少しおかしな艦娘達と提督が生きるために 作:大和
第1話-始まり-
――初出撃、壊れた艦隊の第一歩
朝の執務室は、いつもより静かだった。
玲奈は机の上に置かれた一枚の作戦書を見つめていた。
《任務:沿岸輸送船団の護衛》
本来なら半個艦隊――12人規模が必要な任務。
だが、ここにいるのは10人。
しかも練度も経験もバラバラ。
(……司令部、やっぱり私たちを試してるわね)
玲奈は深く息を吸い、立ち上がった。
「――全艦娘、作戦室に集合」
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◆ 作戦会議
作戦室に集まった艦娘たちは、緊張した面持ちだった。
暁は姿勢を正し、
雪風は笑顔を作り、
冬月は静かに立ち、
島風はそわそわしている。
鳳翔は落ち着いた表情で、
青葉はカメラを構え、
伊13は玲奈の後ろに隠れるようにしていた。
大和は玲奈の隣に立ち、皆を見守る。
玲奈は作戦書を掲げた。
「今日、私たちは初めて出撃する。
任務は――沿岸輸送船団の護衛」
ざわり、と空気が揺れた。
「護衛……?」
暁が不安そうに呟く。
「そう。
敵の潜水艦や小規模艦隊が出る可能性がある。
本来ならもっと大きな艦隊が必要な任務よ」
雪風が手を挙げる。
「でも……私たちで、できるんですか?」
玲奈ははっきりと答えた。
「できるかどうかじゃない。
――やるしかないのよ」
その言葉に、艦娘たちの表情が引き締まった。
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◆ 出撃準備
桟橋に並ぶ艦娘たち。
潮風が強く、空は曇っている。
玲奈は一人ひとりに声をかけた。
「暁。あなたは先頭で索敵。
怖くても、前を見て」
「……うんっ! 暁、頑張るわ!」
「雪風。あなたの幸運は“仲間のため”に使うのよ」
「はいっ! みんなで帰ってきます!」
「冬月。あなたの冷静さが必要よ」
「……了解」
「島風。速さは仲間と合わせるために使うのよ」
「うんっ! 島風、みんなと走る!」
「青葉は記録係。
鳳翔さんは後方支援。
伊13は潜水警戒」
「了解しました」
「任せてくださいね」
「……がんばる」
最後に、大和の前に立つ。
「大和。あなたは……私の盾よ」
大和は静かに微笑む。
「はい。玲奈さんのために、皆のために」
玲奈は頷いた。
「――全艦、出撃!」
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◆ 初めての海
海に出た瞬間、艦娘たちの表情が変わった。
訓練場とは違う、冷たく広い海。
波の音、風の匂い、遠くの空の色。
暁が前方を見つめる。
「……敵影なし。
でも……なんだか、胸がざわざわする……」
雪風が小さく呟く。
「雪風も……なんだか嫌な感じがします」
冬月は静かに海を見つめていた。
「……この海、何かいる」
玲奈は緊張を感じながらも、冷静に指示を出す。
「全艦、警戒態勢。
輸送船団はすぐ後ろよ。絶対に守るわ」
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◆ 敵影
その時――
伊13が急に顔を上げた。
「……水中反応。
敵潜水艦……一!」
玲奈の心臓が跳ねた。
「全艦、回避行動!
雪風、暁、前へ!」
「了解っ!」
「はいっ!」
海面が爆ぜる。
敵潜水艦の魚雷が水柱を上げた。
雪風が叫ぶ。
「提督! 魚雷、もう一発来ます!」
「島風、雪風を援護して!」
「うんっ!」
島風が雪風の横に並び、二人で魚雷を避ける。
暁が叫ぶ。
「敵潜水艦、浮上します!」
海面から黒い影が現れた。
玲奈は叫ぶ。
「大和、砲撃準備!」
「了解!」
大和の主砲が海を震わせる。
轟音とともに砲弾が敵潜水艦を直撃した。
雪風が目を見開く。
「……沈んだ……!」
暁が息を呑む。
「や、やった……!」
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◆ 初勝利
玲奈は深く息を吐いた。
「全艦、損害確認!」
「暁、無傷!」
「雪風も大丈夫です!」
「冬月、問題なし」
「島風、元気!」
「伊13、異常なし」
「鳳翔も無事です」
「青葉、記録完了!」
玲奈は胸が熱くなった。
(……この子たち、本当にやり遂げた)
大和が微笑む。
「玲奈さん。
初めての勝利ですね」
玲奈は頷いた。
「ええ。
――これが、私たちの第一歩よ」
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◆ 帰還
輸送船団は無事に目的地へ到達した。
帰還する艦娘たちの表情は、疲れているが誇らしげだった。
暁は胸を張り、
雪風は本物の笑顔を見せ、
冬月は静かに頷き、
島風は嬉しそうに跳ねていた。
玲奈は彼女たちを見て思う。
(この艦隊は……まだ弱い。
でも、確かに前へ進んでいる)
そして――
第二章はここから本格的に動き出す。