暗殺教室 地球外生命体と超生物を殺す   作:ぐちロイド

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第10話 攻略難易度:ベリーイージー 数日後の「エンドのE組」

椚ヶ丘中学校の期末テスト当日。本校舎の廊下には、張り詰めた糸のような緊張感が漂っていた。

 

「五教科すべてで、E組を、そしてあの赤羽業と暁連を引きずり下ろす」

 

本校舎の精鋭たちが、殺気立った表情で参考書をめくっている。その中心に君臨する理事長の息子・淺野學峯とその五英傑たちもまた、完璧なる勝利を確信した笑みを浮かべていた。

 

だが、試験開始のチャイムが鳴る数分前。

本校舎の重厚な玄関を、欠伸を噛み殺しながら潜り抜ける人影があった。

 

連「……あー、眠い。エボルト、お前さっきから脳内でうるさいんだよ」

 

 

エボルト『クハハハ! 泣き言を言うな連。これから始まるのは「知の殺し合い」だろう? 少しは楽しめ』

 

暁連は、ワインレッドの髪を適当にかき上げながら、試験会場である教室へと向かった。廊下ですれ違う本校舎の生徒たちが、汚物を見るような目で連を睨みつけるが、彼はそれを受け流すどころか、まるで見えていないかのように無視して歩く。

 

教室のドアを乱暴に開けると、試験官を務める教師が時計を指さして嫌味を言った。

 

先生「暁君、また遅刻ギリギリですね。E組に落ちて、時間の管理すらできなくなったのですか?」

 

連「……いや、計算通りだ。無駄な待ち時間は、ゲームのロード時間と同じで人生の損失だからな」

 

連は自分の席に深く腰掛けると、ペンケースから一本のシャーペンを取り出した。それだけで準備は完了だ。

 

---

 

 

試験開始の合図。

周囲の生徒たちが一斉に問題用紙を裏返し、必死にペンを走らせる音が教室に響き渡る。

 

今回の期末テストは、理事長・淺野學峯が直々に作成に関与したとされる、通常の学習範囲を遥かに逸脱した「殺意」に満ちた内容だ。一問一問が複雑に絡み合い、思考の迷路に受験者を誘い込む。

 

だが、連にとっては――。

 

連(……なんだ、これ。チュートリアルか?)

 

連の紫の瞳が、問題用紙をスキャンするように動く。

数学の難問? 物理の複雑な計算? それらはすべて、連の脳内で瞬時に数式へと解体され、解答へと直結していく。エボルトの並列処理能力を借りるまでもない。連自身のゲーマーとしての「最適解を見出す直感」が、論理の穴を突いて正解を導き出していく。

 

連「……一、二、三……。よし、終了」

 

試験開始から、わずか三分。

連は最後の問題を書き終えると、大きく伸びをした。

 

周囲の生徒たちがまだ一枚目の半分も終わっていない中、連は解答用紙を裏返し、机に突っ伏した。

 

先生「……おい、暁! まだ三分しか経っていないぞ!」

 

試験官の教師が血相を変えて小声で注意しに来るが、連は既に夢の中だった。

 

その姿は、本校舎の生徒たちにとって、最大の「侮辱」以外の何物でもなかった。

必死に戦っている自分たちの横で、欠伸をして寝ている。それが、かつて「本校舎の天才」と呼ばれた暁連の、今のやり方だった。

 

---

 

 

テスト期間が明け、舞台は再び裏山の旧校舎へと戻る。

朝のHR。殺せんせーが、巨大な成績表の束を抱えて教室に入ってきた。

 

殺センセー「ヌルフフフ……! 皆さん、お疲れ様でした。今回のテスト、本校舎の嫌がらせに満ちた難易度でしたが、皆さんの『刃』は確実に届いていましたよ!」

 

殺せんせーの顔が、誇らしげな「オレンジの◎」模様に染まる。

教室内には、安堵と、悔しさと、そして期待が入り混じった熱気が立ち込めていた。

 

殺センセー「では、学年順位を発表します! 今回の学年トップは――」

 

殺せんせーが、黒板に大きく模造紙を貼り出した。

そこには、全校生徒の名前が、得点の高い順に並んでいる。

 

一番上。

他を寄せ付けない圧倒的なスコアと共に、その名前が刻まれていた。

 

**【第1位:暁 連(3年E組) 500点(満点)】**

 

皆「「「「よ、400点……じゃなくて、満点!?」」」」

 

クラスメイトたちが一斉に連を振り返る。

連はいつも通り、机に脚を投げ出して携帯ゲーム機を弄っていた。

 

連「……あ? 満点? まあ、当然だろ。あの程度の問題、全クリできない奴がいる方が不思議だ」

 

前原「お前、あれ三分で終わらせて寝てたってマジかよ!」

前原が信じられないといった声を上げる。

 

連「効率化だよ。三分あれば十分だ。……それより、浅野の息子はどうだったんだ?」

 

連が指差した先。学年2位の場所には、浅野学秀の名前があった。

その点数は498点。

わずか2点の差。だが、その2点は、決して埋まることのない「次元の壁」を象徴していた。

 

殺センセー「ヌルフフフ……。連君、今回もやりましたね。本校舎の生徒たちは、今頃あなたの名前を見て泡を吹いていますよ」

 

連「……ハッ。浅野理事長も、次はもう少し『難易度調整』してから挑んでこいって、ババアにでも伝えてもらうかな?」

 

連はワインレッドの髪をかき上げ、不敵な笑みを浮かべた。

彼にとって、この学校のテストはもはや「攻略済み」のタイトルに過ぎない。

 

連「……さて。テストも終わったし、次はあの『タコ』の攻略本でも作るか」

 

エボルト『連、お前もいい性格をしているな。満点を取って寝る……まさに、この世界をバグらせるバグプレイヤーそのものだ』

エボルトが愉快そうに笑う。

 

連はゲーム機をポケットにしまうと、立ち上がって窓の外を眺めた。

1位という頂。そこから見下ろす景色は、彼にとって退屈なほどに平穏だったが、暗殺という名の「無理ゲー」だけが、彼の日常を刺激し続けていた。

 

連「……攻略完了。次、行こうぜ」

 

暁連の伝説は、E組という辺境から、静かに、しかし確実に学校全体を侵食し始めていた。

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