少しおかしな艦娘達と提督が生きるために   作:大和

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第2話-暁の-

――暁、レディの影

 

朝の訓練場は、まだ冷たい潮風に包まれていた。

 

玲奈は腕を組み、艦娘たちの準備を見守っていた。

今日から本格的な基礎訓練が始まる。

まずは駆逐艦組の動きを確認する予定だった。

 

「暁、島風、雪風、冬月。

 まずは基本の隊列移動から始めるわ」

 

「は、はいっ! 暁、頑張るわ!」

暁は胸を張って答えた。

その声は大きいが、どこか震えている。

 

島風は「はーい!」と元気に手を振り、

雪風はにこにこしながらも視線が泳いでいる。

冬月は無言で頷いた。

 

玲奈は大和と目を合わせる。

大和は静かに頷いた。

 

(……暁の様子、やっぱり気になるわね)

 

---

 

◆ 訓練開始

 

「では、行くわよ。

 暁、先頭。島風、二番手。雪風、冬月は後方支援位置」

 

「了解っ! 暁、レディとして皆を導くわ!」

 

暁は勢いよく走り出した。

だが――

 

「……っ!」

 

急に足が止まり、肩が震えた。

 

「暁?」

玲奈が声をかける。

 

暁は振り返らない。

ただ、震える声で呟いた。

 

「……また、私だけ……」

 

玲奈は眉をひそめた。

 

「暁、どうしたの?」

 

「……また、私だけ生き残ったら……どうしよう……」

 

その言葉に、訓練場の空気が凍りついた。

 

---

 

◆ 暁の崩壊

 

暁は両手で頭を抱え、しゃがみ込んだ。

 

「前の鎮守府……みんな、みんな沈んで……

 私だけ、私だけが……っ」

 

雪風が息を呑む。

冬月は目を伏せ、島風は困ったように足踏みした。

 

玲奈はゆっくりと暁に近づいた。

 

「暁。顔を上げて」

 

暁は首を振る。

 

「いや……いやよ……!

 レディは泣かないのに……!

 でも……怖いの……また一人になるのが……!」

 

その声は、幼い少女そのものだった。

 

---

 

◆ 玲奈の言葉

 

玲奈はしゃがみ込み、暁の肩に手を置いた。

 

「暁。

 あなたが生き残ったのは、罪じゃない」

 

暁は涙で濡れた目を見開く。

 

「で、でも……私だけ……!」

 

「生き残ったからこそ、今ここにいる。

 あなたが生きてくれたから、私はあなたに会えた」

 

暁の呼吸が止まる。

 

玲奈は続けた。

 

「あなたは弱くなんかない。

 怖いと思えるのは、ちゃんと仲間を大切にしている証拠よ」

 

暁の目から、ぽろりと涙が落ちた。

 

「……提督……」

 

---

 

◆ 大和の支え

 

その時、大和がそっと暁の背中に手を添えた。

 

「暁さん。

 あなたは一人ではありません。

 ここには、玲奈さんがいて……私がいて……

 仲間がいます」

 

暁は大和の大きな手を見つめた。

 

「……大和さん……」

 

「あなたが怖いと思うなら、私が守ります。

 あなたが泣きたいなら、玲奈さんが受け止めます。

 だから――もう、一人で抱えないでください」

 

暁は堰を切ったように泣き出した。

 

「う、うわあああああああん……っ!」

 

玲奈はそっと抱きしめた。

暁は小さな子供のように、玲奈の胸に顔を埋めて泣き続けた。

 

---

 

◆ 訓練の再開

 

しばらくして、暁は涙を拭いた。

 

「……ごめんなさい、提督……

 レディなのに、泣いちゃって……」

 

玲奈は微笑む。

 

「泣いていいのよ。

 泣ける子の方が、強くなれる」

 

暁は小さく笑った。

 

「……うん。暁、頑張るわ。

 今度は……みんなで帰ってくるために」

 

雪風が手を挙げる。

 

「雪風も、暁ちゃんを守るよ!」

 

島風が元気に叫ぶ。

 

「じゃあ島風は暁を引っ張る役だね!」

 

冬月は静かに言った。

 

「……一緒に、生きて帰ろう」

 

暁は涙の跡を残したまま、胸を張った。

 

「うんっ! 暁、レディとして頑張るわ!」

 

玲奈は満足げに頷いた。

 

(この子たちなら……きっと立ち直れる)

 

---

 

◆ 第一章の流れが動き出す

 

「よし。

 ――訓練、再開するわよ」

 

暁は先頭に立ち、今度はしっかりと前を向いた。

 

こうして、

“壊れた艦隊の再生”の最初の一歩

が確かに踏み出された。

 

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