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期末テストの返却が終わり、校舎内に漂っていた緊張感が一気に弛緩した放課後。
E組の教室は、いつも以上の熱気に包まれていた。学年1位を奪還した連を筆頭に、クラス全体の成績が底上げされたことで、本校舎の連中に一矢報いたという達成感が彼らを突き動かしていた。
連「……ふぅ。これでやっと『作業ゲー』から解放されたな」
連がカバンを肩にかけ、席を立つ。
菅谷「おい、連! 待てよ!」
呼び止めたのは、菅谷創介と前原陽斗だった。二人の目は、子供が宝物を見つけた時のようにキラキラと輝いている。
連「なんだよ、次はどのゲームの攻略法が知りたいんだ?」
菅谷「違うって! お前、こないだ言ってたろ。烏丸さんから許可もらってバイク乗ってるって。あれ、マジで見せてくれよ!」
菅谷が身を乗り出して訴える。
菅谷「あの加速、あのエキゾーストノート……。あれ、ただの市販車じゃねえだろ? 俺、造形をやってるからわかるんだ。あのシルエットの美しさは芸術レベルだぜ!」
前原「俺も興味あるわ。連がどうやってあの急斜面をショートカットしてるのか、そのテクニックを拝ませてくれよ」
前原も便乗する。
連は少しだけ面倒そうな顔をしたが、今日は特に予定もない。新作のAVは昨日見終えたし、エボルトも『たまには下々の者に神の乗り物を見せてやれ』と脳内で面白がっている。
連「……いいぜ。派手に驚いても、腰抜かすなよ」
連の承諾が下りるやいなや、教室内が沸き立った。
莉桜「え、何? 連君がバイク見せてくれるの!?」
中村莉桜が聞きつけて、速水凛香の腕を引っ張ってやってくる。
莉桜「凛香も行くでしょ? ほら、動体視力の訓練になるかもよ」
速水「……興味ない。けど、構造は気になる」
速水はぶっきらぼうに答えながらも、足取りは連の方へと向いている。
結局、部活や居残りがないメンバー――渚、カエデ、磯貝、岡島、竹林、そして様子を窺っていた不破までもが、連の後を追って校庭へとゾロゾロと出て行った。
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夕暮れに染まり始めた校庭。
古い校舎の影が長く伸びる中、生徒たちは連を中心に円を描くように集まった。
寺坂「おい、連。バイクはどこだよ? 駐輪場にはチャリしかねえぞ」
寺坂が鼻を鳴らしながら周囲を見渡す。
連「……そこに置いてあるだろ。目に見えないだけでな」
連は不敵に笑うと、おもむろに右手を空中に突き出した。
連「エボルト、ストレージを開け」
エボルト『了解だ、連。観客を失望させるなよ?』
連の指先が空間を「掴む」と、そこからパチパチと蒼い火花が散った。
磯貝「なっ……何だこれ!? 空間が割れてるのか!?」
磯貝が驚愕の声を上げる。
連がそのまま腕を引くと、何もない虚空から、重厚な金属の塊が滑り出してきた。
フロントカウルに刻まれた「R」の意匠。漆黒とゴールドのボディ。そして、生き物のように鼓動を打つエンジン。
**マシンビルダー。**
菅谷「……う、嘘だろ……。今、何もないところからバイクが出てきた……!」
菅谷がその場に膝をつき、まじまじと車体を見つめる。
菅谷「どこのメーカーだ? ヤ○ハ? ホン○? いや、そんな次元じゃねえ……。このパーツの密度、地球の技術かこれ?」
渚「連君、これ……マジでどういう仕組みなの?」
渚が震える声で尋ねる。
連は平然とシートに跨り、ヘルメットを被りながら答えた。
連「……さあな。俺をこの世界に放り込んだ『神』からの授かりもんだよ。仕様(スペック)を理解しようとするだけ無駄だ。こいつは概念そのものを走るからな」
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連「……さて、ショータイムだ。瞬きすんなよ」
連がスタートスイッチを押した瞬間、山全体を震わせるような、しかし滑らかな重低音が響き渡った。
速水「――っ!」
速水凛香が目を細める。彼女の動体視力は、バイクの排気口から漏れ出すエネルギーの揺らぎを捉えていた。
連はアクセルを一気に回した。
タイヤが地面を噛む音すらしない。マシンビルダーは静止状態から一瞬でトップスピードに達し、校庭の端にある「崖」に向かって直進した。
前原「おい! そっちは行き止まりだぞ!!」
前原が叫ぶ。
だが、連はスピードを緩めない。フロントを跳ね上げると、バイクは物理法則を無視して校舎の壁へと飛び乗った。
茅野「なっ……壁を走ってる……!?」
竹林が眼鏡を光らせて計算式を口にするが、即座に「計算不能」と結論を出した。
連は垂直の壁をマッハに近い速度で駆け上がり、屋上のヘリを蹴って空中へと舞い上がった。
夕陽を背に、巨大な龍のようなシルエットが宙を舞う。
空中でのフロントフリップ。
連は車体から片手を離し、下にいるクラスメイトたちに軽く手を振る余裕すら見せた。
寺坂「……あいつ、化け物かよ」
寺坂が呆然と呟く。
着地は、羽毛が落ちるほどに静かだった。
連はそのままドリフトを決め、校庭の土を美しく扇形に巻き上げると、渚たちの目の前でピタリと停止した。
連「……フゥー、こんなもんか」
連はヘルメットを脱ぎ、額の汗を拭った。
クラスメイトたちは、もはや声を出すことすら忘れていた。
あまりにも現実離れした光景。
バイクの格好良さもさることながら、それを操る連の、まるで自分の体の一部のようにメカを扱う精密さに、圧倒されていたのだ。
莉桜「……連、あんた。今のテクニック、どこで覚えたの?」
中村が震える声で尋ねる。
連「……ゲーセンのレースゲー、って言ったら信じるか? …ま、才能だよ。じゃあな、俺は用事があるから先に帰るぜ」
連は再びアクセルを吹かすと、今度は校門の正面から、文字通り「消える」ような加速で山を下っていった。
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連のバイクのエンジン音が聞こえなくなっても、校庭には静寂が漂っていた。
やがて、菅谷が地面に残されたタイヤの跡(実際には焦げ跡に近い)を指さした。
菅谷「……今の、見たか? バイクが跳ねた瞬間、連の腕……一瞬だけ、青い炎みたいなのが見えなかったか?」
速水「ええ。私も見たわ」
速水が真剣な表情で頷く。
中村「あの加速度に生身で耐えられるわけがない。それに、あのバイクが出てきた時の空間の歪み……」
渚「……連君、言ってたよね」
渚が空を見上げて呟いた。
渚「『神からの授かりもん』だって。……バイクだけじゃない気がする。あの日、殺せんせーと戦ってた時も、連君は何か……僕たちの知らない『姿』になろうとしていた」
不破「財閥の御曹司、天才、そしてあの超越的なバイクのアクション……」
不破が推理漫画のキャラクターのように顎に手を当てる。
杉野「でも、あいつの中にはまだ『もう一つの力』が隠されてる。エボルトとかいう名前も、あの日、誰かが呼んでいた気がするし……」
寺坂「……暁連。あいつ、マジで何者なんだ?」
寺坂が、自分たちの手が届かない場所にいる連の背中を想像し、不気味さと憧れが混ざった声を漏らした。
彼らはまだ知らない。
連が隠し持っているのが、地球を数秒で滅ぼすことができる「宇宙の破壊者」の力であることを。
そして、その破壊者が今、自分たちのクラスメイトとして、新作のAVを借りるために街へと急いでいることを。
磯貝「……まあ、あいつが味方でいるうちは、心強いよな。……多分」
磯貝のその言葉が、今のE組にできる精一杯の解釈だった。
裏山の森が、夜の闇に飲み込まれていく。
そこには、自分たちの常識を遥かに超えた「ゲーマー」という名の怪物の足跡だけが、深く、鋭く刻まれていた。
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