少しおかしな艦娘達と提督が生きるために 作:大和
――第一海域、敵強化の真実
薄い霧が海面を覆っていた。
視界は悪く、風は冷たい。
まるで海そのものが“何かを隠している”ようだった。
玲奈は艦隊の先頭に立つ暁を見つめながら、胸の奥に重いものを感じていた。
(……この海域、何かがおかしい)
大和が静かに近づく。
「玲奈さん。
海が……静かすぎます」
「ええ。
まるで“待ち伏せ”されているみたい」
暁が前方を指差した。
「て、提督……!
海面に……何かいる!」
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◆ 敵影――“異常な反応”
雪風が索敵機のデータを確認し、顔を青ざめさせた。
「て、提督……反応が……変です……
深海棲艦の反応なのに……“二重”になってます……」
冬月が静かに呟く。
「……二重?
そんなの、今までなかった」
島風は不安そうに足踏みする。
「島風、嫌な感じがする……」
玲奈は即座に判断した。
「全艦、戦闘態勢!
敵は“普通じゃない”わ!」
その瞬間――
海面が爆ぜた。
黒い影が、霧の中から姿を現す。
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◆ 新型深海棲艦、出現
それは、今までの深海棲艦とは明らかに違っていた。
- 船体は黒く光り、装甲が異様に厚い
- 目は赤く、まるで“怒り”を宿している
- そして何より――動きが速い
暁が叫ぶ。
「な、なにあれ……!?
深海棲艦……なの……?」
雪風が震える。
「雪風……あんなの、見たことないです……!」
冬月は冷静に言った。
「……あれ、“強化されてる”」
島風は目を見開く。
「島風より速い……!」
玲奈は息を呑んだ。
(やっぱり……司令部の言っていた“新型”……!)
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◆ 開戦
「全艦、散開!
暁、雪風、前へ!
冬月、島風は援護!」
「了解っ!」
「雪風、行きます!」
「……了解」
「島風、走る!」
敵艦が高速で接近し、砲撃を開始。
海面が爆ぜ、白い霧がさらに濃くなる。
玲奈は叫ぶ。
「大和、前へ!
あなたが盾になって!」
「はい!」
大和が前に出て、敵の砲撃を受け止める。
装甲に火花が散り、海が震える。
暁が叫ぶ。
「大和さん、すごい……!」
雪風が魚雷を発射する。
「当たれ……!」
だが――
敵艦は魚雷を“見てから”避けた。
雪風が絶句する。
「えっ……避けられた……?」
冬月が冷静に言う。
「……あれ、学習してる」
玲奈は歯を食いしばった。
(魚雷を見て避けるなんて……
そんなの、ただの深海棲艦じゃない)
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◆ 敵の“異常な知性”
敵艦が急旋回し、島風に向かって突っ込む。
「島風、危ない!」
玲奈の叫びより早く――
大和が島風の前に立った。
「島風さん、下がって!」
砲撃が大和の装甲に直撃。
大和の身体が大きく揺れる。
島風が叫ぶ。
「大和さんっ!!」
大和は微笑んだ。
「大丈夫……まだ動けます」
玲奈は即座に指示を出す。
「冬月、暁、援護射撃!
雪風、島風と連携して敵の背後へ!」
「了解!」
「暁、行くわ!」
「雪風、行きます!」
「島風、速く動く!」
駆逐艦4人が連携し、敵艦の動きを封じる。
雪風の魚雷が再び発射され――
今度は命中した。
敵艦が爆発し、海に沈む。
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◆ 勝利――しかし
暁が息をつく。
「勝った……!」
雪風は胸に手を当てる。
「雪風……怖かったです……」
冬月は静かに言う。
「……あれ、普通じゃない」
島風は震えながら呟く。
「島風……あんな速い敵、初めて……」
玲奈は敵艦の残骸を見つめた。
(この敵……“誰かが作った”みたいな動きだった)
大和が玲奈の隣に立つ。
「玲奈さん……
この戦い、何かがおかしい」
玲奈は頷いた。
「ええ。
――これは、ただの深海棲艦じゃない」
霧の向こうの海は、不気味なほど静かだった。
まるで、
“もっと強い何か”が待っている
と告げているように。