ロマン職は異世界から帰りたい   作:庶民ザウルス三世

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第95話 スキルの話

 次はノア達、後衛組のスキルチェックだ。パドロワは殴り支援だが、ここに入ってもらっている。

 

 本人の希望もあるだろうが……支援職として話を聞いて欲しいからだ。

 

「ノアさんは……一応は炎型のハイウィザード。エリエスさんは地、防御型のウィザード……パドロワさんは……プリーストですが。こうしたいとか、こういう風に敵を倒したいとかありますか?」

 

「そうですねー……前衛に並びながら支援をかけつつ、モンスターを倒したいですね。こう、殲滅したい」

 

 うーん……殴りプリ。なんかこう、元の世界でも殴りプリをやってる人はこんな感じだったなーと思い出す。

 

 パドロワはラシアよりたぶん少し年上の細身の男性だ。二十代とは思うが……セレットが人妻で二十代にしか見えないので、この世界の住人の歳は分かりづらい。

 

 正直、立ち回りなどはラシアよりこの世界の人達の方が圧倒的に上なので、言うことはほとんど無い。ラシアが言えるのは、スキルを教えることだけだ。

 

 三人のスキルを聞くと……エリエスは前に相談に乗ったので、地属性でまとめてある。魔法も攻撃と補助が増えている。ノアに関しては、やはり前のクランの影響があるので特化ではなくバランス型、というよりも生きるためのスキル取りになっている。

 

 炎型だけどアクアアーマーやウィンドピクシーみたいな、水や風といった魔法も使え、フレイムエンチャントのような補助魔法も使える。

 

 ゲームをやってた人なら、うーん、このスキル取り……なのだが、ノアが助かったのはたぶんこのスキル取りもある。ノアは大やけどしていたが……火属性だけならたぶん助からなかった。ラシアの想像にはなるが、アクアアーマーで体を冷やし、守ったから助かったというのもあるだろう。

 

 この辺は本当に先人の知恵だ。生き残ることが正解だと思う。

 

 だからスキルを覚えさせるのではなく、話を聞きながら相談に乗るのが正解だとラシアは思う。

 

 スキルを取るのはラシアではなくノア達だからだ。

 

 だけど……火力が低いし……グオンと同じでレベルの割にスキルが少ない。この辺は本当に悩みどころ。

 

 正直……スキルリセットとかあるならノアには自分を超える超高火力環境破壊型ディザスターとかになってもらって、目に映る全てを焼き払って欲しいとは思うが……課金装備とかないし、色んな面でアウトなので却下だ。

 

 三人から詳しく話を聞いてまとめていく。ノアはラシアが思っているように、火力不足が悩みどころとのこと。エリエスは何があっても土特化にしていくので方向性は楽。で……少し困るのがパドロワだ。グオンに拾ってもらった恩があるので、クランの役に立てる方向性でいきたいとのこと。

 

 戦闘で役に立つ方が良いのか、支援で役に立つ方が良いのかとラシアは悩む。

 

 戦闘ならグオン達に任せれば良いので、支援のスキルを覚える方が良いだろうなーと考える。

 

 そして話し合った結果、全員にいくつかの魔法を覚えてもらうことになった。

 

 ノアはもう少し火力アップの方向でいくので、白紙のスクロールを使ってフレイムフィールド。それとグリミックから出た魔導書で、スターフォールの二つを覚えてもらう。

 

 フレイムフィールドは敵に燃焼ダメージを与えつつ、自身の火属性の魔法や攻撃を強化するフィールドを作る魔法だ。スターフォールは空から火の塊を落とす魔法。発動は遅いが、パーティーで前衛がいるならかなり強い。

 

 もっと覚えてもらってもいいが……どうやればいいか分からないし、そもそもあるかも分からないが、魔法攻撃力上昇とMP増加のスキルを取らせたい。ポイントとかそういうものがあるなら、取り過ぎない方が良いので一旦ストップだ。

 

「ラシアさん! その辺でぶっ放してきていい!?」

 

「……良いですけど、このエリアから出ないでくださいね」

 

 元気よく返事をしてノアが走って行く。そしてすぐに辺り一帯が炎に飲まれていた……

 

 次はエリエス。固くなるのは良いが……パーティーで戦っている時に足が遅く、足を引っ張ることがあったので、その辺を強化したいとのこと。

 

 なので覚えてもらうのはガイアウォークとストーンボール。

 

 ガイアウォークは足が地に着いていると移動速度が増す魔法だ。前に覚えてもらったマッドフィールドと相性が良い。ウィザードが覚えられる魔法だ。

 

 ストーンボールは大きな丸い岩を呼び出し、ぶつける。まっすぐに転がるだけだが、当たると吹き飛ばしとスタンになる確率が高い。なんというかボーリングに近い魔法だ。

 

「じゃあ! 私もその辺で試してきます!」

 

「……了解です」

 

 なんというか……このクランは前衛に比べて後衛の方がアグレッシブな気がする。

 

 そしてパドロワには移動用にゲートポータルと、ホーリーアクアとホーリーエンチャントを覚えてもらった。

 

 ゲートポータルは移動用。これで姫様やラシアがいない時でも、どこでも行ける。ホーリーアクアは水を聖水に替える魔法。これは聖職者必須。めっちゃ便利で売れる。けど、こっちの世界だと不明。

 

 量もどれだけ作れるか不明だが……ゲームだと一回で瓶に入った水が聖水に変わる。で、ホーリーエンチャントが超重要。ゲームだと聖職者しか覚えられない上に、武器に聖属性を付与できるからだ。

 

 これがあるかないかで、不死とか闇属性が出てくるダンジョンの難易度が変わる。

 

「さすが……私達を一瞬で仕留めた姐さんですね。本当に色々知っていますね」

 

「仕留めてないですからね……」

 

 パドロワもそこで一旦、魔法を試してくるとのことなので、次はフォルグ、ビエット、ゲニツの三人だ。

 

 フォルグはハイシーフ。ビエットはスナイパーで、ゲニツはレンジャーといった感じだ。

 

 この辺はスキル関係なら、暇な時に攻略サイトとかで対策として覚えているので教えられる。だが、どんな型があるのかは、戦士や魔法職に比べるとあまり詳しくない。

 

 ラシアは戦士系なので、シーフやアーチャーのスキルを取っていないからだ。だから今回は希望を聞いて、次回の狩りでその場所に行き、スキルを覚える方向で良いと思う。ただフォルグに関しては、宝箱とか罠のチェックをする役なので、それに合ったスキルはある。

 

「そんなスキルがあるんでやんすか?」

 

「はい。トラップソナーですね。自分を中心にですが、使うとミミックとか罠を発見してくれます」

 

「はー。色々あるんすねー」

 

 上手くいき、フォルグにはトラップソナーを覚えてもらった。ビエットとゲニツはもう少し攻撃力を上げたいとのことで、両方とも弓職なので、今度は弓のスキルを覚えられるダンジョンに行くことになった。

 

「強い弓などが売っていれば良いんですけどね。作ってもらっても良いですが、僕達だと一人で狩りに行けないので頼みにくいんですよ」

 

 ビエットのスナイパーとゲニツのレンジャーは、どちらも中位職。弱くはないが、今だとソロがきつい。最終的にはアホほど火力が出るので、大器晩成型みたいな感じだ。

 

「弓かー……見てくれ悪くて良いなら安くて強いのが売ってるところはありますけど……」

 

 ラシアが呟くと、ビエットもゲニツも驚く。

 

 たぶん王都の価格を想像してるのだろうけど……多少高くても売れるので、基本的に武器は高い。弓は矢もいるので、普通の武器よりお金がかかるのだ。弓で殴る訳にもいかないからだ。

 

 で……売ってる場所だが、この深緑のダンジョンの中にある村に、ゲームなら売っている。

 

 でもあそこは……と考えていると、グオンがやってきた。

 

「姐さん。今日はここで野営ですか? しないならそろそろ戻らないと暗くなりますぜ」

 

「パドロワさんにゲートポータルを覚えてもらったから、いつでも帰れるのでまだ大丈夫ですが……仕方が無い。村の方も気になるので、そこまで行って帰りましょう。グオンさん。皆を集めてください。説明します」

 

「分かりやした」

 

 グオンは返事をして、覚えたスキルを使っている者達を集めた。

 

 皆が集まったので、この深緑のダンジョンの中に村があることを尋ねると、数人が噂程度には知っていた。ただ行き方などは誰も知らず、あまり良い噂を聞かないので、情報屋に大金を払ってまで聞くこともないと、グオンもノアも行かなかったそうだ。

 

「ラシアさんは行き方知ってるの?」

 

「はい。私が知っている時と同じなら珍しいアイテムとか格安で売ってますし、それなりに安全に休憩できます。村にはモンスターは入ってこないので」

 

 皆がおお! と歓声を上げるが……ラシアは本気で忠告する。

 

「武器とか好きな物は買って大丈夫です。ですけどこれだけは覚えておいてください。絶対に食べ物は口にしないでください。これはクランマスターとしての命令です」

 

 本当に強い口調のラシアに皆が驚き、ダードが代表して質問する。どうしてか? だ。

 

「はい。それは今から行く村には、人をモンスターに変える方法があるからです」

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