暗殺教室 地球外生命体と超生物を殺す   作:ぐちロイド

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第7話 賢者タイムの「攻略」 家での極上の宴

暁邸の重厚な門をマシンビルダーで潜り抜け、ガレージにバイクを収めた連は、戦利品(AVの袋)をカバンに隠し、静まり返った玄関ホールに足を踏み入れた。

 

夜兎「――お帰りなさいませ、連様」

 

影から滲み出るように現れたのは、茶髪のツインテールを揺らすメイド長、城崎夜兎だ。24歳という若さながら、暁家の家政を一手に引き受ける彼女は、連にとっては姉のような、あるいは口うるさい監視役のような存在だった。

 

連「夜兎か。ちょうどいい。今夜はババアがビッチ先生――イリーナを連れて帰ってくる。夕食はいつもの回らない奴を呼んでおけ。最高級のネタでな」

 

連がぶっきらぼうに命じると、夜兎は無機質な瞳を僅かに細め、冷ややかな声を返した。

 

夜兎「……承知いたしました。イリーナ様の騒がしさを想定し、胃薬も用意しておきます。それと連様、そのカバンから漂う『いかにも不健全な紙袋の角』が、私の潔癖な美的感覚を刺激しているのですが。……またゴミを拾ってきたのですか? 捨てておきましょうか、物理的に」

 

連「余計なお世話だ。これは俺のメンタルケアに必要な消耗品だよ。さっさと手配しろ」

 

夜兎「はいはい。中卒の私に拾う神(玲奈様)がいて助かりましたが、その息子がこれでは先が思いやられます。早く部屋に籠って、その……『ケア』とやらを済ませてくればよろしいのでは。無口な私でも、今の連様の顔がニヤけていて気持ち悪いことくらいは指摘したくなります」

 

夜兎の痛烈な毒舌を背中に浴びながら、連は逃げるように二階の自室へと駆け込んだ。

 

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自室の重厚なドアをロックし、連はすぐさま巨大な4Kモニターの前に陣取った。

真夏の店で手に入れた珠玉の一本――『金髪黒ギャル塩対応を三穴使い集団わからせしドM女開発60分』。

 

連「……さあて、この無理ゲーの結末を見届けさせてもらおうか」

 

ディスクをセットし、再生が始まる。画面に映し出されるのは、最初は高飛車で冷淡な態度を取っていた黒ギャルが、徹底的な「攻略」の末に、抗えない快楽の沼に沈み、人格そのものが書き換えられていくという、連の嗜好のど真ん中を射抜く内容だった。

 

連「……ハッ、この強気な顔が崩れる瞬間が最高なんだよ」

 

脳内のエボルトが『連、お前の精神構造は時々俺よりも邪悪に見えるぞ』と呆れ果てているが、連は集中力を研ぎ澄ませ、マッハ20の動体視力すらも無駄遣いして、画面の隅々のディテールを網羅していく。それはもはや鑑賞というより、格上のボスを分析するプロゲーマーの眼差しに近かった。

 

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二時間が経過し、画面の「攻略」が最高のフィナーレを迎えた頃。

カチリ、とドアのノック音が響いた。

 

夜兎「連様。玲奈様とイリーナ様がお戻りです。板前が準備を整えましたので、食堂へ降りてきてください。……ちなみに、ドアの隙間から漏れている音が、先ほど私が想定した『ゴミ』の内容を雄弁に物語っています。死んで詫びてください」

 

夜兎の氷点下を下回る冷たい声に、連は慌ててモニターの電源を切った。

 

連「……今行く。あと、死なねえよ」

 

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ダイニングルームに向かうと、そこには既に異様なオーラを放つ三人の女が揃っていた。

 

上座には、世界を股にかける経営者としての威厳を纏い、不敵な笑みを浮かべる母・玲奈。

その隣には、今日も今日とて大胆なドレスに身を包み、既にワイングラスを傾けているイリーナ。

そして、その背後で無表情のまま完璧な給仕を行う夜兎。

 

中央には、出張してきた銀座の名店の職人が、静謐な所作でネタを切り分けている。

 

玲奈「あら、連。暗殺教室はどう? ちゃんと『攻略』の糸口は見つけたのかしら?」

 

玲奈が、息子を試すような視線を向けた。

 

連「……まあな。今日はあのタコに蹴りをかわされたが、レベルを上げる鍵は見えてきた」

 

イリーナ「あはは! 連、あんた本当にあのタコを殺す気なのね」

 

イリーナが寿司を頬張りながら笑う。

 

イリーナ「でも気をつけなさいよ。あの生物は私の色仕掛けさえ凌駕する、変態の極致なんだから」

 

連「ビッチ先生、あんたの色仕掛けが通用しないのは、テクニックが単調だからだろ。ゲームで言えば、同じコマンドの連打。……あ、職人さん。次は中トロを炙りで」

 

連が淡々と注文すると、職人が鮮やかな手つきでガスバーナーを操る。脂の焼ける香ばしい香りが立ち込める。

 

イリーナ「なんですって!? 私のテクニックが単調!? 殺すわよ、このクソガキ!」

 

玲奈「イリーナ、落ち着きなさい」

 

 

玲奈がグラスを置き、静かに制した。

 

 

玲奈「連の言うことにも一理あるわ。物事は常にアップデートし続けなければ、市場からも戦場からも淘汰される。……夜兎、イリーナに少し強めの酒を。彼女、今日はよく喋りそうだから」

 

夜兎「承知いたしました。……毒薬の方がよろしいのでは?」

 

イリーナ「夜兎、あんたねぇ!」

 

そんな女たちの騒ぎを無視し、連は出された炙り中トロを口に運んだ。

舌の上でとろける極上の脂。

 

連「……美味いな。この職人」

 

エボルト『ククク……人間界の食文化だけは認めてやる。だが連、お前の後ろのメイド……さっきからお前のカバンの中身をどう処分するか、目で演算しているぞ』

 

エボルトの警告に、連は背筋を凍らせた。

夜兎の視線が、連の背後で冷たく光っている。

 

夜兎「……連様。その……『ケア用品』の感想は、後でじっくり伺いましょうか」

 

連「……なんでだよ。何もねえよ」

 

高級寿司、世界最強の母、美しき暗殺者、そして毒舌メイド。

暁連の平穏(?)な夜は、極上のネタと共に、複雑な味を醸し出していく。

連は心の中で、明日からのE組での「無理ゲー」な日々を思い描き、最後の一貫を飲み込んだ。

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