの普通の機体である。
正直面白みがない。
何か良いアイディアはないか……頭を捻って考えている内に、ふとステータス画面が目に入った。
そこに表示されている積載量は、十分すぎるほどまだ余裕がある。
そう。
“ビーム兵器をもう一つぐらい積める”ぐらいには。
「……閃いた!」
思いついたアイディアを形にするべく、私は急いで機体を引き返させた。
……しかしながら、それもやっぱりゆっくり。じれったく思いながら、私はふと思い出した。
「そういえば、この重量二脚のパーツ名……」
Megatherium……メガテリウム。遥か古代に絶滅した巨大ナマケモノの事である。
名は体をなしている、という事なのかもしれない。