次の日、俺とあんなちゃんは事務所に泊まり一夜を過ごしたのだが‥‥‥‥
「おはよう!!プリキュアだって証拠を――!!」
「みくるううううう!!」
「どいてどいて!!」
「って、うわっ!?」
俺とあんなちゃんはポチタンの謎の力に引っ張られながら外へ飛び出していく。
「みくる!あいつらを追うぞ!」
「えっ?う、うん!待ってーー!!」
みくるちゃんとジェット君が追いかけてくる。
「ポチ~!」
「止まって~!」
「あばばばばばっ!!」
ポチタンに振り回されながらどこかへ向かおうとしている俺とあんなちゃん。
しばらくしてとある店の前でポチタンが立ち止まった。
「はぁ……はぁ……やっと止まった‥‥‥‥」
「ここは…‥‥‥?」
「……ケーキ屋さん?」
看板には「パティスリーチュチュ」と書かれていて恐らく洋菓子屋さんだろう。
「はぁ…‥はぁ…‥やっと追いついた~」
「つ、疲れた~」
「あっ、二人とも」
みくるちゃんとジェット君も遅れて追いついてきた。二人ともお疲れ様。
「たちゅけて……」
「ポチタン?」
ポチタンが小さい声で呟く。
ふと、お店のテラス席がある方を見るとエプロン姿の男性と、一人の少女が何かを探している様子で周囲を見回している。
「これは‥‥‥みくる!」
「うん!」
「えっ、なに?」
あんなちゃんとみくるちゃんは顔を見合わせ同時に頷くとお店の方へ走っていく。
「あっ、ちょっと!」
「僕たちも行くぞ!」
「ジェット君まで!?」
なにがなんだかわからず俺も後を追いかけることにした。
「どうしたんですか?」
先に向かった二人が少女と男性に話しかけていた。
「ペンがないの。店長さんにも探してもらってるけど……」
「エリザちゃん、作家なんだ。この前推理小説の賞を取ってね」
「作家さんだったんだ」
まだ若いのにすごいな~って感心しる場合じゃないか。
「コンクールのときにもらった大切なペンなのに……」
初めての大賞でもらった物だし無くなったらそりゃあ落ち込むよね。
「探すの手伝います!」
「俺も!」
俺たちもペンを探すことにした。その時
「話は聞かせてもらった!」
「わっ!?」
「誰!?」
突然、背後から大きな声が聞こえ振り返るとそこには背が俺より少し高く水色のシャツとクリーム色の長ズボンを履いた男の人が立っていた。
「あ、あなたは・‥‥?」
「失礼!私は警察の者で!」
男の人は懐から手帳を取り出し俺たちに見せた。
手帳には『巡査部長 朝賀圭一郎』と書かれていて男の人の写真も貼られていた。
「本物の警察の人!?」
「すごーい!」
「でもなんで私服なんです?」
「今日は非番でこの店で茶でも飲もうと思って来たらたまたまこの現場に遭遇したのだ!」
「そうだったんですか」
そんな厳つい顔してこんなファンシーでかわいいお店でお茶飲むんだな~おっと、これは絶対口に出しちゃいけないな。
「困ってる市民を放ってはおけない!私も協力させてくれ!」
「‥‥‥わかりました!じゃあ、一緒に探しましょう!」
「ありがとう!全力を尽くして見つけて見せる!」
朝賀刑事は張り切って探すのを手伝ってくれるみたいだ。
人手が多い方が見つけやすいからね。
「それじゃあ、エリザさん。なくなったときのこと、詳しく教えてください!」
「えっと‥‥‥ここで原稿を書いていたら、おばあさんが来たの。『あなたのファンです。握手してください』って」
「それで、握手を?」
「うん!そんなこと初めて言われたから、とっても嬉しくって!」
「それはよかったですね」
「それでその後は?」
「サインしようとしたらペンがなくて。気づいたら、おばあさんもいなくて……」
一連の出来事を細かく説明するエリザさん。事件の内容が大体わかった。
「ポチタンが来たってことは……また事件かも?」
「おばあさんが犯人の可能性も?」
「え、おばあさんが!?」
あんなちゃんとみくるちゃんが小声で推理を始める。けど、小さい声じゃなく周囲にいる俺たちにまで丸聞こえだ。
「なに!?おばあさんが犯人だと!?」
「聞こえてた!?」
「素人が……」
ジェット君が呆れながらそう言う。ポンコツさがあってまだまだだなーとか思っちゃう。
「け、刑事さん!早くそのおばあさんを捕まえてください!」
「わかった!今すぐ応援を呼んでそのおばあさんを探して確保しよう!」
朝賀刑事は携帯電話を取り出し警察署へ連絡をとろうとした
「い、いや、まだ可能性ってだけで!」
「……繋がらないだと!?」
朝賀刑事は携帯を見つめたまま声を上げた。
「通信障害みたいです」
すると、お店から女性の店員さんが出てきてそう告げた。
「帆羽さん、それってどういうこと?」
「電波が繋がらなくて、携帯電話が使えないって今ニュースで」
「ええ!?」
これじゃあ警察にも、消防にも連絡が取れない。
「じゃあ、店の固定電話で!!」
「それより!」
「私たちがそのおばあさんを探してきます!」
「エリザさん、そのおばあさんの特徴教えてもらえますか?」
「えっと…‥‥緑の着物を着てて、髪型はおだんごだったかな……?」
「わかりました!行こう!あんな!」
「うん!」
あんなちゃんとみくるちゃんがそう言って店を飛び出そうとした時
「待て」
ジェット君が二人を静止し見慣れない小型端末を出して見せた。
「僕が発明した――プリキットだ」
「「プリキット?」」
「探偵道具だ。このプリキット・ボイスメモを使えば連絡が取れる」
同じ端末同士なら通信障害の影響を受けずに独自の電波で通話や記録ができる。
さすが、天才発明家だな。
「ありがとう、ジェットさん!」
ジェット君からプリキットを受け取り今度こそおばあさんを探しに行った。
「我々も行くぞ!」
「はい!」
俺と朝賀刑事も二人の後を追いかけていくことにした。
「うーん、見つからないね…‥‥」
お店から少し離れた場所まで来ておばあさんを探すがそれらしき人物は見つからなかった。
ちなみにみくるちゃんとジェット君は別方向に捜索してもらっている。
「そっか‥‥‥‥なにかあったらまた連絡して」
「あんなちゃん、みくるちゃん達の方はどうだった?」
「ダメです。それっぽい人は見つかってないって‥‥‥」
みくるちゃん達の方もダメか…‥‥‥
「お年寄りの歩くスピードじゃまだそんな遠くまでは行ってないと思うのだが…‥‥」
「でもそんな人いな‥‥‥‥あーっ!!いた!!」
「なに!?」
あんなちゃんが指さした方を見るとそこにはさっき聞いた特徴のおばあさんが歩いているのが見えた。
「すみません!」
あんなちゃんが声をかけようとした瞬間
「バイバイ、ベイビー!」
おばあさんは物凄いスピードで逃げだした。あのおばあさんもしかしてニジ―か!?
「あのおばあさんは怪盗団ファントムだ!」
「怪盗団ファントム!?」
「ファントムだとぉ!?」
「朝賀さん、ファントム知ってるの!?」
「ああ!海外で活動していた謎の怪盗集団で最近日本でも活動を始めたと聞いたが‥‥…‥‥まさかここで出会うとは!!」
ファントムってそこまで日本の警察に認知されていたのか‥‥‥
「二人とも!追うぞ!絶対に捕まえるぞ!」
「「は、はい!」」
朝賀刑事を先頭におばあさんに変装したニジ―を追いかける俺たち。
「逃”が”さ”ん”ぞ”!!怪”盗”団”フ”ァ”ン”ト”ム”ぅ”ぅ”ぅ”っ”!!」
朝賀刑事、濁点付きの叫びを上げながら追いかける。この人熱血系の人だな間違いないく。
「はぁ…‥はぁ‥‥‥ここは公園か?」
おばあさんに変装したニジ―は公園に入っていき俺たちも入る。
「おーい!」
「あっ、みくる!」
別の入り口からみくるちゃんとジェット君が入ってくるのが見えた。
「二人とも、そっちにおばあさんが来なかったか!?」
「えっ、見つかったの!?」
「うん!」
「しかもそのおばあさんはニジ―が変装したのなんだ!」
「ええっ!?」
「でも、おばあさんなんていなかったぞ?」
「えっ!?」
この公園の出入り口は俺たちが来た方とみくるちゃんとジェット君が来た二ケ所しかなく二人と鉢合わせになるはずなのに‥‥‥‥
「この公園内私たち以外にいるのは…‥‥‥」
他に公園内にいるのはサラリーマンと女子校生とカップルだけだ。
「誰かに変装してるのかも?」
「変装?」
変装が得意なニジ―ならすぐに別の人の変装することぐらい朝飯前だな。
「しかし、一体誰に変装してるんだ!?」
「うーん…‥‥‥」
あの四人をじっくり観察してみることにしよう。
「なんで繋がらないんだ‥‥‥‥?」
「電話繋がらないよー?」
「でも~私たちはずっと繋がってるわよね~?」
「うん!そうだね!」
「友達と遊び行って、マジ大変でー」
電波障害の影響はまだ続いてるみたいだな……‥‥ん?
「もしかして‥‥…‥‥」
「うむむむ…‥‥ダメだ!怪しい人物が見つからん!こうなったら全員署まで引っ張って事情聴取だ!」
「ちょ!朝賀刑事!それはマズいですって!!」
いくらなんでも無茶苦茶でしょ!?
朝賀刑事を止めないとヤバいぞ!?
「「見えた! これが! 答えだ!」」
「!?」
あんなちゃんとみくるちゃんが声合わせてそう言う。どうやら犯人がわかったようだな。
「なに!?犯人がわかったのか!?」
「はい!」
「ファントムは!」
「あの人だ!」
今回の事件の犯人であるニジ―が変装した人物‥‥‥間違いないあの人だな!
今週も出番なかったら31アイス食べに行きます