少しおかしな艦娘達と提督が生きるために 作:大和
鎮守府包囲――深海の影、上陸
夜の帳が降りた鎮守府は、異様な静けさに包まれていた。
波は弱く、風は止まり、空気は重い。
まるで――
海そのものが息を潜めている
かのようだった。
玲奈は司令塔の窓から海を見つめていた。
(来る……
絶対に来る……)
その直感は、恐怖ではなく“確信”だった。
大和が静かに近づく。
「玲奈さん……
海が……鳴いています」
玲奈は頷いた。
「ええ。
敵が……来てる」
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◆ 海が“揺れる”
その瞬間――
海が、低く唸った。
ゴォォォォォ……
暁が震える声で叫ぶ。
「な、なに……この音……!?
海が……怒ってる……!」
雪風は耳を塞ぎ、涙目で言う。
「雪風……怖い……!
こんなの……初めて……!」
冬月は静かに呟く。
「……来る。
深海棲艦じゃない……
もっと……重いものが」
島風は脚を震わせながら叫ぶ。
「島風……逃げたくない……!
でも……怖いよ……!」
鳳翔は艦載機を抱え、祈るように呟いた。
「皆さん……どうか無事で……」
玲奈は拳を握りしめた。
(この子たちは……もう限界なのに……
どうして……こんな時に……)
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◆ 青葉の報告 ――“包囲”
青葉が通信室から飛び込んできた。
「提督っ!!
鎮守府の外周――
三方向から敵反応です!!」
玲奈は振り返る。
「三方向……!?
深海棲艦の群れ?」
青葉は首を振った。
「違います……
深海棲艦の反応じゃありません……
“あの守護者”と同じ……
人工的な反応です!」
暁が青ざめる。
「じゃ、じゃあ……
あれが……何体も……?」
雪風は震えながら言う。
「雪風……戦えません……
でも……逃げたくない……!」
冬月は静かに言った。
「……敵は、私たちを“狙って”来ている」
島風は涙をこぼしながら叫ぶ。
「島風……みんなと走りたい……!
でも……もう走れない……!」
玲奈は胸が締め付けられた。
(敵は……補給倉庫の守護者だけじゃなかった。
あれは……“前触れ”だったんだ)
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◆ 玲奈の決断 ――逃げ場なし
玲奈は全員を見渡し、静かに言った。
「いい?
今の私たちは……戦える状態じゃない。
でも――」
玲奈は強く言った。
「逃げ場はない。
ここが……私たちの家よ。
守るしかない。」
暁が涙を拭き、頷く。
「暁……レディとして……頑張るわ……!」
雪風は震えながらも言う。
「雪風……みんなで……帰りたいです……!」
冬月は静かに言う。
「……生きるために戦う」
島風は涙をこぼしながら叫ぶ。
「島風……走るよ……!
みんなを守るために……!」
鳳翔は玲奈の肩に手を置いた。
「提督。
私たちは……あなたと共にあります」
大和は玲奈の前に立ち、静かに言った。
「玲奈さん。
私が盾になります。
あなたの艦隊を……必ず守ります」
玲奈は深く息を吸い、宣言した。
「――全艦、迎撃態勢。
鎮守府を守るわよ!」
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◆ 海から“影”が上陸する
その瞬間――
海面が爆ぜた。
黒い影が、海から這い上がるように姿を現す。
- 深海棲艦ではない
- 人間の艦艇の形をしている
- だが装甲は深海棲艦のもの
- 目のような赤い光
- そして、動きは“人間の艦隊”そのもの
暁が絶叫する。
「来た……!!
鎮守府に……来た!!」
雪風は涙をこぼす。
「雪風……怖い……でも……戦う……!」
冬月は静かに言う。
「……これが……“本当の敵”」
島風は震えながら叫ぶ。
「島風……負けたくない……!!」
玲奈は叫んだ。
「――“鎮守府防衛戦――第一波”
始めるわよ!!」
海は、黒い影で埋め尽くされていた。