ロマン職は異世界から帰りたい   作:庶民ザウルス三世

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第127話 竜の巣

 竜の巣ダンジョン。

 

 竜の巣と言うだけあって、出てくるモンスターはドラゴン系が多い。

 

 どのゲームでも大体そうだが、竜種のモンスターは総じて強い。このダンジョンも例外ではない。

 

 あとはこのダンジョンの特徴としては、ゲームなら入る度にダンジョンが変化するタイプだったが、この世界では一日ごとに構造が変化するダンジョンになっていた。そして上に向かって進むのもこのダンジョンの特徴だ。

 

 全滅したパーティーの冒険者証明書を集めたり、倒したドラゴンの素材やドロップアイテムを集めたりしているが……不謹慎ではあるが、かなり資金的にも美味しい。

 

 倒された冒険者の道具などは使い物にならないものが多い。だが、この一階層には出ないドラゴンの素材もあるからだ。

 

 ゲームだと鱗とか牙を集めてその素材で装備を作れるのだが……この世界だと一匹でそろうんじゃね? という話だ。

 

 牙はまだ分かる。欠けた物や短い物は使えないから綺麗な物とかだろうが……鱗で盾とか鎧を作るとなると、一匹で足りるのでは? とラシアは思う。

 

 一番小さなドラゴンですら軽自動車ぐらいあるし、大きい奴だとマイクロバスぐらいある。

 

 その辺どうなのかなーと思ってベテランのグオンに尋ねると、見た目ではあまり使われていないように思うが、想像以上に素材を使ったりするそうだ。

 

 粉にして接着する時に混ぜたり、紐などに混ぜ込んでしっかり作らないと、そこが弱くなってそういう所から破れたりするそうだ。

 

 それに装備の表面に使われる素材は、できるだけ綺麗な物が選ばれるので一匹分では全然足りない。皮もなめしたり乾かしたりすると想像以上に縮むので、一匹では足りないことも多いそうだ。

 

 それプラス、こんな危険地帯で悠長に剥ぎ取りをしていると、どんどん違うドラゴンがやってくるので、使う素材をパパッと取るのが基本らしい。

 

 ちなみに容量の加減かどういう理屈か分からないが……一匹まるごとアイテムバッグには入らない。

 

 人の死体とかも入らないので、容量の限界などで入らない物は多い。

 

 その辺はゲームと同じ設定が適用されているのかと思ったが、この世界にある物も入ったりするのであやふやだ。

 

 ドラゴンの肉は食材として入るのに死骸は入らないので……考えるのはやめた方が無難なのだ。

 

 そんな事を考えながら……仲間に剥ぎ取りを任せていたが、その間にも血の匂いに釣られてかどんどんドラゴンがやってくるので、亡くなった冒険者達に手を合わせてからラシア達は先へと進んだ。

 

「踏破した訳とちゃうけど、竜の巣ってやっぱ高難度やってんな!」

 

「ティーガーさんがいなかったら少し危ない感じでしたね。ティーガーさんってスキル関係を手堅くまとめられていますが、ロディーさんに教えてもらった感じですか?」

 

「そやで。と言っても全部が全部とちゃうけどな。おかんが大昔にローウェンテニアから来たの知ってるやろ? その時の騎士団にスキル関係を伝授したって感じやな」

 

「なるほど」

 

「だから、冒険者に比べて騎士とか聖騎士の方がスキル関係に無駄がない感じやな。と言っても、おかんも全部の職とかスキルを覚えてる訳とちゃうからなー。記憶がない所があるって言うとった」

 

 ラシア的にもその辺は結構な謎だ。ラシアは当たり前だがローウェンテニアの記憶がない。ゲームの記憶があるだけ。リレッサとロディーは他のプレイヤーや、それに関する記憶がない。

 

 だからゲームで出てくるNPCが使っていた職やスキルなんかは思い出せる。けどもNPCが関わっていなかった職やスキルは思い出せないといった感じだ。

 

 この辺がかなりややこしい。ただこんな高難度のダンジョンで深く考えるような事ではないので、気持ちを切り替えて進んで行く。

 

 この竜の巣ダンジョンは大木でできているが、本当に大きいので歩いたり戦闘したりするのも何の問題もない。蟻が大きな木を歩いているイメージだ。

 

 今は枝の部分を歩いて上っているが……自分の重さで折れるんじゃね? というぐらいに木が太い。

 

 時折、葉の隙間から外が見えるが……相当高い。十階層まで行くと雲の中に入り、十五階層からは雲の上に出る。

 

 そこまで来ると、ラシアでも本気で戦わないと死ぬぐらいにモンスターが強くなる。

 

 ただここは一階層なのでまだまだ余裕だが……やはり高い場所にあるので酸素が薄いのか、皆の息が上がり始めている。

 

「この竜の巣って踏破された事はあるんですか?」

 

「んー。ウチはまだ聞いた事ないなー。最高到達地点は十五階層やったと思う。ラシは何階まであるか知ってるんか?」

 

「二十階層ですね。その辺からごろっと強さが変わるので並みの職じゃキツいかも……という事は、もしかして踏破されてないダンジョンって多いですか?」

 

「そやで。余力あるなら行くけど、命かけて行く奴は少ないな。ウチらも仕事では行くけど無謀なとこは行かへんからなー」

 

「死んだら終わりですからねー」

 

「無茶はしても無謀な事はしたらあかんって感じやな。昔は死ぬ気で踏破を考える冒険者も多かったみたいやけど、今はほとんど聞かんなー。そやから踏破されてないダンジョンは多いな」

 

「ここを踏破しなくても一階層、二階層で狩れれば十分に儲かりますしね」

 

 その辺はゲームでもそうだと思う。全てのボスモンスターを倒すプレイヤーは本当に少ない。MMOなら特にそうだと思う。

 

 時間湧きなら他のプレイヤーに取られるし、ドロップが不味い上に強いボスとなると特に倒す意味がないからだ。そんな時間があったら他の弱くてドロップが美味いボスに行く。

 

 この世界に関してはミス=死だ。だからその辺は本当にシビアになってくるのだろうと思う。

 

「そう考えると……この前の箱船ダンジョンの踏破ってもしかしたらかなり凄い事だったのでは?」

 

 その話が聞こえていた全員からなんとも言えない顔をされ、ティーガーにため息をつかれた。

 

「あのな、ラシが強いからそれが普通かも知れんけど。普通は初めて入ったダンジョンで、出てくるモンスターの詳細を全て記録して、ボスを倒して、月齢の王まで倒して踏破してくるとか無理やで。なんぼ騎士団の精鋭を集めたって言うてもや」

 

「いやー……あのお兄さんお姉さんならやりそう」

 

 初めて入ったダンジョンで初めて拾った武器を振り回して遊んでいるぐらいなので……普通にやると思う。

 

「まー……あのお人らをお兄さんお姉さんとか言うてるぐらいやし……ラシも大概、大物やな」

 

 そんな事を言われても名前は聞いたが、そういう名前なのかという感想しかない。ただまぁ……クランメンバーはびっくりしていたので詳細は聞きたくない。

 

 ……

 

 出てくるドラゴンを倒して進んで行く。

 

 一階層、二階層に出てくるモンスターは、ノラ竜、ファイヤードラゴン、アクアドラゴン、グランドドラゴン、ウィンドドラゴンと、あとたまにミミック。

 

 ノラ竜が属性無しのドラゴンで、その他は名前にちなんだ属性攻撃を使ってくる。ちなみにめちゃくちゃ軽い感じで言われたが、ノアがこの前大火傷した相手がファイヤードラゴンの進化系のフレイムドラゴンだった。

 

 入り口付近にいて、倒した中にもいた。

 

 クランからすると全部のドラゴンが強敵だが、ノラ竜は危険度が高い。属性を持っていないので、素のステータスがそこそこ高いのだ。

 

 だからノラ竜が出たらラシアかティーガーが相手をする。

 

 ティーガーやグオンの職はドラゴンナイトなので、職の特性でドラゴンへのダメージ増加と軽減があるので、この場所のようなドラゴンばかりが出てくる場所では本当に強い。

 

 さっと倒してドロップアイテムや素材を手早く確保して進んで行くと、ようやく二階層への入り口が見えて来たので、そこでティーガーやパドロワに再度支援をかけ直してもらってから二階層へと突入する。

 

 さっきみたいに入り口付近に溜まっている事があるからだ。

 

 ただ、そういう時に限っていないのはお約束なので、ラシアは息を吐き出しほっとする。

 

 本当に太い枝を歩いて進んで行く。足下には樹液を吸ったりしている昆虫もいるし、蝶のような虫もいる。

 

 やっぱりゲームの世界と一緒なのは設定だけなんだと思う。ダンジョンだけど、ここにはここの生態? というか世界があるからだ。ただ一日経てば戻るので、その辺がまたおかしいのだが……などと考えていると、ティーガーがどうしたん? と聞いてきたので、ダンジョンとは何なのだろうとラシアは尋ねた。

 

 ティーガーは少し悩んだ後に答える。

 

「昔見た本に書いてあったけど……断層世界っていう感じらしいで。ダンジョンって考えて一つの世界で、階層ごとにも世界が区切られてるって感じらしいで」

 

「あー降りたら急に世界が変わりますもんね」

 

「そういう事やな。だからウチらがいる世界とは別の区切られた世界って言うのが正しい感じやろなー。正確な所は分からんけどな」

 

 似ている所もあるが……モンスターの生態とかで考えると確かに別世界だなとラシアは思う。

 

 元の世界も今いる世界もダンジョンも別の世界。想像以上に世界って多いなと考えていると、ようやく目的の竜の祠が見えてきた。

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