ビルドロボオンライン ~趣味に走った私の愛機、廃人どもに野生のレイドボス認定される~   作:SIS

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第七十七話 ギガンティーック

 

 バリバリバリーッ、と高速建造チケットがハンガーに凄い勢いで機体をくみ上げる。

 

 完成した機体は、ベースはオーソドックスな中量二脚。カラーリングは明灰色。

 

 構成しているのは最近製造可能になった、基礎能力が高いパーツ群だ。性能に対する重量比も高いし、積載量も初期の重量二脚並みにある。まあ、メガテリウムには負けるがあれはあまりにも極端な例だしな……。勿論その分、パーツ単価が高いから修理費が高くついたりと、良い事ばかりではないが。そもそもステージ進めないと作れないしね。

 

 んでもって、その機体のバックパックに接続されているのが、メガフレーム腕部。軽く腕を下に向かって伸ばすだけで、本体の全高ぐらいある。一応本体にも腕はあるので、四本腕という訳である。

 

 んでもってゆるく開かれた掌、その指先には全部小さな穴が開いている。リング状の砲口……ここから何が出るかはもう言わなくてもわかるよね?

 

 その発振源はバックパックに内臓されたフォトンビーム砲だ。内部で固定された砲身から照射されたビームが、偏向リングによって割り振られて指先まで到達、そこから放出されるという形になる。

 

 つまり、指ビームである!!

 

 ロボット物のラスボスとか大ボスは、指先からビーム出すのがお約束だもんな!

 

 メリット? 多分ない! 分割した所でビームはビームだから、これまでを考えると多分複数ヒットとかしないだろうしな。

 

 でもいいんだよカッコいいから! ゲームなんだからそれでいいのさ。

 

 ちなみにバックパックにはスラスターも搭載しているので、機動力も万全だ。スラスター……普通の推進システムを採用するのは初めてだ。比較的リアル志向の強いこのゲームだが、流石にスラスター周りはある程度ご都合補正が働いているらしく、必要な容量は大きかったがこれでサブエネルギーがある限りずっと飛べるんだから物理法則的には理不尽極まりない。燃料とか要らないんだもんね。

 

「ふんふふふーん」

 

『ご機嫌ですね、ショウさん』

 

「そりゃあもう」

 

 ちなみに、ハンドビーム以外の武装は本隊が装備しているWハンドガンぐらいのものである。重量的にこれ以上は乗らなかった。そのハンドガンも、グリップみたいな形状のハングユニットに改造して、メガアームに接続してある。よくある、本体の腕に連動して巨大アームが動くアレである。実際には完全に独立して動く方が便利だし自然なんだろうけどね、もう今回は浪漫に振り切った。

 

「ほんじゃ早速出撃しようか。ほら、テレサさんも乗って乗って」

 

『え?』

 

「偏向ビームの設計してくれたお礼。せっかく複座コクピットにしたんだから、後ろに乗ってよ」

 

 私がちょいちょい、と手招きすると、テレサはちょっとぽかんとしたあと、きゅっと身を硬くした。

 

 あれ、なんか思ったのと反応が違うぞ。

 

「もしかして嫌だった?」

 

『いえいえいえいえいえ!? その、いきなりの事でびっくりしたんです。はい、乗ります、はい……』

 

「? そう?」

 

 前はあれだけ乗せて乗せてーといってたのになあ。まあAIだし、私の言動から対応を学習したのかな。だとしたらごめんね、カオス値の高い人間で。

 

 生きてる人間は理不尽なものだと思ってあきらめて欲しい。

 

「それじゃあ、仕切り直して出撃だー」

 

『お、おー!』

 

 わ、ノリがいいね!

 

 

 

 という訳で、そろそろ見飽きてきた工業地帯から出撃。

 

 まずは軽く歩き回って乗り心地を確認、なんだが。

 

「……意外と歩きやすいな」

 

『バックパックに荷重が偏っていますが、メガアームの歩行に伴う前後運動でかなり軽減されているようです』

 

 そういう事らしい。

 

 ちょこちょこそこらを歩き回ってみるが、背後に引っ張られるような不安定感はあまり感じない。一応、通常の腕でハングユニットを通してメガフレームに繋がっているのもあるかもしれない。

 

 ぱっ、ぱぱっ、と反復横跳びみたいな動きをしてみるが、特に不自由は感じなかった。

 

「んじゃ、スラスターを試すね」

 

 ぐぐ、とアクセルスロットを引き上げる。するとコクピットに些細な振動が生じ、機体がふわりと浮かび上がる。そのまま操縦桿を前に倒すと、そのまま前進。

 

 人型という航空力学に喧嘩を売ってるような形状の割に、案外飛行は安定している。すいーっと大きく跳躍するように飛んで、着地する。

 

「おっと」

 

『わわ』

 

 ストレートに着地したので、ドッスン着地になってしまった。スラスターの出力調整をして落下速度を落とさないと、戦場ではよい的になってしまうな。難しい。

 

 サブエネルギーの消費は、いまの短い跳躍では1,2割しか使っていない。距離を伸ばすと加速度的に消費も増えるだろうが、同時に速度も出るのでマシンガン系の再変換スキルで軽減されるはずだ。

 

 なるほどねえ。対戦動画とかでびゅんびゅん飛び回ってるのは、やっぱり複数のスキルの組み合わせで消費を軽減しつつ回復しているのか。あと、一見やたらと飛び回っているだけに見えたあれらの動きも結構なテクニックがいるのもよく分かった。

 

 やはり上級ギルドというのは伊達じゃない。

 

「さて、と」

 

 スラスターの機動力を確認したところで、いよいよ指ビームの実射である。

 

 いやあワクワクするね! 理論上は問題ないはずなんだけど、まあ実戦は違うからね。動かしてみたら変な部位が出るかもしれないし。

 

 ドキドキしながらメガアーム腕部を前に突き出し、ぐわっと指を広げる。

 

 狙いは、目の前にひろがる何だかよくわからない工業地帯!

 

「発射!」

 

 かち、とスイッチを押し込むと若干のタイムラグと共に指先が光った。

 

 そして放たれる、10発の指ビーム。

 

 一発のビームを振り分けているから一発ずつは細くなっちゃうのは仕方がない。レーザービームのような糸のような閃光が、ジュバ! と工業地帯をなます切りにするように走り抜けた。

 

 そして……爆発!

 

 ビームに焼き切られた部位が赤熱して、急激に膨張。あるいはなんらかの可燃物に引火して、軌道上が弾け飛ぶ。

 

 一瞬で燃え上がる廃墟と化した工業地帯の炎を受けて、モニターが赤く輝いた。

 

「お、おぉー……いい感じ??」

 

『分散させた事で、過剰なエネルギーの放出が抑えられて効率的に影響を及ぼせているようです! メタルインセクト相手は分かりませんが、広域攻撃としてはなかなかの効率じゃないでしょうか?』

 

「ほほぅ」

 

 しかし薙ぎ払った地形が爆発するとかはこれまでなかったな。これも影響激化スキルによるものかな。直撃狙うよりも、この爆発に巻き込んで追加ダメージ狙うのがいいかもしれない。ダメージそのものはどうせたかが知れてるしな。

 

 考えを巡らせつつ、サブエネルギーに目を向けると、見ている前でゲージがもりもり回復していく。プラズマビームほどじゃないが、フォトンビーム砲もそれなりに発熱するしな。初めて撃った時、横にポン付けしていたコクピットが吹き飛んだのは記憶に新しい。

 

「よし、次はメタルインセクト相手に実戦テストだ!」

 

『ラジャー、です!』

 

 スラスターを噴射して地面を滑走するように走り、正規ゲートから荒野に飛び出す。

 

 初めて荒野を目の当たりにしたテレサが、後ろの補助席できょろきょろしているのが感じ取れた。いや、髪の毛長いからね、衣擦れの音がめっちゃするのよね。

 

『これが荒野ですか……広いですね』

 

「うむ。だから前線基地を作って攻略していく感じになるのかな。まあ今は、先に進むのを優先したい所だけど」

 

 適当なところでスラスターを停止し、ずざざ、と地面を滑るようにして機体を停止させる。ううーん、意外とキビキビした動きが難しいな。まだまだ練習不足だ。

 

「ここらの敵は何種類かいるんだけど、一種類は同じ場所に留まっているとそれを感知して出てくるんだ。数は多いけど一匹当たりが弱いから、ソイツでまずは試してみようと思う」

 

『わかりました! ところで、そのメタルインセクトってどんな見た目なんですか?』

 

「え? そりゃあ、メタルインセクトだから虫型……って、お。早速出てきたよ、言うより見るが早いかな」

 

 少し先の地面がモコモコと盛り上がる。砂を押し分けて現れたのは、毎度おなじみサソリ型メタルインセクト君である。彼は身震いして砂を振り落とすと、カシャカシャ音を立てて軽快な動きでこちらに向かってくる。その背後には、同じように出現した無数のサソリ型の姿が続く。

 

「よっし。戦闘開……」

 

『ヒイッ』

 

 

 

 

 

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