うわっ、前からタケノコが!!   作:七夕ナタ

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 感想、評価、お気に入り、ここ好き、誤字報告いつもありがとうございます。

 今回はちょっと番外編という形で過去話というかスタレサイドのお話になります。本編を進めろよ! って人がいたらソーリー!

 掲示板形式+彩葉視点の本編にオマケしてチョロっとスタレ編の話を載せようとしていたのですが、想定していたよりも文字数が多くなり単話で投稿させていただきました!



 5/20 大変勝手ながら後書修正しました。不快にさせてしまったみたいで申し訳ない…!





閑話「ナナシビトたちの日常」

 

 

 ───夕食会議終了後、列車の某所にて。

 

 それはいつも通りの、この星穹列車の乗客であるナナシビトたち全員で食卓を囲む夕食と様々な会議と報告を終え、星穹列車のラウンジで寛いでいる時のことだった。

 

 星穹列車内ではその日の家事や物資補給の買い出しなど、一連のものは当番制である為、兼任されたその仕事をこなすリーダー的役割を担う人物には、個人的な“当たり外れ”があるというべきか。

 

 その日の当番を任されているものによっては色々と心配になるのだが……今日の当番は危惧すべき“一部の問題児”たちではなかった為に、安心して夕食を頂くことができた。

 

 このまま襲い掛かる睡魔に身を任せて眠りに着こうかとも考えたのだが、何気なく時間を確認してみれば眠りにつくにはまだ早くなんだか勿体無い気もして、それならば有意義な時間の使い方をして眠りにつくべきなのではないだろうか?

 

 そう熟考した末に

 

 

 「───ふむ……どうやら、俺の勝ちみたいだな」

 

 「む…流石だなヴェルトさん。これで3連勝か?」

 

 「はは、偶々だ。ただ配られたカードの揃いが良かっただけさ」

 

 「ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛!゛」

 

 

 列車組の男性陣を誘い、トランプを使ったゲームをして遊んでいた。

 

 因みに奇声をあげて、持ち札をテーブルにぶちまけたのは俺だ。怒りのままにテーブルに拳を叩きつけて慟哭を響かせてしまうが、怒りを爆発させてその場で暴れ散らかさないだけ褒めて欲しい。

 

 ジタバタと床の上を転げ回る。

 膝を突き、頭を垂れるような姿で、恨みがましく相手を睨みつけるが、そんなこちらの様子をどこ吹く風といった様子で気にも止めず、このゲームの勝者は勝利の美酒を傾けている。

 

 うぐぐ、このインテリ眼鏡おじちゃんが…! 中々様になってるじゃねえか、流石は子持ちでイケメンのパパだ。さっさと自分の宇宙に帰って奥さんとお子さんにも元気な姿を見せてやれよ……!!

 

 だがしかし、俺の怒りは収まらないぞ。

 

 

 「こんなのおかしいだろ! インチキだ! イカサマしてるに決まってるっ! お前ら2人とも実は裏で結託してるだろっ! 俺のこと狙い撃ちしてるだろ絶対にっ!! チーミングだ!こんなのチーミングだ!」

 

 「ふっ、そんなことするわけないだろ」

 

 「はぁ……山札からカードを配っていたのはお前だ。俺たちが何か細工する機会などなかったはずだが?」

 

 「ぐ、ぐぬぬ…! だ、だとしてもおかしいだろうが! なんでここまで負けるんだよ!全敗なんだけど、ものの見事に負けてるんだけど! 何か裏があるんじゃないかってくらいに勝ててないだけどな俺ぇ!!?」

 

 

 そう、何を隠そうこのトランプを使ったゲームは、大富豪やババ抜き、何度かルールを変えながら、既に10試合ほどゲームを重ねているのだ。そのうち、俺の勝利数は最初の1、2回ほどだ。それ以降はずっと敗北を味合わされている。

 

 こんなのイカサマや、チーミングを使って俺を敗北者へと仕立て上げているとしか思えないくらいに苦渋と辛酸をなめているのだ。

 

 もう俺にはムキー、っとハンカチを噛み締めて涙を流すしかできない。

 

 

 「もう一回、もう一回だ! 俺が勝つまでやるぞ!?」

 

 「そのセリフは、既に何度も聞かされているんだが…?」

 

 「お黙り丹恒ッ! お前のその澄まし顔のポーカーフェイスが強すぎて、こっちはお前がなにを考えてるのかわからねえんだよ! もっと表情筋鍛えてこい!!」

 

 「ふっ……逆にお前はわかりやすいくらいに顔に出ているな。おかげでどのカードがどこにあるのかわかりやすかった。感情や思考を顔の表情に出さないよう鍛えたほうがいい」

 

 「は?……絶対に泣かす!!」

 

 

 なにわらとんじゃ貴様ぁ、言ってくれるじゃねえの丹恒くんよぉ…!

 

 ならもうひと勝負と行こうじゃねえの。俺が勝つまで寝かせないからな? 覚悟しとけよこのやろう!

 

 テーブルの上に散らばったカードを集めて、素早くシャッフルをしていると。それを見ていたヴェルトが何やら微笑ましいものでも見るかのように笑っていた。

 

 貴様ァ……今、俺を笑ったな……?

 

 

 「おい、なにニヤニヤしてんだよヴェルト」

 

 「いや、すまない。楽しそうにしている今の君を見ていると、()()()()()()()()()()()を思い出してな。少し感慨にふけてしまっていた」

 

 「はい? なんだそりゃ……出会ったばっかていうと…えー、なんかあったっけ?」

 

 「……確かに、昔と今では随分と人が変わったように思えるな」

 

 

 え、そう?

 俺自身、特別何か変わったような覚えはないんだが。いやしかし、そういう些細な変化というのは自分自身じゃわかりにくいというか、第三者から見たほうが確実な変化というものは理解しやすいのかもしれないが。

 

 そんなもの珍しいモノを見るような目を向けられても、俺自身は2人の発言にあんまりピンとこないんだが。

 

 

 「ふふ、別に変な意味じゃないぞ? 君の性格が、というよりは俺たちが君に感じる印象が変化したというべきか」

 

 「ほーん? それってどんな感じなんだ」

 

 「覚えているか? この星穹列車に乗った、出会ったばかりの頃の君はなんというか、まるで抜き身の刃のように鋭く尖っているような雰囲気だったからな」

 

 「ああ……それこそ、まるでこの世界の全てを憎んでいる、そう言わんばかりのオーラを纏っていた。対峙した瞬間に、武器を構えさせられてしまうような、鋭い闘気に満ちていた」

 

 「え、恥っず…! それってあれか? 田舎のヤンキーみたいにオラオラしてたってことか俺? うわぁ、恥ずかしぃ…!」

 

 

 え、出会ったばっかの俺ってそんなオラついた雰囲気だったの…!?

 

 列車の方針として『来る者を拒まず、去る者も追わない』というものがあるのだが、乗車することを拒まれなかったおかげでナナシビトとしての今の自分があるのだが……星穹列車に出会った頃ってなにしてたっけ俺?

 

 確か、あれか? 転生した直後というか、この世界でスポーンした場所がグラセフかよってくらいに中々治安が悪い場所だった。

 

 宇宙に出る手段もその時にはなく、チートボディと能力にモノを言わせて身の安全を確保しながらしばらくその星で暮らしている時だったか、俺の仲間、というか俺について来ていた金魚のフンというか、クソ野郎どもに俺が眠っている間に()()()()()()()()()()()()()()ことがあったのだ。

 

 ありゃビックリしたね。

 だって気がついたら知らない天井だし、手枷とか鎖に繋がれてたんだもん。目が覚めたら商品として宇宙船の倉庫で檻の中だったんだから、まあチートボディのおかげで楽々拘束を抜け出して宇宙船の中にいた野郎どもはしばいたのだが。

 

 暴れすぎて宇宙船はぶっ壊れる寸前でどうしようと嘆いている時に、近くで救難信号を拾った星穹列車が救援に来たのが彼らとの出会いだったか……?

 

 ……こう振り返ってみるとあれだな、俺ってもしかしてかつての仲間に裏切られて、奴隷にされそうになってた可哀想な奴だって列車のみんなに勘違いされてたりしないか?

 

 ……おい、やめろ。そんな優しい目で俺の方を見てくるんじゃないぞお前ら。

 

 

 「絶っ対に何か勘違いしてるだろお前ら……!その俺たちはわかってるから見たいな顔やめろ!

 

 「ははっ、冗談さ。しかし君には本当に驚かされてばかりだ……もちろん()()()()()()()()も含めてだ。今もまだ、自分の名前を好きになれそうにないか?」

 

 「あのなぁ! 何度も言うが、好き嫌いとかじゃなくてだな! こう、色々と心情が複雑な感じなの!」

 

 「よくわからないが、俺は良い名だと思うが……?」

 

 「はいやめー! この話やめー! もう終わりな! 無駄話してないでさっさと続きといこうぜ!」

 

 

 何度も言うが、別に俺自身は自分の名前が嫌いなわけじゃない。でもこう、解釈違いというか、バリバリに違和感があるというだけだ。

 

 それに()()という呼び名は渾名や愛称、ということにしているが、前世の自分の名前と同じである為、どうしてもそっちの方が慣れ親しんだというか妙な違和感もないのだ。

 

 まあ、前世の事など思い出せるのはリンという呼び名だけで、どういった漢字で書いていたのかなんてのは、もう思い出せないのだが。

 

 とりあえず、この妙に擽ったい会話を打ち切ってシャッフルし終えたカードをもう一度テーブルの上に並べて配っていこうとするが、それをヴェルトが手を伸ばして静止さえて来た。

 

 いきなりなんやねん。

 

 

 「おっと、残念だがそれはここまでにしておこう。このあと姫子やパムに呼ばれていてな、そっちに顔を出さなきゃいけないんだ」

 

 「俺も、自分の部屋に戻って纏めておきたい資料がある。悪いがそちらを優先させてもらう」

 

 

 は? おいおいおい、こいつらこのままトンズラこいて勝ち逃げしようっていうのか。逃すわけねえだろうが……!!

 

 席を立とうとする、ヴェルトの腕を掴んで動きを止める。絶対に逃さんぞ? この勝負は俺が勝つまで続くんじゃい!

 

 誰に何を言われ、どう思われようとも、俺が自らの敗北を認めてこの勝負から降りることは絶対にありえないんだぜ!!!

 

 

 「おいおい、どこに行こうっていうんだヨウおじちゃん。俺たちのゲームはお前をケチョンケチョンにするまで終了してないぜ!」

 

 「……そうか。それなら、次負けた人はそこにいる姫子にお願いして特製のコーヒーを一杯淹れてもらうというのはどうだ?

 

 「───あら、ふふっ……いま私のことを呼んだかしら?」

 

 「ふっ、命拾いしたなヴェルト・ヨウ。今日はここまでにしておいてやるぜッ! あばよっ〜!!

 

 

 自分の敗北を素直に受け止められるイケメンはクールに去るぜ……!!

 

 気がつけば、俺の身体は自分の意思に反して、いや…この身に刻まれた潜在的な恐怖に突き動かされて駆け出していた。

 

 背後から「逃げ足が早いな」なんて聞こえてくる気がするが、黙れ! お前たちはあの人が熟成させたブラックホールを味わったことがないからそんなことが言えるんだ!

 

 これは断じて逃げなどではない。次の戦いで勝利をもぎ取る為の高貴なる戦略的撤退なのだ……!!

 

 すまねえ姫子、いや姫子さん…! ボンッキュボンでナイスバディで、エッチな年上のお姉さんの雰囲気を感じさせる姫子さんの頼みでもそれだけは無理なんだ…!

 

 前に、チートボディによる強い毒耐性がある俺なら余裕だろなんて、調子に乗ってあの人が普段よりも腕によりをかけたお手製のコーヒーを頂いたが、その後3日ほど意識を飛ばしてしまった時は流石にやばかった…!!

 

 意識が戻った時、なのかに「もうダメだと思ったんだから! 次は絶対にそんな無茶しないでよね!!」涙目で抱きつかれた時は本当にやばかったのだと思い知らされた。

 

 意識が飛んでいたと言っても、気絶してたわけではない。

 

 みんなから話を聞くに、どうやら俺はその3日間俺は虚ろな目で彷徨うようゾンビのように生活していたらしい。話しかければ短く返事は返って来て会話はできるようだが、心ここにあらずで亡霊のようだったと言っていた。

 

 ただのコーヒーだというのに、なんて恐ろしい効力を持つ飲み物なんだ…っ!

 

 駆け出したまま列車のラウンジを抜けて、パーティ車両へと身を隠すように飛び込んだ。階段を使わず飛び降りて、そのまま空中でクルリと回転しながら着地する。

 

 ……ふっ、決まった。

 さっきまでお喋りしながらゲームに熱中していたせいで、喉が渇いてしまった。何か飲み物を用意するかなんて考えていると。前方で何やら話し込んでいる2人分の影を見つけた。

 

 そこには自分のスマホを見つめながら唸っている桃色の髪の少女と、そんな様子を背後から覗き込んでいる灰色の髪をした少女があった。

 

 

 「氷少なめの『ニトロフューエル』に砂糖たっぷりの『初恋の味』……うーん、悩むなぁ」

 

 「ねえ、なの。『初恋の味』ってなに? これほんとに美味しいの」

 

 「ふふーん、お子ちゃまな星にはまだわかんないかなー!」

 

 「おー! じゃあ、なのは知ってるんだ……あ、もしかしてリn」

 

 「わあー! そ、それよりも! 『オヨププ号デリバリーミルクティーショップ』の配達サービスはズルいね。トッピングをぜ〜んぶ追加しても、ミルクティー1杯分足りなくて配送料が無料にならないんだから!」

 

 「え、直接買いに行かないの? ミルクティー船って近くに来てるんでしょ」

 

 「えー、やだよ! 珍しく列車が配達エリアに入ったんだもん! あんただって偉そうにソファに寛いで、欲しいものがヒュンッて手元に届けられる体験を味わいたいでしょ?」

 

 「……確かに!」

 

 「これ、誰かと一緒に注文しないといけないみたい───」

 

 

 何気なくこちらを振り返った彼女たちと視線が交差する。

 

 片方は顔を赤くして驚いたような表情で、もう片方は瞳を輝かせて獲物を見つけたような表情でこちらを見ている……え、なにごと???

 

 なんだか嫌な予感がしたので、一歩足を引いて逃げ出そうと構えたが、それよりも早く前方にいたアライグマの方が動き出すのが速かったようだ。まるで発射された砲弾のように飛び込んでくる。

 

 そのまま勢いよく腹に直撃して…ぐぇ!!?

 

 

 「ねえ聞いてリン! なのってば、いつの間にか『初恋の味』につい───もがっ」

 

 「うわあああぁぁぁぁっっ!!? な、ななな何言ってるのかな星ってばー!?まったくこの子ってばいつも急に変なこと言い出すんだからさ〜!! あ、あははは……な、なんか聞いてたリン?

 

 

 予備動作なく加速して来た勢いのまま、突撃して来た星によって地面を転がる事となる。いや普通に痛いっ……なんつー瞬発力してんだ。刃牙の蜚蠊タックルみたいな突撃して来やがって、この妖怪柵ペロゴミ漁り女め……!

 

 追い討ちと言わんばかりに、グリグリ頭を擦りつけてくるんじゃない、

 

 馬乗りとなっていた星が何やら言いかけていたが、後から追いついて来たなのかが、その上から更にのし掛かってくるような形で星を羽交い締めのような形で拘束して口を塞いでいた。

 

 重い、退いてくれ…! 流石に人間2人分の体重に押しつぶされているとなると、口から色々と可愛くないものが出て来そうになる。

 

 

 「なんの話をしてるのか知らないが、とりあえず退いてくれ。普通に痛いし重い……!」

 

 「は、はあ!? 女の子に向かって重いとか言うかな普通っ!? ほんっとデリカシーってのがないんだから!」

 

 「すまん、言い方が悪かった。潰されそうだから退いてくれ、というかお前がデリカシー云々についてとやかく言うんじゃないよ! お前の十八番はノンデリだろ!?」

 

 「ちょ、何それどう言う意味!? ウチは重苦しい空気感を払拭しようとしてるだけだから!」

 

 

 何言ってんだ、ソレがノンデリなんだろ…?

 というか、そろそろ締め技キまってる星を離してやれ。思ったよりもキツくキまっているのか、腕の中でアライグマが顔を青くして悶え苦しんでないか?

 

 死にかけた虫みたいにピクピクして面白いことになってるぞ。

 

 ───このまま圧死されてしまう前にどうにか抜け出して、何やら必死の形相で星へ掴み掛かり、小声で何かを言い聞かせているなのかに視線を送る。

 

 なんだお前ら、仲良いじゃん。ハブられると寂しいから俺も混ぜろよ。

 

 

 「……で? 結局なんの話してたんだお前ら」

 

 「ふっふっふ。なんの話ってそりゃ、なのの初こ───」

 

 「星?

 

 「いや、銀河打者への道のりは遠いなって!!!」

 

 「そうか。応援してるぞ」

 

 「リンも私と一緒に、銀河打者になろう!!!

 

 「その称号はお前にしか似合わないから別にいいや」

 

 

 よくわからんが、いつも元気だなこの末っ子。

 物語の開始を告げた終末獣との戦い、宇宙ステーション「ヘルタ」で列車に乗車して一緒に旅をするようになってからと言うものの、なんだか妙に懐かれたせいでこっちは変に苦労するハメになっているんだが。

 

 お前くらいだよ、一日中連れ回してプレゼントにゴミ袋渡してくるの。

 

 ドヤ顔で渡された瞬間、思わず宇宙猫みたいな顔して固まってしまったくらいだ。きっとあれだ、野生の動物が恩返しとして玄関の前にゴミとか死骸とか、置いていくようなあれに近い感じだろう。

 

 

 「おほん…そ、それで実はリンに相談なんだけど、も、ももも、もしよかったらウチらと一緒にミルクティー船まで一緒に買い物に行かない?」

 

 

 なんてバカなことを考えていると、チラチラとこちらを見ていたなのかが、どこか気恥ずかしそうな様子でそんな提案をして来た。

 

 お、なんだ? もしかして荷物持ちにしようとしてる?

 

 

 「え、なのさっき配達でいいって言ってなかった?」

 

 「別に構わんが、こんな時間にそんな糖分過多高カロリー爆弾なんて飲んでたらデブるぞ?」

 

 「……ふんっ!

 

 「あだだだ、ちょ、それは反則だろ…! なんでお前らは揃いも揃って人の三つ編みを引っ張るんだよ!」

 

 「なの、それ私のだから千切っちゃだめだよ」

 

 「お前のでもねえよ…!」

 

 

 痛い痛い、普通に痛いから。

 そんなむくれた様子で髪を引っ張られても、俺にどないせいちゅーねん。というか事実でしょうが、こんな時間に、しかも夕食後にトッピングもりもりのミルクティーなんて飲んでたらデブるに決まってるだろう。

 

 お前が以前、こっそり体重計に乗って悲鳴をあげてたの知ってるからな? その後、剣の稽古と託けてランニングやら運動に付き合わされる羽目になったのは誰だと思ってんだ。

 

 けどあれか、女の子に体重の話は流石にNGだったか。フォローせずにこのまま放っておけば、なのかを可愛がっている列車の大人組に後ろから刺されることになってしまう。それだけは避けねば…!

 

 

 「な、なのか! 大丈夫だ安心してくれ! 世の中にはふくよかな女性に魅力を感じる男だっているはずだ! デブっても一概に悪だとは限らない…!」

 

 「デッッッ!?…う、ウチは別に太ってないから!……でも、その、そーいう女性に魅力を感じるって、リンとかも……?」

 

 「いや俺はあくまでBON ! KYU ! BON ! なグラマスお姉さんがタイプであって、魔人ブウみたいな体型のお姉さんはちょっと…。もしなのかが相撲取りみたいになってたら流石に引くわ……いででで!! どうしてだ!?

 

 「まったく、なんで女の子にそーいうことを言うのかなぁ〜!!」

 

 「言われて気にするくらいなら、やめておけよ! それにあれだ! 少しでも体重が増えるようなことがあっても、努力して今のスタイルを維持すればいいんだって! ほら、今だってなのかはめちゃくちゃ可愛いから何も心配することないぞ!…いでで、ハゲるハゲる!」

 

 「え?……〜〜っ! あ、ありがとう……ってそんな簡単にウチは流されないからね!? はい、もうリンの奢り決定だから! 星も好きなのいっぱい注文していいからね!!!」

 

 「え、ほんと! やったー! それじゃあ丹恒たちの分も注文しようかな〜、何がほしいか聞いてくるね!」

 

 「ちょっ、待て待て! つい最近、ヘルタに我らが騎士王が持つ伝説の武器のレプリカを特注したせいで金欠なんだよ! 頼む、せめて割り勘にしてくれ! それにヨウおじちゃんなんかはもう歳だから甘いものは苦手なんじゃないかな!? うん!!」

 

 

 い、いやだ! ただでさえヘルタにぼったくられて金欠なんだ! あの女、俺がどれだけ頼んで値下げ交渉しても鼻で笑って取り合ってくれなかったんだぞ!?

 

 『へー。喉から手が出るほど欲しいくせに、値段にケチつけて諦めるんだ? 悪いけど、そういうのは受け付けてないの。それに、どうしてもっていうなら、なにか別の形で私に誠意を見せてもらわないと……ど、土下座しろとは言ってないじゃない』

 

 『あなたからお誘いなんて、珍しいこともあるものだと時間を作ってあげたのに。私とこうしてお茶を飲みながら話ができるだけでも貴重だってこと、あなたちゃんと理解してるの?』

 

 『はあ……まったく、それじゃあ私は帰るから。今度はもっとマシなエスコートを期待してるよ。あ、模擬宇宙のテストには絶対に来てよね、待ってるから……じゃあね〜』

 

 

 なんて小言を言いながら呆れたような視線を向けてくるんだぞ。

 ぐぬぬ、覚えてろよあの若作り魔女……本人に言ったら殺されそうで怖いから、スクリューガムさんの後ろに隠れてヤジを飛ばすことくらいしかできないが。

 

 

 「ほら、早く行こリン!」

 

 「勘弁してくれ…!」

 

 「べーっ、だ! リンに拒否権なんてないから! ほら行こ! 早くしないと買いに行けなくなっちゃうんだから! なに頼もっかなー? このカップル限定ってやつも気になるし…あ、こっちのデザートも美味しそうじゃない?」

 

 「はあ、わかったよ。好きなの頼んでいいから……パムと姫子にお願いしてお小遣い増やしてもらうかぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







 ・補足シリーズ

 ・『列車組とのかつての日常』
 時間軸的にはオンパロス入る前あたりかもですね。なので主人公がいつもよりもちょっとテンション高かったりするかも。

 多分、こいつはこの先の運命を知らずに過ごしていたこの頃が一番幸せだったんじゃないかな?

 列車加入順は

 姫子、ヴェルト
 ↑
 丹恒
 ↑
 リン
 ↑
 なのか
 ↑
 星

 という感じの順番ですね。
 みんなのママポジションである姫子にみんなのおじいちゃんポジのヴェルト。長男兼オカンの丹恒、舐め腐った次男ポジのイッチ、ノンデリ三女ポジのなのか、頭のおかしい末っ子の星。

 これがうちの星穹列車ファミリーです。
 

 ・『イッチを転生させた(邪)神』
 ゲロ以下の匂いがプンプンする奴、オエくせー! この部屋腐ってやがる! 闇の帝王みたいな見た目してる。けど多分真の姿は美少女(嘘) オカマ店長と一緒で本編には出ない


 ・『爆発して死ぬ呪い』
 与えられた加護という名の呪い。
 オンパロスに凸らずに逃げた瞬間爆発して死ぬ呪いと、オンパロス在中に好感度を上げ“そういう仲や雰囲気に”なると発動が確定する2種類の呪い。幸せの絶頂に訪れた瞬間、腑抜けた舞台装置(イッチ)に喝を入れる為に届けられる絶望というなのプレゼント。

 逃げた瞬間爆発して死ぬ呪いが即死のdead endだとすると、もう一つの『爆発して死ぬ呪い』は時を戻して“リセット状態”にする、“死に戻り”仕様の呪い。

 “そういう雰囲気”とか“そういう仲”の基準はわりとガバ判定。その時の邪神の気分というか、気ぶった瞬間かというか、新解釈を得ると同時に「それは違うでしょ」って感じで呪いが発動して死ぬ。

 だってイッチの役目はオンパロス編を死に物狂いでメアリースー並にハッピーエンドにする為であって、その攻略途中にぽっと出の部品ごときが恋仲を作って腑抜けられたりしたらたまったもんじゃないでしょ。by邪神

 そんな加護が備わってるなんて知りもしないので、それを理解するまでに、既に何度か発動して死んでたりする。多分10回以上は死んでるんじゃないですかね(適当

 
 あと、『爆発して死ぬ』対象は自分だけとは言ってない。 ランダムでイッチか、結ばれた相手が対象となって死ぬ。キャラor武器ガチャくらいの確率で死ぬ対処が決まる。つまりこれが本当のすり抜け爆死ガチャってやつなんですよね!タハー!
 
 

 今更ながらアンケートありがとうございます。
 
 『超かぐ』と『スタレ』両方の作品を知っている方が興味を持って読んでくれているのだろうと思っていましたが、思っていたよりも片方の原作しか知らないけど読んでくれている、という方も多くてちょっとびっくりしました。この作品をきっかけにスタレを知ってくれた、なんて言ってくれる人もいて大変嬉しく思います。スタレはいいぞー! ぜひ君の推しを見つけてくれ!
  
 ですが、この作品クロスオーバータグ付けてる癖にクロスオーバーキャラ出て来てないじゃん、的な感じで作者も「やべ!確かに!」と納得させられ、そこは私の力量不足というかなんというか、ごめんね!スタレ側のキャラも出したいのですが、脳内プロットというか話の構想上、直接登場させられるとしても終盤か番外編かなー、なんて思ってました。

 この作品の結末というか、ストーリーの終わらせ方はある程度考えていて、本編が完結してから番外編としてスタレ側の話も書きたいな〜、なんて軽く考えていたのですが、スタレサイドの話への要望なんかもあってびっくりしたり嬉しくなったり、そんな感じで執筆させていただきました。



執筆中その作品の用語とか設定を使う際に、なんとなく気になりました。

  • 『超かぐ』も『スタレ』も知ってる!
  • 超かぐや姫!しか知らんで!
  • 崩壊:スターレイルしか知らんで!
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