ロマン職は異世界から帰りたい   作:庶民ザウルス三世

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第130話 食事会練習

 ラシアと大公の娘、エリゼ・デルパロアとの食事が決まった二日後、ラシアとリレッサはロディーの家に招かれていた。

 

 どこから調べてきたのかは分からないが……エリゼがラシアを誘い、食事会を開くという情報を仕入れて来たらしい。

 

 で、ロディーはゲームの設定ではラシアの部下だ。

 

 こう……ロディー達からの食事の誘いは断っていたラシアだが、エリゼの誘いにだけ乗ったので……ロディーが娘も引くぐらい落ち込んだらしい。

 

 国の危機に助けにも来ずに、余所の世界で子供とか作ってる奴と飯なんか食えるか……みたいな事を言い出したらしいので、ティーガーが慌ててやってきたのだ。

 

 ラシア的には……忙しいので放置で良いとは思うのだが、ティーガーには恩もあるし、虹竜やグオンの灰竜の事なども国側の見解として聞きたい。なので、遠回しにロディーに『今度、エリゼ・デルパロアに食事に招かれたので予行練習ではないが、マナーなどを教えてほしい』と伝えると、すぐに返事が返って来た。

 

 そして現在に至り、リレッサと共にロディー宅に来ている。

 

 とても疲れた様子で「ラシ、ごめんやで」と言っていたティーガーに出迎えられた。

 

 ラシア的にも、全員がほぼ知っている相手なので、デルパロア家の食事会に比べるととても気が楽なものだった。

 

 ロディーが乾杯の音頭を取ってから、四人での食事会が始まった。

 

 やはりロディーがこの国の重鎮だという事もあり、出てくる物はどれも美味しく、パンもとても柔らかかった。

 

「……この味付けはローウェンテニアの味ですね?」

 

「流石は姫様、よくお分かりで。祖国の味が食べたくなり、この世界で頑張って再現しました」

 

 みたいな事を話しているので、ラシアはこれがローウェンテニアの味かーと思いながら食べていく。

 

 感じ的には日本の味付けに近い感じなので、ラシアからしてもとても食べやすく美味しい味だった。

 

 ティーガーとも話をし、気になっていた竜の事について尋ねた。

 

「ティーガーさん。グオンさんと竜の事はありがとうございました。虹竜はどんな感じですか? 何か問題は出てませんか?」

 

「今のところは問題ないな。おかんも昔、ドラゴンに乗っとったって話やから、スキルとかの問題はないなー。鞍なんかももう手配した感じやな」

 

「なるほどー」

 

「そうそう。ドラゴンって何食わしたらええんや? とりあえず、やったら何でも食うからやっとるんやけど……おかんがやっとった物はこっちにはないからなー。とりあえず肉とか野菜はやっとる」

 

 ゲームだと騎乗用のドラゴンなので、餌などはやったりしなくて良かったはずだが……説明欄には魔物肉とか好んで食べるとかは書いてあったはずだ。

 

「食べるなら何をやっても大丈夫とは思いますが、たまにはモンスターの肉とかをやった方がいいかも知れません。ドラゴンでこちらに慣れているとは言え、モンスターなので」

 

「なるほどなー。若手の冒険者とかに初級で見かけるウサギのモンスターとかを倒して捕まえてきてもらってもええかもな」

 

 そんな話をしているとロディーにも聞こえたようで、少し待ったがかかる。

 

「たまにやる分やったらええけど、毎回モンスターの肉をやるとドラゴンの性格めっちゃキツくなって、最後にはモンスターと変わらんようになるから気つけや。ローウェンテニアやと、モンスターの肉は滅多にやらんかったからな」

 

「なるほど……色々あるんですね」

 

「いや、なんでラシが知らんねん」

 

「ティーガー……隊長を責めなさんな。……ラシア隊長はドラゴンに乗らんタイプの騎士やから、竜舎とかにめったに顔出さんかったし、知らんのも無理ないで」

 

 スキル的に取れないだけの話なので、スキルがなくても乗る分にはたぶん乗れるが、言う事を聞かなかったり命令が伝わらなかったりはありそうだなーとラシアは思う。

 

 後はやはり、ものすごく目立つらしい。ティーガーも自慢したがりなので、ドラゴンに乗って聖騎士の兵舎に行くらしいが……話した事のない聖騎士とかにも声をかけられるそうだ。

 

「今までいなかったから目立つでしょうしね。でもドラゴンでもモンスター扱いと思いますが、その辺の許可ってどうなんですか?」

 

 ロディーが少し考えた後に答える。ティーガーの虹竜にしてもグオンの灰竜にしても、情報が少なすぎるのでよく調べるとの事だ。

 

 ティーガーの虹竜は家にいるので毎日見られる。灰竜はルインエルデにいるので、グオンに週一でギルドに報告するよう通達があったはずだと言った。

 

 少し前だが、セレットからモンスターをダンジョンから出すのは手続きがいるとか何とか言われていた気はする。

 

 だけどティアの蟻は召喚獣扱いなので、届け出さえすればセーフだった。騎乗するドラゴンもその扱いでいけたので、法律的にはかなり大雑把だと思う。

 

 グオンがXランクの冒険者で、ティーガーがロディーの娘で名のある聖騎士だからというのもあるんだろうなーと思う。

 

「それに関してはラシの言うとおりやな。普通の冒険者とかが……モンスターを連れ出したらわりと問題やけど、グオンやウチやしなー。ラシが思とる以上にXランクって社会的な信用はあるんやで」

 

「でも……このあいだのロワンテさんみたいな事もありますよね?」

 

「あるな! 探したら、ダンジョンからモンスターを連れ出したってのは多いとは思う。やけど……冒険者ギルドから秘密裏に連れ出すのはかなり難しいからなー。まったくおらん事はないけど、なかなか難しいと思といたらええと思うで」

 

 ティーガーの言うとおりだとラシアは思う。あれだけの冒険者がいるのだ。だから隠れてモンスターを連れ出すのは、かなり無理がある。

 

「そやから今回みたいに連れ出して、そのまま冒険者ギルドに報告したら案外簡単に通るんとちゃうかな? ウチらが手に入れたドラゴンやったら、人の言う事理解しとるしな」

 

 言葉が通じないなら、たぶんだが騎乗用のドラゴンではないと思う。スキル名を言えばそれに合わせてブレスを吐いたりするだろうし……ゲームでも街中で暴れたとかは聞いた事がないからだ。

 

「ただ、やっぱりモンスターやから、他に騎乗したいって奴が出ても最低Xランクとかになるんとちゃうかな? Xランクやったら、なんかあっても制圧できるやろうしなー。まぁラシアが教えん限りはあの酒の作り方も分からんから無理やけどな」

 

 その辺はややこしい事になったら面倒なので、仲良くなった人がいたら教えるかもしれないが、自分から教えて回るような事はしないので大丈夫だろうとラシアは思う。

 

 教えた事で怪我人や死者が減ったりもするから難しいとは思う。だけどその逆もあって、騎乗するドラゴンを悪用されたりしたら怪我人や死者も出るので……この前のティーガーの話ではないが、自分の力として取っておく方がいいとラシアは思う。

 

「なんかあれですね。難しい事ばかりで……」

 

「ええんとちゃうか? ラシの場合は難しく考える癖があるとは思うけど、簡単やったら誰でもしよるからなー。アホは悪い事する頭がないってヤツやな」

 

 そんな事を話しながら食事をし、ティーガーと情報交換をしていると、ロディーからなんとも言えない顔をされた後に言われてしまった。

 

 ラシア隊長ってそんなに喋れたんですね、だ。

 

「ロディーさん……普通に話せますからね? ローウェンテニアでも話していたでしょう?」

 

「いえ全然。姫様と話していた所は見たことはありますが……基本的に、はい、いいえ、ぐらいしか聞いた記憶ありませんよ」

 

 ラシアは思う。きっとその辺の記憶もなくなっているんだろうなーとロディーに同情してしまう。

 

 と、思っていると、リレッサも会話に混ざってくる。

 

「私もローウェンテニアでは、あまりラシアが話しているのは聞きませんでしたね。ただこちらの世界に来てからは、ラシアも変わったようで、顔なじみや友人といった方々とはよく話していますよ。もちろんクランメンバーもですが」

 

「えっ……それだと確実に両手の指の数より多いですよね?」

 

「多いですね?」

 

 あの、お前誰やねん的な顔で自分を見るのはやめろとは思うが……話さないでも問題は少ないが、話す事でのメリットの方が大きいので仕方ないとラシアは思う。

 

「ほれみい! おかん! 前にウチが言うたように、ウチとラシは友達やからな! 会話ぐらい全然できるねん!」

 

「嘘やと思ったけど……ホンマやったんか……。ラシア隊長。自慢の娘ではありますが、度々迷惑をかける事も多いと思いますが、仲良くしてやってください。ムカついたらしばいてもええんで」

 

 確かにティーガーと自分はどんな関係? とは思うが、一番しっくりくるのが友人なので、ラシアもこちらこそよろしくお願いしますと頭を下げた。

 

 そしてドラゴンに乗りたい者が聖騎士にも騎士にも多くいる事や、もしもの時は協力して欲しいとティーガーとロディーはラシアに頼んだ。

 

 そんな堅い話もしながら、時にはたこ焼きの作り方を教えて欲しいとかの話をして、楽しい食事の時間は過ぎ、ティーガーやロディー達とラシアは仲良くなれた気がした。

 

 そしてそれから何度か太陽が昇り、沈み、グオンの灰竜に危険がないと認知され出した頃に、ラシアはエリゼ・デルパロアとの食事会を迎える事になった。

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