少しおかしな艦娘達と提督が生きるために 作:大和
第1話-取り戻すために-
――航路奪還作戦、発令
朝の執務室は、いつもより重い空気に包まれていた。
玲奈は机に置かれた通信端末を見つめていた。
そこには、司令部からの緊急文書が届いている。
《至急:航路奪還作戦の開始について》
玲奈は深く息を吸い、文書を開いた。
読み進めるにつれ、眉がひそめられていく。
(……やっぱり、こう来たか)
大和が静かに尋ねる。
「玲奈さん……何が書かれていたのですか?」
玲奈は端末を机に置き、苦笑した。
「“航路奪還作戦を開始せよ”。
――この10人で、よ」
大和の表情がわずかに曇る。
「……無茶です」
「無茶じゃないわ。
“殺す気”よ」
玲奈は立ち上がった。
「全艦娘、作戦室に集合」
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◆ 作戦室 ――理不尽な命令
艦娘たちが揃うと、玲奈は作戦書を掲げた。
「司令部から正式に命令が来たわ。
“航路奪還作戦”を開始する」
暁が息を呑む。
「こ、航路奪還って……あの、アメリカとの……?」
「そうよ。
私たちの鎮守府が担当するのは“第一段階”。
沿岸から中距離海域までの制圧」
雪風が不安そうに手を挙げる。
「提督……それって……大きな艦隊がやる作戦じゃ……?」
「本来はね。
でも司令部は“この10人でやれ”と言ってきた」
冬月は静かに呟く。
「……無茶」
島風は落ち着かない様子で足踏みする。
「島風たち……勝てるの……?」
玲奈は全員を見渡し、はっきりと言った。
「勝てるかどうかじゃない。
――やるしかないのよ」
その言葉に、艦娘たちの表情が引き締まる。
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◆ 敵の“異常強化”の報告
玲奈は作戦書の別ページを開いた。
「それと……もう一つ重要な情報がある」
青葉が身を乗り出す。
「新情報ですか?」
「ええ。
司令部は“新型深海棲艦”の存在を確認したらしい」
雪風が震える。
「新型……?」
冬月は目を細める。
「……あの時の敵艦みたいな?」
玲奈は頷いた。
「そう。
第二章の最後に遭遇した、あの異常な速度の敵艦。
あれは偶然じゃない。
“意図的に強化された個体”よ」
暁が不安そうに呟く。
「じゃあ……これから戦う敵は……もっと強いの?」
「その可能性が高いわ」
島風は拳を握りしめた。
「島風……負けたくないよ……!」
玲奈は静かに言った。
「負けないわ。
でも、油断はできない」
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◆ 大和の決意
大和が一歩前に出た。
「皆さん。
この作戦は、私たちにとって大きな試練です。
ですが……私は、玲奈さんと皆さんを守ります」
暁が頷く。
「暁も……レディとして頑張るわ!」
雪風は胸に手を当てる。
「雪風……みんなで帰りたいです」
冬月は静かに言う。
「……生きて帰る」
島風は笑顔を作る。
「島風、みんなと走る!」
玲奈はその姿を見て、胸が熱くなった。
(この子たち……本当に強くなった)
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◆ 作戦開始前夜 ――嵐の気配
夕暮れ。
玲奈は執務室で作戦地図を見つめていた。
大和がそっと近づく。
「玲奈さん……不安ですか?」
玲奈は苦笑した。
「不安じゃないわけないでしょう。
でも……あなたがいるから、私は立っていられる」
大和は微笑む。
「私も同じです。
あなたがいるから、私は戦えます」
玲奈は大和の手を握った。
「明日からが本番よ。
――絶対に、誰も失わない」
大和は静かに頷いた。
「はい。
私たちは……必ず帰ってきます」
窓の外の海は、どこか不気味に静かだった。
まるで嵐の前のように。
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◆ 第三章、開幕
こうして、
“航路奪還作戦” が正式に始まった。