蒼き炎の爆風が、廃棄倉庫の埃っぽい空気を一瞬にして焼き尽くす。
湯煙と火花を掻き分けながら一歩を踏み出したのは、漆黒の夜闇に鮮烈に映える、蒼と白の装甲を纏った戦士――仮面ライダークローズ。
バイザーの奥で不気味に、しかし力強く明滅するドラゴンの眼が、眼前の怪物を正確にロックオンしていた。
「グオオオオオオオッ!!」
理性を完全に失い、ネビュラガスによる破壊衝動の塊と化したニードルスマッシュが、地響きを立てて突進してくる。その全身から生えた無数の鋭い針が、月光を浴びて凶器の輝きを放っていた。
連「……突進ルートが直線的すぎるんだよ。そんな単調なコマンド、格ゲーの初心者でも読めるぜ」
クローズ(連)は動じない。
相手が間合いに入る一瞬の刹那、驚異的な反射速度で身体をわずかに右へと傾けた。
ガキィィィンッ!!!
スマッシュの巨体がクローズのすぐ側をすり抜け、その鋭い針が虚空を裂く。
すれ違い様、クローズは逃さず、蒼き炎を纏わせた強烈な左アッパーをスマッシュのガラ空きの脇腹へと叩き込んだ。
ドガァァァンッ!
「グハッ!?」
肉厚な装甲を誇るスマッシュの身体が、一撃で軽々と宙に浮き上がり、背後のコンクリート壁へと激しく叩きつけられる。崩落した壁の破片がバラバラと音を立てて怪物の巨体に降り注いだ。
エボルト『クハハハ! いいぞ連! ドライバーとの同調率が上がっている。ハザードレベルは確実に4.0を超えてきているぞ!』
脳内のエボルトが、戦況の推移を愉悦に満ちた声で実況する。
連「……まだまだこんなもんじゃねえよ。テストの満点なんかより、こっちのほうがよっぽど『全クリ』し甲斐がある」
クローズは右手を虚空へと伸ばした。
光の粒子が収束し、その手の中に重厚な大型剣――**ビートクロウザー**が顕現する。
青い刀身に刻まれた音符の意匠。柄の部分に配置された牽引レバー(グリップエンド)。それは、クローズの持つ大火力をさらに何倍にも増幅させる最強の武器だ。
連「さあ……ここからが本当の『コンボ』の時間だ」
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立ち上がったニードルスマッシュは、自身の受けたダメージに激高し、全身の針を周囲に向けて一斉に射出した。
シュババババババッ!!!
雨あられと降り注ぐ、音速を超える針の弾幕。
常人であれば一瞬で蜂の巣にされる絶望的な広範囲攻撃。だが、連の脳内にあるゲーマーとしての戦術回路は、その弾幕のわずかな「隙間(安全地帯)」を瞬時に見出していた。
連「ステップ、バックダッシュ、からの――前転!」
クローズはビートクロウザーを巧みに操り、正面から迫る針を最小限の動きで弾き飛ばしながら、弾幕の密度が最も薄いルートを強行突破する。
火花がクローズの装甲で激しく弾けるが、その前進は止まらない。
「オオオオッ!」
スマッシュが腕を振り回し、直接クローズを叩き潰そうと迫る。
連「遅い!」
クローズはビートクロウザーのグリップエンドを力強く引っ張った。
ガシィィィンッ!
『PULL A KEVIN!』
レバーを一段階引き絞り、トリガーを引く。
『SMASH HIT!』
連「ハァァァッ!」
刀身に激しい蒼の電撃と炎が宿り、クローズはそれをスマッシュの胸元へと一気になぎ払った。
ズバァァァァンッ!!!
「ギャアアアアッ!?」
強烈な音撃を伴った斬撃がスマッシュの肉体を深く引き裂き、内部のネビュラガスが火花となって激しく吹き出す。
スマッシュはたじろぎ、大きく後退した。しかし、クローズの「攻撃ターン」はまだ終わらない。
連「格ゲーの鉄則を教えてやるよ。……一度コンボを入れたら、相手にターンを渡さないのが基本だ!」
クローズはさらにビートクロウザーのレバーを続けて二回引き絞る。
ガシッ、ガシィィンッ!
『PULL A KEVIN! SPLASH HIT!』
「これで……終わりじゃねえぞ!」
クローズが剣を地面に突き立てると、コンクリートの床を伝って蒼い龍の形をした炎の衝撃波が走り、スマッシュの足元で大爆発を起こした。
ドゴォォォォンッ!!!
爆風によって、ニードルスマッシュの巨体が完全に無防備な状態で宙へと打ち上げられる。いわゆる「空中コンボ」の起点(スターター)だ。
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宙に舞う怪物を見上げ、クローズはビルドドライバーのレバーに手をかけた。
ガリガリガリガリッ!!!
猛烈な速度でレバーを回転させる。ドライバーの内部でドラゴンフルボトルの成分が限界まで圧縮され、クローズの全身の装甲がオーバーヒート寸前の凄まじい熱量を放ち始める。
連「エボルト、最大出力だ。一撃でバグを消し去る」
エボルト『ククク……良かろう。お前の限界を超えた力、見せてみろ!』
『READY GO?』
クローズの背後から、実体化した巨大な蒼いドラゴンの幻影が姿を現し、天に向かって咆哮を上げた。倉庫の天井がそのエネルギーの圧力でメリメリと音を立てて歪んでいく。
『DRAGONIC FINISH!』
連「ハァァァァァッ……!!」
クローズは地を蹴った。重力を完全に遮断したかのような、圧倒的な跳躍力。
宙で身を翻し、右足にすべての蒼き炎とドラゴンのエネルギーを集中させる。その輝きは、京都の夜の闇を完全に昼間へと変えるほどに眩かった。
連「――一撃(ワンターンキル)だ!」
ドガァァァァァァンッ!!!!
クローズの放った激烈なライダーキックが、空中にあるニードルスマッシュの胸部に完璧に直撃した。
炸裂する蒼き炎。龍の咆哮のような轟音が倉庫内に響き渡り、衝撃波が周囲の残った壁や窓ガラスをすべて粉々に吹き飛ばす。
そのままスマッシュの巨体は地面へと叩きつけられ、激しい爆発を起こした。
大爆発の炎が夜空を焦がす。
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炎がゆっくりと収まっていく中、クローズは静かに着地した。
爆煙の向こう側から、ネビュラガスが完全に分解・消滅し、元の不良生徒のリーダーが、元の服を着た状態で気を失って転がっているのが見えた。肉体の変質は解け、命に別状はない。
連「……ふぅ。ミッションコンプリート、だな」
連はドライバーのレバーから手を離し、変身を解除した。
蒼い装甲が光の粒子となって消え去り、いつもの制服姿の暁連へと戻る。ワインレッドの髪が、夜風に静かに揺れていた。
連「……おい、エボルト。今のナイトローグ、一体何だったんだ? あいつ、一言も喋らなかったな」
連が心の中で問いかけると、エボルトは少し声を潜め、不敵に笑った。
エボルト『ククク……おそらく、本物のファウストではないな。世界の歪み、あるいはこの「暗殺教室」という世界のバグが産み落とした、単なる力の残滓だ。だが連……お前がその力を発揮すればするほど、この世界のバグはさらに大きくなるぞ?』
連「……上等だ。どんなクソゲーだろうが、俺が全部叩き潰して全クリしてやるよ」
連は地面に落ちていたドラゴンフルボトルを拾い上げ、ポケットに放り込んだ。
そして、気を失っている不良生徒を一瞥もせず、倉庫の外に止めてあったマシンビルダーへと歩み寄る。
連「さて……タコたちのところに戻るか。暗殺計画を台無しにされたお仕置き(説教)を聞くのは面倒だけどな」
連はバイクに跨り、エンジンを咆哮させた。
京都の修学旅行という表のイベントの裏で、連の「ハザードレベル」はまた一つ、人間の領域を超えた深淵へと近づいていくのだった。
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