うわっ、前からタケノコが!!   作:七夕ナタ

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 お気に、感想、評価、ここ好き、ありがとナス。

 そんなの聞いてないって! スタレにギルガメッシュ来るなんて思わないし予想してないって!! モデルもあるランサーはどこいった!? そっちが来ると思うじゃん!!!

 新姫子の為に石突っ込むかなんて考えてたのに、なんでこのタイミングで英雄王と凛が来るのさ。うごご、石も金もないって…!でも嬉しいっっっっ!!!!





汝右の頬を叩かれたら……以下略

 

 

 

 ───ヤチヨカップの優勝を高らかに宣言して早数日、ヤチヨカップの暫定順位の最下位に位置していたかぐやのチャンネルは驚くほどの快進撃を見せていた。

 

 当たり前のことだが、月から来た宇宙人であるかぐやには地球人の常識やら、配信者としてのアレやコレやらなんて何もかもが全くわからない。

 

 だから思いついたことは片っ端からやっていくし、そこに二番煎じだとか、気負いだとか、照れだとかなんて言葉は、かぐやの辞書には存在していないようだった。

 

 そんな宇宙人の思考は至ってシンプル、“可愛い”、“面白そう”、“やってみたい”、であるのだ。しかも、思いついてから行動に移るまでのタイムラグなどがないのだから恐ろしい…!

 

 やりたいことに躊躇しない、それがかぐやの流儀だった。なんという行動力の化身……ヒェ

 

 

 『この動画のダンス可愛い〜! かぐやもやーろぉっと♪ ねね、彩葉も一緒に踊ろ!!』

 

 『うひょ〜、芦花の言う通りにメイクしたら爆盛りの自撮りできちゃった! ……ぷ、あはははは! リンも似合ってるじゃん! ぷぷぷ、可愛いって! 一緒にアップしよ…あ、逃げ足はやっ!!』

 

 『やった、真実おすすめのお店のお取り寄せが届いた! な・の・で! 緊急で動画回しちゃいまーす……あー! チヨなにしてるのっ!? それか〜ぐ〜や〜のー!』

 

 『うーん、そういうのどうでもいい! キッチリ片を付け! 忘れる! 忘れるって人生で一番大切な能力だからね! リンも同じようなこと言ってたし!……あ、やべ、彩葉に配信で名前出すなって言われてんだった…今のナシ!』

 

 

 そんなかぐやが、配信でやったことと言えば、芦花に教えてもらった自撮りやメイク、真実直伝の食レポ、あとはヤチヨの真似をしたお悩み相談なんかもやっていた。

 

 ……昔、母が言っていた言葉を思い出す。

 夢を阻む最大の障壁は、才能の欠如ではなく積極性の欠如だと。その言葉が正しいかどうかはわからない。けれど、少なくともあの子にとって、壁などまるでないように見えてしまった。

 

 そしてかぐやの配信活動が活発化していくにつれ、それに巻き込まれる被害は私だけには止まらず、顔バレする羽目になった先輩にまで及んでいた。

 

 快進撃は結構だが、私や先輩を巻き込むことには少しくらい躊躇してほしいのですが……いや、先輩はなんだかんだ言ってノリノリっぽいしいいか……?

 

 以前、『筋肉モリモリのマッチョマンが暴力と銃器で悪党どもをド派手に木っ端微塵にして事態を解決する映画』に出てくるような巨大なペットボトルロケット砲を作り河川敷で大暴れしていたのも記憶に新しい。

 

 またある時は、人気のない公園の広場でかぐやに連れられた先輩が、プロテクターもなしにローラースケートで遊び始めたと思ったら、ド派手なジャンプ回転をし始めた時は怪我をするんじゃないかとハラハラしてしまった。な、何回転してたんだあれ……?

 

 それを見て「かぐやもやる!」なんて目を輝かせ飛び出して行こうとするかぐやをどうにか抑え込みながら、かぐやの教育的にも良くないので辞めるように、なんてお説教に近い話し合いをおこなったのだが。

 

 

 『だってメ◯リスト面白かったんだもん。因みに推しは俺たちの司先生』

 

 

 この人絶対反省してない。

 なんでこの人こんなに悪ノリ全開なんだっ。もうバイト先にいた、常識もあって優しかった歳上の先輩としては見れないぞ…! なんだこの様子のおかしいイケメン。

 

 だもん、じゃないわ。そんなかぐやの真似をして可愛こぶったって意味ないですから、そんな捨てられそうな甘えてくる子犬みたいな顔しても意味ないですか……うっ、かわ…い、意味ないですからねっ!

 

 あと、司先生推しとか言いながら、夜◯純のモノマネしてかぐやに「君、バックフリップ…できる?」とか言って初心者のかぐやにバックフリップやらせようとしないでください…!

 

 あとなんで「で、できらぁ!?」でさらっとかぐやもできてるの……!!?

 

 というか、前々から思ってはいたがあの人の行動力も大概おかしい。 それに加えて運動神経とか能力というか、なんでもできるような才能マンなせいでそれが拍車をかけてる気がしてならない。

 

 あ、悪影響だ…! 最悪な化学反応を起こして、うちのわがままお姫様によくない影響を及ぼしてるっ……離れた位置で諦めたような顔してないで止めてよチヨちゃん!!!

 

 

 『うん、むりぽ…

 

 

 諦めるのが早いよチヨちゃん!!!

 

 こうして、『かぐやいろP』の配信活動は、日を追うごとにリスナーの耳目を、注目を集めていき、夏休みも中盤を迎えるころにはその順位を二百八十位まで押し上げて行った。

 

 いや、なんで…? この前までは無名のド新人だったじゃん…!?

 

 

 「ぐぬぬ、まだまだ足りないー! どうすればいいのだー!!」

 

 

 しかし、どうやら欲張りな姫様はその結果に全然納得も満足もしていないご様子だった。砂浜の上で、持参して来た大きな浮き輪に横たわりながら、スマホの画面を眺めて不満を目に見える形で露わにしていた。

 

 

 「う゛う゛う゛……ゆ゛う゛し゛ょう゛し゛た゛い゛───!!」

 

 「はいはい、かぐや暴れない」

 

 

 現在、私、かぐや、芦花、真実……それから先輩の5人で海へ遊びに来ていた。

 

 チヨちゃんもお誘いしたのだが、どういうわけか先輩を見るなりボン! と効果音が付きそうな様子で顔を赤くして捲し立てるように断られてしまった……い、いったい何があったのだろうか?

 

 そんなチヨちゃんの姿に、その場にいた先輩とかぐやは腕を組みながら体ごと一緒に首を傾げていた……いや、なんで先輩まで「よくわからん」みたいな顔してるんですか。

 

 水着姿に装いを変えた4人。私が知らぬ間に、かぐやと芦花で水着を買いに行っていたようだ。かぐやは人生……いや、宇宙人生初の水着を、芦花は新作の水着を新調したようだった。

 

 真実と私は去年と同じ水着での参加だ……真実はどう思っているのかわからないが、1年の間に短い期間でしか着ないであろう水着を新調する余裕は私にはありません! ……いやでも、チラッと広告やお店で見かけた新しい水着も可愛かったな。

 

 ぐぬぬ……! だがこれ以上の浪費はできない。

 せいぜい年1、2回くらいしか着ない服に許せるギリギリ、本当にギリギリのできるだけ手頃な価格のものを選んだが、それでも断腸の思いの出費だったんだ。

 

 お、お前にはあと数年は頑張ってもらうからな……っ!

 

 うめき声をあげている宇宙人へ視線を向ける。

 芦花にスタイリングしてもらったかぐや。降り注ぐ陽光を身に纏ったような、鮮やかなオレンジ色の水着は、ツインテールに纏められたかぐやの艶やかな金髪と相まって、その姿は浜辺を照らしながら輝くもう一つの太陽のように見えた……か、可愛いじゃないの。

 

 そして私の水着はというと、パステルグリーンのセパレート式で、ホルターネックだ。わざわざ芦花が外跳ねのポニーテールで髪を纏めてくれて、確かにこの水着にはこの髪型がぴったりだと思った。うん、我ながら似合ってる。

 

 真実は去年()()と出掛けた時に一緒に買ったらしいガーリーなチェックのオフショルに水色のフレアスカートの水着を来ている……恋人と一緒にお買い物デートとは、なんともリア充を満喫しているようだ。

 

 芦花はツクヨミでのアバターのような、太めの三つ編みに髪を纏め黒のワンピース型水着を着こなしている。胸元から肩を通って背中まであしらわれたバイカラーの大きなフリルが、色っぽいというか、大人っぽくて、芦花に似合っている。

 

 記憶が正しければ、去年はお嬢様っぽい白のセパレート水着にシアーのボレロを羽織っていた気がする。あれも可愛いくて似合ってたけど、美人は結局何着ても似合っちゃうんだな〜。普通に羨ましい。

 

 

 『───彩葉ってば、リンさんに海に遊びに行こうって誘わないの?』

 

 『……え? い、いやいや! へ? ど、どうして私が先輩を?』

 

 『……ふふっ、それがきっと彩葉の為にもなるからかな〜。ささ、善は急げっていうでしょ、あの人モテるだろうし、誰かに取られちゃう前にスケジュールに予約しとかなきゃだよ彩葉!』

 

 

 ふと、芦花に言われた言葉を思い出す。

 どうしていきなりそんなことを言い出したのか、そんな疑問が浮かび上がるが、困惑する私を他所に芦花から押し切られるような形で、先輩を誘うことになった。

 

 ま、まあ、確かに? 先輩は免許とか持ってるし、車なんかの移動手段を出してもらえるなら大変助かるのだが、芦花や真実にとっても電車やバスなどの公共の交通機関を利用するよりもきっと懐にも優しいはずだ、うん! そうに違いない!

 

 なんて思いながらいざ先輩にお願いしようと、実行に移ろうとしたのだが、どうしてか思うように口が動いてくれなかった。

 

 いや普通に考えたら年上の男性を遊びに誘うってハードル高くね? 『一緒に海に遊び行きませんか?』とか『友達と遊びに行きたいんで車出してください』とか、それらしい理由をつけたりして誘うにも、脳はフリーズして動いてくれなかった。

 

 口をぱくぱくさせているだけの私に、先輩は不思議そうにしていたが

 

 

 『リン! 一緒に海行こう! この日のために芦花と一緒に水着買いに行ったんだー!』

 

 『海か…特に予定もないからな、別にいいぞ。なんなら俺やチヨの方から誘ってたかもしれないしな、いつ行くんだ?』

 

 『よっしゃー!』

 

 

 隣から身を乗り出して来たかぐやによって、あっさりとその日の予定が組まれることになった……恐るべしかぐやのつよつよコミュニケーション能力…!?

 

 ───何気なく、少し離れた位置にいる男性を見上げる。

 

 

 「………あの、先輩」

 

 「ん? どうした酒寄」

 

 「暑くないんですか、()()()()?」

 

 「無問題(モーマンタイ)。ふっふふ、どうだ、中々似合ってるだろ?」

 

 「いや、確かに似合ってますし、なんか新鮮な感じですけど……」

 

 

 見慣れない格好でなんだか新鮮な感じだが、服装自体は似合っていてかっこいいと思う。まあ、イケメンならどんな服装でも着こなせるのだろう。

 

 小さく跳ねたアホ毛、赤毛混じりの金髪、肩に掛かった細めの三つ編み、なんだかここ数日で、隣にいる事が当たり前のように見慣れてしまった男性の姿。

 

 ……なのだが、海に遊びに来たというのにその格好ははっきり言って異常というか、他人のフリをしたくなるくらいには場違いな服装をしているのだ。絶対他の人からも変な目で見られてるって。

 

 私たちのように水着を着ているのではなく、なぜか黒いスーツに身を包んで私たちの近くで佇んでいるのだ。

 

 日差しが強くサングラスをかけるのはまだいい。私だってスポーツサングラスを使っているし、でも先輩がその格好でサングラスまで使っているとなると意味合いが全くの別物に変わってくる。

 

 ───いやどこのボディガードなんやあんた…!

 

 一緒に海へ遊びに行こうと誘ったはずが、なぜかこの人、同伴して来た保護者ポジとして現れやがったのだ。

 

 きっと、集合場所へ訪れた全員の心の声が一致した事だろう。なんだこれ? どっからどう見ても、お偉いさんの警護を担当しているSPが側で控えているような状況にしか見えないんだが? 周りから好奇な目を向けられてるんですが?

 

 いや、恐らくナンパしに来たであろうグループに声をかけられ絡まれた時は大変助かったが、割って入り無言で佇むのは普通に怖いんでやめてださい。

 

 

 『お、君たち可愛いね! 女の子だけで来たのかな、よかったらオレらと───』

 

 『………』ヌッ!

 

 『は?な、なんだよあんた……!?』

 

 

 もしかして暴力沙汰になったりするんじゃないか? なんて不安に駆られて、接近して来た男性グループの1人と私の前に割って入ってくれた先輩の服の裾を掴んでしまったが。

 

 何を思ったのかこの先輩、無言で相手を見つめた後に砂浜にポイ捨てされていたスチール缶を徐に拾い上げたかと思えば、両手で優しく包み込むように持ち。

 

 ペキョッペキョッペキョッ、と空き缶から、形容し難い、聞いたこともない効果音と共に手のひらサイズのスチール缶をビー玉くらいの綺麗な球体へと変化させやがったのだ。

 

 いや、何やってんのこの人……!?

 しかもなんで変形させた空き缶だったものを相手に握らせてプレゼントしているのか。先輩は良い笑顔でスチール缶で作られた球体を握らせてますけど、それ見た相手の顔すごいことになってましたからね?

 

 

 『貴重な学生生活の間に味わえるせっかくの夏休みだ、君たちが羽目を外して遊びたいという気持ちもわかるし咎めはしないさ……が、だからと言って嫌がる年下の女の子を無理に誘うのは話が違うだろ?』

 

 『……ハ、ハイ』

 

 『だけど、そんな君たちに朗報だ! 一緒に遊びたいなら俺が快く付き合おう! そうだな、ビーチバレーなんてどうだ? 真夏の浜辺でのアームレスリングなんてのもいいぞ? 俺の手が滑らない限り、君たちの身の安全は保証しよう!

 

 『『『す、すんませんでしたー!!!!』』』

 

 

 そして走り去り、男性グループの遠くなっていく背中を見送りながら、先輩は笑顔で手を振っていた。やっぱりというか、もしかしたらこの人は人間じゃないのかもしれない。

 

 魔訶不思議な手品だったり、とてつもない運動能力だったり、かぐやと同じ地球外生命体で別の星から来た宇宙人、と言われたほうが納得してしまうくらいにトンチキなことをやらかしてるぞ。

 

 

 「先輩ってもしかして人間辞めてたりします…?」

 

 「……うーん、どうだろうな。少なくとも半分は人間だぞ?」

 

 「なんでそっちが不思議そうに言ってるんですか…!?」

 

 

 半分だけ人間とは?

 とういうか、今からでも水着に着替えて一緒に泳げばいいのに……なんて、らしくもなく拗ねたように言葉にしてみても「俺のことは気にせずに女子高生同士で楽しく思い出を作って来なさい。俺は壁みたいなものだから気にするな」なんて言い出していた。

 

 なんじゃそりゃ、などと会話していると

 

 

 「こないだの歌配信めっちゃよかったけどねー」

 

 「ね、かぐやちゃんゲームも歌も上手いよね」

 

 「まあね。天っ才、歌姫ですから! にひっ」

 

 

 せっせと真実の髪を結ってヘアアレンジをしていた芦花が、手間をかけ編み込みをお団子にしていたのが完成したらしい。

 

 ああ、真実も芦花も、かぐやを軽率に甘やかさないで。ほら、すぐ調子に乗るんだから。まるでピノキオのようにかぐやの伸びた鼻が、入道雲を貫く勢いでぐんぐん伸びていく。

 

 

 「オリジナル曲もよかったしさ」

 

 「ふふ〜ん、だって! よかったね彩葉!」

 

 「あれって彩葉が作ったやつなの?」

 

 「流石は彩葉、可愛い上に天才すぎ~」

 

 「あ、あれは昔に作ったやつだから……かぐや余計なこと言わないで」

 

 

 おっと、二人の称賛がこっちに向いてきたぞ。マズイな、私の鼻も伸びてしまいそうになる。だがしかし、あれは昔に作った黒歴史を知られるようなものなので、思わずニヤつく親友たちから目を逸らすように、頭に掛けていたスポーツサングラスで顔を隠す。

 

 波の音、潮の香り、そして、眩しい日差しの中で交わす、普段通りのくだらない会話。夏の海は、心だけではなく耳にも鼻にも目にも楽しい。無理をしてでもビーチに繰り出して来て正解だった。

 

 なんて思わず感慨にふけてしまう。

 

 勉強とアルバイトと配信活動に埋め尽くされた夏休みの、数少ない遊びの時間だ。睡眠時間が削られば、一日中遊ぶ時間はもっと抽出できるかもしれないが、それをやると先輩やチヨちゃんにまた怒られてしまう。

 

 前よりはマシになったが、今も疲労を感じないと言えば噓になる。だが倒れでもしたら、この楽しい時間が辛い思い出になってしまう。そうはならないようにいっそう、気を張った。 

 

 ───ほんまのエリートは遊びも疎かにせえへん! 仕事だけで満足した気になってるやつは話にならん。

 

 ふいに、母の声が響く。

 母の言葉を真に受けたわけじゃないけれど、芦花と真実の誘いに乗って本当によかったと思っている……あの頃のお母さんは、楽しそうだったな。

 

 

 「大丈夫か酒寄、少し顔色悪いぞ?」

 

 「え、あ、いや、なんでもないです」

 

 「……そうか、日差しも強いし倒れないように水分補給はこまめにしておけ」

 

 

 赤い瞳が、こちらを覗き込んでくる。

 まるでこちらを見透かしてくるような瞳に、誤魔化すように笑って視線を逸らす。そんな私の様子に先輩は何も言わず、水の入ったペットボトルを渡してくれた。

 

 

 「ぐわあー!でも、やっぱり優勝したいー!こんなんじゃまだ足りないよぉぉぉ!」 

 

 「うーん…でも、もう結構色々とやってるみたいだしなー」

 

 

 まだ言ってるのか。騒がないでよ、宇宙人。

 かぐやと頬を引っ付けるようにして、スマホの画面を覗き込んでいる芦花。かぐやの、自分が甘えられる人間を見分ける能力はピカイチだと心底思う。

 

 

 「ふふふ、やはりここは、今まで正体を隠していた彩葉がついに着ぐるみを脱ぐことによって新たな需要をだね……」

 

 「はい、却下」

 

 「えー、なんでー」

 

 「なんでじゃないの、私は絶対に配信に出ないから」

 

 

 トンチキなことを言い出した真実が言い切る前に、その提案を却下する。そう、私は先輩とは違うのだ。「配信には出ない!」なんて言っていたが、今では準レギュラーのようなポジションについてしまっている先輩とは違い、配信に出るつもりはない。

 

 

 「え、出てるじゃん。このキツネの着ぐるみアバターって彩葉だよね?」

 

 「……うぐっ」

 

 

 なんとも鋭い指摘だ。

 貝殻のパーツが散りばめられた芦花のネイルが、スマホに表示されたサムネをこんこんと叩いている。はっきりと否定したいが言葉に詰まる。そうなのだ、実を言うと、かぐやのおねだりに負けて既に何度か配信に出てしまっているのだ。

 

 で、でもでも、あれは賑やかし程度というか、一度も喋ってないし、着ぐるみを着て姿は隠してるし、悪ノリ全開な先輩と違って私はまだセーフ判定ってことで……!

 

 

 「それに、こっちの変な着ぐるみは絶対にリンさんでしょ?」

 

 「……いや、どうだろうな。両方とも酒寄って可能性もあるぞ芦花ちゃん?」

 

 「あ、それは先輩だから

 

 「なんで急に裏切ったんだ酒寄……!?」

 

 

 死なば諸共じゃい。どうせなら地獄まで一緒に付き合ってくださいよ先輩、1人だけ逃げようなんて真似は絶対にゆるさへんで…!

 

 

 「………ねえ、彩葉」

 

 

 視界に、目尻に涙を浮かべたかぐやの姿が映り込む。

 

 ま、マズい、来る…! 素早く、お決まりとなりつつあるかぐやの超必殺技が解き放たれるであろうことを予期して、丹田に力を込めた。

 

 

 「このままじゃ、かぐや優勝できない……」

 

 「……う」

 

 「彩葉ぁ、かぐやのこと助けてぇ……?」

 

 「……うっ」

 

 「彩葉に、演奏してほしい……!」

 

 「……うぅっ」

 

 

 はい、来た。そんな今にも泣きそうな、哀れな声を出されたってもう知らないし、通用するはずがないだろうに。こっちにだって勉強やバイト、予定というものがあるのだ、だからそんな潤んだ目で見つめられたって……き、聞いてあげない…!

 

 どれだけ頼まれたって絶対に嫌だ。

 さあ、言え。今日こそかぐやにキッパリと言ってやるんだ、意思を固めた私を舐めるなよ……!

 

 

 「ま、まあ、時間が空いてたら……ね

 

 「よしゃぁぁぁ!! それじゃあ、もっともっと配信するぞぉぉぉ!!」

 

 

 やっぱ無理

 くそう! なぜだ、なぜ、言えない。なぜ断れないんだ!

 

 さっきまでの嘘泣きとは打って変わって、天に拳を突き上げるかぐやと、地で白砂を握ることしかできない私、そんな姿を眺めながら芦花と真実は花のような笑顔を咲かせていた。

 

 

 「ちょろはー」

 

 「やっぱりちょろはだねえ〜」

 

 「うそ、うちの後輩チョロすぎ……」

 

 「先輩には言われたくないです」

 

 「俺はチョロくない!」

 

 

 先輩だって十分チョロいだろうに、かぐやに頼み込まれたら一緒に配信してるじゃないですか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







 前回は考えなしに、本当に申し訳ない。

 ※お目汚しなので、興味ない、見たくない、って人は飛ばしてくれて大丈夫やで!
 ↓
 この作品、自分の癖を満たす為というか、考えなしの衝動書きというか、運良くブームに乗っかられただけの駄文自己満小説だと思ってたんですけど、様々な反応が返って来てマジでビクビクしてました。それと同時に自分が思ってた以上にこの作品色々な人に見てもらえてたんだなと、申し訳なくなって反省したり嬉しくなったりです。

 作者の性癖というか我を出しすぎたというか、雑に性癖ボロンというかモロ出しことを猛省したいと思います、ここら辺は構想していた設定を色々と練り直してボツというかお蔵入りですかね。それから『キャラや作品に対してのリスペクト精神』も足りてなかったです。申し訳ない

 色々とお騒がせ?してしまいましたが、こんな拙い作品ですが完結までお付き合いいただけたら幸いです。以上、長文お気持ち表明終わり!めんご!!!

 あと全然関係ないですけどすり抜けヨウおじちゃん完凸しました!!!(クソデカボイス)




執筆中その作品の用語とか設定を使う際に、なんとなく気になりました。

  • 『超かぐ』も『スタレ』も知ってる!
  • 超かぐや姫!しか知らんで!
  • 崩壊:スターレイルしか知らんで!
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