ロマン職は異世界から帰りたい   作:庶民ザウルス三世

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第120話 世間話

 ナットンに頼んでとりあえず20枚ほど作ってもらい、それで箱船ダンジョンに入れる事を確認してからデゴットに渡した。

 

 たぶん同じ事を言われるだろうなーと思っていたので、ティーガーの分も用意はしてある。

 

 騎士団と同じく二十枚だ。欲しいならまた言ってくれればナットンに作ってもらう。

 

 ちなみに……デゴットに渡した二十枚のカードキーだが、半分は…………高位冒険者と冒険者ギルドに売った。

 

 モンスターの情報など込み込みで。一枚、一千万セル! 十枚で一億セル!

 

 ラシア的にはそれってどうなの? って思ってしまうが……出てくるモンスターの情報全てがあるし、命の危険もかなり減るので欲しい人は欲しいかなーと思う。

 

 今まで入れなかったダンジョンだから、それでも入りたい人は多いだろう。

 

 ちなみに……今回の騒動のラシアの報酬はそこから七百万セルほど支払われたので……本当にどうなのかなーという感じだ。

 

 まぁ……ラシア的にはカードキーを売って一儲けしようとも思ってないので、何でも良いのだ。

 

 そして残ったカードキーを使い、騎士団も国として色々調査しているとか何とか。そこに聖騎士も加わりたいといった感じだろうとラシアは思う。

 

 そして焼いていたたこ焼きができたので、ソースをかけてティーガーの所に持っていく。

 

「うまそうやな!」

 

 マヨネーズや鰹節、青のりはないので……色々と物足りない感じはするのだが、想像以上にティーガーには好評だった。

 

「ラシは……戦闘できて頭もええ上に料理もできるんか……自分できひん事あるんか?」

 

 できない事の方が多いし、頭はそんなに良くはないと考えていると、隣で食べていたティアが代わりに答えた。

 

「ラシアさんは……知らない人と会話ができない!」

 

「ティアちゃん……できない訳ではないからね。しないだけだから」

 

「子供に言われてるんやから……ラシはその辺直さなあかんなー」

 

 確かに直した方が良いのは良いだろうが……今日明日ですぐとはいかないし、この前のような勘違いは確かにあるが、そこまでデメリットばかりではないので正直このままで良いかともラシアは思う。

 

 クランメンバーとか友人とは話すし、困らないと言えばあんまり困らないのだ。

 

 そしてラシアは思う。

 

 自分が人と話し始めるよりは、たぶん元の世界に帰る方が早い。

 

 だから、たぶんこれで良し。

 

「しかし……これ美味いな。おかんにも持って帰りたいから、お持ち帰りってできるんか?」

 

 ものすごく偏見だが、関西弁だから確かにたこ焼きとかは好きそうな気がする。親も子も二つ名に虎が入っているし。

 

 保存はそんなにきかないが、持って帰ってすぐに食べるなら問題ないので、今度はロディーの為にたこ焼きを焼く。

 

「そや! おかんで思い出した。おかんが今度一緒に飯たべへんって言うとったで? あと人食い令嬢もそんな事言うとった」

 

「……食事は静かに食べたいので却下で」

 

「まーそやろとは思っとった。ティア。ラシっていっつもこんな感じなんか?」

 

「うん。そう。クランメンバーの人達以外が食堂に四、五人いたら、部屋で食べてる」

 

「……ラシ。もうちょい会話した方がええで」

 

「大丈夫です。こう食材と会話しながら食を楽しんでいるので……」

 

 その場にいた全員になんとも言えない顔をされていると、ようやくロディーの分が焼き上がったので、サンドイッチを入れるように作った木箱に入れて二箱ほどティーガーに手渡した。

 

 アイテムバッグの中に入れておけば少しは劣化がマシになるので、ティーガーは礼を言ってそれを受け取り、仕舞った。

 

 そしてしばらく世間話や情勢などの話をし始める。

 

「けっこうな事件でしたけど……聖騎士って混乱とかなかったんですか?」

 

「ん? ……まー普通にあったけど、騎士団みたいに一枚岩じゃないのが良かった感じやな。司教派が無くなって、おかんの下に聖騎士が入るようになったし、聖騎士って聖騎士AとかBみたいな感じで組があるからなー。言うほど影響はないって感じやな」

 

「なるほど」

 

「自分の中にちゃんと信念とかそういうのがあったら、上が変わってもそんなに変わらんのかもな。ラシかて姫様がおってもおらんでも人と話さんやろ? それと一緒やな」

 

「……私の場合は信念ではないですからね」

 

「友よ。カードキーができました。ローウェンテニアの赤虎の娘よ。儲かりまっか?」

 

「ボチボチでんな。……いや、おかんに聞いた時も嘘かと思ったけど……ゴーレムが喋るのも凄いな」

 

「勇気と根性があればわりとなんとかなります」

 

 この辺は……報告したら色々と大変だから流してくれるとの事だ。

 

 だから、あんまり喋るなと機械の友人には言いたい。

 

 ガロニアとか他の客がいる時はほとんど見かけないので、その辺は理解してくれているのだとラシアは思っている。

 

 ナットンから二十枚のカードキーを受け取り、それもティーガーに手渡した。

 

「うーん。もうちょいゆっくりしたかったけど……今まで開かずのダンジョンやったからなー。さすがに帰っておかんに渡しとくか」

 

 この辺はしっかりしてるなーとラシアは思う。

 

 そして見送りではないが、たこ焼きもそこそこ好評だったので、祭りに出す方は問題がなさそうだ。

 

 後はティアやおやっさん達に任せても良さそうなので、ラシアは面倒くさい冒険者ギルドからの呼び出しを片づけておく事にした。

 

 宿の主から了承を得てから、ラシアはティーガーと一緒に冒険者ギルドへと向かった。

 

「しっかし……呼び出しってなんなんでしょうね……特に悪い事した気はないですが……」

 

「自分な……もうちょい自信持って生きた方がええで。まーたぶんあれやな」

 

 ティーガーが知っていそうなので歩きながら詳しく尋ねると……ラシアもいっぱい持っている転移石の話だろうとの事だった。

 

 前にセレットさんに教えてもらったが……ようやくそのランクになったのかとラシアは思う。

 

「あれがあるのとないのと、ぜんぜん生存率違うからなー」

 

「あー……そういえばトロッコⅤの時も使ってる聖騎士いましたしね」

 

「まぁ、ラシやったら知らん方がおかしいわな。若手って言う事もないけど、聖騎士がXランクに上がるには月齢の王の討伐が何回かあるからなー。ちなみにウチは倒したで! さすがに一人は無理やけどな」

 

「その辺は疑わないので大丈夫です。ティーガーさんとパルサーさんならパーティー組めば倒せるボスなので」

 

「ラシやったら一人でトロッコⅤぐらい倒せそうやけどな~」

 

「そ、そんな事ないですよ?」

 

 変な事を言って面倒な事になったら大変なので、ラシアは話の方向を変える。

 

 それはティーガーの職だ。ゲームだとドラゴンナイトは名前にドラゴンが入っているぐらいだからドラゴンに乗れるのだが……ドラゴンナイトがドラゴンに乗っている姿を見た事がないのだ。

 

 ティーガーはたぶん両手剣型なので乗らないタイプなのだろうと思うが……一人も見ないので、街中では乗ってはいけない法律とかあるのかなーと思っての話だった。

 

「おかんもローウェンテニアの騎士は乗っとったとか、よー言うとったけど、ドラゴンって乗れるもんなんか?」

 

 ゲームでは剣士系の職で騎乗スキルを取ってレベルが上がれば乗れるようになる。馬に乗ってる騎士達がいるので、そこまでは難しくないはずだ。

 

 だからドラゴンに騎乗する条件は、ドラゴンナイトになっていて、ダンジョンに行き、騎乗用のドラゴンを手に入れる事……といった所でラシアは思い出した。

 

 この前の箱船ダンジョンと同じで、たぶんその場所に行く方法が分からないのだ。

 

「あー……なんとなく分かりました」

 

「なんかめっちゃ含みのある言い方やなー。その辺くわしく聞きたい所やけど……しゃあないな」

 

 そう言っているうちに冒険者ギルドにたどり着いたので、ティーガーは礼を言い、今度教えてなーと言って王都へと帰っていった。

 

 そしてラシアはいつもの受付嬢を見つけたので呼び出しをくらった事を伝えると、ラシア担当と自負するだけの事はあり、話は伝わっていた。

 

「ラシアさん、お越しいただきありがとうございます。本来なら……ギルマスと副マスターがお話する所ですが……二人ともラシアさんにびびってますので」

 

「何もしてないのにびびられるとはいかほどに? って感じですが……知らない人と個室にいると私は死ぬので……大丈夫ですよ」

 

「ラシアさん……Xランクになったのに全然変わりませんね。一つ聞きたいのですが……私以外の冒険者ギルドの職員の名前って知っていますか?」

 

「失礼な。知っていますよ。ウィットニーさんにロベルタさんに……バファリンさんに……」

 

「そんな人いないので大丈夫です。では個室でのお話になりますので、どうぞこちらへ」

 

 適当に言ったら一人ぐらい当たるかなーと思ったが、そんな事もなく……ラシアは呆れられながら個室に向かい、Xランクになった事での心構えや注意事項に関する話を聞く事になった

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