少しおかしな艦娘達と提督が生きるために 作:大和
帰還――そして、鎮守府に迫る影
海は夕焼けに染まり、波は静かだった。
だが、その静けさは“安堵”ではなく――
疲労と痛みの沈黙だった。
補給倉庫の“守護者”を撃破した艦隊は、
資材を積み込み、ゆっくりと鎮守府へ帰還していた。
暁はふらつきながら言う。
「て、提督……もう少しで帰れるわ……」
雪風は胸に手を当て、息を整えていた。
「雪風……頑張りました……
でも……もう動けないかも……」
冬月は静かに呟く。
「……限界。
でも……帰らなきゃ」
島風は脚部ユニットを押さえながら言う。
「島風……走れない……
でも……みんなと帰りたい……!」
鳳翔は艦載機を抱えたまま、膝を震わせていた。
「提督……
皆さん……本当によく頑張りました……」
大和は玲奈の隣に立ち、静かに言った。
「玲奈さん……
この艦隊は……よく生き残りました」
玲奈は深く息を吸った。
「ええ……
でも、まだ終わってないわ」
---
◆ 帰還――しかし鎮守府は“静かすぎた”
桟橋が見えてきた。
だが――
そこには誰もいなかった。
暁が首を傾げる。
「……誰も出迎えに来ないの?」
雪風は不安そうに言う。
「雪風……嫌な感じがします……」
冬月は海を見つめたまま呟く。
「……静かすぎる」
島風は震えながら言う。
「島風……怖い……」
玲奈は胸の奥に冷たいものを感じた。
(鎮守府……何かあった?
それとも……)
---
◆ 資材の搬入――そして“違和感”
艦娘たちは疲れ切った身体で資材を運び始めた。
だが、鳳翔がふと足を止めた。
「提督……
鎮守府の空気が……重いです」
玲奈は周囲を見渡した。
- 風が止んでいる
- 波の音が弱い
- 空気が冷たい
- そして――“誰かに見られている”ような感覚
大和が玲奈の前に立つ。
「玲奈さん……
これは……“敵の気配”です」
玲奈は息を呑んだ。
(まさか……鎮守府の近くまで……?)
---
◆ 青葉の報告 ――“異常反応”
その時、青葉が駆け込んできた。
「提督っ!!
鎮守府の外周で……“異常反応”を確認しました!」
玲奈は振り返る。
「異常反応……?
深海棲艦?」
青葉は首を振った。
「違います……
深海棲艦の反応じゃありません……
もっと……重くて……濃い……
“あの守護者”に近い反応です!」
暁が震える。
「じゃ、じゃあ……
あれと同じような敵が……?」
雪風は涙目で言う。
「雪風……もう戦えません……」
冬月は静かに言う。
「……敵は、私たちを追ってきた」
島風は震えながら叫ぶ。
「島風……逃げたくない……
でも……怖い……!」
玲奈は拳を握りしめた。
(補給を確保した瞬間に……
敵が鎮守府に迫っている……?
これは……偶然じゃない)
---
◆ 玲奈の決断
玲奈は全員を見渡し、静かに言った。
「いい?
今の私たちは戦えない。
でも――鎮守府を守らなきゃいけない」
暁が頷く。
「暁……頑張るわ……!」
雪風は震えながらも言う。
「雪風……みんなで帰りたいです……」
冬月は静かに言う。
「……生きる」
島風は涙を拭いた。
「島風……走るよ……!」
鳳翔は玲奈の肩に手を置いた。
「提督。
私たちは……あなたと共にあります」
大和は玲奈の隣に立ち、静かに言った。
「玲奈さん。
あなたの艦隊は……ここにいます」
玲奈は深く息を吸い、宣言した。
「――全艦、警戒態勢。
鎮守府に迫る影を迎え撃つ準備をするわ」
---
◆ 次章へ繋がる“影”
その瞬間――
鎮守府の外の海が、不気味に揺れた。
まるで、
“何か巨大なもの”が海底を這っている
かのように。
玲奈はその気配を感じ、呟いた。
「……来る」
大和が静かに言う。
「はい。
“本当の敵”が……」
鳳翔は目を閉じ、祈るように呟いた。
「皆さん……どうか無事で……」
そして――
第四章は幕を閉じ、
次章――“襲撃編” が始まる。