少しおかしな艦娘達と提督が生きるために 作:大和
第1話-終わりの始まり-
――補給途絶、孤立する鎮守府
朝の鎮守府は、異様なほど静かだった。
波の音だけが響き、風は冷たく、空はどんよりと曇っている。
玲奈は執務室で、資材報告書を見つめていた。
- 燃料:残りわずか
- 弾薬:最低限
- 鋼材:修理分すら足りない
- ボーキ:鳳翔の艦載機を維持できるかギリギリ
(……これじゃ、次の出撃は不可能よ)
大和が静かに入ってきた。
「玲奈さん……資材の状況は?」
玲奈は苦笑した。
「最悪よ。
大和の装甲修理すら満足にできない」
大和は目を伏せた。
「……申し訳ありません。
私がもっとしっかりしていれば――」
「違うわ。
あなたがいたから、誰も沈まなかったのよ」
玲奈は大和の手を握った。
「でも……このままじゃ、本当に戦えなくなる」
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◆ 補給船団、来ず
その時、青葉が駆け込んできた。
「提督! 予定されていた補給船団ですが……
“来ません”!」
玲奈は息を呑んだ。
「来ない……?
どういうこと?」
青葉は唇を噛んだ。
「司令部からの連絡は……
“補給は当面見送り。現地での自活を推奨する”
……以上です」
暁が震える声で言う。
「じ、自活って……
私たち、どうやって……?」
雪風は不安そうに手を握りしめる。
「雪風……燃料がないと動けません……」
冬月は静かに呟く。
「……見捨てられた」
島風は涙目で叫ぶ。
「島風たち……どうすればいいの……?」
玲奈は拳を握りしめた。
(司令部……本気で私たちを切り捨てる気ね)
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◆ 鳳翔の“母”としての言葉
鳳翔が一歩前に出た。
「皆さん、落ち着いてください。
補給が来ないのは確かに厳しいですが……
私たちは、これまでも困難を乗り越えてきました」
暁が鳳翔を見る。
「鳳翔さん……でも……」
鳳翔は優しく微笑んだ。
「大丈夫です。
私たちは“艦隊”です。
皆で力を合わせれば、必ず道は開けます」
雪風が小さく頷く。
「……鳳翔さんが言うなら……」
冬月も静かに言う。
「……まだ終わりじゃない」
島風は涙を拭いた。
「島風……頑張る……!」
玲奈は鳳翔に感謝の視線を送った。
(鳳翔さん……あなたがいなかったら、この艦隊は崩れていた)
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◆ 玲奈の孤独
艦娘たちが解散した後、玲奈は執務室に一人残った。
机の上には、資材不足の報告書が積み重なっている。
(……どうすればいいの?
このままじゃ、次の出撃で誰かが沈む)
玲奈は頭を抱えた。
(司令部は助けてくれない。
補給も来ない。
この10人だけで……どうやって戦えっていうの?)
その時――
そっと扉が開いた。
大和が静かに入ってきた。
「玲奈さん……一人で抱え込まないでください」
玲奈は顔を上げた。
「……大和……」
大和は玲奈の隣に座り、手を握った。
「あなたは強い。
でも、強い人ほど……孤独になってしまう」
玲奈の目に涙が滲む。
「私……どうすればいいの……?」
大和は優しく微笑んだ。
「一緒に考えましょう。
あなたは一人じゃありません」
玲奈は大和の胸に顔を埋めた。
「……ありがとう……大和……」
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◆ そして、第四章が動き出す
その夜。
玲奈は全艦娘を集め、静かに告げた。
「補給は来ない。
司令部は私たちを見捨てた。
でも――」
玲奈は強く言った。
「私たちは生きる。
この10人で、この鎮守府を守り抜く。
補給が来ないなら、私たちで補給を確保する。」
暁が拳を握る。
「暁、頑張るわ!」
雪風が頷く。
「雪風……みんなで帰りたいです」
冬月は静かに言う。
「……生きる」
島風は笑顔を作る。
「島風、走るよ!」
鳳翔は微笑む。
「提督。
私たちは、あなたと共にあります」
大和は玲奈の隣に立ち、静かに言った。
「玲奈さん。
あなたの艦隊は……ここにいます」
玲奈は深く息を吸い、宣言した。
「――“補給途絶”。
ここからが本当の戦いよ」