暗殺教室 地球外生命体と超生物を殺す   作:ぐちロイド

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第6話 質問責めの包囲網 少年のオトナな秘密

六時間目の殺せんせーお手製「超高速・激ムズ小テスト」が終了し、放課後を告げるチャイムが山に響き渡った。

通常なら、ここからが暗殺者たちの自由な時間なのだが、今日ばかりはそうはいかなかった。

 

前原「おい暁! 財閥ってマジかよ!? 暁不動産ってあのCMのやつか!?」

 

杉野「500万って、お前の家だと小遣い程度なのか!?」

 

渚「連君、さっきのイリーナ先生との会話、どう見ても中学生のそれじゃなかったよ……」

 

杉野、寺坂、前原、そして渚までもが、連の机を囲んで質問の弾丸を浴びせてくる。

連は面倒そうにワインレッドの髪をかき上げ、手元のゲーム機をスリープモードにした。

 

連「……うるせえよ。家が金持ちなのは俺の功績じゃねえ、ババアと親父の仕事の結果だ。俺はただ、そのリソースを効率的に使ってるだけだっつーの」

 

それから三十分。

「お前の家のトイレは金でできてるのか」という寺坂の偏差値の低い質問にまで一通り適当な回答を終え、ようやく解放された連は、逃げるように教室を後にした。

 

だが、昇降口で靴を履き替えようとした瞬間、後ろから芳醇な香水の香りが漂ってきた。

 

イリーナ「連。今日は私、あんたの家に泊まるから。準備しておいてね」

 

壁に寄りかかり、モデルのようなポーズでスマホを弄っていたイリーナが、顔を上げずにさらりと言い放った。

その瞬間、廊下にいた生徒たちの動きが再び凍り付く。

 

前原「……は?」

 

岡島「泊まる……? ビッチ先生が連の家に……!?」

 

岡島や前原の目が、怨念に近い光を宿して連に突き刺さる。

連は深く溜息をつき、肩越しにイリーナを振り返った。

 

連「……あー、わかった。ゲストルームの清掃入れとくよ。どうせババアとまた夜通し飲むんだろ? あんまり騒いで俺のゲームの邪魔すんなよ」

 

イリーナ「わかってるわよ。玲奈とゆっくり話したいこともあるしね。じゃあ、後でね」

 

ひらひらと手を振るイリーナ。そして、再び「連、どういうことだ説明しろ!」と詰め寄ろうとするクラスメイトたちの殺気を感じ取り、連は即座に判断した。

 

連(――ここは、強行突破一択だ)

 

連「じゃあな。俺は寄り道して帰るから」

 

連は校舎裏へ回ると、周囲に誰もいないことを確認し、異空間からマシンビルダーを召喚した。

エンジンを吹かし、急斜面の獣道をショートカットして一気に駆け下りる。背後で「あ! あいつバイクで逃げやがった!」という叫び声が聞こえたが、マッハの速度で遠ざかる連の耳には、風の音しか届かなかった。

 

---

 

 

 

街へと降りた連は、まずはスマートフォンを操作し、ネットバンキングでイリーナの口座へ500万円の送金を済ませた。

 

連「……ミッション完了。さて、本題(メインクエスト)に入るか」

 

連が向かったのは、繁華街の隅にひっそりと佇む、年季の入ったレンタルビデオショップだった。

一見すればどこにでもある古ぼけた店だが、ここには連にとっての「聖域」がある。

 

自動ドアを潜ると、冷房の効いた店内に独特のフィルムとプラスチックの香りが漂っていた。

 

真夏「……いらっしゃい。連君、待ってたわよ」

 

カウンターの奥から、艶やかな声が響く。

店のオーナー、葛城真夏。

39歳。黒髪のボブカットに、白いシャツを弾け飛ばさんばかりのGカップの胸元が、カウンターに無防備に乗せられている。

彼女は連の姿を見るなり、恍惚とした表情でその潤んだ瞳を向けた。

 

連「……真夏さん。新たに入荷したって言ってたやつ、入ってるか?」

 

連は周囲の客に聞こえないよう、しかし極めて冷徹で蔑むような視線を彼女に投げかけた。

本来、14歳の連がこの店の18禁コーナーに立ち入ることは法律で禁じられている。だが、この店には「特例」が存在した。

 

真夏は連のその「見下した目」を見た瞬間、ゾクゾクと肩を震わせ、頬を上気させた。

 

真夏「……ええ、もちろん。連君のためだけに、取っておいたわ……。さあ、奥へ。誰も見ていないわよ……」

 

真夏はカウンターの下から、彼女自身が特別に発行した「専用ブラックカード」を受け取り、奥の特別展示ブースの鍵を開けた。

彼女が連にこれほど尽くす理由は単純だ。

誰もが彼女の美貌と肢体に媚びへつらう中、連だけは彼女を「一人の女」としてではなく、単なる「便利なシステムの一部」か、あるいは「自分に懐く不快な生き物」として、冷たく罵ってくれるからだ。

 

連「……真夏さん、相変わらず締まりのない顔してんな。そんなに俺に蔑まれるのが嬉しいのか?」

 

真夏「っ……! あぁ、いいわ……。その声、その視線……もっと、もっとゴミを見るような目で見て……!!」

 

真夏がカウンターの下で足を震わせるのを無視し、連は新作AVの棚を物色し始めた。

エボルトが脳内で呆れたように笑う。

 

エボルト『連、お前も大概だな。この女、お前の罵倒だけでハザードレベルが上がりそうじゃないか』

 

連「うるせえ。俺はこれが趣味なんだよ。……お、これ。新作の限定版じゃねえか」

 

連は手慣れた手つきで数本のパッケージを手に取り、カウンターへ戻った。

真夏は既に、恍惚の表情でレジの前にスタンバイしている。

 

連「……これ、一週間。あと、客が今日泊まりに来るから、バレないように中身が見えない袋に入れとけよ。……無能な真夏さんでも、それくらいはできるだろ?」

 

真夏「はい……! はい、喜んで……! ああ、連君に無能って言われちゃった……私、今日、眠れないわ……!!」

 

真夏は震える手で会計を済ませると、不透明な厚手の袋にビデオを詰め、さらに「おまけ」として最新のゲーム雑誌を忍ばせた。

 

真夏「……これ、私の気持ち……。よかったら、読んで……」

 

連「……気が向いたらな。じゃあ、行くぞ」

 

連は袋をひったくるように受け取ると、一度も振り返らずに店を出た。

背後で「ああ、連君……次はもっと酷い言葉を……!」という真夏の溜息が聞こえた気がしたが、連はそれを無視して、再びマシンビルダーのエンジンをかけた。

 

夕暮れに染まる街並みを抜け、連は自宅である暁邸へと向かう。

カバンの中には暗殺用の木刀と小テストの解答用紙。

そして袋の中には、誰にも言えない少年の秘密。

 

連(……さて、イリーナとババアが騒ぎ出す前に、一本見ておくか)

 

暁連の夜は、これからが本番だった。

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