うわっ、前からタケノコが!!   作:七夕ナタ

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 感想、評価、ここ好き、誤字報告ありがとうございます。

 寝込んでて更新止まってました。
 GW明けに休み入れてたのに体調崩して何もできずに終わりました、かー、クソだぜ!

 
本編に全然関係ないネタ
 開拓者→バットラクーン
 なのか→なのうさ
 丹恒→ワンこう
 イッチ→ポムケン






眠れない夜があるのだから、起きれない朝も許してクレメンス

 

 

 

1:一般ナナシビト

 えー、ヤチヨカップなるイベントが開催されました。

 参加資格があるのは『ツクヨミ』の全ライバー、1ヶ月という短い期間の中で最も多くの“新規ファン”を獲得した人が優勝となるそうです。優勝者にはなんと、トップライバー兼管理人の月見ヤチヨとのコラボライブの権利を進呈、だそうです。

 ……これって割と、もしかしなくても出来レースなのでは?

 

2:名無しの転生者さん

 ソウダゾ、なにせ同じ輪廻を繰り返してますので。実質永劫回帰だぞ

 

3:名無しの転生者さん

 ヤチヨちゃんとのコラボライブってそこまですごいのか?

 

4:名無しの転生者さん

 そりゃヤッチョちゃんトップライバーだろうし、今まで他のライバーとコラボすることはあってもライブはいつも1人だったそうですよ

 

5:名無しの転生者さん

 そーいう運命だから、こういうのは最初から誰になるかだいたい決まってるんですよねぇ!!

 

6:名無しの転生者さん

 イッチがいる事でその運命にどう影響するか、っていう可能性もあるやろがい!

 

7:名無しの転生者さん

 ほえー、そうなんか。じゃあライブ楽しみにしてるからイッチも俺たちがライブ鑑賞できるようにいつも通りに掲示板配信頼んだわ

 

8:名無しの転生者さん

 まあ、『新規ファン』っていうのがミソですから。ほぼ出来レースみたいなもんとはいっても、それを可能にするかぐやちゃんの実力ありきというか、あってこその運命ですので

 

9:名無しの転生者さん

 んじゃ、イッチにはライバーとして今から活動してもらうとして俺たちがプロデュースしてトップライバーに押し上げるか! こちとら学マスPやぞ任せとけ!

 

10:名無しの転生者さん

 草。いやイッチを優勝させてどうすんねん。ちょっと面白そうだけどやめとけ

 

11:名無しの転生者さん

 でもイッチが優勝してヤチヨちゃんとコラボライブすれば輪廻に歪みが生じてかぐやちゃんの月からのお迎えもワンチャン来なくなるのでは? あのライブって一種のターニングポイントでしょ?

 

12:名無しの転生者さん

 だとしてもダメだろ。既にイッチが居る所為で輪廻は歪んでるんだろうけど、深入りしすぎるとタイムパラパラでヤッチョちゃんが消えちゃう可能性もあるし…

 

13:一般ナナシビト

 >>9 ライバーデビューは面倒くさいので絶対嫌です。

 というか、“月からの迎え”とか“ヤチヨが消える”ってどういうこと? 悪いけど多分初耳だからそこら辺もわかりやすく説明してくれ、いまいち理解できてない

 

14:名無しの転生者さん

 え、イッチ知らなかったんか? そっかイッチ原作未読勢だったな、そういや

 

15:名無しの転生者さん

 え゛誰だよイッチに“ほうれんそう”ちゃんとしてなかったやつ…!

 

16:名無しの転生者さん

 俺たちはてっきり8000年の旅の間にヤチヨちゃんから聞いてるものだと、ヤチヨちゃん本人からは何も聞いてないの?

 

17:名無しの転生者さん

 簡単に言うと、かぐやちゃんってば月での重要なお仕事をほっぽり出して地球に遊びに来ちゃってるから、それが上司に見つかって強制送還というか。コラボライブの日に向こうから接触してきて、そんで2030年の9月12日の卒業ライブに月からお迎えが来て連れ戻されちゃう…って感じ

 

18:名無しの転生者さん

 そっから月のお仕事片付けて、もう一度地球に戻る為にタイムマシンで帰ろうとするのよね。本来なら隕石か何かに当たって失敗、イッチの居る世界線だとそっから更にイッチの宇宙船に衝突事故起こして不時着ってわけやな

 

19:名無しの転生者さん

 そういえばそんな感じの展開だったっけこの先のお話、『超かぐや姫!』視聴したのがだいぶ前のことだから殆どうろ覚えだわ

 

20:一般ナナシビト

 あー…なるほどね、サンクス。だからヤチヨがタイムパラパラで消えちゃうって話に繋がるってわけか。そういや結構昔にヤチヨからかぐや時代の時の話を聞いた時に言ってた覚えがあるような気もする…多分

 

21:名無しの転生者さん

 しっかりしてくれおじいちゃん、ボケるにはまだ早いぞ

 

22:名無しの転生者さん

 まあ月からのお迎え軍団はイッチが居ればどうにかできるかもしれんが、だとしてもそれが最善ってわけにもならなそうだしな〜

 

23:名無しの転生者さん

 はい、暗い話はヤメヤメ!

 月のお迎え云々はまだ先の話だし、どうせなら明るい話しようぜ! じゃないと俺があのワンシーンを思い出して泣いちゃうぞ…!

 

24:名無しの転生者さん

 せやな! この話は一旦やめやめ…イッチは何か進展あったんか? ヤチヨカップ開催となるとかぐや姫ちゃんはツクヨミにログインしてヤチヨミニライブ終わったってことやろ

 

25:一般ナナシビト

 せやな、ミニライブも終わって一緒に見に行った彩葉嬢は隣でヤチヨと握手して挙動不審になってましたね。推しに迫られ会話の話題に彩葉嬢が困ってるタイミングでヤチヨの方から日常的な話題を振った時に、“ヤチヨ”ではなくて“チヨ”として会話に墓穴掘りそうになって焦ったが大丈夫だったぽい。

 ヤチヨに関しても早々に正体バレするもんかと思ってたが、案外バレないもんなんだな。そして俺はミニライブ終了と同時にミニマムヤッチョの大群に押し寄せられてつぶされてました。あれやられるとピクミンに運ばれる気持ちになってる。

 彩葉嬢が羨ましそうに見てたが、羨むほどの物でもないから見てないで普通に助けてほしい。

 

26:名無しの転生者さん

 イッチ、ライブに行くと毎回押しつぶされたり会場の外の湖に投げ飛ばされたりしてないか? この前なんてライブ中、幼女サイズのヤチヨちゃんのことずっと肩車してたでしょ? 背中にはコアラみたいに引っ付かれてたし

 

27:名無しの転生者さん

 草、側から見たら意味わからん光景すぎて絶対に周りの人に顔を覚えられてるだろイッチ。悪目立ちしないように気をつけるんやで、ネット世界は色々と怖いからな

 

28:名無しの転生者さん

 だからイッチがライブ行く時だけ毎回変なスキンをランダムで着てたのか。なるほどね、理解したわ。あの変なカートゥーンみたいな気持ち悪いスキンをそういう趣味で使ってんのかと思ってた

 

29:名無しの転生者さん

 あー、あの目ん玉が飛び出た気味の悪いマスコットみたいな衣装はそういうことだったのか

 

30:名無しの転生者さん

 イッチのシェアスクリーン時に聞こえた忠犬オタ公ちゃんの解説を聞く感じ、ファンの間でもイッチ認知されてるっぽいな。ツクヨミ関係者ぽい感じに思われてるのか

 

31:一般ナナシビト

 気持ち悪いスキンとはなんだ、可愛いだろあのスキン。というか俺ってファンの間で認知されてるのか、あんま目立ちたくないからスキン被ってたんだが…もしかして逆効果だったか?

 

32:名無しの転生者さん

 そりゃ視界の隅で変なゴブリンみたいなのがピクミンの大群に運ばれてたら嫌でもそっちに視線が行くだろうよ。俺が鉢合わせたら絶対にカメラ向ける自信あるもん

 

33:名無しの転生者さん

 いや、可愛くはないだろ。あれがキモカワだとしてもキモさ7割くらいだろあのスキン

 

34:名無しの転生者さん

 やっぱ趣味だったんかあれ…(引き

 

35:一般ナナシビト

 そういや聞きたいことがあったんだが、配信者…というかライバーって何するんや…? そういう経験なんてないもんだから謎が多すぎて

 

36:名無しの転生者さん

 んー? そりゃ、文字通り生配信とか実況動画とか解説とかetc.じゃないの?

 

37:名無しの転生者さん

 俺たちに聞くよりも絶対に他に適任がいるぞイッチ

 

38:名無しの転生者さん

 陰に潜むワイらがライバーなんて陽の当たる場所で活動する者たちのことなんてわかるわけないだろ。そう、ワイらは陰に潜み陰で蹲る者…! 彼奴等とは住む世界が違うのさ…!ウオマブシイ!

 

39:名無しの転生者さん

 あらやだイッチさん、質問する場所間違ってますわよ? そんな経験がある奴がこの掲示板に集まってるわけないじゃありませんの、おほほほ!

 

40:名無しの転生者さん

 草、絶対に現役トップライバーのヤチヨちゃんとかに聞いた方が早いゾ

 

41:一般ナナシビト

 すまん、それもそうだった。この掲示板って結構役立たずが多かったってことを忘れてたわ。人には向き不向きがあるっていうし、あんま気にすんな

 

42:名無しの転生者さん

 おっと、心は硝子だぞ?

 

43:名無しの転生者さん

 言葉は選べよ、泣いちゃうぞ?

 

44:名無しの転生者さん

 なんや、イッチもやっぱりライバーデビューするんか?

 

45:一般ナナシビト

 いや、だからライバーデビューはしないって

 かぐやが「ライバーになるにはどうすればいいの?」って聞いて来た時に、よくわからんくて質問に答えられなかったからどうしたもんかと思ってな。それとメリットデメリットをよく知っておけば断る時の良い言い訳になると思うし

 ヤッチョに聞くとなると、向こうから一緒に配信しようっていう提案を断ってる手前、こっちから興味を示すようなことすると外堀埋めてきて一気にライバーデビューまでの道筋を舗装されそうで怖いというか…。

 

46:名無しの転生者さん

 もう諦めて配信者になれよナナシビト

 

47:名無しの転生者さん

 そこまでやりたくないんか

 

48:名無しの転生者さん

 『聖剣で島消し飛ばしてみた』で配信なり動画投稿なりすれば一気に有名人になれるぞイッチ

 

49:名無しの転生者さん

 それはもう過去にやらかしてるんだよなぁ…

 

50:名無しの転生者さん

 なつ、あったなそんなことも。

 

51:名無しの転生者さん

 島が消し飛んだことに慌てふためくウミウシかぐやちゃんの隣で「ほら、生き残りに報復とかされたら怖いし確実なトドメってことで…」とかなんとかで、テンパりながらもう1発『DXエクスカリバー』ぶち込もうとしてたのは声出して笑ったわ

 

52:名無しの転生者さん

 草、殺意が高すぎるよイッチ

 

53:名無しの転生者さん

 え? そんなことあったんか、知らんかったわ

 

54:一般ナナシビト

 いや、それはほら、あれは聖剣の神々しさで孤島が蒸発したというかなんというか、カタログスペック以上の火力に俺も驚くしかなかったというか……どっちかというと、おもちゃ注文したら超火力兵器を渡してきたヘルタが悪いと思う。うん、俺は悪くないでしょ

 

55:名無しの転生者さん

 ヘルタお姉様のせいにするな

 

56:名無しの転生者さん

 でもお前オンパロスでも聖剣ビームぶっ放してたんだろ? 自分の武器の火力くらいちゃんと把握しとけよな、鉄墓にダメージ与えるようなビームにただの孤島が耐えられるわけないだろ!!

 

57:名無しの転生者さん

 え、オンパロス内でも聖剣ぶっ放してたんかイッチ…

 

58:一般ナナシビト

 いや、確かに聖剣パナしてたけど、あの時は極限状態だったというか、ゴリゴリにチート能力モード上乗せして使ってたから、まさか素の状態であそこまでバ火力になってるなんて思ってなかったんだって!

 

59:名無しの転生者さん

 そんなバ火力兵器を手品感覚でポンポン使うんじゃありません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 ───それはつい先日の出来事だった。

 

 

 「リンさんは、ライバーとしての活動とか興味ないの?」

 

 「え?……急にどうした」

 

 「いや、ふと気になってさ」

 

 

 とある日、場所は『ツクヨミ』内でのことだ。

 ツクヨミのゲームモードのひとつである『 K A S S E N 』のステージにて、『 S E N G O K U 』モードの3対3の三本勝負をフレンドであるアキラくん……この仮想空間ツクヨミの中でも、トップクラスの実力を持つ人気プロゲーマーチームである通称『黒鬼』と呼ばれる『Black onyX』のリーダーである帝アキラとそのチームメンバーたちと遊んでいた時のことだった。

 

 ありがたいことに、あの日の邂逅以降もこうしてちょくちょく声をかけてくれたりで一緒に遊ぶことも多く良好な関係も続いている。それからアキラくん経由で他のメンバーとも何度か顔を合わせる機会もあった為、今では黒鬼のメンバーとは良き友人と成れていると思う。

 

 ───そして今回、3対3というゲームの仕様上、俺、アキラくん、雷くん、乃依 くんという4人で遊ぶとなると1人溢れてしまうのでローテーションを組みながら『 S E N G O K U 』モードで遊んでいるとアキラくんがそんなことを言ってきた。

 

 思わず目が点になる。

 隣にいるツノを生やした赤髪のアバター姿の青年に「何言ってんだコイツ」と視線を向けながら、身振り手振りでその提案を否定する。

 

 

 「俺が、ライバー……いやー、ないないない、ないわ〜」

 

 「そう? ゲームプレイに関しちゃはちゃめちゃでセンスもズバ抜けてる、トーク力だって悪くないしリアクションも十分面白い。勿体無いからライバーになりゃいいのに、いっそのこと俺たちと一緒に活動する?」

 

 「無理無理。俺が『よう、子うさぎども!』とかオレ様系で行くのはちょっと、なんかこう、キモいというか生理的にムリ。それよりアキラくんからの俺に対する評価が高くて驚いたんだが? 誰それ、別の誰かと勘違いしてない? もしかしてスマコンぶっ壊れてる?」

 

 「おいおい、生理的に無理とか言うなし。え、いま遠回しに貶されてたりするの俺?……というか、弾丸斬り落としたり、すれ違い様にエグい攻撃してくる奴なんてリンさんくらいしかいないんだから間違いようないだろ!」

 

 「でもアキラくんだって弾丸斬り落とすのできるようになったじゃん」

 

 「そりゃもうお陰様でな! あれだけスパルタ方式で教え込まれたら嫌でも身につくっての…!」

 

 

 なんだ不服そうな顔して、初めて成功した時滅茶苦茶はしゃいでたの俺は忘れてないからな? なんなら録画だってしてたし、乃依くんと雷くんにあの時の映像は横流し済みだぞ?

  

 それにスパルタ方式とは言っても、そこまで酷いものじゃない。俺だって別に鬼ではないのだ、いきなり飛んで来た弾丸を見切って叩き落とせなんて言われても難易度が高いだろう。

 

 なのでアキラくんを十字架に吊るすように磔にした後、まずは飛んで来る物体の速度に慣れてもらおうと思い、動けずにいるアキラくん目掛けてスレスレに調整しながらゲーム内に武器として存在していた機関銃をぶっ放しただけだ。

 

 しかしゲームとは思えないほどの真に迫ったクオリティだったな。撃ってる側も中々な迫力だった、弾丸を飛ばしてるはずなのに連射性凄すぎてビームみたいになってたし。

 

 

 「とにかく、ライバーとか無理! 誰に何言われても、こーいうのは絶対に向いてないって自分が一番わかってるもんなの。俺はせいぜいツクヨミの一般ユーザーが性に合ってるって」

 

 「えー、いやいや。『黒鬼』の動画に匿名ゲストで()()してたり、プライベートルームに入り浸ってるのに今更一般ユーザーは無理があると思うんだけど〜?」

 

 「……確かに、それは俺も思っていた」

 

 「い、いやいや、そこはまだセーフでしょ。配信には出てないし、動画って言ってもモザイク加工やらボイチェンなんかの編集済みだし。俺の立ち位置は偶に出てくる可愛いスキンで正体を隠した『黒鬼』のマスコットみたいなもんだろ」

 

 「そのキモいスキンで『黒鬼(うち)』の可愛いマスコット枠を自称するのは普通に無理でしょ♡」

 

 

 なんてこと言うんだ乃依(こいつ)……っ!

 

 俺のこのスキンのどこがキモいと言うのだ。見てみろこの完璧なフォルムを! パッと見は全身を包むキツネのただの可愛いスキンに見えるが、カスタマイズ機能によって製作者の溢れ出る個性で彩った完璧なスキンだぞ!

 

 見てみるがいい。ボブルヘッド人形のように稼働する頭部、充血した円なお目々は首の振動に合わせてグリングリン動くカートゥーンキャラのように飛び出した目ん玉、大きく開いた口からはだらしなく舌が突き出ているのがチャームポイントだ。

 

 どっかどう見ても可愛さ溢れるスキンだろ? ピノコニーのクロックボーイとタメを張れるくらい可愛いと自負しているんだが?

 

 

 「……おぞましいな」

 

 「いきなりこっち振り向いて変なポーズ決めるのシンプルにホラーだからやめてくんない?」

 

 「とはいえ、うちのファンからも謎の人気があるのは確かなんだよな。妙な中毒性というか、最新のコメントでも配信には出ないんですか? なんてのもあったし」

 

 

 ぴえん、そこまで言わなくてもいいじゃん。どうやらこのスキンの良さを誰もわかってくれないらしい。この狐スキンの尻尾を高速で回転させれば、テイルスみたいに空だって飛べるからすごいんだぞ?

 

 というか配信には出ません。動画に出演したのだってほぼ事故というか、いつの間にか撮影されていた物が事後承諾みたいな形で投稿されてただけだし。

 

 あれは役者の裏側というか、NGシーンとかメイキング集に映り込んじゃったようなものだ。

 

 

 「そもそも、仮に俺がライバーになるとしてだ。どんな感じのライバーとしてやってけっていうんだよ、ツクヨミのライバーなんて属性過多で渋滞してるだろ」

 

 「うちで一緒に配信すればいいじゃん?」

 

 「それはない、絶対に無理」

 

 「うーん、自称ワインのソムリエとしてお酒紹介してみれば?」

 

 「それもネタが被ってるだろ。テリリ、テリテリ……なんだっけ、あの十刃(エスパーダ)みたいなカッコいい名前した女の子と被っちゃうじゃん、向こうはちゃんとした資格あるけど……というか酒は普段あまり飲まん」

 

 「…そもそも、俺たちは普段お前が何をやっているか知らないからなんとも言えないな」

 

 

 確かに、それもそうか。

 こうしてツクヨミ内で遊んだりお喋りしたりする事は多いが、リアルの話はあまり話題に出さないし会ったこともないんだよな。俺もこうしてライバーとして活動してる3人のことは知っていても、普段オフで何やってるかとかも知らないしな。

 

 しかし普段何をやっているか、か……カフェにバイト行くかヤチヨに振り回されるか、くらいしか脳裏を過らないのだが。

 

 しかし普段やっていた事をライバーの活動として取り入れるならば。

 

 

 「……か、『開拓』系のツクヨミライバー…?」

 

 「へー、そりゃ初耳。なんの開拓してんの、グルメスポットとか?」

 

 「……銀河とか?」

 

 「おっと、いきなり規模がデカくなったぞ」

 

 「と、というのは冗談で。一緒にいた友人たちと旅行というか旅というか、色々と他の国?……他の国を見て回った経験は多いぞ、うん」

 

 「……その話、少し興味がある。できれば詳しく聞かせてくれるとありがたい」

 

 

 おっと、なぜか雷くんの食いつきがいいぞ?

 口数は少ないがノリがよく寡黙でクールキャラといった印象だったが、何やら目を輝かせてグイグイと迫って来ている。普段の様子からはあまり想像できないような姿に思わずたじろいでしまう。

 

 え、君そんな感じのキャラなの?

 詳しく話す分には全然構わないんだが、正確には他の国の出来事ではなく別の惑星での出来事だしな。ぼかして伝えるくらいしかできんのだが。

 

 その上で伝えやすい場所といえば。

 

 

 「うーん、思い出補正というか印象に残った場所だと『ベロブルグ』っていう見渡す限り雪景色だった場所が結構記憶に残ってるな。すげー吹雪で遭難しそうになったり、その国独自の加熱機のおかげで暖も取れたな」

 

 「ほう……!」

 

 「雪山の中にいたちっちゃいクマが可愛いかったな。あとは指名手配されたせいで警備の奴らに追いかけられて街中逃げ回ったりもしたな

 

 「へー……ん? ちょっと待って? 今なんて言った?

 

 「その時の風景写真とかあるし、興味があるなら今度見せようか?」

 

 「ああ、是非とも頼みたい」

 

 「いやいやいや、おかしいだろ。なんで普通に会話してんだ、今明らかに聞き逃がせない話が出てこなかったか? 絶対にいま指名手配とかなんとか言ってたよな?」

 

 「帝ちゃんさぁ、興奮するのはわかるけどもうちょいテンション下げれば? いい大人がはしゃいでるのはしょーもないよ? 冗談の一つや二つ、話のタネにするでしょ〜」

 

 「いや、絶対に冗談とかじゃなかっただろ。マジトーンでサラッと指名手配とか言ってたじゃん!?」

 

 

 何やらアキラくんが喚いてるが、チョットヨクワカラナイデスネ。ナナシビトなんだから指名手配の一つや二つは日常茶飯事だぞ? 降り立った惑星で暖かく出迎えてくれる方が稀だゾ。

 

 いきなりの戦闘で原住民に手を貸して怪物を倒しても、その後拘束されて尋問なんて展開もあるんだから……ね、ライアちゃん? あそこで憤慨して即帰宅なんてしたら銀河全体がBADENDコースなんて思うわけないじゃん。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 

 「……で? なんでお前はここにいるんだ?」

 

 「彩葉がバイトに行っちゃって暇だから遊びに来た! ここなら配信しても壁ドンされないしリンと一緒に遊べるから一石二鳥っ! いやーん、かぐやちゃんってば超天っ才〜!」

 

 「なるほど……因みに鍵はどうした?」

 

 「そりゃもうちょちょいのチョイで…わー、嘘嘘! 彩葉とチヨからも許可はもらって遊びに来てるってばー! グヌヌ、いきなり実力行使で引っ張り出そうとするのは無しでしょー!……ふげっ!?」

 

 「なんだ、それならそうと言ってくれ。危うく家に侵入して来た不審者かと思って外に叩き出すところだったぞ」

 

 「言う前に動いてたじゃん…!」

 

 

 あの後、アキラくんたち『黒鬼』としばらく『 K A S S E N 』で暴れ回った後に彼らはもうすぐ配信時間だからということで、また今度遊ぶ約束をしてお開きとなった。「一緒に配信する?」なんて誘われたが、もちろん答えはNOだ。

 

 オフの日に一緒に遊ぶならともかく、彼らの仕事というか勤務時間中に配信へ乗り込む訳にもいかないだろ。というかそういうのって勝手に決めていいもんなのか? 一応スポンサーとかがついてるグループなんじゃないのか『黒鬼』って。

 

 まあそんなこんなで勧誘を断り、逃げるようにツクヨミからログアウトしたのだが……なぜかリビングには寝転がりながらノートPCを開いているキュートな悪童の姿があった。

 

 どこから侵入して来たんだこいつ、なんて思っていたがどうやらヤチヨが家の中に入れてあげたらしい。酒寄がバイトで不在の為か、こっちへ遊びに来たようだ。

 

 そしてこのお転婆かぐや姫を家の中に招いたヤチヨはというと、かぐやを招くだけ招いて隣のサーバールームへ逃げ込んだようだ……あいつ、もしかしてかぐやに対して苦手意識でもあったりするのか?

 

 まあ、よくわからないが。どうせ過去の自分を見ておセンチにでもなっているのだろう。

 

 数日前にあった、ヤチヨとかぐやのやり取りを思い出す。

 

 

 『……かぐや、今からとても大事な話をするから。私の話をよく聞いてね?』

 

 『お、おぉ…? チヨってば急に真面目な顔するじゃん、どしたん?』

 

 『そりゃ、大事なことですから! いい、かぐや……私のことは今からお姉ちゃん……いえお母さん、もしくはママとお呼びなさい

 

 『はえ?』

 

 『そしてあそこにいるクソボケのことはパパと呼ぶように

 

 『えぇー? よくわかんないけど、面倒見てくれてたリンのことをパパって呼ぶのはなんとなくわかるとして、でもその理屈でいくとママのポジションはチヨじゃなくて彩葉じゃない?』

 

 『ぐえぇっ!!? そ、そうなんだけど違うっていうか、私的には看過しちゃいけない問題なの〜! うぐぐ、許さん。許さんぞクソボケ…!』

 

 『でも彩葉は彩葉だしなんか嫌だな〜……うん、やっぱなし!

 

 

 なんてよくわからないふざけたやり取りをしていた。というか誰がパパじゃい、こちとらバキバキ童貞だぞ? 都市伝説だと30歳まで童貞なら魔法使いになれるらしいが、その計算でいくと俺は魔法使いどころか仙人…いや神とかの領域にいるぞ?

 

 30年どころかオンパロスの永劫回帰含めると何万年以上は童貞だぞ……いや、悲しくなって来るからこの話題はやめよう。

 

 出会いがなかったわけじゃないんだ、きっと、うん。けどそんな余裕もなかったというか、邪神の嫌がらせで永劫回帰中にそういう雰囲気になったり関係になったら爆発して死ぬ呪いがあったから気が気じゃなかったというか、今は解放されて大丈夫だけど……うん、やっぱりこの話題はやめだ誰も幸せになれないぞい。

 

 

 「───ねえねえ! リンもかぐやと一緒に配信しようよ!!」

 

 「一緒に配信って、お前もか。悪いけどパス、そういうのはやらないって決めてるんだよ。ないない、俺がライバーとかないから」

 

 「え、お前もかってどゆこと?」

 

 「くr……あー、友達からも似たようなお誘いが来てるんだよ。まあそこ以外にも、あいつからもお願いされてるけど全部断ってんだよ。なのにお前の配信に出たりしたら拗ねられるのは目に見えてるからやだ」

 

 「ええぇー!? だ、ダメダメダメ、そんなの絶対にダメだから! やだー、彩葉もリンもかぐやが一緒に配信するのぉ〜〜!! 絶っ対ダメだから! あ、あとチヨも!」

 

 

 久々に夕飯は俺が作るか、なんて冷蔵庫を漁っていたらいつの間にか背後に立っていたかぐやによって三つ編みがグイグイと引っ張られる。どうしてこいつも、ヤチヨと酒寄も人の三つ編みを引っ張るんじゃい。

 

 俺が知り合う女がさあ!! 全員オレん髪の毛引っ張ってハンドルにしようとしてくるんだけど!! ごっそり抜けてハゲたらどうするんだ……いや、治せるけどさ。

 

 

 「いでで、髪を引っ張るな。なんで揃いも揃ってお前らは俺の髪を引っ張るんだ…! というか誰の配信にも出るつもりはないっての!ましてや女性配信者のとこに顔出すなんて自殺行為だろうが!」

 

 「なんでっ!? いーじゃん、オタクたちだって説明すればわかってくれるかもじゃん! かぐやが一緒に配信したーいってお願いすれば大丈夫だってば! だからしよ、一緒に配信!」

 

 「無理無理! 下手すりゃ炎上するぞ!? いいからよく聞けかぐや、女性配信者の男性リスナーなんてもれなく全員ユニコーンなんだよ! あいつらはフル・サイコフレームでできてるの! ツノが折られた瞬間、反転アンチでデストロイモードになっちゃうんだぞ!?」

 

 「よくわかんないけど、大丈夫! かぐやのチャンネルまだそこまでリスナーいないから! 数字増やして彩葉とかぐやと一緒にヤチヨカップ優勝しよう。ね、おねがーい」

 

 「絶っ対いやだね…! 応援はしておくから頑張れ!」

 

 「んぎぎ、どおぅしてえぇ〜〜!! 応援はありがとう! かぐや絶対優勝するからぁっ〜〜!! だから一緒に歌配信とかしようよっ!」

 

 

 えーい、出ないったら出ないの! それが俺の為でもあるしお前の為でもあるの! さっきの言ったように、女性配信者に男に影があるようなもんならオタクたちはそういうとこに敏感だから燃えちゃうの!!

 

 そんな些細な問題でヤチヨカップ優勝できなくなったらどうすんねん、『黒鬼』が優勝しちゃったらヤチヨとコラボライブするのお前らじゃなくてアキラくんになっちゃうぞ!?

 

 背後に引っ付いてくるかぐやを引き剥がしながら、どうにか冷蔵庫を漁って残っている食材を確認する。あ、やべこれ賞味期限切れてる。

 

 

 「ん……卵切れてるな。買い物行くか、どうする夕飯食べてくか?」

 

 「食べる! オムライスが良いっ!! なんならかぐやも一緒に料理する! 彩葉の分も作ろ?」

 

 「了解、んじゃオムライスにするか。とりあえず買い物行ってくるから留守番は頼むぞ?」

 

 「えー、つまんないから一緒に行くー! ちょっと待ってて、配信切ってくるからっ!」

 

 「おう、なる早で頼むこの時間ならスーパーも値引きされてるだろうし……ちょっと待てお前今なんて言った?

 

 

 背にコアラのように引っ付いてたかぐやがバッと離れ、リビングへ足早に駆け込んでいく姿を尻目に、掛けてあったジャケットに袖を通した瞬間、思ってもみなかったかぐやの一言によって動きが止まってしまう。

 

 まてまて、いまなんていったあいつ?

 気のせいじゃなかったら配信切ってくるとか言ってなかったか?

 

 まさかそんなわけないよな。困惑する頭で必死にその可能性を否定しながらリビングへ駆け込んで行ったかぐやの後を追い、彼女が抱えていたノートPCを勢いよく覗き込む。

 

 

 

あ、やっぱり気が付いてなかったっぽい

え、誰このイケメン…!

どうもフルサイコフレームのユニコーンだぞ

いきなり金髪の美男美女が画面に映し出されてる…

金髪赤目の美男美女だ。もしかしてお兄さん…?

ども、かぐやちゃんを僕にくださいお兄さん

え、モデルさん?

金髪イケメン固まってるじゃん

一緒に配信しようぜ!

 

 

 

 思わず天井を見上げて頭を抱えてしまう。

 一体いつから配信していたというのだこの小娘。いや、多分最初からか、コメントの流れを見る感じそんな気がしてくる。

 

 だって俺がユニコーンの話してたの聞いてるっぽいもん。なんか爆速でコメント流れてるし、どっからどこまで配信に乗ってたんだ…!?

 

 

 「……かぐや、いつから配信してたんだ?」

 

 「え、最初からだよ?」

 

 

 ん〜、ですよね!!

 

 

 「そっか、そっかぁ〜……配信してるならせめて一言入れような。次から気を付けてくれれば大丈夫だから、うん」

 

 「わかった! んじゃみんな今から買い物行ってくるからまたね〜! あ、料理配信しちゃう?」

 

 「しない……今度、ペットボトルロケットかボトルガンでも作ってやるから外で配信してこい」

 

 「やった! じゃあ一緒に動画撮りに行こう!!」

 

 「……考えとく」

 

 

 どうにかしてこの悪童にネットリテラシーというか、常識というものを叩き込まなければ…! それとアーカイブは絶対に非公開にさせなければならない、個人情報がダダ漏れもいいところだぞ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









〜あったかもしれない歳月の1ページ〜

 イベント『黄金のガオガオバトル』
 黄金裔モチーフのキメラ

 ファイノン→『ビーグルヤシ』
 モーディス→『ハニーフルーツスープ』
 アナイクス→『ヌヌス』
 サフェル→『ニャンコ泥棒』
 アグライア→『オートミール』
 ケリュドラ→『奇獣卿』
 セイレンス→『腹ペコの魚』
 キャストリス→『チョウチョケーキ』
 ヒアンシー→『チェリピス』
 トリビー→『リンゴ飴』
 丹恒→『温厚な龍』
 なのか→『キャンディロール』
 キュレネ→『キュヌレ』
 イッチ→『ポムケン

 「おいちょっと待て。俺だけおかしいだろ? なんだこのアホ面、どうみてもキメラじゃない別の生き物だろ」

 「ふふっ、そうかしら。ほら見てこのキメラちゃん、あなたによく似ていてとっても可愛いわよ?」

 「嘘だろミュリオン、お前は本当にこのよくわからんものと俺が似てると思ってるのか…!?」

 「それにこのクソボケてそうな顔なんてあなたにそっくりだもの……ふふふ、あなたもそう思わない?

 「おっと、落ち着くんだ。怖いからにじり寄って来るのは勘弁してくれないか……ちょ、ま、うおっこのピンクの妖精さん力つおい…!」


執筆中その作品の用語とか設定を使う際に、なんとなく気になりました。

  • 『超かぐ』も『スタレ』も知ってる!
  • 超かぐや姫!しか知らんで!
  • 崩壊:スターレイルしか知らんで!
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