逮捕しちゃうぞ2026   作:マブラマ

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FILE.29 白熱のBコース

2026年、夏の快晴の日。

備北ハイランドサーキット。

 

 

観客席が熱気と期待に包まれる中、アナウンスが場内に響き渡った。

《走行開始です。まずはBコースでの参加者からの走行です》

頼子は双眼鏡を構え、興奮気味に言った。

「Bコース……ドロテアさんのところじゃない?」

葵が静かに微笑みながら頷いた。

「みんな、盛り上がってますね」

花蝶課長は腕を組み、感心した様子で呟いた。

「二階堂……あのクルマもランエボか?」

頼子はすぐに答えた。

「え? エボⅥ……。あれは」

中嶋剣が補足した。

「クラウディアのクルマだ」

花蝶課長は興味深そうに目を細めた。

「お、知ってるのか?」

中嶋は軽く頷いた。

「『ユニティ・エッジ』という走り屋チームのリーダーを務めている女性ですよ。メンバー全員が平民――所謂一般市民だけで構成されたチームです」

花蝶課長は少し驚いた顔をした。

「やけに詳しいな……まさか変なチームに入って暴走してないだろうな?」

中嶋は慌てて手を振った。

「そんなことするわけがないじゃないですか!走り屋の知り合いはドロテア達や岡崎裕一っていうプロレーサーなどの限られた人しかいないですよ。その岡崎はクルマではなくオートバイで……」

頼子が横から笑いながら突っ込んだ。

「でも結果的には、美幸と上手くいったんだよね?」

中嶋は少し頰を赤らめて誤魔化した。

「そりゃあ、そうだけど……」

葵が突然指を差した。

「あ、来ましたよ。ピクシス・マスールのランエボです!」

その瞬間、サーキットに轟音が響き渡った。

 

ギャアアアアアッ!!

キィイイイイン!!

ゴアシャアァァァ!!

キュイイイ!!

ゴォアアア!!

ギャギャギャアアア!!

 

観客席が一気に沸き上がった。

頼子は双眼鏡を握りしめ、興奮した。

「す、凄いスキール音……あれ絶対にタイヤ消耗してるよね?」

中嶋は腕を組んで頷いた。

「ああ、かなり走り込んでたからな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

コース上。

ドロテアは紫の瞳を鋭く光らせ、無線で指示を飛ばした。

 

 

「クラウディアさん、あなたもなかなかやりますわね」

クラウディアのエボⅥから、自信たっぷりの声が返ってきた。

「ドロテア先輩も! 負けてられませんよ」

ドロテアは優雅にアクセルを踏み込みながら、凛とした声で命じた。

「わたくしもです。――――リュシー、後ろに走ってるS13パトカーの相手にしてやりなさい」

リュシーが荒々しく応じた。

「了解! ハリエット、白いS13が迫ってくる前にブロック!ケイト、ハリエットのフォローを!ミリアム、S14をインで突いてカウンターステアだ!」

ハリエットが冷静に。

「了解です。リュシー様!」

ケイトが明るく。

「フォローします!」

ミリアムが元気よく。

「了解! ボクのエボⅤの実力を見せてあげるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

セーフティーカーとしてコースを先導するトゥデイでは——夏実が興奮気味に叫んだ。

「凄い……ここでカウンターステア!?」

美幸はハンドルを握りしめ、静かに微笑んだ。

「私達も負けてられないわね。セーフティーカーだけど」

夏実が後方を確認して声を上げた。

「美幸! 後ろ!」

美幸はミラー越しに確認し、冷静に言った。

「あれは、ギャランVR-4……! 乗ってるのはコトハね」

夏実は身を乗り出した。

「どうする?」

美幸は穏やかに答えた。

「私達はレース参加者達の先導するだけ。普通に振る舞いましょう」

夏実は少し残念そうに頷いた。

「了解……ん?」

その時、コトハのギャランVR-4がトゥデイの横に並び、軽くクラクションを鳴らして合図を送ってきた。

コトハはニヤリと笑いながら、口パクで伝えた。

「(花蝶さんをちゃんと見送りなさい。お姉ちゃんに感謝する事ね)」

夏実は少し驚いた顔で呟いた。

「……和やかな笑みで私達に合図を送った?」

美幸は静かに微笑んだ。

「――コトハらしいわね」

Bコースを疾走するランエボ軍団とセーフティーカーとして先導するトゥデイ、そしてコトハのギャランVR-4。

第二回おつまーる走は華々しく、そして熱く、幕を開けていた。

 

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