ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~   作:SIS

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第七十五話 スクラップ&ビルド

 

 

 

 

 

 今後の攻略の為にも、前線基地の拡充は急務。

 

 そのためにまず私が向かったのは、先ほど倒したばかりの移動要塞の残骸跡。

 

 そう、ここには今、スカベンジャーよろしく大量のサソリ型メタルインセクトが群がり、膨大な量の残骸を大地に帰すべく営みの真っ最中。いや機械だからこの表現がただしいかは分からないけど。

 

 逆に言えば、ここには確実に大量の敵がいるという事である。しかもそれらは、こちらではなく残骸の解体に夢中になっている。

 

 ここを逃す手はない。

 

「という訳で、後ろから失礼します!!」

 

 マシンガンをぶっぱなして、背後からメタルインセクトを襲撃する。残骸をツマツマするのに夢中になっていたサソリ達は、背後からの銃弾であえなくバラバラになって爆発四散。

 

 残骸に群がる敵を、次々と撃破していく。

 

 そうすると相手もいつまでもやられっぱなしという訳ではなく、アクティブ状態になった敵が群がってこっちに襲い掛かってくるが……。

 

「はいドーン!」

 

 そこをバズーカで吹っ飛ばす。

 

 んでもって、ある程度蹴散らしたら、ホバーの推力が消えるまえにその場を離脱。思い切り距離を取ってリロードしつつ、少し時間を置く。そうして再び残骸に戻ってみれば、サソリ達は再び残骸の解体に戻っているといるので、そこをまた襲う。

 

 あとはこれの繰り返しだ。

 

 恐らく無限とはいかないまでも、かなりの数が残骸周辺に湧いて出てきている。これを狩り尽くせば、順風満タンとまではいかなくとも、初期投資ぐらいの資源になるはずだ。

 

 どう考えても、それを狙った配置だしね。運営の手心という奴だろう。

 

「ふふふ、大量、大量ー!」

 

 今度はプラズマビームを放って瓦礫ごと連中を蒸し焼きにする。

 

 そこでふと思いついて、私は瓦礫の中に転がっている巨大砲台に目を向けた。結局一度も火を噴く事のなかったこれだが、見る限りは分厚い鋼鉄の塊。破壊したら部位破壊報酬とかもらえないだろうか。

 

 試しにバズーカを撃ちこんでみるが、しかし残念ながらビクともしない。表面に焦げ目を作っただけで平気な様子だ。

 

「流石に無理か。いやまてよ?」

 

 今度はプラズマビーム砲の照準を向ける。影響激化スキルの影響もあって、敵はともかく地形などに対する攻撃力は高いのがビームである。過去の事を思い返せば、付属品はエネミー判定ではないから満額ダメージが入るはずだ。

 

 放たれる青白い閃光が砲台に突き刺さる。

 

 見る間に鉄色の砲台が赤く燃え上がり、やがてはグズグズになって溶け崩れ始める。完全に形状が崩壊すると砲台はデジタルノイズと共に消滅し、報酬メッセージが表示された。

 

 やはり砲台は破壊可能オブジェクト扱いらしく、これを破壊しても報酬が得られるようだ。

 

「ラッキー!」

 

 まさに入れ食いである。

 

 頑丈な砲台は普通では破壊できないが、ビーム兵器ならば可能。なるほど、デモリッションガンとして用いるなら、これ以上の破壊兵器はないな!

 

「よーし、根こそぎだー!」

 

 ターゲット変更、サソリより砲台破壊を優先! 考えてみればアイツラはスカベンジャーだからな、倒しすぎて移動要塞の残骸が片付けられないのは私も困る。

 

 そんな訳で、ビーム冷却の手慰みにサソリを狩りながら、私は残ってる砲台を破壊して回るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして全ての砲台を破壊し、私は結構な数のサソリを狩ってほくほく顔で前線基地に戻ってきた。

 

「ふふふー、色々でたな。特に砲台が美味しい……A級インゴットとか山ほどでたぞ」

 

 普通に破壊すると大量の弾薬費が必要なのだろうが、ビーム兵器を鍛えていたおかげで楽が出来た。さっそく、ある程度残して回収していた資源を前線基地に投入する。

 

 あとは改築するだけだ。

 

 カタログには防壁とか防衛設備とか生活設備とかワクワクするものが一杯並んでいる。とりあえずは、防壁を最優先だ。この高台の上は基本的に安置っぽいが、空飛ぶ敵とかが全く居ないとは限らない。

 

 現状作れる最高グレードの防壁でぐるりと施設を取り囲み、そんでもって機体を収納するハンガーも野ざらしではなくちゃんとした建物の中にしまう。

 

 あとは防衛設備だが……これはプレイヤーのスキルレベルで作れるものが決まるのか。

 

 マシンガンスキルを伸ばしてるから機銃と、あと爆発物スキルでミサイル発射装置、んでもってビームスキルで……んんん?

 

「……超大型試作ビーム発振装置???」

 

 なんか素敵なものがあるー?!

 

「何々……固定式の、ビーム兵器の実験設備? 正面にしか撃てないけど、口径5mの超クソデカ粒子砲を基地の敷地に設置できる? へえ、へえ、ほぅ……?」

 

 どっちかというと防衛装置というより、現実にもある粒子加速実験設備とかそっち系見たいだけど! 何これ素敵!! 実験設備というだけあって、使う度に粒子砲スキルの経験値が入るみたいだし!

 

 即決決定! 専用に発電装置がいるとか色々書いてあるけど諸々込みでOK! 投資!!

 

 あとは、機体の建造や改造を可能にする設備だけど……ああ、それには特別なアイテムがいるのか。マテリアル3Dプリンター? そんなのもってないぞ。うーん、でも修理や弾薬補給は問題ないみたいだから、とりあえずいっか。

 

「よーし、ビルド開始!」

 

 ガタゴト、と掘っ立て小屋の外から騒音がする。見れば、最初に展開された作業用アームが倍ぐらいに増えて、あれこれ作業を始めている。見に行こうとドアに近づくと、外出禁止のメッセージが出た。

 

 危ないからおとなしくしててね、という事らしい。

 

「……まあ、これはこれでいいか」

 

 作業中の工事現場なんて危険度は戦場とさほど変わらんしな。素人が好き勝手に歩いたら死ぬだけである。

 

 私はおとなしく椅子に座って時間を潰す事にした。

 

「そうそう、前線基地のインパクトで後回しにしていたけど、ビームもなんか面白そうなスキルが生えてたよな」

 

 スキルアップのメッセージの事をそこでようやく思い出し、私はシステム画面にアクセスする。安全地帯で確認しようと思っていたのにすっかり忘れてた。

 

「ええっと。ビーム偏向スキルね。偏向、って事は曲げるって事か? 斥力場とどう違うんだろ」

 

『ビーム偏向:粒子ビームの軌道を捻じ曲げる偏向磁場を発生させる装置の製作が可能になります』

 

 説明を呼んだが書いてあるのはそのまんまでいまいち要領をえない。えーと、あれか? 〇フィールドとか、〇シュ〇イディッ〇・パン〇ァーとか、そういう感じ?

 

 とりあえず、カスタム画面に戻ってパーツリストを確認する。

 

 シールドとか装甲とか……にはないな。どこだ? 武器の一覧にもない? あれれ?

 

 首を傾げながら片っ端からカタログを眺めていると、ようやくそれらしきものが見つかったのはアクセサリ、それも内臓部品の欄だった。

 

 強化モーターとか、センサーとか、そういう機体内部に追加するオプショナル部品。その中にしれっと、丸いリングみたいな装置が追加されている。内側に青白い光を発声させているこのリングが、スキルで製作可能になった偏向装置とやらのようだ。

 

「ふむふむ……? ええと、このリングを通った粒子ビームを、あらかじめ設定された角度で湾曲する……? 早い話がレーザーに対するプリズムみたいなものか」

 

 単なるレーザーなら、三角プリズムやミラーで角度偏向ができるけど、粒子ビームは質量を持っているからそれができない。これはそんな粒子ビームを、磁場干渉で軌道コントロールするための部品らしい。

 

 ……どういう使い方すればいいんだこれ?

 

「銃口に仕込んで、任意の確度でビームを曲げる……とか? いやいや、未来予知能力でも持ってないと使いこなせないってそんなの。んー?」

 

 全く具体的な使い方が思いつかずに首をひねる。

 

 開発はこれをどう使ってほしかったんだ? いや、高レベルで開放されるスキルほどニッチ需要向けってのは正しいけど、ニッチすぎない?

 

「んー……んー? 駄目だ、ぱっと思いつかない」

 

 カタログ画面を閉じて、基地の建設の様子を確認する。ビルド画面を見る限り、あと数時間はかかるようだ。ちょっと早いが今日はこのあたりでもう落ちて、その分、アイディア探しに奔走する事にしよう。

 

 なあに、ロボアニメの歴史は豊潤で潤沢だ。一見使い道の無さそうなパーツでもきっと面白い使い道がある。

 

 ゲームをログアウトし、私はVRヘッドセットを取り外した。

 

「ぷはっ」

 

 外したヘッドセットをテーブルにおいてソファに深く座る。時計を確認するが、いつもより30分ばかり早い。

 

 さて、どうしようかな。適当に本棚のメカ設定資料集でも読むか……?

 

 そんな事を考えながら、ふと飾り棚に目を向ける。ガラスケースの中には、私のお気に入りの機体のプラモデルがずらりと並んでいる。塗装されたのもあれば未塗装なのもあって、好みの関係でどちらかというと異形よりの機体が多い。

 

 ぼんやりとそれを眺めていた私は、しかしその中の一機に目を止めて手を叩いた。

 

「……ああ!!」

 

 あるじゃん! 偏向リング採用しないと作れない、私の超お気に入りの奴が!!

 

 大抵のロボゲーでは再現すら不可能で諦めていたけど、ビルドロボオンラインなら作れるんじゃない!?

 

「こうしちゃいられねえ」

 

 シャットダウンしたばかりのゲーム機を大急ぎで立ち上げると、私は再びビルドロボオンラインの世界にログインした。

 

 ……外出禁止状態だったことを綺麗に忘れて。

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

 

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