転生した僕は世界に適応して生きていく   作:netai98

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魔物との戦闘

地面に叩きつけられる。

レスさんに引っ張られなかったら、僕はイノシシのような魔物に轢き潰されていただろう。

 

 

身体を起こし、目の前の魔物を見上げる。

体躯は軽自動車ほど、脚は六本、牙は釣り針のように内側へ湾曲している。

……まともな生き物じゃない。

 

「イドルム!!!」

慌ててイドルムの方を見る。

角が木に深く食い込み、抜け出せずにもがいている。

……まずい。

助けなきゃ、と慌てて走り出す。

だが、首根っこを強引に掴まれ、身体が後ろに引き戻される。

足が、前に出ない。

 

「離してください!このままじゃイドルムが!」

「あの程度……ピンチにも……ならない。それに……あいつ、見てる」

レスさんに言われ、魔物の方を向く。

魔物は僕達とイドルムを見て、イドルムに追撃せんと足を動かすーー

 

その時だった。

ベキベキ!という音とズシン!の音が連続で響く。

どうやらイドルムは木をへし折ることで抜け出したみたいだった。

「よくも跳ね飛ばしてくれたな!!!テメエの牙へし折って口に捩じ込んでやる!!!」

 

イドルムは魔物の方に向くと、手を地面につけ、クラウチングスタートに似た体制をとる。

刹那、イドルムの姿が消え、ベギン!と、音がした。

慌てて周りを見渡し、そこには、魔物と真っ向からぶつかるイドルムの姿があった。

魔物の牙は片方折れている。

おそらく、イドルムがへし折ったのだろう。

 

「Gurururururururu……」

「Bumooooooooo……」

違いに力は拮抗している、このまま眺めているのにも限界なのだが、レスさんがそれを許さない。

どうすればイドルムを助けられるかと考えた時、イドルムの口端から炎が漏れ出る。

「もっと早く……使うべき……」

呆れたような口調でレスさんがぼやくと同時か、イドルムの口から炎が溢れ、魔物を包み込む。

魔物の力が緩むとそのまま頭を掴み、握りつぶそうとする。

魔物も最初は抵抗していたが、時間もそう立たないうちに

グチャ。

という音と共に、頭が、弾けた。

 

 

「体中血でベタベタだあ……」

「もっと早くブレスを使えば……」

「わかってるよ、頭に血が上ったアタシが悪かった」

身体中の血を拭きながらイドルムとレスさんが会話をする。

「……そういえば、竜族の森だと負けなしだったんだっけ?」

「同年代だけで、大人には流石に勝てないけどな」

「それでも十分強いよ……」

なにせ、あのサイズの魔物を、不意打ちを受けたとはいえ倒しているのだ。

イドルムの力はとんでもない。

「でも……まだ未熟……暴れ方も……なってない」

レスさんの評価は厳しい。

僕自身、集落ではイドルム含む小竜達が特訓しているのを見ていただけで実際どの程度強いのかを把握できていないのだが……

 

イドルムが身体を拭き終えたと同時に、周囲の茂みから音を発しだす。

「おかわりか、数がかなり……いや、多すぎねえ?」

「丁度いい……暴れ方……教える」

レスさんが止めようとするイドルムを手で制してゆっくりと歩き――

森の一部、いや大半が爆ぜ、沢山の緑が襲い掛かってきた。

緑の正体は子供サイズの小鬼、所謂ゴブリンであろう魔物だった。

問題は数だ。

草木生い茂る森が最早影も形もなく、枯れ木の山と化している。

ゴブリンが偽装するために葉っぱを毟ったのだろう。

最も既に新芽が生えているが。

 

「GUGYAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」

ゴブリンの軍勢に怯むことなく、レスさんは尻尾を振るい、一部を肉片に変え、ローブの下から目測5メートル以上はありそうな翼を展開すると、そのまま突撃し、爪と翼でゴブリンを両断していく。

どうやら翼を研いで刃の役割を持たせてあるらしい。

 

「すげえ……あんなにいるのにもう半分死んだぞ」

「ご飯が食べられなくなりそう……」

暴れるレスさんを見ていると気分が悪くなるので後ろを向くと、どうやらゴブリンの一部が回り込んでいたらしく、今にも襲撃しそうだった。

「イドルム!」

「わかってる!」

叫ぶと同時にイドルムが振り向き、火炎のブレスを放つ。

火に巻かれたゴブリンはそれでもイドルムに突撃し、その命を刈り取ろうとしてくる。

 

僕が庇う間もなく、イドルムは突撃してきたゴブリンの首を掴むとそれをぶん回して武器とした。

もちろんスグに壊れてしまうが壊れた傍から別のゴブリンを武器にする。

 

「GYAOOOOOOOOOO!!!!!!」

目の前ではイドルムがまるで子供が駄々をこねるみたいに暴れている。

飛び散る肉片、時折混じるブレスによる焦げた臭いが鼻を擽る。

 

「GOGYAAAAAAAAAAA!!!!!!」

後ろでは巨大な体躯を活かした立ち回りでスマートに魔物を塵殺せんと暴れている。

ただ暴れているように見えて、実際は血や肉片の飛び散りが最小限になるようにしている。

 

僕は、その中で、何にも干渉されることなく、立ち尽くしていた。

 

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