うわっ、前からタケノコが!! 作:七夕ナタ
超かぐや姫に脳をこんがり焼かれたので初投稿です。
他にもこっそり投稿してる小説があるのに何やってんだミカァ!
───ああ、どうしてこんな事になってるんだっけ?
人間、突然の事態や、強いストレス、疲労でキャパオーバーになり、判断や行動ができず文字通り「頭が真っ白」になるというがまさにその通りだ。
そういった経験は長い年月を生きて来た中で今までに何度もあったが、どれだけこの感覚を味わっても慣れる日は来ないだろうと思える。思考が停止してしまい、どれだけ考えを巡らせようとしても望むような答えが出てこない。
状況を理解できずただ困惑するしかない。
絞り出すように喉から出かかった言葉は声にならず詰まってしまい、空気が抜ける音と共に吐息混じりとなって霧散してしまう。
高層階故に吹き抜ける微かな風音。
それに運ばれてくるように、この発展途上な仮想世界から喧騒が聞こえてくる。
そんな喧騒に耳を傾けながら無数の灯籠が鈍い光を放ち薄暗い部屋の中で吸い込まれるように、自分を見つめる瞳から視線を外す事ができず釘付けにされる。
結われていた長い髪は解かれ、艶やかな白い髪が降りて床に広がり長い髪はまるでカーテンのように広がって、外の世界とは遮断された2人だけの世界を作り出す。
閉じ込めて逃げ場を封じるかのように覆い被さる体勢で、ジッとこちらを見つめる少女の視線に射抜かれる。
グラデーションされたような青い瞳が綺麗だなー、なんて現実逃避でもするかのように瞳の奥から垣間見えるドロリと濁ったような輝きから目を逸らす。
とりあえずこの状況をどうにかせねば、そんなことを考えながら思考を働かせて言葉を発しようとするものの何を伝えるべきか迷ってしまう。というか、なぜこんなにも彼女が不機嫌なのか理解ができない。
いや、なんとなく理解できているが、そんなわけはないだろうとその可能性を自ら潰している。なにせ自分としては
「えっと、かぐ……じゃなかった、
「───……どうして」
「え? そりゃ、付き合いの長い仲と言っても、ほら、男女の関係は複雑と言いますか。あらぬ誤解が生まれてしまうというか、お互いの精神衛生上の為に一度距離を取り落ち着いて話をしたほうがいいかなぁ〜、って俺は思うわけ、で……」
「違うよ。そうじゃない」
「デスヨネ!」
「そんなことは、どうでもいい……ねえ、なんで、どうしてっ…
「あー……い、一応メモ書き残したと思うけど……?」
「あんな紙切れ一枚で、納得するわけ……ないじゃん」
矢継ぎ早に言葉を並べてみるが、どうやらそうではないらしい。
食い気味に言葉を返す少女の姿に、「そりゃそうか」なんて心の片隅で納得しながらも、もしかしたら知らぬ存ぜぬで突き通せば行けるかもしれない可能性に賭けて言葉を濁す。
例えるなら、自分はちょっとした野暮用で席を外していたくらいのものなのだ。最も、数年単位に及ぶ野暮用となってしまったが。
───少女からしてみれば、しくじった所為で気が遠くなるような長い年月を過ごし大切な人と再会を果たす為の旅の中、潰れてしまいそうな自分の隣でずっと孤独を埋めてくれていた少年は目標まで後少しと言うタイミングでなんの前触れもなく消えてしまったのだ。
───何度呼びかけても返事はなく、どれだけ探しても姿はなく。どれほど自分が傷つき、深い悲しみに襲われたのかをまるで理解していない。
───だが数年後、そんな少年が何食わぬ顔で突然戻って来たのだ。
「……ぷ、あははっ」
「や、ヤチヨさん…?」
「けど、ヤッチョは怒ってないよ。ちゃんと戻って来てくれたもんね」
藁にもすがるような思いが通じたのか。
感情を削ぎ落としたかのような表情はスッ、と消えて道行く者を魅了するような笑顔を浮かべる。それはまるで許しを乞う信徒の前に立つ慈愛に満ちた聖職者のように。
ホッと胸を撫で下ろした少年だったが、そんな考えは甘かったらしい。
笑みを浮かべる少女の姿に、少年も表情を明るくするがすぐに「げ」と表情を歪ませる事になる。なにせ目の前の少女とは長い間、彼女の目的を果たす為に行動を共にして来たのだから。彼女の些細な変化くらいはすぐにわかる。
自慢じゃないが伊達に約8000年近い付き合いをして来たわけではない。その経験からか、かつてない程に脳内で警鐘を響かせているのだ。「笑うという行為は本来攻撃的なものであり獣が牙をむく行為が原点である」と言うやつだろう。
その証拠として満面な笑顔とは裏腹に薄らと開いた彼女の瞳は全くもって笑っていない事に気がついてしまった。
「───でもさ、それでめでたしめでたし…なんてなるわけないよね。
「く、首輪……っ!?」
「この仮想空間にログインしてもらった後で、管理者権限でどうにか意識をログアウト出来なくさせればいいかな、なんて方法も考えたけどそれもリンが相手だと確実性がないからさ」
「……ヒェ」
「ねえ、どうすればいいと思う?」
ズイッと、鼻先が触れ合いそうなほどに顔が近づく。
耳元で凛とした声音が鼓膜をくすぐり、灯籠に照らされた薄暗い部屋で綺麗な青い瞳は昏く光っている。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをナンチャラ。
ドロリとした光のない黒く濁った感情の込められた瞳でこちらを見つめて口元に弧を描く少女の姿に悲鳴を洩らすしかない。
ぶっちゃけ言って目の前にいる少女の容姿はとても整っている。そんな美少女に迫られると言う男ならドギマギするようなシュチュエーションであっても少年にとっては最早ホラーでしかなった。
例えるなら出口までもうすぐと言ったタイミングでグッと足を掴まれて暗闇に引きずり戻されるような感覚、理不尽極まりないdead endまで一直線と言ったところだ。
そんな少女を落ち着かせながら、少年はこの状況を打開すべく必死に脳内で付き合いも長く頼りになる
96:名無しの転生者さん
───お前のミスでした。
97:一般ナナシビト
ちょ、おいいい!ふざけん、 見捨てんなよマジで助けろください!
だがそんな願いも虚しく友人たちからは見捨てられしまうのだった。
「どこ見てるのかにゃ〜? ヤッチョと話す時はちゃんと私を見てくれなきゃダメだよ」
「……ちゃ、ちゃうねん」
───ああ本当に、どうしてこんな事になってるんだっけ?
少年は思考をフル回転させながら少女の出会いを、脳内でかつての光景を必死に掘り返す。
【朗報】世界を救った英雄だけど質問ありゅ?【オンパロス編完結】
1:名無しの転生者さ
そんなことよりも絶賛大ピンチなのでどうにかしてほしい。なので暇してるであろうスレ民たちよ、その知恵と力で疾くこの俺を助けるがいい! ふはははは!!
2:名無しの転生者さん
見慣れないスレで新入りが困ってるのかと覗きに来てみたが、随分と頭が高いな。ハイお疲れ、解散解散〜
3:名無しの転生者さん
りょー
4:名無しの転生者さん
おk、解決したらまた呼んでや冷やかしにくるから
5:名無しの転生者さん
うわああああん!待って待って待って、本当に困ってるから偉大な先達方に助けてほしいだってば!見捨てるのだけはやめておくんなし!
6:名無しの転生者さん
しゃーないのー
7:名無しの転生者さん
偉大な先達か、そこまで言われちゃ仕方ない! とりあえず一通りの情報求む、それとコテハンつけときな
8:名無しの転生者さん
オンパロス編ってことは転生先はスタレか、ホヨバ系のゲームは割とモブ厳だし世界観とか作中の規模が割とヤバめだから転生しても下手すりゃあっさり死にそうで怖いな
9:一般ナナシビト
前回の三つのできごと!
一つ! ワイ、スタレ世界に転生した一般人
二つ! なんやかんやでオンパロス救ってハピエン
三つ! 解放され休暇を楽しもうと思ったら大ピンチ←いまここ
以上です、はよ助けて
10:名無しの転生者さん
なるほど、わからん
11:名無しの転生者さん
誰がオーズ風に纏めろと言った、今回が初スレなんだから前回もクソもないだろう
12:名無しの転生者さん
もっとkwsk
13:名無しの転生者さん
オンパロス救った奴が一般人な訳ない定期
14:一般ナナシビト
ではまずは俺が転生した経緯を軽く説明いたしまするか
テンプレ空間で順番待ちしてる時になんか隣に居た闇の帝王みたいな顔したハゲのおっさんと仲良くなったんよ。暇つぶしで喋ってたらあら不思議、なんとそいつ神さまだったみたいで
15:名無しの転生者さん
ほうほう…ん??
16:名無しの転生者さん
なるほど?
17:一般ナナシビト
そうとは知らずおっさんと「ホヨバのキャラってえっちだよね」「わかる」って推しと性癖を語り合ってたらおっさんが「けど可哀想なのは抜けない。でも推しをえっちな目で見て抜きたい」ってほざき出してオンパロス編の結末をご都合主義ハッピーエンドにする為に強制的にスタレ世界に転生させられました、以上
因みに俺はエッチなお姉さんキャラがタイプです童貞です
18:名無しの転生者さん
どちゃくそ同意
どうやら俺たちは“親友”のようだな、俺もマダムヘルタに顎で使われたり残業押し付けられたりな親密でムフフな関係になりたい
19:名無しの転生者さん
なんとなく理解、けど最後の情報は要らんかったな
20:一般ナナシビト
ヘルタは可愛いけどちっぱいだからちょっと…
正確にいうと俺はボンキュッボンなお姉さんのほうが性癖に刺さるから。それと残業は勘弁です、何度模擬宇宙関連で仕事を押し付けられたことか
21:名無しの転生者さん
は? ぶち56すぞ???
どうやら俺たちは“宿敵”のようだなマイフレンド。あの薄くて完璧な無駄の無い機能美が備わったボディがいいんだろ!? 俺だって残業押し付けられたいしゴミを見る様な目で見てほしいっ!!
なんて羨まっゲフンゲフン、けしからん!!
22:名無しの転生者さん
転生するついでに無理難題な面倒ごと押し付けられたパターンか、つまりイッチは夜のオカズへの罪悪感や背徳感その他諸々を解消する為に転生した…ってコト!?
23:名無しの転生者さん
ひんぬーのことを機能美っていうな
その何気ない一言は胸囲の格差社会の荒波に揉まれる俺を深く傷つける事になるぞ…!
24:名無しの転生者さん
大ピンチと言っても、転生特典とかチートはないんか? オンパロス救ってこいっていうくらいなら流石にあるやろ……あるよね?
25:一般ナナシビト
一応ある、けどいま陥ってる状況を解決できるような能力じゃない
26:名無しの転生者さん
ちなどんなチート能力なん?
27:一般ナナシビト
『「君の描く世界は皆が笑顔だねどうして?」「そうだったらいいなって」「ふーん、君は妄想がうまいな!」チキチキご都合主義みんなハッピーエンド大作戦♡』……っていう能力、それ以外にもいくつかあって、ちょくちょく神の加護という名の呪いもあるくらい
28:名無しの転生者さん
…なんて???
29:名無しの転生者さん
え、もしかしてそれがチート能力の正式名称なん?
30:名無しの転生者さん
こいつはたまげた、たぶん読んで字の如くって感じなのか
31:一般ナナシビト
俺もよくわかってないけど、オンパロスの難解でややこしい設定をぶった斬る為の救済特攻能力としか把握出来てない
でもこのチートのおかげでキュレネのループも因果もぶった斬って、ミュリオンもキュレネも解放して別個体としてその他諸々も問題なく存在できてはいるのでまさにご都合主義能力、でもかゆいところに手が届かなかったり発動までに条件あったりで使いにくいけど
32:名無しの転生者さん
そのチートってイッチ自身の直接的な強さに影響してるの? 武力だったり知恵だったり、脳筋パワーだけじゃどうにもならんこともあるべ
33:一般ナナシビト
正直に言ってそこまでって気がする
チート抜きな素の戦闘力で言えばスタレ世界基準でそこそこ上澄というか中の下といか、中堅くらいあると嬉しいかもって感じ、ネームド相手だと普通に苦戦するし、基本気合いと根性で押し切りだからマヂで疲れた…!
34:名無しの転生者さん
おつかれさんやで
35:一般ナナシビト
オンパロス編に強制介入する以前に転生した直後は銀河のどこかにランダムスポーンで治安悪いし、偶々列車組に拾われて仲間に入れてもらった時は安心感でマジで涙が止まらんかった
オンパロス現地入りしたと思ったらチートの所為で俺だけみんなと違う時代に生えてくるし、20回くらい永劫回帰には巻き込まれてランダムリスポーンする羽目になるし、主人公の星ちゃんの活躍を殆ど喰った所為かオンパロス組からは妙に好感度高いしファイノンからは相棒呼びされ始めた時なんか解釈違いで発狂するかと思ったわ。
お前の相棒は俺なんかじゃなくてそっちの柵ぺろゴミ漁り女なんだってば…どれもこれもそうなったのは全部のお前の所為だぞライコスゥゥ…!!
36:名無しの転生者さん
お、おう、そうか大変だったな
37:名無しの転生者さん
草
38:名無しの転生者さん
20回も永劫回帰に巻き込まれてたんか、あれって1回だいたい1000年くらいじゃなかったか?……よく正気でいられたなイッチ
39:一般ナナシビト
いや、普通に気が狂いそうだったけど、神の加護というかチートボディのおかげで狂えなかった、マジで加護という名の呪いだよこれ
40:名無しの転生者さん
……ヒェ
41:名無しの転生者さん
神さまっていつもそうですよね…! 私たち転生者のことなんだと思ってるんですか!?
42:名無しの転生者さん
暇つぶしの産物、代えのきく駒、もしくは音のなるおもちゃ、そんなところだろ
43:名無しの転生者さん
ひ、人の心とかないんか?
44:名無しの転生者さん
神にそんなものないんじゃね? 神話系の本とか読むと大体ロクでもない感じでしょ
45:一般ナナシビト
まあ、そんな事はどうでもいい!
終わりよければ全てよしっていうし、無駄話も長くなったが本題に入ろう、オンパロス編も終わって神の無茶振りから解放されて精神的にも疲れたから休暇という名目でチート製の宇宙船で列車を飛び出したんすよ
この宇宙船色んなとこにワープできるっぽくて、自由の身となりバカンスを満喫しようと宇宙を飛び回ってたらなんか前から光るタケノコが爆速で突っ込んで来て激突! んで近くの星に墜落する羽目になりました、なんだあの光るタケノコ絶対許さねえ…!
46:名無しの転生者さん
……はい???
47:名無しの転生者さん
何言ってんだオメェ…?
48:名無しの転生者さん
オンパロス編から解放された興奮でレスが早いと思ってたら、急にトンチキな事言い出したぞこのイッチ
49:名無しの転生者さん
激闘明けで幻覚見るくらい疲れが残ってるんだろ
50:名無しの転生者さん
……宇宙で光るタケノコか、なんかどっかで聞いたことある気がする
51:一般ナナシビト
いやいや、幻覚じゃないって!ほら!
【写真】
52:名無しの転生者さん
わーお、宇宙船らしきものが砲弾でぶち抜かれたみたいになってる、良くその状態で生きてたなイッチ。というか墜落の影響か周りもすごいことになってるな
53:名無しの転生者さん
しわくちゃなピカチュウみたいな顔した金髪イケメンが大破した宇宙船バックに自撮りしてて草
54:名無しの転生者さん
あらやだイケメンじゃない、どこぞの獅子心王みたいな容姿してるわね
55:一般ナナシビト
なんか例えばオンパロスを救う人物が種付けおじさんみたいな嫌悪感を覚える見た目してたらやだろ、って強制的に神好みのどちゃくそイケメンにさせられた。
56:名無しの転生者さん
なるほど。つまりイッチの前世の姿は……!?
57:一般ナナシビト
違いますぅぅぅ! クラスで三番目くらいにはフツメンでしたっ!!
58:名無しの転生者さん
これがイッチの言ってた大ピンチってわけか
その星の文明レベルどれくらいなん、辺り一面森っぽいけ近くに助けを求められそうな街とかないんか? もしくはイッチの仲間に連絡入れるとか
59:一般ナナシビト
無理、連絡できたら最初からそうしてる
周辺は軽く見て回ったけどなんもない、マジで緑一色というか土地勘なさ過ぎて迷子になりそうで草も生えない、それとこの星特有の生物なのか海辺で喋りかけてくるナメクジみたいのと言葉の伝わらない原始人みたいのが居たけど怖過ぎてダッシュで逃げた
60:名無しの転生者さん
なんだ原始人と喋るナメクジって…もっと詳しく生態系を調べてこいこのチキンめ
61:名無しの転生者さん
なんか既視感あるなと思ってたけど、それって実は『超かぐや姫』だったりしない? でもイッチの転生した世界ってスタレなんだよな?
62:名無しの転生者さん
なにそのスーパーかぐや姫って?
63:名無しの転生者さん
“スーパー”じゃなくて“ちょう”だよ、超と書いてスーパーって読むなドラゴンボールじゃないんだぞ、あとナメクジじゃなくて多分それウミウシな
64:名無しの転生者さん
なんだ違うんか
65:名無しの転生者さん
まあ暫定だが、とりあえずイッチその喋るウミウシを死に物狂いで探してこい、現状解決の糸口になるかもだぞ
66:一般ナナシビト
え、ヤダよ
そのスーパーかぐや姫とかいう大筒木一族を探すならともかく、なんで喋るウミウシとかいうUMAを探しに行かなきゃならんのじゃい、絶対メリットないし俺ってホラーとかオカルトの類は苦手なんだって
67:名無しの転生者さん
ばかもーん!そいつがかぐや姫だー!!ウミウシに化けて(この時代に)転がり込んだんだ!パツキンイケメンの癖して中身が美少女かも見破れんのか、穀潰し!
68:名無しの転生者さん
ほれ走れ、ダッシュしろダッシュ! 詳しい話は仮定が間違ってなかったら追々でちゃんと教えてやるから! な!? それともイッチは孤独に苛まれる少女を見捨てるのか!?
69:名無しの転生者さん
あー、因みにその喋るウミウシ、人の姿に戻るとCV早◯沙織の幸薄系な銀髪美少女に変身するぞ。ほら、あとあれだ、イッチが好きなボンキュッボンなお姉さんに進化するかも…きっと、多分
70:一般ナナシビト
マジで!? 行ってくりゅ!
ゲフンゲフン…じゃなかった、こんな危険そうな場所に幼気な少女を置き去りにするなんてナナシビトとして見過ごせるわけないもんな! うっひょー! 今いくぜスーパーかぐやちゃん!!
71:名無しの転生者さん
……よくわからんが、イッチがアホで助かったな
72:名無しの転生者さん
というか転生した世界とは別の世界に転移しちゃうのって大丈夫なの?
73:名無しの転生者さん
あんまり珍しくないというか、割といるっぽいよ? 俺たち転生者自体が世界から“浮いてる存在”らしいし、世界の壁越えるのとか結構ガバガバ判定みたいよ
気がつくと私は誰も居ない砂浜にいた。
なんでこんなところにいるのか。
彩葉の歌声が聞こえて、それから自分が地球で暮らしていたことを全て思い出して、それで、それで……自分の複製を作りもう一度あの場所へ行くために舟を作り準備して高ぶる気持ちを押さえられず歌いながら出発したのだ。
そうだ、それから間も無くして、隕石にぶつかって……いや違う、それだけじゃなくて航路上の隕石の近くにあった正体不明の何かに衝突して、それで、それから……時間遡行を可能とするピーキーな装置類が誤作動を起こしたんだ。
……そっか、ごめん彩葉。
私ってば失敗しちゃったみたい、そんな呟きは声にはならず消えてしまう。
叫ぼうとして気がついた、どうやら声も出せないらしい。身体を動かそうにも四肢を動かす感覚はなく、その機能さえ消えてしまっているようだ。
ぶわっ、と全身の産毛が逆立つような感覚。
月人は肉体を持たない思念体だ、だからこの月製の舟『もと光る竹』には着陸した星の環境を調べ上げ最適化された肉体を乗員へ付与する機能がある。
だけど、その機能が死んでいるのか『擬態』することすらできない。このままでは私は依代を持たず一生肉体のない幽霊のような状態だ。え、うっそヤバくない?
どれだけ『もと光る竹』へ語りかけても応答はない。
声も出せず、姿も見えず、この場から離れることもできない。それに加えて自分で作り上げ、プログラムした最強の外殻によって消えることもできない。
徐々に思考がクリアになっていき、状況を整理して理解していくごとにどうしようもなく自分が『詰んでいる』ことを理解させられ崩れ落ちそうになる。
……ああ、ドジっちゃったな。
じわじわと全身を蝕むように、絶望していくのにそう時間は掛からなかった。
────それからどれだけ時間が過ぎたのか。
1分か、それとも10分か、もしくは1時間以上か、いやきっとそれ以上だ。だんだんと時間の感覚が狂っていき、朝が来て夜が来て変わり行く季節と日付を数えるのも億劫になってしまった。
目の前の現実を理解することを拒むかのように、歌を口ずさみながらただ呆然と景色を眺めていた。
ねえ、ヤチヨ……どこかにいるんでしょ、お願いだからたすけてよ。
返事なんて返って来るわけないのに何度もそう願った。
同じフレーズを何百、何千回、もう何度リフレインさせただろうか。そんな時だった聴覚が何かを捉えた。
それは声だった、若い男の人の声だった。
いつの間にか砂浜には私以外の誰かがいた、ブツブツと何かを呟きながらまるで何かに絶望するかのように呻き声をあげて悲鳴を発している。
……え、なにごと???
黒い現代的な衣服。
跳ねた金髪で、長い髪を三つ編みにしている男の子は、なんだか淀んだ空気を纏いながら頭を抱えてその場を行ったり来たりしていた。その様子を見て、彼もまた困った出来事に直面しているのだろうと察した。
なんだが嫌なシンパシーを感じる。
なんて暫く右往左往する青年を眺めていたが、やがて肩を落として青年はトボトボと離れて行ってしまう。そんな彼の背中を見送り……。
───って呆けてる場合じゃない!
遠ざかっていく背中にあるはずの無い手を必死に伸ばす。
だめだ、行かないでほしい。ここにいて、お願いだからひとりにしないで、私の話を聞いて。そんな願いも虚しく青年は遠ざかっていく。
姿が見えなくなってしまう寸前、私のそんな思いが通じたのか。
私の意識はウミウシに擬態して肉体を得た犬DOGEの身体へと入り込むことができた。
「お願い待って!」
青年はゆっくりとこちらを振り返った。
驚いたように目を見開く姿は、初めて彩葉と言葉を交わしたあの夜、驚愕に染められていた彼女の姿を連想させた。それと同時に青年の様子から彼に私の言葉が通じていることを理解した。
思念体の月人にとってご当地言語の解読と再現はそう難しいことではない。ただ今の私の、この不自由な身体では十分な発語は出来ず意思疎通は困難を極めるものだった。
だがそれでも青年には私の声が届き、反応を示してくれた。
その事実に、孤独に苛まれ冷え切っていた私の心は温もりを取り戻していき。
「……な、ナメクジが喋ってる……ッ!??」
「………はあっ!!??」
こいつぶっとばしてやろうかと本気で思った。
感動は一瞬で吹き飛んだ。
誰がナメクジじゃい、どっからどう見ても可愛い可愛いウミウシでしょうが!? そんな私の憤慨をよそに、暫く固まっていた青年はパチンと自分の頬を叩いて
「スゥー……なんだ、やっぱ疲れたんだな俺。そりゃそうか、ずっと激闘続きでろくに休む暇もなかったしな。よく考えてみればナメクジが喋るくらいどうってことないか、喋るキメラやケーキに折り紙の小鳥、二足歩行のゴミ箱もいるんだ。こんなことで動揺するなんてやっぱ疲れてるんだって」
なんかすっごい早口で喋ってる。
というかナメクジじゃなくてウミウシだってば! なんて思っていると、突然視点が高くなり見渡せる視界が広がった。どうやら私の身体は青年に摘まれて持ち上げられているようだった、まさか連れて行ってくれるの…?
なんて思っていたが、ちょこんと大きな石の上に乗っけられた。
「んじゃ、元気で! 俺も忙しいからまた今度な! お互い必死に生きてればいいことあるって!」
「え……ええ!? ちょ、ちょっと待、って足速ッ!?」
彼は私にサムズアップを送るとあっという間に居なくなってしまう。ウミウシの身体を引きずって追いかけようにも、あまりの速さに一瞬で距離を離されて見えなくなってしまったのだった。
───え、うそでしょ?
こうして何年ぶりとも言える人間との、青年との邂逅は一瞬で終わってしまった。
………。
……。
…。
「……この一瞬を、最高の……うぅ」
そしてまた、呆然と目の前の景色を眺める時間が戻って来た。
別にこの場所に生息している人間は彼だけだと決まったわけではない、他の原住民を探すことはいくらでも出来る……しかし気持ちの切り替えはそう簡単に上手くは出来なかった。
なにせ漸く巡り会えたチャンスと言ってもいい、この不自由な身体で意思の疎通ができる相手には逃げられてしまったのだ。きっと怖がらせてしまったのだろう、なにせ今の私はウミウシの身体であり本来喋ることなんてできない生物なのだから。
だからといってあんな風に逃げなくてもいいじゃん…っ。
でも、もし他の人と出会っても同じように逃げられてしまうかもしれない、そう考えると沈んだ心は浮き上がって来てはくれなかった。
そんな時だった、日が沈んだ暗闇の中でパキッと枝がへし折れる音が聞こえた。その乾いた音に思わずビクンと反応して小さく悲鳴をあげてしまう。
───冷や汗が流れる。
今の私は無力なウミウシの身体だ。恐る恐る振り返ってみれば、そこには昼間見た金髪の青年が灯りを片手に持ち立っていた……え?
「……ん? おお、よかったよかった! 置いて行った俺が言うのもあれだが、他の動物とか生き物に喰われたりしてるんじゃないかとちょっと焦ったぞ。それはそうと黄昏てたみたいだけど、どうしたん?」
「───……」
「あー、それとその、昼間は悪かった。正直に言って俺も混乱してたというか、自分のことで手一杯で余裕がなかったというかだな」
「………」
「…えーっと、なんで黙り込んでるんだ? もしかして別個体だったか? いやでも、気配は昼間見かけたやつと一緒だしな。おーい、もしもーし?なんとか言ってくれー」
「……も」
「も?」
「もどっでぎでぐれだあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「うお!? 急に汚い泣き声あげながらくっつくな! わかった、わかったから落ち着け! 俺が悪かったってば!!」
「う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
たぶん、続くんじゃないかな?
執筆中その作品の用語とか設定を使う際に、なんとなく気になりました。
-
『超かぐ』も『スタレ』も知ってる!
-
超かぐや姫!しか知らんで!
-
崩壊:スターレイルしか知らんで!