暗殺教室 地球外生命体と超生物を殺す   作:ぐちロイド

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変身は次かその次ぐらいには出します。


第2話 停学開けの不意打ち 

烏丸が訪ねてきたあの日から一ヶ月。窓の外を眺めながら携帯ゲーム機を弄るだけの退屈な日々が、ようやく終わりを告げようとしていた。

 

連「……さて、ようやく解禁か。長えチュートリアルだったぜ」

 

暁連は自室の鏡の前で、ワインレッドの髪をグイッとかき上げた。紫の瞳が、鏡越しに不敵な光を宿している。

 

エボルト『ククク……ようやく表に出られるな、連。あのマッハ20のタコ、その首を獲る準備はできているか?』

 

脳内に直接響く、相棒・エボルトの嘲笑。連は口角を釣り上げ、机の上に置かれたワインレッドのボトル――ドラゴンフルボトルをポケットに放り込んだ。

 

連「ああ。まずは挨拶代わりだ。最効率で攻略してやるよ」

 

---

 

 

 

椚ヶ丘中学校の旧校舎は、通称「エンドのE組」の名に相応しく、険しい山道を登った先に存在する。普通に登れば汗だくになるような急斜面だ。しかし、連にとってこの山道は、ただの「移動シミュレーション」のフィールドに過ぎない。

 

山の中腹、人影が完全に途絶えたことを確認すると、連は虚空に向かって手を伸ばした。

 

連「……こいつを使うか。エボルト、空間を繋げ」

 

 

エボルト『いいだろう。異空間のストレージを解放してやる』

 

連の手元に、無機質なスマホ型のデバイス「ビルドフォン」が現れる。そこへ、同じく空間から取り出したゴールドの輝きを放つ「ライオンフルボトル」を差し込んだ。

 

『LION!』

 

電子音と共に、ビルドフォンが瞬時に変形を開始する。金属パーツが組み合わさり、エンジンの咆哮を上げて顕現したのは、漆黒とゴールドのボディを持つ重厚なバイク――マシンビルダーだ。

 

連「よし、ハイスピード攻略開始だ」

 

アクセルを回すと、バイクは重力を無視したような加速で斜面を駆け上がった。木の根や岩場をジャンプで飛び越え、最短ルートを一直線。普通なら二十分はかかる登山道を、連はわずか数分で駆け抜けた。

 

校舎が見える直前、再び異空間へバイクを戻すと、連は何事もなかったかのように制服の襟を整え、緩やかな足取りで校舎へと向かった。

 

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校舎の前には、懐かしい顔があった。

赤羽業。連と同じく停学を喰らっていた、もう一人の「エース」だ。

 

業の前には、あの「標的」が立っていた。黄色い巨大なタコのような生物。殺せんせー。

業は余裕の笑みを浮かべ、殺せんせーに対して手を差し出していた。

 

業「先生、初めまして。……よろしくお願いします」

 

それは、一見すれば生徒と教師の温かい握手に見えた。

だが、連の目は誤魔化せない。業の掌には、細かく刻まれた「対殺せんせー物質」の破片が、接着剤か何かでびっしりと貼り付けられていた。

 

殺センセー「ヌルフフフ……こちらこそよろしく、業君。おや? その手は……」

 

――グチャッ。

 

握り合った瞬間、殺せんせーの触手が緑色の体液を撒き散らして弾けた。

業が、その掌で触手を握り潰したのだ。

 

業「あはは、先生。案外脆いんだね。これで『プロの暗殺者』なんて、笑わせないでよ」

 

業の挑発的な笑み。周囲のクラスメイトたちが息を呑む。

連はその光景を少し離れた場所から眺め、低く笑った。

 

連「……ハハッ、相変わらずいい性格してんな、業。だが、初見殺しのギミックとしちゃあ、ちょっと地味すぎねえか?」

 

連は背中のケースから、一本の木刀を取り出した。

それはただの木刀ではない。烏丸に特注で依頼し、表面に「対殺せんせー物質」を薄く、しかし強固にコーティングした連専用の近接武器だ。

 

連「おい、ターゲット。そのタコ足、俺にも一本削らせろよ」

 

連の声が響いた瞬間、周囲の視線が彼に集まった。

「……連! お前も今日からかよ!」

中村莉桜が嬉しそうに声を上げる。

 

連は返事をする代わりに、地面を蹴った。

何の予備動作もない。トップスピードへの加速。

殺せんせーは業の不意打ちに動揺し、触手を再生させるためにコンマ数秒の硬直を見せていた。その「隙」は、ゲーマーである連にとって、格好の攻撃ポイントだ。

 

連「――らぁッ!」

 

鋭い踏み込みと共に、木刀が殺せんせーの「顔」を狙って一閃される。

空気を切り裂くような鋭い一撃。

 

殺センセー「ヌッ!?」

 

殺せんせーの巨体が、マッハ20の機動力で後方へと跳ねた。

だが、連の攻撃はそこで終わらない。

 

連「エボルト、先読みを貸せ!」

 

 

エボルト『了解だ。右三度、高度十センチに回避パターンA……そこだ!』

 

殺せんせーの着地地点を予測し、連は木刀を横薙ぎに振り抜く。

殺せんせーは驚愕したように、さらに体を捻って回避したが、そのわずかな「触手の先」を、連の木刀がかすめた。

 

パァン、と乾いた音がして、黄色い触手の先端が宙を舞う。

 

連「……おっと、かすり傷か。やっぱりこいつ、当たり判定がシビアすぎんだろ」

 

連は木刀を肩に担ぎ、不敵に笑った。

業が目を細めて連を見る。

 

業「やるね、連。……バイクの音、聞こえてたよ?」

 

連「あ? 知るかよ。攻略に乗り物は必須だろ」

 

---

 

 

殺せんせーは失った触手を瞬時に再生させると、顔に緑の縞模様(なめている状態)を浮かべて連に向き直った。

 

殺センセー「ヌルフフフ……暁連君ですね。烏丸さんから聞いていましたよ。あなたの中に『もう一人』いることも含めて。……いやはや、初日からこれほど鋭い一撃を貰うとは。先生、感激です!」

 

殺せんせーは感激のあまり涙を流しているが、連はその茶番を無視して、一歩、殺せんせーの間合いに踏み込んだ。

周囲からはただの「挨拶」に見える距離。だが、連は殺せんせーの耳元に口を寄せた。

 

連「……おい、タコ」

 

声を極限まで潜め、殺せんせーだけに聞こえるトーンで告げる。

 

連「今日の夜、時間開けておけ。……あんたの中にある『データ』と、俺の中にある『力』。どっちが上か、静かな場所でテストプレイさせてくれよ」

 

殺せんせーの動きが、一瞬だけ止まった。

その丸い瞳が、真剣な色を帯びる。

 

殺センセー「……それは、授業の一環ですか? それとも、ただの個人的な『遊び』ですか?」

 

連はニヤリと笑い、殺せんせーの肩をポンと叩いた。

 

連「決まってんだろ。……最高にスリリングな、命懸けのゲームだよ。断ったら、この校舎ごと『エボルト』が消し飛ばすかもな」

 

連はそう言い残すと、驚く渚やカエデ、そしてニヤついている中村たちの間を抜けて、自分の席へと向かった。

 

エボルト『ククク……よく言った。楽しみだな、連。この星の「最高傑作」と、宇宙の「破壊者」……どちらが先に壊れるか』

 

連「……ああ。期待してろよ、相棒。最高の夜にしてやる」

 

窓際の席に座り、連は再びゲーム機を取り出した。

エンドのE組。

ここでの生活は、思っていたよりもずっと「やり込み甲斐」がありそうだった。

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