少しおかしな艦娘達と提督が生きるために 作:大和
――資材枯渇、艦娘たちの疲労と焦燥
朝の鎮守府は、どこか沈んだ空気に包まれていた。
昨日の“補給途絶”の報せが、艦娘たちの心に重くのしかかっている。
玲奈は執務室で資材報告書を見つめていた。
- 燃料:残り 18%
- 弾薬:残り 22%
- 鋼材:修理分すら不足
- ボーキ:鳳翔の艦載機を維持できるかギリギリ
(……本当に、ギリギリね)
大和が静かに入ってきた。
「玲奈さん……資材は、やはり厳しいのですね」
玲奈は苦笑した。
「厳しいどころじゃないわ。
このままじゃ、次の戦闘で誰かが沈む」
大和は目を伏せた。
「……私の修理も、後回しにしているのでしょう?」
玲奈は言葉を詰まらせた。
「……ごめん。でも、今は……」
大和は優しく微笑んだ。
「謝らないでください。
あなたが守ろうとしているのは、私たち全員です」
玲奈は胸が締め付けられた。
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◆ 駆逐艦たちの疲労
訓練場では、駆逐艦たちが動きの確認をしていた。
だが、その動きは明らかに鈍い。
暁は息を切らしながら言う。
「はぁ……はぁ……
ご、ごめんなさい提督……暁、ちょっと疲れが……」
雪風は笑顔を作ろうとするが、目が赤い。
「雪風……大丈夫です……
でも……ちょっと眠いかも……」
冬月は無表情のまま言う。
「……体が重い。
燃料が足りてない」
島風は足を押さえながら言った。
「島風……脚部ユニットが痛い……
でも、走れるよ……!」
玲奈は胸が痛んだ。
(この子たち……限界が近い)
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◆ 鳳翔の“母”としての苦悩
鳳翔は艦載機の整備をしながら、深いため息をついた。
「提督……
艦載機の整備に必要なボーキが、もうほとんどありません」
玲奈は眉をひそめた。
「鳳翔さん……艦載機が飛べないと、索敵も支援も……」
「ええ。
次の戦闘では、十分な支援ができないかもしれません」
鳳翔は静かに続けた。
「……皆さんを守れないのが、怖いのです」
玲奈は鳳翔の手を握った。
「あなたは十分すぎるほど守ってくれているわ。
でも……今は無理をしないで」
鳳翔は微笑んだ。
「ありがとうございます、提督。
でも……私は“母”ですから」
玲奈は胸が痛んだ。
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◆ 敵の影
その時、伊13が駆け込んできた。
「て、提督……!
海の向こうに……“何か”います……!」
玲奈は息を呑んだ。
「敵……?」
伊13は震えながら言う。
「わかりません……
でも……深海棲艦の反応とは違う……
もっと……重い……」
冬月が静かに呟く。
「……嫌な予感」
雪風は不安そうに言う。
「雪風……怖いです……」
暁は拳を握りしめる。
「暁……レディとして頑張るけど……
でも……怖いわ……」
島風は震えながら言う。
「島風……走れるけど……
でも……逃げるのは嫌……!」
玲奈は深く息を吸った。
(敵が動いている……
補給が途絶えたこのタイミングで……)
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◆ 玲奈の決断
玲奈は全員を集め、静かに告げた。
「いい?
補給は来ない。
資材は尽きかけている。
でも――」
玲奈は強く言った。
「私たちは生きる。
この鎮守府を守り抜く。
補給が来ないなら、私たちで確保する。」
暁が頷く。
「暁、頑張るわ!」
雪風が胸に手を当てる。
「雪風……みんなで帰りたいです」
冬月は静かに言う。
「……生きる」
島風は涙を拭く。
「島風、走るよ……!」
鳳翔は微笑む。
「提督。
私たちは、あなたと共にあります」
大和は玲奈の隣に立ち、静かに言った。
「玲奈さん。
あなたの艦隊は……ここにいます」
玲奈は深く息を吸い、宣言した。
「――“補給確保作戦”を開始する」