少しおかしな艦娘達と提督が生きるために 作:大和
第1話-相手は-
黒幕――人の影
要塞艦の主砲が鎮守府を焼き払った直後――
海は、嘘のように静かになった。
暁は震える声で言う。
「て、提督……
敵……動かない……?」
雪風は涙を拭いながら呟く。
「雪風……怖い……
でも……なんで……攻撃してこないの……?」
冬月は海を見つめたまま言った。
「……撤退の気配。
でも……理由がわからない」
島風は脚を押さえながら叫ぶ。
「島風……まだ戦えるよ……!
でも……なんで……?」
玲奈は息を呑んだ。
(攻撃をやめた……?
あれほどの力を持ちながら……
どうして……?)
その時――
要塞艦の艦橋に並ぶ“赤い眼”が、
ゆっくりと閉じた。
まるで、
観測を終えた
と言わんばかりに。
そして――
要塞艦はゆっくりと海の奥へ沈んでいった。
暁が絶叫する。
「逃げた……!?
あんなに強いのに……!?」
雪風は震えながら言う。
「雪風……わからない……
なんで……?」
冬月は静かに呟いた。
「……目的は“破壊”じゃない。
“観測”」
玲奈は息を呑んだ。
(観測……
私たちの戦い方を……
“学習”していた……?)
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◆ 鎮守府――半壊
鎮守府は、ほぼ壊滅していた。
- 防壁は崩れ
- 司令塔は半壊し
- 倉庫は吹き飛び
- 海岸線は抉れ
- そして、艦娘たちは全員限界
鳳翔は倒れた艦載機を抱えたまま、膝をついた。
「提督……
鎮守府の機能……
ほとんど……残っていません……」
暁は涙をこぼしながら言う。
「提督……
私たち……負けたの……?」
雪風は震えながら言う。
「雪風……怖い……
でも……生きてる……」
冬月は静かに言った。
「……生き残った。
それだけで……十分」
島風は涙をこぼしながら叫ぶ。
「島風……悔しい……!!
守れなかった……!!」
玲奈は拳を握りしめた。
(負けた……
でも……終わってない……
あの要塞艦……
あの“人影”……
絶対に……見逃せない)
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◆ 大和、限界の中で
大和は倒れたまま、
それでも玲奈を見上げて言った。
「玲奈さん……
私は……沈みません……
あなたが……いる限り……」
玲奈は大和の手を握った。
「大和……
あなたがいなかったら……
みんな……死んでた……」
大和は微笑んだ。
「あなたが……
私たちを導いてくれたから……
私は……立てたのです……」
玲奈は涙をこぼした。
(大和……
あなたを……絶対に失わない)
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◆ “人影”の真実に迫る
青葉が震える声で言った。
「提督……
要塞艦の艦橋に……
人影がありました……」
暁が息を呑む。
「人……!?
じゃあ……深海棲艦じゃなくて……」
雪風は震えながら言う。
「雪風……信じたくない……
でも……」
冬月は静かに言った。
「……敵は“人間”」
島風は涙をこぼしながら叫ぶ。
「なんで……!?
なんで人間が……私たちを……!!」
玲奈は拳を握りしめた。
(人間……
この戦争の黒幕は……
“人間”……?
誰が……何のために……?)
玲奈は静かに言った。
「――調べるわ。
この戦争の真実を。
あの要塞艦の正体を。
そして……
“人影”の正体を」
鳳翔は微笑んだ。
「提督……
私たちは……あなたと共にあります」
大和も静かに頷いた。
「玲奈さん……
あなたが進むなら……
私は……盾になります」
玲奈は深く息を吸い、宣言した。
「――“黒幕”を暴くわよ」
海は静かだった。
だがその静けさは、
“真実が近い”
と告げているようだった。