アルカナ・シャドウのフルグラシャツ欲しいな…‥‥‥
「ぴったりだ……!」
「おおっ、いいじゃんか。似合ってるぞ」
「ありがとうございます!」
靴屋に来て選んだ靴を履いているあんなちゃんを褒める俺。素足のあんなちゃんや俺はこのままではいけないと思い近くにあったこのお店に来てサイズがちょうどいい靴を買うことにした。
「翻人さんの方も似合ってますよ!」
「おっ、ありがとうね!」
お返しに俺が履いている靴を見て褒めてくれるあんなちゃん。
ちなみに今履いているのは緑と黒のスニーカーだ。どうだ、かっこいいだろ?
「‥‥‥‥いや、そんなはずじゃ……‥‥」
一方、みくるちゃんは納得がいかない表情をしている。どうしたんだろうか?
「どっちにしようかな~?」
あんなちゃんはどっちの靴にしようか迷っている。
「俺は左の方がいいな」
「左ですか。じゃあ…‥‥どっちのがいい?」
今度はみくるちゃんにどっちがいいか聞くあんなちゃん。
「こっち!……じゃなああああい!!」
「わっ!?」
「うおっ!?」
そう叫ぶみくるちゃんを見て驚く俺たち。お店の中であまり大声出さないでね?
「ど、どうしたの急に?」
「部屋から落ちてきたなんてあり得ませんよ!」
今だに部屋から落ちてきたことに納得のいかないみくるちゃん。
「本当だって!」
「ポチポチ!」
本当だと反論するあんなちゃんと熊の赤ちゃんみたいな妖精(?)。
「この子、おしゃぶりをしてますし……赤ちゃんなんでしょうね。だから喋れないのかと」
「え?でも……さっき部屋にいる時は話せてたのに…」
「何らかの理由で赤ちゃんになり、喋れなくなった。今の推理でどうでしょう! 探偵テスト合格ですか?」
「何? その探偵テストって?」
「その質問なら、簡単です!名探偵はいろいろな事件を調べて解決し人々を助ける!みんなの憧れ!希望!わたしは、そんな名探偵になるために探偵テストを受けに来たんです!」
「へぇ~」
「名探偵ってすごいんだね!」
「よし!」
探偵のすごさを知ってもらいガッツポーズをするみくるちゃん。面白い子だな~
「ポチ! ポ~チ~!」
「ちょっと!」
急に熊の妖精が謎の力であんなを引っ張りどこかへ連れて行こうとする。
「あっ、おい!靴履いたままだぞ!?」
靴を履いたまま店を出て行ってしまうあんなちゃんを制止しようとするが間に合わなかった。
「みくるちゃん!お会計は俺が払っておくからあんなちゃんと熊の妖精を追いかけてくれ!」
「は、はい!わかりました!」
みくるちゃんにあんなちゃんたちの追跡を任せて靴の代金を払うため店に残った俺。
「すいませーん!これとさっきの女の子が履いていた靴おいくらですか!?」
「えーっと‥‥…合計で八千六百円です」
二つでそれくらいするのか…‥‥まぁ、いいや。
「じゃあ、Heyheyで」
俺はスマホを取り出して支払おうとするが
「?なんですかそれ?」
「えっ?」
HeyHey払いを知らないだと?
「それにその機械は?」
「えっ??」
スマホまで知らないだと!?一体どうなってんだ!?
「えっと‥‥‥‥じゃあ現金で」
仕方なく現金で支払うことにした。お財布の中には諭吉さんが一枚いたのでよかった。
「一万円ですね‥‥‥‥って、あれ?」
「どうかしましたか?」
また、なにかあったか?今度はちゃんとしたお金ですよ?
「これ、本当に一万円ですか?」
「えっ?」
何って一万円でしょ?
「これ、裏面違いますけど‥‥‥」
「えっ?」
「これが一万円です」
「ええっ!?」
店員さんが見せてくれた一万円札と俺が渡した一万円札を見比べると確かに違った。
俺の渡した方の裏面には平等院鳳凰堂に据えられている鳳凰像が描かれているが店員さんが見せた方にはきじが描かれていた。
一体どっちが本物なんだ!?
「これ、もしかして偽札ですか?」
「ええっ!?いや、違いますよ!!」
偽札だと疑い始める店員さん。ま、マズい!このままだと警察を呼ばれるかもしれない!!
「これで」
「えっ?」
突然、横からくすんだベージュ色のセミロングヘアーで黒いリボンを付けて白いトップスの上に白い襟と紫のボタンが付いた黒いケープを羽織った紫の瞳をした少女が一万円札を店員さんに渡そうとしていた。
「あっ、はい。一万円お預かりしておつりは‥‥‥‥」
店員さんは一万円札を受け取りおつりの準備をする。
「レシートとおつりです」
「どうも」
少女は店員さんにおつりとレシートを受け取った。
「あっ、え、えっと‥‥‥‥」
「早く行ってあげたら?」
「えっ?」
「さっきの子たち追いかけるんでしょ?」
「いや、でも、お金…‥‥‥」
「別にこれくらい大した額じゃないから」
「ええっ…‥‥‥」
ぽんと一万円使えるなんてどこかのお金持ちの家の子かな?
「そっか。じゃあ、連絡先と住所教えてくれない?今度お代を‥‥‥‥あれ?」
スマホの画面を操作し顔を上げると少女はいつの間にかいなくなっていた。
「いつの間にいなくなったんだ‥‥‥‥?」
ほんの一瞬でいなくなっちゃったよ‥‥‥‥どうしよう?
「‥‥‥‥仕方ない、二人と合流しよう」
この辺に住んでいる子かもしれないしまた会えるかもしれないと思い俺は店を出て二人を追いかけに行った。
「はぁ…はぁ…あっ、いた!!」
走り回わってようやく二人を見つけた俺。
「おーい!二人とも!!」
「あっ、翻人さん!」
「はぁ~やっと見つけたぜ~!」
俺は足を止めて両手を膝に置いて息を整える。
「ふぅ~‥‥…あっ、靴のお金代わりに払っておいたから安心して」
「えっ!?あ、ありがとうございます!」
頭を下げてお礼を言うあんなちゃん。まぁ、正確には払ったのは俺じゃなくて通りすがりのお金持ちっぽい女の子だけどね。
「ポチポチ!」
「どうしたの?」
あんなちゃんを連れ出した熊の妖精が何かに反応しているかのように声を上げている。
「ここって⋯」
「結婚式場?」
俺たちが見たのは青い屋根と薄い茶色の壁でできた立派な結婚式場だった。
「ここになにかあるのか?」
「ポチポチ!」
相変わらず何言っているかわからないけどそうだって言っているような気がした。
「なんかありそうだし入ってみようか」
「そうですね!」
「はい!」
そういうことで俺たちは結婚式場に足を踏み入れることにした。
「わぁ~!」
「きれい~!」
中は大きなシャンデリアがぶら下がりステンドグラス窓にきれいに磨かれた床や階段があって施設内がキラキラと輝いていた。
「一体ここに何があるんだ…‥‥‥」
「ない、どこに行ったの?」
「んっ?」
ふと、奥の方から女性の困った声が聞こえてきて見て見るとそこには式場のスタッフさんらしき女性と花嫁らしき女性がいるのが見えた。
「あっ、花嫁さんだ!」
「きれいな人だね~!」
花嫁さんを見て目をキラキラさせる二人。まぁ、花嫁は女の子の憧れだからね。
「幸野さん、ありがとうございます。」
幸野という女性スタッフさんに花嫁さんが声をかける。
「まりさん⋯」
「ごめんなさい、もう諦めます。」
「でも!」
「⋯式に間に合いませんから。」
幸野さんは花嫁、まりさんの持ち物か何かを探していたみたいでまりさんは諦めることにしているようだ。
「たちゅけて⋯」
「えっ?」
熊の妖精が今喋った気が…‥‥‥
「‥‥‥‥わかったよ。困ってる人はみんな助けないと!」
「翻人さん!?」
「私も!?」
「ええっ!?」
俺とあんなちゃんは二人の元へ駆け寄り話を聞くことにした。
「あの! こまっていることがあるなら、お手伝いします!」
「えっ?」
「ここに名探偵(仮)の小林みくるちゃんがいるのでもう安心です!」
「ええっ!?」
探偵のみくるちゃんのことを紹介するとスタッフさんが控え室まで案内して話を聞くことができた。
「改めまして、私は式場のスタッフの幸野です。」
「想田まりです。実は式で着けるティアラがなくなったんです」
「えっ?でも、ティアラは横にありますよね?それって⋯」
「1時からの式に間に合うように式場が用意してくれたんです」
「あっ、そういうことですか」
「まりさんのと形も大きさも似た物を何とか用意しました。これがまりさんのティアラです⋯」
幸野さんがそのティアラの写真を俺達に見せてくれた。ブルーサファイアが飾られていてる立派な物でここにあるティアラとは大違いのものだ。
「お母さんも結婚式でこのティアラを着けたんです。私も着けて式を挙げたかったんですが⋯この部屋から消えてて・‥‥」
「そうですか⋯そのティアラに想田さんか幸野さんは触ったりとかしてませんか?」
「いえ、私は⋯」
「私はまりさんの担当ではありましたけど、ティアラを出してからは一切触れていません。」
「そうですか‥‥‥」
二人は触っていないとなると他の誰かが持ち去った可能性が高いな‥‥‥‥
「突然消えるなんて⋯まさか、これが本当の探偵テスト!?」
みくるちゃんがメモを取りながらこれが探偵テストではないかと呟いている。うーん、多分これはテストじゃなくて本当の事件だと思うよ?
「絶対に私達が見つけ出します!」
みくるちゃんが探偵テストと思い張り切っているみたいだ。とりあえず俺たちは想田さんの関係者を呼んで話を聞くことにしてた。
「どうしたの、呼び出したりして?」
「まりさんを最後にティアラを見てからこの部屋に出入りしたのは織田さんから聞いた話だとあなた方三人⋯この中にティアラを盗った犯人がいます!」
みくるちゃんは集めた関係者の前で犯人がこの中にいると宣告する。
「まさか、ありえないですよ!」
「で、ですよね〜。ちょっと話を聞こうかなぁ⋯なんて~」
「とりあえず、一人ずつお話を聞いてもらおうか」
俺たちは集められた人たちに名前とこの部屋に来た理由を聞くことにした。
「僕は宇都宮将太です。カメラマンをやっていて今回は花嫁さんを撮りに来ました」
「私はまりの友達の藤井ともかです。まりにお願いがあってこの部屋に来ました」
カメラマンの宇都宮さんと想田さんの友人の藤井さん。この2人は見るからにしては今のところ怪しそうな行動とかは見られない。
「お願いって?」
「ブーケをともかの方に投げてほしいって」
「あっ、ブーケトス!」
「そう、花嫁さんが投げたブーケをキャッチすると幸せをおすそ分けしてもらえるの!ずっと憧れだったんだ〜♪」
「お願いってありなんだ」
「まり、OKって言ってくれたよね?」
「ともかが珍しく遅刻をしないで来たから、つい⋯」
「なるほど」
「それで、幸野さんは式の準備するために部屋には出入りされてたんですよね?」
「はい、そうです。」
「みんな、ここに来た時も今と同じ服装でしたか?」
「ええ、ティアラを隠せるものは何も⋯」
「そうですか」
みんなが着ている服装が今と同じもので盗んだティアラを隠せそうなものは見当たりそうもない。
「宇都宮さんの帽子には入らない‥‥‥ともかさんのバッグにも入らない。幸野さんのポーチも入らなさそうだね⋯」
念のため3人の持ち物でティアラを隠せるか代わりのティアラで試してみるが大きすぎてとても隠すのは無理のようだ。
「ありがとう⋯もう本当に良いんです。やっぱり、ティアラは諦めます⋯」
「まりさん……‥‥」
ティアラのことは諦めるというまりさんの言葉を聞きへこんでしまうみくるちゃん。
結局、犯人は見つけれず一旦解散することになった。
「ティアラを持ち出した方法が分かれば犯人が分かるはずなのに…その方法が分からない…わたしって…いつも…」
「みくるちゃん…‥‥‥」
庭に出て気分を落ち着かせることにした俺たち。
みくるちゃんはまだ落ち込んでいる。
「みくるちゃん!」
「あっ…」
あんなちゃんが声をかけるとハッと我に返った。
「平気?」
「分からないんです…これじゃ、まりさんを笑顔にできない。名探偵にだって…」
「みくるちゃんはどうして名探偵になりたいんだい?」
俺はみくるちゃんに名探偵になりたい理由を尋ねてみた。
「わたしも助けられたから…今度は、わたしが名探偵になって、みんなを助けたい!」
「なるほど‥‥‥‥」
過去に助けらえたから今度は自分が名探偵になってみんなを助けたい‥‥‥‥そういうことだったのか。
「‥‥‥‥俺も子供のころからスパイ映画に出てくるエージェントに憧れていてさ、いつかあんなかっこいいエージェントになりたいって今でも思っているんだ」
「エージェントに…‥‥‥」
「っても、今はただのフリーターだけど…‥‥‥」
でかいこと語った割に今の俺は全然かっこよくないけどね。
「二人ともすごいね!翻人さんならかっこいいエージェントになれますよ!」
「あんなちゃん‥‥‥‥」
俺の夢を笑わずにすごいと言ってくれるあんなちゃん。この子ほんとうにいい子だな‥‥‥‥
「みくるちゃんだって名探偵ならティアラを見つけてまりさんを笑顔にできるんでしょ?」
「ええ…きっと」
「だったらなろうよ、名探偵に!」
「でも…」
「なやんでるだけじゃ始まらないよ。一歩踏み出せば、答えはついてくる! 一歩の勇気が答えになる、…だよ!」
「あんなちゃんの言う通りだ。さぁ、踏み出そうぜ!」
「ポチ~!」
「!!」
俺たちの励ましの言葉を聞いて表情が徐々に明るくなっていくのが見えた。
「みくるちゃん、行こう! もう一度、全部調べよう!」
「はい!」
みくるちゃんは完全に復活したようで笑みを浮かべた。
<ビュー!>
「きゃっ!」
「うおっ」
急に突風が吹いて俺たちの髪を揺らした。
「今日2回目だ。さっきも植えこみの中に、女の子のリボンが入って…植えこみの…中…」
「花?」
「どうした二人とも?」
二人花壇の花を見て何かを閃いた表情を浮かべた。
「「見えた! これが答えだ!」」
「へっ?」
「翻人さん!もう一度皆さんを集めてくれませんか!?」
「えっ?いいけど…‥急にどうしたの?」
「わかっちゃったんです」
「わかったって何が?」
今だに何がなんだかわからない状態の俺。
「犯人は‥‥‥」
「あの人だ!」
「ええっ!?」
犯人が判明したという二人。い、一体誰が犯人なんだ!?
次回、犯人が判明、そして変身。