暗殺教室 地球外生命体と超生物を殺す   作:ぐちロイド

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第27話 銀座へのロード、魔王の武装(正装) 完璧な令嬢の「裏コード(腐女子)」

 

神崎有希子が夜兎の運転するリムジンで駅へと送り届けられ、暁家の巨大な邸宅に再び静寂が戻った土曜の夕暮れ。

連は自室のベッドに大の字に寝転がり、天井を虚ろな目で見つめていた。

高級ケーキの糖分で満たされているはずの脳内プロセッサは、明日18時に強制執行される「新月重工との会食(お見合いクエスト)」という最悪のバグイベントのせいで、完全にオーバーヒートを起こしていた。

 

連「……クソが。なんで俺が、会ったこともねえ重工企業の令嬢なんかと……」

 

連が枕に顔を埋めて毒突いた、その瞬間だった。

脳の奥深く、神経細胞のさらに深層にある「精神世界(システム領域)」から、あの耳障りで、しかし圧倒的な質量を持った「最悪の超越者」の声が響いてきた。

 

エボルト『――ハッハッハ! どうした、地球の若き魔王(ゲーマー)。画面の向こうの1フレームにはあれほど執着する男が、大人の構築したビジネスの仕様(レール)一本に、そこまでハザードレベルを下げるか?』

 

連の精神の闇から這い出てくるように、赤い毒蛇のようなオーラを纏った男――**エボルト**が、脳内で不敵にせせら笑った。

 

連「……チッ、エボルトか。外野(居候)は黙ってスリープモードに入ってろ。今の俺は、運営のクソ采配に最高にイラついてんだよ」

 

エボルト『お前たちの言う『お見合い』か。実にくだらん、だが実に人間らしくて興味深いイベントじゃないか。己の血統と資本を掛け合わせ、より強固な種を残そうとする生存本能……。だがな、連。お前がその程度の『大人のハメ技』を破れないようでは、俺の遺伝子(力)を完全にダウンロードしたとは言えんなぁ?』

 

連「うるせえよ。壊すだけなら1フレームで十分なんだよ。だけどな、あのババア(玲奈)と、その背後にある暁の総資産(パラメータ)を敵に回すと、今後の俺の『ゲーマー生活(機材調達)』に致命的なパッチが当たるんだわ。……あー、クソ。どいつもこいつも、俺をコマ(駒)扱いしやがって」

 

精神世界のエボルトがさらに腹を抱えて笑う声を、連は強引に脳のパーテーションを区切ってミュート(遮断)した。

 

その時、ベッドの脇に置いてあったスマートフォンが、見たこともない「最高機密の暗号化周波数」の着信音を鳴らし、激しく振動した。

画面に表示された発信源のコードは――『G・A・N・Z・A・N』。

 

連は一瞬だけ紫の瞳を鋭く尖らせ、すぐに通話ボタンをスライドした。

 

連「……おい、親父(巌斬)」

 

巌斬『――ガハハハハ! 息災か、連! 随分とノイズの混じった、元気のない声をしておるな!』

 

受話器の向こうから響いてきたのは、まるで鼓膜を直接震わせるかのような、圧倒的な覇気を孕んだ爆音の笑い声――連の父親であり、暁家の「暴力的頂点」である暁巌斬(がんざん)の声だった。現在、海外のきな臭い紛争地域で物理的な利権デバッグ(武力介入)を行っているはずの男からの、久々の定時連絡だった。

 

連「元気があるわけねえだろ。……おい、親父。知ってんだろ、明日の新月重工との件。ババアが勝手に俺のスケジュールをロック(強制拘束)しやがった。14歳の中学生をお見合いの席に引きずり出すとか、暁家のコンプライアンス(規約)はどうなってんだよ」

 

連はここぞとばかりに、普段は誰にも言えない愚痴(システムエラー)を父親にぶちまけた。

 

巌斬『ガハハ! 玲奈から報告は受けておる! 新月直木(なおき)のところの娘か! 良いではないか、連。新月重工は我が暁不動産にとっても、今後のグローバル展開において『最強の物理インフラ(武装・重工業)』を担う最重要のパートナーだ。そこの血統とパイプを繋ぐのは、次期総帥たるお前の義務(メインクエスト)だぞ』

 

連「義務とか知るかよ。俺のパラメータに『政治・社交』なんてクソステータスは振ってねえんだよ。大体、先方の令嬢がどんな堅物の箱入り娘か知らねえが、俺みたいな『性格の歪んだ厨二病ゲーマー』に会わされる向こうの身にもなってみろよ。1秒でセーブデータ消して帰りたくなるに決まってるだろ」

 

連がベッドを叩いて荒れると、電話の向こうの巌斬は、一瞬だけ笑い声を止め、低く、しかし驚くほど父親らしい重厚なトーンで語りかけてきた。

 

巌斬『連よ。お前はゲームにおいて、勝てないと分かっている『初見のクソボス』に対し、戦う前にコントローラーを投げる男か?』

 

連「……は? そんなわけねえだろ。どんな無理ゲー(クソ仕様)でも、1ミリの勝率があるなら、フレームを読み切ってハメ殺すのが俺のスタイルだ」

 

巌斬『ならば明日の会食も同じだ。新月直木という男は、ハーフの強面だが、己の力と技術だけで日本の重工界の頂点に君臨した、我らと同じ『力(スペック)』を尊ぶ男。その娘も、生半可な器ではないはずだ。お前のその『歪んだハザードレベル(意思)』が、大人の政治というステージでどれだけ通用するか、試してくるが良い。……背中は押してやる。暁の名を背負って、堂々とそのステージを全クリしてこい!』

 

連「…………」

 

連はしばらく沈黙した。

父親の、あまりにも脳筋でありながら本質を突いた「ゲーマー精神への挑発(バフ)」に、連の紫の瞳の奥で、カチリ、と諦めと同時に、奇妙な闘争心のスイッチが入る音がした。

 

連「……フン、分かったよ。そこまで言うなら、明日の『新月重工戦』、完璧にパーフェクトに終わらせてやるよ。……じゃあな、親父。そっちの戦場でも、クソエイムで被弾すんなよ」

 

巌斬『ガハハハ! 誰に向かって言っておる! 月曜日のログ(報告)を楽しみにしておるぞ、我が息子よ!』

 

ツッ、と通話が切れた。

連はスマホをベッドに放り投げ、大きく息を吐き出した。

 

連「……やるしかねえか、クソイベント(公式大会)」

 

覚悟を決めた魔王の目が、闇の中で妖しく明滅した。

 

---

 

 

 

翌日、日曜日。17時。

暁家のエントランスには、いつもとは完全に「仕様(外見)」の異なる暁連が立っていた。

 

髪は夜兎の手によってワックスでカチッと整えられ、ワインレッドの髪が夕日に妖しく光る。身に纏っているのは、夜兎が徹夜でミリ単位のシワをデバッグ(アイロンがけ)した、暁家の家紋が刻まれた漆黒の最高級オーダーメイドスーツ。14歳とは思えない引き締まった身体に、その洗練された正装が、まるでラストボスの「最終形態(スキン)」のような圧倒的な威圧感を醸し出していた。

 

連「……おい、夜兎。首元がキツい。首元の可動域が狭まって、とっさの視界移動(防御行動)に対応できねえだろ、これ」

 

夜兎「寝言は寝てから言いなさい、連坊ちゃま」

 

横で同じく最高級のイブニングドレスを纏った玲奈が、満足そうに息子の姿を見ながら車へと乗り込んだ。

 

玲奈「今日のアンタは100点満点の『暁のプリンス』よ。そのまま大人の社交界を蹂躙してきなさい」

 

運転席の夜兎は、バックミラー越しに連のスーツ姿をチラリと見ると、無表情のまま、しかしほんの少しだけからかうように声を落とした。

 

夜兎「連坊ちゃま、いつもの黒パーカー(初期装備)に比べて、随分と『課金スキンのレアキャラ』のようになっておりますね。料亭で緊張のあまり、お茶をスーツにこぼしてシミ(耐久値減少)を作らないよう、心からお祈り申し上げます」

 

連「うるせえよ、夜兎。俺のコマンド入力にミスはねえ。銀座まで最短ルート(最速フレーム)で飛ばせ」

 

高級リムジンは、静かに、しかし圧倒的な加速で銀座の街へと滑り出していった。

車内には、玲奈がタブレットで明日の株価や新月重工の最新のプラントデータをチェックする無機質なタップ音だけが響く。

連は窓の外を流れるネオンを見つめながら、脳内で明日(今日)の対戦相手――新月重工のパラメータを再計算していた。日本の軍事・重工業のトップ。その令嬢。

 

連(どんな堅物のクソボスが来るか知らねえが……俺のハザードレベル(本性)を見せて、向こうから『婚約破棄(イベントキャンセル)』を申し出させてやるよ)

 

それが、連が構築したこの無理ゲーの「最適解(攻略チャート)」だった。

 

---

 

 

 

リムジンが到着したのは、銀座の喧騒から完全に隔離された、総理大臣や海外の要人も利用するという超高級老舗料亭『新月庵』の前だった。

一歩足を踏み入れると、そこは美しい日本庭園と数寄屋造りの廊下が続く、まさに「大人のトッププレイヤー」しか入場を許されない極限の結界(ステージ)だった。

 

仲居の案内に従い、最高級の和室の引き戸が開かれる。

 

直木「――おお! 待っていたぞ、玲奈殿! そして……彼が噂の、連君だな!」

 

部屋に入った瞬間、空間の気圧が変わるほどの圧倒的な「声量」と「覇気」が連を襲った。

そこに座っていたのは、今回のメインボス――新月重工のトップ、新月直木(50歳)だった。

178cmのガタイ。日本とアメリカのハーフであり、彫りの深い顔立ちと、趣味の筋トレで極限まで鍛え上げられたスーツの上からでもわかる分厚い胸板。一見すると、海外のギャングのマフィアボス(強面)にしか見えない圧倒的な威圧感(ハザードレベル)だが、その瞳には、非常に快活で、親しみやすい「漢(おとこ)」の輝きがあった。

 

玲奈「お久し振りです、新月会長。本日はお招きいただき、ありがとうございます」

 

玲奈が完璧なビジネススマイルで一礼し、連もそれに合わせて、最低限の「礼儀コマンド」を入力して頭を下げた。

 

連「初めまして、暁連です。本日はよろしくお願いします」

 

直木「ガハハ! 硬い硬い! 巌斬の息子だから、もっと暴れ馬のようなガキが来るかと思えば、随分と洗練された男前ではないか! 気に入ったぞ!」

 

直木は豪快に笑いながら、連の肩をガシガシと叩いた。その手の平の圧力だけで、普通の人間なら骨が軋むレベル(物理攻撃)だったが、連はエボルトの遺伝子による超人的な耐久力で、顔色一つ変えずにそれを受け流した。

 

連(チッ……このオヤジ、親父(巌斬)と同系統の『パワータイプ(脳筋ボス)』か。話しやすそうだけど、パラメータが高すぎる……)

 

直木「さぁ、紹介しよう。私の自慢の娘、百加(ももか)だ。……ほら、百加。挨拶しなさい」

 

直木が促すと、その隣に座っていた少女が、静かに、しかし一瞬にして和室の全視線をジャック(魅了)するほどのカリスマ性を放ちながら立ち上がった。

 

百加「――初めまして。新月百加です。本日はお時間をいただき、恐悦至極に存じます」

 

連の紫の瞳が、その少女の「異様なスペック」を一瞬で捉え、脳内プロセッサが警告音(アラート)を鳴らした。

 

**新月百加(16歳、高校1年生)。**

169cmという、同年代の女子としては圧倒的な高身長。最高級の桃色の着物を艶やかに着こなしているが、その帯の上で主張する胸元は、明らかに規格外の『Gカップ』**という圧倒的な破壊力(バフパラメータ)を誇っていた。

艶やかな桃色の髪は高い位置でポニーテールにまとめられ、彼女が動くたびに美しく揺れる。

だが、何よりも連の目を引いたのは、彼女のその切れ上がった美しい瞳の奥――まるで、何かの ocular power( ocular 能力)を秘めているかのように、**『八芒星(はちぼうせい)』の紋様が妖しく刻まれていることだった。

 

連(……おい、なんだあの目は。ただのお嬢様じゃねえ……。完全に『特殊な固有スキル(能力者)』のツラしてやがる)

 

百加の纏うオーラは、極めてクールで大人びており、一切の隙がない「完璧なカリスマ令嬢(堅物ボス)」そのものだった。運動、勉強、料理、すべてにおいてトップの数値を叩き出すタイプ。それが、連の第一印象のプロファイリング(解析)だった。

 

百加「お座りください、連様」

 

百加は静かに座ると、連の正面に位置した。その八芒星の瞳が、連の漆黒のスーツ姿と紫の瞳を、じっと見つめてくる。

 

---

 

 

 

会食が始まり、伊勢海老や最高級A5ランクの和牛といった、視覚的にもバフのかかる豪華な料理が次々と運ばれてきた。

直木と玲奈は、新世代のクリーンエネルギーや、防衛省向けの重工業プラントの資本提携といった、国家レベルの「重たいビジネストーク(空中戦)」を繰り広げている。

 

連は、自分の前に置かれた懐石料理を静かに口へ運びながら、正面の百加を観察していた。

百加の箸の進め方、お茶の飲み方、すべてが完璧な作法(フレーム管理)で行われており、まさに「非の打ち所がない令嬢」そのものだった。中高ともに名門の女子校に通い、一切の不純なノイズを排して育ってきた、堅物の最高峰。

 

連(ダメだ。付け入る隙(確反のフレーム)がねえ。このままじゃ、ババアたちの言う通りに『完璧な婚約ルート』が構築されちまう……。どこかにバグ(弱点)はねえのか……?)

 

連が頭を悩ませ、百加をじっと睨みつけるように見つめていた、その時だった。

 

百加「……あの、連様」

 

大人たちのビジネストークの合間を縫って、百加が鈴の鳴るような、クールで美しい声で連に話しかけてきた。

 

連「何だ、新月」

 

百加「……先ほどから、随分と熱い視線を私に送られていらっしゃいますが。……もしかして、私の『顔』に、何かついておりますでしょうか?」

 

百加はそっと、自身の桃色のポニーテールに手を当て、小首を傾げた。その瞳の八芒星が、微かに明滅したように見えた。

 

連「いや、別に。……ただ、新月重工の令嬢様が、随分と完璧な『お人形さん』のフリをしてるから、裏のコード(本性)がどこにあるのか気になっただけだ。お前、本当はそんな堅苦しいステージ、退屈なんじゃねえの?」

 

連がわざと挑発的な「煽りセリフ(デバフ)」を投げかける。普通の令嬢なら不快感を露わにするか、玲奈が横から「これ、連!」と咎める場面だ。

 

だが、百加の反応は、連の予測(アルゴリズム)を完全に超越していた。

 

百加「――ふふ」

 

百加は口元をハンカチで隠し、クスクスと、しかしどこか「話しやすそう」な、非常に親しみやすい笑みを漏らしたのだ。

そして、大人たちが完全に話に夢中になっているのを確認すると、百加は少しだけ上体を前に乗り出し、連に向かって、先ほどまでの完璧な令嬢の仮面(スキン)を剥ぎ取った、**最高にディープな「オタク(腐女子)」のトーン**で、声を潜めて囁いてきた。

 

百加「……驚きました。暁不動産のプリンスは、随分と目敏い(観察眼の高い)『受け』属性の少年なのですね? ……実は私、女子校の中の良い友人たち(同志)以外と、こんな風に素顔で話すのは初めてなのです。……ねえ、連君。あなた、その切れ上がった紫の瞳と、漆黒のスーツの着こなし……自分で自覚されています?」

 

連「……は? 属性? 何の話だ」

 

連の脳内プロセッサが、全く知らない未知の単語(専門用語)を検知して停止(フリーズ)した。

 

百加の八芒星の瞳が、今や怪しくギラギラと輝いている。彼女の趣味――それは『BL(ボーイズラブ)漫画の執筆・妄想』であり、中の良い同志たちと日々、妄想の限界突破(過激な会話)を繰り広げる、筋金入りの「腐女子カリスマ令嬢」だったのだ。

 

百加「あなたのその、ちょっと生意気で反抗的な態度(ツンデレ)……海外の戦場で暴れているというお父様(巌斬様)の圧倒的な『最強攻めパラメータ』と掛け合わせたら、一体どれほどの極上の『インセスト・背徳のフレーム』が完成するか……! 先ほどお二人の会話のログを想像しただけで、私の脳内のメインサーバーが、尊さのあまり、あやうく強制シャットダウン(大爆発)を起こすところでしたわ……!」

 

連「お、おい……待て、何を言ってるんだお前……!」

 

連の顔が、生まれて初めて「格ゲー以外の理由」で引き攣った。

目の前にいるGカップの桃色ポニーテールの美少女は、堅物そうに見えて、その中身は、連の厨二病ハザードレベルを遥かに凌駕する『限界突破した腐女子のトッププレイヤー』だったのだ。

 

百加「ふふ、月曜日、学校の私の部室(サークル部屋)に、ぜひ遊びに来てくださいな。新月重工の最新の『物作り(同人誌・同人ガジェット)』の成果を、あなたにじっくりとダウンロード(調教)して差し上げますわ、連君?」

 

百加はそう言って、最高に妖艶でクールな、しかし完全に「ロックオン」した王者の微笑みを連に向けた。

 

連(……クソが……! この女、神崎や律とは、全く違うベクトルの『隠し最凶裏ボス(バグキャラクター)』だ……!)

 

大人たちが提携の成立を祝して乾杯する音を背景に、連は、自分が完全に新しい、そして最も危険な「新ルート(百加の妄想ターゲット)」へと強制的にログインさせられたことを確信し、冷や汗を流しながら、今度こそ心の中で盛大にコントローラーを投げ出すのだった。

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