うわっ、前からタケノコが!!   作:七夕ナタ

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 失礼、遅れました
 誤字脱字報告いつもありがとうございます
 
 おかしいな、今回で彩葉出せると思ってたのに…!
 は、話が進まん。書きたい話執筆してると話が進まないよードラえも〜ん!次回こそ原作突入させねば…!

 
 


おもしれー女…

 

 

 「───何度も言うが、答えはNOだ

 

 「うぅ……どうしても?」

 

 「どうしてもですね、はい」

 

 「……でも、私はリンに『ツクヨミ』を楽しんでほしいな〜。これはちょっとしたお手伝いをしてあげたいだけなんだよ?」

 

 「うっ……そんな顔しても無理なもんは無理だから、悪いが俺はどっかの誰かさんと違ってチョロくないぞ」

 

 「っ……ヤッチョからの一生のお願いでも?」

 

 「絶っ対にいやだっ! というかお前の一生のお願いは何回あるんだよ、8000年の間に何度も聞いたぞその言葉…!」

 

 「……うわーん! リンの悪魔! アホ!バカ! 宇宙人!このクソボケ!! リンが意地悪するって彩葉に言いつけるから!!」

 

 「ふははは! なんとでも言えこの小娘がっ! なんで俺がこんなファンボ全開なコーディネートされたアバターでツクヨミライフを満喫せなあかんのじゃい!! というか酒寄彩葉とはまだ出会えてすらないだろうが!!」

 

 「やだー! お揃いがいいのぉぉぉー!」

 

 

 ───ああ、どうしてこんな事になってるんだっけ?

 

 ほんと、何がどうしてこんな状況になったのか。

 慣れたようにデジャヴすら感じてしまう、何度目かわからないそんな感想をため息と共に吐き出す。

 

 もう頭痛が痛いと言うかなんと言うか、目の前で駄々っ子のように喚きながら暴れ散らかしているヤチヨの姿に思わず頭を押さえてしまう。

 

 俺からしたら圧倒的に年下の小娘だが、地球人換算したらというか他の一般人からしたら圧倒的長寿の仙人みたいなもんなんだぞお前。だったらもう少し自分の立場と年齢を考えて行動してください。

 

 ……おいこら、足元の水をこっちにバシャバシャと掛けてくるんじゃありません!

 

 現在、俺はヤチヨと共に『ツクヨミ』へ来ていた。

 

 目の前には大きな赤い鳥居。

 足元には終わりなく続く浅い湖、その水面には無数の灯籠が揺蕩っていた。空を見上げてみれば赤い鳥居の色が染み出したような真っ赤な夕焼けが広がっている。

 

 ……聞いたところによると、この夕焼けが常世へと切り替わる演出がすごいらしいのだが。

 

 

 「ぶー! なんでぇー! いつもならヤッチョのお願い聞いてくれるのにぃ!」

 

 

 肝心の進行役がこんな感じでグダってるせいで俺のチュートリアルが進まない件について。いっその事、このままログアウトしてやろうかと考えたが、それじゃまたヘソを曲げられるのは目に見えてる。

 

 そして何より、ヤチヨは今日絶対にログインしてほしいらしい。

 

 ───ことの発端となった会話を思い返す。

 

 

 「……らいぶ?」

 

 「そだよ〜、ツクヨミでいつもミニライブやってるんだぁ。今日もライブの予定だからリンにも見に来てほしいな〜って……あ! 昔旅してた時みたいにヤッチョと一緒に歌う?」

 

 「え、やだ…お前のファンに後ろから刺されそうで怖いし。というか、ヤチヨと比べたらそこまで歌唱力高くないから無理だろ」

 

 「えぇ〜、そんなことないと思うんだけどなー」

 

 

 それはヤチヨが『擬態』による身体を得て1週間ほどか、ある日の昼下がりの出来事だった。

 

 そして『擬態』によって受肉したことにより犬の姿となったFUSHI。このワンコのモフモフとした毛並みを堪能するために、へそ天状態でリラックスしているFUSHIを撫で回しながらテレビを見ていると背後にいたヤチヨが唐突にそんなことを言い出したのだ。

 

 ……というか、いつまで俺の髪で三つ編み結んで遊んどんのじゃい。

 

 おどれは何回解いては結び直してを繰り返してんのじゃ、暇つぶしなのか納得のいく出来栄えになるまでやってるのか知らんがいい加減やめなさい。

 

 

 「……よし! はい、交代。次は私の番だからお願いね」

 

 「え゛交代制なのこれ? めんどいからパス……あいでででっ。やめてくれヤチヨ、髪を引っ張るのはなしだろ。わかった、俺が悪かった。やってあげるから一旦ストップ」

 

 「ふふん、わかればよろしい……はい、それじゃあ可愛くお願いね!」

 

 

 俺の足の間にいたヘソ天ヘブン状態のFUSHIを奪い取ると、モフモフを抱きかかえたまま今度はヤチヨが足の間に収まってくる。あぁ、俺のへそ天ワンコが奪われた、まだ肝心のヘソ天吸いも出来てないのに……!

 

 悔しさで思わず涙が出そうになる。

 

 ぎぎぎ、おのれ暴虐大魔王ヤチヨめ…! この怨みいつか必ず晴らさせてもらうぞい。見せつけるようにFUSHIのヘソ天を堪能しやがって…! 俺だってFUSHIにヘソ天吸いしたいのにっ!

 

 ぐぬぬ、と視線を向けているとそれに気がついたヤチヨはフッ、勝ち誇った顔で俺に使っていた櫛を渡すと軽く背中を預けてくる。

 

 はは、随分と遠慮なしになったなこやつ…!

 どうやら俺に対しての配慮というか遠慮は消し飛んだらしい。

 

 そのおかげで今じゃ『もと光る竹』が置かれたあのヤチヨのサーバールームではなく、このマンションの隣の部屋の俺の生活スペースにまで乗り込んでくる始末だ。

 

 ちんちくりんだったウミウシの姿の頃とは違って人間の女性の姿に変わったので、一応の配慮というかヤチヨとは生活スペースを分けようと思っていたのにそんな必要はないとのことだ。

 

 

 『リンが住んでるならそこは私の家だし、ヤッチョが住んでるならそこはあなたの家でしょ?』

 

 

 なるほど要はお前の物は俺の物ってか、なんてこったお前はジャイアンか。

 

 なんでお前が「何言ってんだこいつ?」みたいな顔してこっち見てんだ。おかげでこうして俺の生活スペースは侵略され無駄に物が増えてきてしまっている。

 

 うごご…!

 

 

 「ほらほら、手が止まってるよー? それじゃあ私も三つ編みにしてもらおうかにゃ〜」

 

 「覚えておけ小娘…この代償は高くつくぞ…!」

 

 「えー、ちょっと何言ってるのかヤッチョわかんないかな〜?……ふぇ?

 

 

 俺からヘソ天リラックスヘブン状態のFUSHIを奪った罪は重いぞ…!

 

 これが大切なモノを奪われる憎しみッ…そういうことか刃ちゃん…! 今なら俺にもあんたの言っていた言葉が理解できるぜ、支払うべき相応の対価を求める気持ちってやつが…「言葉」でなく「心」で理解できた!

 

 あ、でも丹恒は俺たちの大事な仲間でオカン枠だから渡せないので変にストーカーするのももうやめてくださいね?

 

 とりあえず素早く丁寧に髪を梳かし三つ編みを作る、普段から自分の長い髪を三つ編みで纏めているので慣れたものだ。

 

 それから先ほどの復讐としてご機嫌な様子で鼻歌を歌っていた我儘歌姫の首筋に、後ろから顔を突っ込んで仕返しのヤチヨ吸いをしておいた。

 

 ふはは!これに懲りたら俺からFUSHIのヘソ天を奪おうなんてもう考えないことだな!……うおっシャンプーのいい匂…いやこれ俺のシャンプーじゃね? 何勝手に使ってんだお前、高かったんだぞこれ。というか男ものだぞ。

 

 しばらく抱きすくめるような形でヤチヨ吸いの刑を執行していると、なにか様子がおかしいことに気がつく。

 

 

 「おーい? ヤチヨさーん?」

 

 「………ヒ、ヒャイ」

 

 「おっと、なんかダメそうだなこれは!」

 

 

 どうして普段は自分の方からくっついてくる癖に、こっちからやりかえすと防御力が皆無なんですかヤチヨさん? ちょっと紙装甲過ぎて心配になってしまいますよ?

 

 もうちょっと胆力鍛えた方がいいって、そんなんだから酒寄彩葉のバ先(予定)に自分から乗り込む度胸もないんだぞ。なぁにが「だってあれは“かぐや”だったからできたことで、今の私のまま彩葉とちゃんと仲良くなれるかもわからないじゃん」だコラ。

 

 バカ言うんじゃありません、嫌がろうが引きずってでも酒寄彩葉と引き合わせるからな。

 

 ───その後、ゆでダコのように顔を赤くしたまま呆然として、しばらくの間フリーズしていたヤチヨが再起動するまでだいぶ時間が掛かってしまった。

 

 何やってんだおまえ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 ………そんなこんなで冒頭へと戻ることとなる。

 

 

 「いつまで拗ねてんだって」

 

 「んんっ、むむむ〜……お揃いがいいの! おっそろい! あそれ! おっそろい!」

 

 「やだ!やだやだやだやだ! あーあー、聞こえません〜!」

 

  

 そして現在、何がどういう状況なのかというと。

 

 それは『ツクヨミ』への初ログインの際に行われるチュートリアル、それとその世界で己の半身となるアバターのキャラメイクのお時間なのだが、どういうわけか俺のアバターは既にヤチヨが作っていたのだ。

 

 いつの間にこんなモノを用意してたんだこやつめ。

 おかげで俺が作ろうとしていたキャラメイクのレシピは上書きされて吹っ飛んだんだが?

 

 

 「ぶー! 何がそんなに嫌なのさ!」

 

 「何もかもです。お前よく見てみろこのアバターのデザイン、どう思うよ?」

 

 「???……カッコいいし可愛いよね!!」

 

 「違う、そうじゃない。どっかどう見てもお前のファンボ全開のコーディネートで統一されてるだろうが!!」

 

 

 俺の為にヤチヨが考えたアバターを用意してくれていたのは嬉しいが、そのアバターのキャラメイクというかコーディネートが()()なのだ。

 

 白髪に青い瞳、紺色の着物に海洋生物のアクセサリー……どっからどう見ても推しのグッズで装備を整えたオタクにしか見えないんだよこれ。普通にイタいというか恥ずかしいんですけど、え? この格好でツクヨミ歩かされそうになってたの俺?

 

 

 「というか、なんで()()()()()なんだよ。他は良いとしてこれは絶対に嫌だからな」

 

 「えー、もしかして嫌い? でもさっきリンが作ったアバターも銀髪だったじゃん!」

 

 「いや嫌いじゃないし好きだけどさ、俺自身が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……それにさっきのあれは元ネタがあるから良いの! 返せよ俺のセフィロス、めちゃくちゃクオリティ高かっただろ!!」

 

 

 ちくしょう。

 せっかく銀色の長髪に黒い翼と黒コートという最適なパーツがあったからセフィロスロールプレイでもして遊ぼうと思ってたのに……!

 

 

 「えぇ、でも喋り方がなんかねっとりしてて気持ち悪かったし。そもそもそもセフィロスって誰…?」

 

 「キモいとかいうな、俺はあの姿で『絶望を贈ろうか』って遊びたかったの」

 

 「そのねっとりした喋り方、絶対にやらないでね? なんかこう、解釈違いで違和感がすごい。私のリンはそんなこと言わないから

 

 「……はい」

 

 

 ひぇ、怖い。

 そんな真顔で言わなくてもいいじゃないですか。いいじゃんセフィロス、キモいけどそれ以上にかっこいいじゃん。というかセフィロス知らないのか、もしかしてこの世界FFシリーズないのか?

 

 

 「はぁ、とりあえず好きに弄るからな」

 

 「えええー!? オヨヨヨ〜、私はリンの為を思って一生懸命用意したのに、リンはそれを無下にして捨てるんだぁ、ヤッチョ悲しくて泣いちゃいそー……チラッ」

 

 「やっぱ金髪だな、うん。俺が白髪青目とかナイナイ、絶対に似合わないし申し訳なくなってくるわ」

 

 「うわこっち見てない」

 

 

 やっぱり金髪が安心するな。

 自分の容姿がほぼ獅子心王だからしっくりくる、というのもあるが()()()()()()()というのは俺にとっては()()()()()姿()なのでいただけないというか、解釈違いなのだ。

 

 だからこそ、チートパワーの一種で()()も染めている。

 

 俺には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 なのでヤチヨには申し訳ないが、ここはいつも通りに金髪で行かせてもらう。それとこのペアルックみたいなヒラヒラの着物に関しても変更させてもらう。だって俺には可愛すぎて似合わないもん。

 

 華奢で可愛いヤツならともかく、普通に背丈があってガタイもそこそこある俺に着せる装備じゃないだろこれ。

 

 

 「うぅぅー、リンのバカァ…せっかくお揃いにしたのにぃ……」

 

 「……はあ、わかった。とりあえずこれで勘弁してくれ」

 

 

 本気でへこんでいる様子に良心がちょっと痛む。

 アバターのデザインをそのまま戻すのは流石に心情的に無理なので、少しだけ手を加えてデザイン変更する。

 

 目の前に浮かぶウィンドウを操作する。

 

 金髪にはヤチヨの髪色に似たメッシュを毛先や前髪にいくつか入れ、服装に関してもヤチヨの着ている着物に近い色合いに寄せておく。

 

 オサレな死神が着てそうな紺色の着物と中には赤いパーカー、後は適当に靴やアクセサリーなんかも選んでおく。うん、まあストリート風というか中々良いデザインとして収まったのではないだろうか。

 

 

 「……おっきいメンダコもつける?」

 

 「絶対いらん」

 

 「ぶぅー! このクソボケのけちんぼう!! じゃあケモ耳は!?」

 

 「それもいらん。俺は男にケモ耳の需要は求めてない」

 

 「ええ〜、そんな格好じゃあつまらないじゃん。ここツクヨミだよ?」

 

 

 えーい、いらんと言ったらいらんのだ。

 むさい男の可愛いケモ耳なんぞ俺は求めてない。いや一部の人間にそういった癖というか需要があるのは理解しているが、とにかく俺はいらん。

 

 

 「はあ〜、まあいいかにゃ。それじゃ続けようか、えー、それでは……おほん、───イエーイ、なんと太陽が沈んで夜がやってきちゃったー。はいパチパチ〜

 

 「おい待て雑過ぎる、仕事しろ運営。というか俺のチュートリアル長くね?」

 

 「みんなこんなもんだよ?」

 

 「はいそこ嘘つくんじゃない。時間が掛かるとしてもそれはキャラメイクに対してだろ、俺の場合はチュートリアルの進行がぐだぐだ過ぎるっ」

 

 「細かいことは気にしない気にしないっ! それじゃあ行ってらっしゃい! 本当は一緒に行ってツクヨミを案内したいけど、FUSHIにライブの準備を任せっきりにしちゃってるしそっちに合流しなくちゃ」

 

 「うお、押すな押すな。自分で歩けるから」

 

 「よいではないかよいではないかー! はい、それじゃあこの『ツクヨミ』を楽しんでね! それとライブには絶対に来てくれなきゃダメだよ! 絶対だからねっ!」

 

 

 押すな押すなは別にフリじゃないぞ。

 楽しそうに笑いながら背を押して急かしてくるヤチヨによって大きな赤い鳥居を潜る。

 

 すると視界が光に包まれていき、光の波紋を突き破るように世界が切り替わる。そこは先ほどまでいた終わりなく続く浅い湖ではなく、俺が地球へと戻って来た時に訪れたファンタジックな平安京だった。

 

 ツクヨミに訪れるのはこれで2度目だが、前回は裏口から入ったようなものなので。正面から入るのはこれが初となるので、なんだか変な気分だ。

 

 不意に、妙な違和感を覚える。

 

 

 「……うげ、()()()()か〜」

 

 

 なんとなく身体を動かしてみる。

 元々スマコンを使わずとも()()()()()()()()()()して仮想世界へと入り込むことは可能だが、『郷に入っては郷に従え』というかスマコンを使用してツクヨミへ来たはいいが、アバターという肉体を通して仮想世界にいる所為か妙な違和感がある。

 

 俺と言う存在が、()()()()()()()()()()()()ことが原因というべきか。なにせオンパロス、というよりはセプターに対して特攻を掛けやすいように設計されたチートボディだ。

 

 スマコンを介したログインだと言うのに、所謂コントローラーなどといったデバイスを扱わなくても現実世界と変わらず生身の身体を動かす感覚でアバターボディを操作することができている…それは別にいいんだが。

 

 うん、ぶっちゃけ()()()()()()()()()()()()()()()

 なんというかこう、デカくて重い着ぐるみを着て外を歩いてるみたいな感覚だ。仕方ないとはいえ明らかにチート製ボディからパンピー仕様のボディへランクダウンしてる。

 

 ……まあ、いいか。妙な違和感があるくらいで困り果てるレベルの問題ではない。

 

 しかしツクヨミへ来たはいいがライブの時間までどうするべきか悩むな、なんてその場で考え込んでいると。

 

 

 「───初ログインおめでとう! ツクヨミではみんなが表現者! 君も何かをして人の心を動かしたら、運営から『ふじゅ〜』がもらえるよ☆」

 

 「おお、これが噂のふじゅ〜システムってやつか」

 

 

 どこからともなくウミウシ姿のFUSHIが現れ、俺が初めてツクヨミに訪れた事による初ログインイベントが発生した。本人ではなく録音かこれ、本物のFUSHIはもっとかわいい。

 

 この『ふじゅ〜』というものはツクヨミ内で取引される仮想通貨だ。ヤチヨ曰く、クリエイターの作ったアバター用の衣服であったり、何かを依頼したり、ライバーの応援用の投げ銭の為だったりと、ユーザー間の取引にこのふじゅ〜が使用されるらしい。

 

 しかも現実世界の金銭にも換えられるらしい。ほえー、すごいね現代。

 

 

 「……うーん、どうすっかな」

 

 

 このツクヨミを見て回ろうにも、どこから見ていけばいいのかわからん。

 

 現実世界でヤチヨが軽く説明してくれていたとはいえ、運営が提供している様々なワールドやゲームなどの体験システムがあるようだが話で聞くのと実際にやってみるのとじゃ違ってくる。

 

 

 「───うし、こんな時こそ暇人(あいつら)の出番だな」

 

 

 とりあえずいつも通り脳内掲示板を使用する。

 仮想世界であろうと、この能力が変わりなく使用できることは前回この世界に訪れた時に確認済みだ。よって暇人たちを召喚する。

 

 

1:一般ナナシビト

 おーい! テ◯ビのジョーン!

 

2:名無しの転生者さん

 ワンワン、お呼びですかぁ〜?

 

3:名無しの転生者さん

 草、テ◯ビのジョンなつ。世代がバレるぞイッチ

 

4:名無しの転生者さん

 お、イッチ配信してるじゃん。もしかしていまツクヨミ?

 

5:一般ナナシビト

 せやで

 テ◯ビのジョン、ツクヨミで面白いゲームについて教えてくれたまえ!

 

6:名無しの転生者さん

 ワンワン、了解~!ググれカス

 

7:名無しの転生者さん

 ジョン辛辣過ぎて草ァ!

 

8:名無しの転生者さん

 ピッ!(息の根を止める音)

 

9:名無しの転生者さん

 グエー! 死んだンゴ!

 

10:名無しの転生者さん

 草

 ツクヨミめっちゃ綺麗だなすげー

 

11:名無しの転生者さん

 ジョンが逝った…!

 

12:一般ナナシビト

 なんだ、お前らがヤチヨのライブ見たいって言ってたから配信モード入れたけど、そんなことなかったみたいだから切るわ

 

13:名無しの転生者さん

 あー、うそうそ!ちょっとしたおふざけじゃないっすか〜! やだなぁもうイッチさんたらー! きゃー、今日もイケメンー!

 

14:名無しの転生者さん

 消えたジョンはさておき、ツクヨミで大人気ゲームといえばやっぱり『KASSEN』じゃないか? 7対7のバトロワだったり陣取りだったり色々あるが、イッチがソロで潜るなら『SETSUNA』だと思う。簡単に言うと1体1の対戦格闘ゲームモードやな

 

15:名無しの転生者さん

 つまりは格ゲー

 

16:名無しの転生者さん

 ほえー、おもろそうやん。ツクヨミの観光案内も頼むわ

 

17:名無しの転生者さん

 ほな、イッチはボッチだからSETSUNAってやつか

 

18:一般ナナシビト

 おk

 じゃあそのSETSUNAとかいう格ゲーモードでライブまで時間潰すか

 

19:名無しの転生者さん

 おー!

 

20:名無しの転生者さん

 りょー

 

21:名無しの転生者さん

 がんば、昼飯食いながら応援しとく

 

 

 よし、時間を潰す手段と目的も決まったのでとりあえずはその格ゲーモードでしばらく遊ぶ事にする。といってもツクヨミを軽く見て回った後にだが。

 

 ツクヨミ内は思っていた以上に広く、何度か迷子になりそうだったが掲示板からの指示やアドバイスによってなんとか目的としていたゲームモードへ辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

37:一般ナナシビト

 そんなこんなでやってまいりましたヤチヨミニライブ

 格ゲーモードは楽しかったです。欲を言えばもうちょい手応えのある相手が欲しかったですが、骨のある対戦相手に出会えたのでワイは満足です。

 

38:名無しの転生者さん

 知 っ て た 

 

39:名無しの転生者さん

 いっちつおい…!

 

40:名無しの転生者さん

 どうして開幕と同時に速攻仕掛けて来た対戦相手の首がすれ違いざまに捩じ切れて転がってるんですかね…?

 

41:名無しの転生者さん

 そりゃナナシビトが相手だからだろ、きっと…うん

 

42:一般ナナシビト

 そうだよ、ナナシビトならみんなこれくらいできるよ。うちの姫子なんて毒を盛ってない一杯のコーヒーで相手を毒殺できるし、ノンデリ大王のなのかさんなんてセコムがワンパンで相手をシバいた後記憶改竄するぞ(大嘘)

 

43:名無しの転生者さん

 ひぇ…ナナシビトこわい…!

 

44:名無しの転生者さん

 とんでもない風評被害(一部を除き)が列車組を襲ってる

 

45:名無しの転生者さん

 突然こんな化け物にマッチして引き56された他のプレイヤーに涙が禁じ得ない。かわいソス

 

46:名無しの転生者さん

 というかイッチが『S E T S U N A』に乗り込んで対戦相手しばき回してる最中に、まさか帝さまと出会う事になるとは…!

 

47:名無しの転生者さん

 あの赤髪の兄ちゃんか、いい人ぽかったよね。イッチが初ログインのニュービーだって知ると、リザインして勝利を譲ってくれた後にレクチャーまでしてくれようとしたし

 

48:名無しの転生者さん

 まあそんな優しい古参プレイヤーに問答無用で開幕速攻喧嘩売って最終的に両断して斬り捨てたアホがおるんやけどな…え? もしかしなくてもイッチって割と戦闘狂なん?

 

49:一般ナナシビト

 いやその、楽しくなっちゃって。

 アキラくんとマッチングするまで雑魚ばっかだったというか、絶対この人強いなってプレイヤーに出会わなかったから嬉しくなっちゃって…!

 

50:名無しの転生者さん

 真っ二つにされた帝様かわいそう。

 イッチが間違えてチュートリアル用のデフォ武器で戦ってたから、対戦用の強い装備に切り替えられるシステムに気がついてない初心者だと思って声をかけてくれたのに…!

 

51:一般ナナシビト

 まあその後、アキラくんの方からリベンジマッチというか対戦申し込んできてくれたんだけどね。おかげで強い人と連戦できて楽しかった、フレンド登録もしてくれたし。また今度遊ぶ約束もしたぞい!

 

52:名無しの転生者さん

 帝様、イッチが化け物過ぎてずっと驚いてたな。

 帝さま「なんで弾丸を斬り落としながら突っ込んで来れるんだよ!!?」

 イッチ「いや、弾が飛んできたら普通斬って弾くでしょ?」

 帝さま「……???」

 イッチ「当たると痛いじゃん」

 帝さま「???」

 

53:名無しの転生者さん

 お前は雷電か

 

54:名無しの転生者さん

 ずっと宇宙猫みたいな顔してる帝様おもろかった。

 すいません、そいつ常識とか通じないチート持ちナナシビトなんです。動体視力とか反射神経がイカれてるんです、それでも純粋にゲームを楽しんでるだけの宇宙人なんですよ!

 

55:名無しの転生者さん

 気づけば戦績が10対0になってて笑った。

 しかしなんで帝アキラは『S E T S U N A』やってたんだろうな。黒鬼の人数的に『S E N G O K U』がメインじゃないのか?

 

56:一般ナナシビト

 なんかライバー仲間の人と待ち合わせしてたみたいだけど、予定がずれたからそれまでの時間潰しでソロモードやってたみたいだぞ。さっきツクヨミを軽く案内してもらうついでに教えてくれた

 

57:名無しの転生者さん

 初ログインで人気プロゲーマーグループ『ブラックオニキス』のリーダーをしばいた上にフレンドになってツクヨミを案内してもらった初心者プレイヤーがいるんだってよ、すげえな(困惑)

 

58:名無しの転生者さん

 はは、そんなわけ(めそらし)

 

59:名無しの転生者さん

 お、もうそろライブ始まるやん!

 

60:名無しの転生者さん

 わくわく…!

 

61:名無しの転生者さん

 かぐやちゃん、いやヤチヨちゃんたらこんなに大きくなっちゃって…! 前までウミウシみたいに小さかったのに成長って早いのね!

 

62:一般ナナシビト

 いやガチでウミウシサイズだったし8000年経ってるから別に早くないぞ?

 

63:名無しの転生者さん

 きたあああ!ヤオヨロー!

 

64:名無しの転生者さん

 ヤ゛オ゛ヨ゛ロ゛ー゛!

 

65:名無しの転生者さん

 なんかすごい張り切ってるように見えるなヤッチョさん

 

66:名無しの転生者さん

 いや、まあ……そりゃそうでしょ。だって気のせいじゃなければヤチヨさんすごいイッチのほう見てるもん

 

67:名無しの転生者さん

 あっ(察し)

 

68:一般ナナシビト

 アイドルのライブってこんな感じなのか。なんかすっごい目がチカチカして来た、画面酔いして吐きそう

 

69:名無しの転生者さん

 ダメだこいつ気付いてない。眩しいからってサングラスかけてる場合じゃないぞイッチ。というかサングラスのせいでライブが見にくいぞイッチ

 

70:名無しの転生者さん

 イッチ、頼むから吐かないでくれ。いま俺たちはイッチの視界をシェアスクリーンにしてライブを見てるんだ、ついでに言うと俺はいまご飯を食ってるから吐かないでくれ頼むから

 

71:名無しの転生者さん

 お、ミニライブなのに一曲だけじゃなくてほかも歌ってくれるんか。やっぱりいい声してるねヤッチョさん、綺麗なお声に耳が癒される

 

72:名無しの転生者さん

 演出綺麗だなー……あ、ヤッチョさん分裂して増えた

 

73:名無しの転生者さん

 あらやだ、ミニマムサイズのヤチヨちゃん可愛いわよネェー!

 

74:名無しの転生者さん

 ……なあ、気のせいじゃなかったらなんだが

 

75:名無しの転生者さん

 おっと…言うな、何も言うんじゃない

 

76:一般ナナシビト

 うお!? ちっこい大群がめちゃくちゃこっち飛んで来た!

 

77:名無しの転生者さん

 もう次の曲か、聴き入ってるとあっという間やね

 

78:名無しの転生者さん

 あの…いや、やっぱりそうだよね?

 

79:名無しの転生者さん

 ……さ、さあ? なんのことかわからないや

 

80:一般ナナシビト

 いやさっきから選曲重くない?

 

81:名無しの転生者さん

 バカやろう!? 言わないようにしてたのに!

 

82:名無しの転生者さん

 スゥー…まあ、そういう日もありますよね、きっと。

 

83:名無しの転生者さん

 ……まあ、その、なんだ…ヤッチョさんにとって大切なものってなんやろうな?

 

84:名無しの転生者さん

 いま(8000年前と約7年前に)失くしたソレやろ…多分。

 

85:名無しの転生者さん

 え、この世界キ◯ニニキおるんか?

 いま歌ってるのも完全に『ファ◯ール』じゃん……うおっ、あなたが居ないと生きていけない、だとさイッチ。

 ちゃんと責任とるんやで?

 

86:一般ナナシビト

 いや、多分いない。

 なんなら「推し◯子」だって存在しなかったし、多分俺が8000年の間に歌ってたアニソンとか覚えてたんだろうな、よく口ずさんでたし

 >>85 たぶん俺じゃなくて酒寄彩葉さんの事だから大丈夫やろ

 

87:名無しの転生者さん

 いやお前の所為かよ…!

 というかキ◯ニタ◯ヤの曲好きだったんか。奇遇やん、俺も大好きいい曲ばっかだよな

 

88:名無しの転生者さん

 あーあ、俺もうしーらない!

 

89:名無しの転生者さん

 独占欲が強くて愛が重い女の子っていいよね(他人事)

 

90:名無しの転生者さん

 重すぎて空間が軋んでそう、霊圧で押しつぶす藍染惣右介じゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 愛が重い女の子っていいよね
 


執筆中その作品の用語とか設定を使う際に、なんとなく気になりました。

  • 『超かぐ』も『スタレ』も知ってる!
  • 超かぐや姫!しか知らんで!
  • 崩壊:スターレイルしか知らんで!
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