【4話:太陽とは、最も身近な観測者である】
5人の少女と1つの影は、再び一つの場所に集まっていた。
幼い少女は、外を見せられたことに満足している。
豊満な少女も、彼と一緒に居られることに満足しているようだった。
彼は2人の少女に腕を取られ、半歩後ろから微笑まれ。
それでも、嫌がっているようには全く見えない。
髪の長い少女たちの言い分を聞いて、大人しく席に座ってくれた。
「……というわけで、もし入るなら次はこの本にして欲しいの」
「その間に、こちらの寝床は整えておきます」
「部屋は少ないですが、問題ありません」
髪の長い少女は、言葉を先回りする様に。
眼鏡の少女は、帰る理由を作る様に。
特徴のない少女は、断る理由を削る様に。
誰かの否定が入る前に、三人の少女は畳みかけるように言葉の数珠を繋いだ。
「あっちで寝る方が気持ち良いかもだよ。お兄さんはどうなの?」
「私の部屋は広いので、区画を整理しても良いと思いますが」
「あんたたちのはどっちも駄目よ」
興味があるんだよね、と幼い少女は小さくはしゃぎ。
それなら私が、と豊満な少女が静かに寄り添う。
しかし髪の長い少女は2人の提案を却下して、
譲らないぞと腕を組んだ。
「あっちはあっち、こっちはこっち、よ」
――帰ってこなかったらどうするの、と言うように。
「それに、彼は自分の足で立ちたがってる」
――支えるばかりが優しさではないのだ、と言うように。
やはり髪の長い少女は、いつだって誰かの先を行く。
正しさを測る前に、
彼女は起こることを知ってしまう。
色が最も少なくて……だからこそ、最も色がついて見える。
かつてそれは、どんな名前で呼ばれていたのか。
少女たちは、今はそれを「知性」と呼んでいる。
「というわけで、日が暮れるまでには帰ってきてね。こっちも同じぐらいの時間だから」
髪の長い少女の言葉に彼は頷いて、本の中に入ろうとする。
その背に、眼鏡の少女は「ああ、忘れていました」としれっと声をかけた。
「今回は、私が文字を渡します。きっと役に立つと思うので」
眼鏡の少女の指先から、物語になり切れなかった文字の羅列が伸びる。
零れ落ちた黒い筋は、彼の輪郭に溶け込んで……静かに、一つ前の少女の加護を上書きした。
物語の余白は、未だ小さい。
「それでは、どうぞ。帰りをお待ちしております」
髪の長い少女が何かを言うより早く、
彼は眼鏡の少女の言葉に頷いて本の中へと消えていった。
ジトっとした一対の視線が不満そうに眼鏡の彼女を射抜いていたが、
見られている本人は何も気にしていない。
「なに。最初からこのつもりだったの?」
「そうですね。私の理論の方が役に立つと思いました」
眼鏡の少女は机の上に置かれた本を開く。
そうして本の中か目当ての名前を探し当てると、少しだけ得意げに言葉を続けた。
「先回りする事より、動くと分かっていた場所に理屈を置いた方が、賢く見えることもある。ただそれだけのことですよ」
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おや、新しいお客さんかい。
色々置いてるんだ、好きなものを……と。
おや、それが気になるのかい?
良い目をしてるね、あんた。
それはね、【無双の大太刀】と言って……
うん? ああ、知ってるのか。
なるほどね。
まあ、そういう武器だよ。
ちっと……まあかなり不人気だが、実際かなりの業物だよ。
欠けず曲がらず、よく切れる。重いけどね。
買っていくかい?
……へぇ。驚いた、ほんとに買うのか。
勧めておいてなんだけど、お勧めはしないよ?
これが買えるなら、別の魔剣も見ていかないか?
うちなら、他にもこんな魔剣を取り扱っていてね。
安くする……かはまあ、お客さん次第だけど。
とりあえず、これなんかどうだい?
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彼が入ったことにより、隠されていた物語が照らし出されれる。