ロマン職は異世界から帰りたい   作:庶民ザウルス三世

86 / 86
第86話 蟻の巣

 

 本日は聖騎士のティーガーとロワンテ、獣人のフウコウの三人の監視の下で、楽しいクランメンバー同士、時間湧きのボスモンスターの討伐だ。

 

 ラシア一人でも倒せるモンスターだから良いのだが……行動が不明なので、できるだけ不安要素を減らしたい。

 

 ドミナトリクスは状態異常をランダムで必中させてくる。

 

 これはノアに尋ねたらセレットさんが詳しいとのことで、尋ねるとラシアが警戒していた超級が使ってくるような状態異常は使ってこないとのことだ。

 

 おやっさんも昔に挑んだことがあるそうだが、その時も使ってこなかったとのこと。

 

 めっちゃ喜んだが……また新しい問題がこんにちは! してきた。

 

 ゲームと同じで、アクセサリーの効果がまともに出るのは二つまでと教えられた。

 

 成金みたいに指に全部指輪をつけることはできるし、効果も発動する。だけど身につけた分だけランダムになるとのこと。

 

 ちゃんと発動させようと思うとアクセは二つまでが限界だそうだ。防具や武器などについている物でも同じらしく、着込んでも駄目とのこと。

 

 偉い人が言うには、魂が人の形をしていて、それを守る感じになるとか。

 

 じゃあアクセで鎧作ったらどうなの? って思ったけど……それどころではないので放置だ。

 

 それの何が問題かというと……ラシアのアクセ枠が埋まることだ。

 

 もしものことを考えて即死の状態異常を防ぐのは必須。アイテムがあろうがなかろうが……今のノアやグオンではラシアが復活できる時間は稼げないし……死にたくない。

 

 これで一つ潰れた。

 

 もう一つの枠で入れておかないと駄目なのは狂化だ。これは狂戦士になる。敵も味方も区別がなくなり、全ステータスが大幅に上昇する。

 

 皆殺しルートに入ってしまう……アークプリーストなら解除できるが……魔法を使うより早く倒すだろう。

 

 これで二つだ。

 

 装備の方で状態異常の対策をしたいが……時間がない上にお金もあまりない。それに、状態異常ばかり気にしていても駄目なのだ。

 

 極端だが、シャツに即死無効が付与されていてもあんまり意味はない。ナイフとか刺さるよねって話だ。

 

「と……いうわけで。ノアさん。グオンさん。お願いになりますが……私が混乱にかかったら、すぐにアイテムで解除してください。それだけは本当にお願いします」

 

「それで、混乱無効化のアクセを買ってたんだね。熱血ラシアさんを見てみたいけど……ボス討伐だからね。支援は任せて!」

 

「了解です。こちらも狂化とかにかかったらお願いしやすぜ。まあ、俺らが狂戦士化したところでってのはありますがね」

 

「いやー……あれは能力の上昇率おかしいので誰がなっても脅威ですよ。私が強いといっても我慢できるだけで、痛いのは痛いので」

 

 そして宿の皆とクランメンバーに行ってきますを言う。

 

 ノアやグオンに関しては絶対に守るつもりではあるが、適正ではなく、何があるか分からないので……別れを済ませるようには言ってあるのだが……なんか明るい。

 

「じゃあ、行ってきまーす!」

 

「おう。気をつけてな」

 

 グオンもそんな感じだ。他にもっとあると思うが……と考えていると、リレッサが話しかけてきた。

 

「皆、貴女がいるから大丈夫と思っているのです」

 

「中身一般人にどうしろと……」

 

「外見は最高の騎士様だからでしょう。外見は中身の一番外ですよ」

 

 なるほど、とラシアが納得していると、最後に一つだけリレッサが語った。

 

「ラシア。時には力を見せることも大事ですよ。力を利用しようとする者がいるなら、それと同じように、使いこなせないと思う者もいます。強大な力には責任が伴います。だから皆、責任は負いたくないものです」

 

「なるほど……」

 

「ええ。ですから気をつけて行ってきなさい。貴女の無事を祈っています」

 

 行ってきますと言って、ラシア達は冒険者ギルドへと向かった。

 

 聖銀鋼の鎧は目立つので、ダンジョンの中で装備予定だ。

 

 今日ダンジョンに行くことはギルド側に伝えてあるし、ギルド側も早く行ってくれといった感じなのだろう……いつものように受付には並ばず、すぐにポータルの中へとラシア達は入っていく。

 

 ポータルを抜けると、日の光が届かないほどの地面の下だ。だけど暗くはない。蟻巣ダンジョンの中には光る鉱石や光るキノコが生えているので、かなり明るい。

 

「おっ来たか。今日は頼むで」

 

「お待ちしておりました~」

 

「……よろしくお願いしますにゃー……」

 

 三人とはダンジョンの中で待ち合わせだ。ギルドから集まって行くと目立つからだ。

 

「お待たせしました」

 

「ええで! モンスター少なかったからそこの不幸の話を聞いとったけど爆笑ものやったからな! ラシの住んどる所の主人おもろいな」

 

「ふふふっ。そうですねー」

 

「フウコウにゃー……」

 

 ラシア達三人は苦笑いするしかない……

 

 理由はラシアがノアの装備を買いに出かけていた時のことだ。ちょうどグオンもおらず、リレッサもティアと仕入れに行っていた。

 

 そんなところに襲撃犯のフウコウが、前回の襲撃は仲間がご迷惑をかけました、ダンジョンではよろしくお願いしますという感じで、詫び菓子みたいな物を持って宿の方に来たそうだ。

 

 で……運悪く出会ったのがおやっさん。

 

 受け取るフリをしてそれを地面に叩きつけ、踏み潰し、フウコウが驚いているところにボディーブローを叩き込んだ。

 

 そしてロープでグルグルに巻き上げて……宿の井戸に捨てたそうだ。

 

 この間、三十秒ぐらいだったとダード談。

 

 そしてたばこに火をつけて、吸ったり吐いたりに合わせて、フウコウを上げたり下げたりしたそうで……セレットさんが帰ってくるまで続けられたとのこと。

 

 うーん……流石はおやっさん。

 

「死ぬかと思ったにゃー……」

 

「父がご迷惑をかけました……」

 

 ラシア的にはフウコウはちゃんと人に見えているので、そこまで悪い感情はない。

 

 だが……仲間や友人だと言うのなら体を張って止めなくてどうするのかな? とは思う。この辺は前から思っているように、人間関係の希薄さなのかなという感じだ。

 

 ただ……今回に関してはノアやグオンもいる。なにかしでかしてきたら確実に倒す。

 

 そんなことを考えていると、ティーガーの気配が少し変わった後にフウコウに言った。

 

「ガロニアがどんな考えでお前を派遣してきたのかは知らんが、大公にも考えがあるのは分かる。……やけど、なんかしたらここで蟻の餌になるとは思っとけよ。お前らの都合なんか聖騎士は知らん」

 

「なにもしないにゃー……白の騎士がどんな感じか見るだけにゃー……」

 

「まあー錬金術師どものー、やらかしたことを考えると~信用してって言う方がおかしいと思いますー。この任務も聖騎士側からすればかなり重要な任務なのにー、ただの馬鹿猫……失礼。たかがAランク程度が来ているので~」

 

「どうしてワッチがこんな目に……ふっ、不幸にゃ……」

 

 耳と尻尾は垂れ下がり……何というか肉食獣に睨まれた野良猫みたいな感じになっている。

 

 宿を襲撃した以外にも何かやらかしているのかと思い、ティーガーに聞いてみた。

 すると、錬金術師という者たちは最近こそおとなしいものの、自分たちが生まれる前からかなりやらかしていたらしい。

 

「今でも細かいのは多いけど……有名って言うたらなんやろな? 不許可ホムンクルスの製造か?」

 

「他にも~ティーガーさんが生まれる前なら~。血塗られた契約書で王都のど真ん中にモンスター召喚したーとかふざけたことをやってますよー」

 

「あいつら賢いけどアホやからな。ラシも気になるんやったらそこのノアのおかんに聞いてみ。色々出てくると思うで。さてと……そろそろ行こか。後ろから見とくから支援とか欲しかったら言い」

 

 なんというか……流石は国で二番目に偉い人だ。いつの間にかノアの血縁とかも調べられているとラシアは感心する。そして聖銀鋼の鎧にすぐに着替え、メテオドライブハンマーを装備する。

 

 余力を持って倒したいので、ノアやグオンにも食事バフで攻撃力とHPを上げてある。プラティディオンハンマーや他のハンマーは今回は使用しない予定だ。聖騎士にあまり見られたくないからだ。

 

 まあ、よほどの時は使うと思っていると、周りからおぉ……と感心が上がる。

 

「ラッ、ラシアさんが格好いい!」

 

 フルプレートで顔もほぼ見えないのに……いかがなものかとラシアは思うが、褒めてもらったことは素直に嬉しいので礼を言って指示を出す。

 

「では、予定通りに私が前を歩くので、グオンさんは遊撃のような感じでお願いします。私は放っておいても良いので、ノアさんの方に敵が行きそうならすぐに向かってください」

 

「分かりやした。ドミナトリクスと戦う時はノアを守る感じでいいんですよね」

 

「ラシアさん、エンチャントがいる時は言ってね」

 

「はい。それでお願いします」

 

 そしてラシア達は蟻巣ダンジョンの奥へと進んでいく。

 

 蟻巣ダンジョンは巨大な蟻が出てくるダンジョンだ。樹海で遭難した時に遭遇した大きな蟻型モンスター、ソルジャーアント等が出てくる。

 

 階層は六階層。ボスは女王蟻だ。一階二階は中級冒険者でも行けるぐらいにモンスターが弱い。

 

 だけどここが上級ダンジョンと言われるには意味がある。

 

 ここの時間湧きのボス、ドミナトリクスのせいだ。こいつはダンジョンの階層を移動する。

 

 降りてすぐいることもあれば、ボス部屋にいることもある。だから冒険者が一階二階で狩りできるなと油断していると、こいつが階層を移動して襲ってくるわけだ。

 

 デカいくせに虫なので足がいっぱいあって速い。なんというかアラクネの蟻版みたいな感じのモンスターだ。股より下に蟻の体がついてるイメージだ……なんというかアリクネって感じだ。

 

 倒すなら階層が浅いところで倒すのが楽なモンスターだ。五階層とかなら周りの蟻も強いからだ。

 

 襲ってくる蟻達を、ラシアは一撃で倒して進んでいく。

 

 するとすぐに二階へと降りる階段が見つかった。





 うーん。カクヨム含めてめっちゃ読まれてるのでお礼のSSとか書いた方がいいのかな?
と思うのですが……それ書く暇あったら毎日更新続ける方が良いなと答えがでた今日この頃。

応援してくれてる皆様ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【連載版】TS異世界リフォーム工務店 〜勇者がぶっ壊した魔族屋敷、格安再生して高く売れ!〜(作者:劇団おこめ座)(オリジナルファンタジー/コメディ)

 廃屋。▼ それは、人の営みが消えたあとの抜け殻。▼ 勇者や冒険者が壊し、魔物が荒らし、誰も戻らなくなった建物は、この世界にいくらでもある。▼ 勇者パーティを追放されたエルフの土魔法使いリファは、ある日ふと思いついた。▼ ……これ、ただ同然で買って、直して売れば、普通に儲かるんじゃね?▼ 土魔法なら材料費はほぼゼロ。▼ 勇者たちが壊した屋敷をマッチポンプ式に…


総合評価:1712/評価:8.71/連載:20話/更新日時:2026年04月20日(月) 20:00 小説情報

適当極まりないおっさんでも、TS転生すれば少しはマシになるって本当ですか?(作者:ソナラ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

適当に生きてきたおっさんは、気がつけば異世界で美少女のアシェットに転生していた。▼容姿は整っていて、よくあるチートも持っている。▼しかし中身は結局おっさん。適当に日々を何事もなく過ごせればそれでよかった。▼だけど少しはマシな生活をするために、アシェットは力を使うと決めた。▼これはただの”適当”なおっさんだったアシェットが、異世界で”適当”な生き方を見つけるお…


総合評価:2934/評価:8.81/連載:10話/更新日時:2026年01月23日(金) 12:05 小説情報

TS転生失敗作ちゃんが頑張る話(作者:cannolo)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ブラック企業勤めの社畜、榊透也は、仕事を辞めて人生をやり直そうと決めたその日に事故で死亡する。▼……だが次に目を覚ました時、彼は謎の実験施設の中で銀髪美少女に転生していた。▼しかも転生した世界は、前世で読んでいた大好きなヒーロー漫画『アステリオン』の世界だった。▼企業ヒーロー、能力犯罪、人体実験。▼漫画の中では派手で格好良かった世界は、実際に来てみるとかなり…


総合評価:1956/評価:8.69/連載:10話/更新日時:2026年05月21日(木) 07:00 小説情報

いや、死神とか聞いてないし(作者:わお)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

死神少女にTS転生してしまった一般人。▼本人はただの下っ端役職だと思っている。▼だがそんなはずもなく。


総合評価:2056/評価:7.86/連載:9話/更新日時:2026年05月20日(水) 20:31 小説情報

壊れかけの聖女に俺がインストールされたらしい(作者:あまぐりムリーパー)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

聖女ちゃんが、心を閉ざして動かなくなっちゃった、どうしよう!?▼せや、適当にそこら辺の魂突っ込んどけばええやろ!▼それで、俺が選ばれたってわけ▼んで、死なない体で化け物退治とかさせられてたんだけど、なんか聖女も狂信者も神官くんも、様子がおかしくない?▼※不定期更新


総合評価:1832/評価:8.43/連載:22話/更新日時:2026年05月21日(木) 07:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>