うわっ、前からタケノコが!!   作:七夕ナタ

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 感想、評価、ここ好き、お気に、ありがとうございます。

 更新遅れて申し訳ない。世間はGWですね、でも私は普通に仕事…しかし体調崩して休む羽目になっちゃったけどな! うひょー!一日中ベッドの上だぜ!(39度)

 普通にキツい。





当店でのお触りは禁止されております!

 

 

 

1:一般ナナシビト

 喫茶『BAMBOOcafe』は今日も平和です。

 新人のドジッ子みおちゃんさんが客に満水のピッチャーをぶっかけるだけではなく、何やら誤発注をやらかしたっぽく夏の旬の果物やら野菜やらが大量に届いたとです。

 でも店長は「あらやだぁ! じゃあ丁度いいし旬のフェスでもやろうかしらァー!」の一言で済ませてました。懐が広いな店長、すげえっす……でも勤務中に俺の尻触るのはやめてケロ。ぶっ飛ばすぞ。

 喫茶『BAMBOOcafe』は今日も平和です(戦慄)

 

2:名無しの転生者さん

 セクハラされてて草

 

3:名無しの転生者さん

 店長さんすげえな色んな意味で…

 

4:名無しの転生者さん

 で た わ ね

 『BAMBOOcafe』の謎多き店長。イッチ曰く、気のせいじゃなければ只者じゃない超地球人……いや何者だよあんた

 

5:名無しの転生者さん

 しかも転生者じゃないから天然モノのバグ……え、なんで?

 

6:名無しの転生者さん

 ほら、あれだ、イッチが過去で色々やらかしてたから、そういう凄い一族の血が途絶える事はなかったんだろ……多分。

 

7:名無しの転生者さん

 ほなイッチのせいか。過去の時代のやらかしのせいで、『超かぐや姫!』時空の教科書で情報探せばそれっぽいのが隠れミ◯キーみたいな感じでイッチの情報出てくるしな、多分。

 このピコハン抜刀斎がよぉ…!

 

8:名無しの転生者さん

 男は度胸!女は愛嬌!!オカマは最強!!!

 

9:名無しの転生者さん

 なんでこの人、喫茶店の店長やってんだ(困惑)

 

10:名無しの転生者さん

 その時の季節やフェスによって、ちょくちょく店の制服とメニューが変わり美男美女を揃えた謎多きカフェ。ちょっと気になるな、普通に行ってみたい

 

11:名無しの転生者さん

 彩葉ちゃんが酔っ払いの客に絡まれてるタイミングで、イッチと店長がヌッて出てきたのは思わず吹いた。

 

12:名無しの転生者さん

 以下やり取り抜粋

 店長「もうお客様ったら、新人の子にキツくあったちゃダメよー。ね、リンちゃん?」

 イッチ「そうですわ。土にお還りくださいませご主人様」

 汚客様「ヒィ、ナンダオマエラ!!」

 ……これはひどい

 明らかに只者じゃない二人組がメイドのコスプレして店の奥から出てくるんだもん、そりゃビビって帰るわ。

 

13:名無しの転生者さん

 店長はともかく、なんでイッチもノリノリでコスプレしてるんだよ。しかもなんでお前がメイド服なんだよ…っ! イケメンなんだから執事の格好してろよ!

 

14:名無しの転生者さん

 ギギギ…ガコン……なるほど、新解釈の登場だ。店長×イッチ道は深い…!!

 

15:名無しの転生者さん

 >>14 ねえよそんなもん、適応すんな

 

16:一般ナナシビト

 >>13 いや、なんか学園祭みたいで楽しくてつい…。

 てかそんな話はどーでもええねん! 店長の話は一旦横へ置いておいてだ、お前らが言ってたゲーミング電柱とか何やらで、過去のかぐヤッチョというか、かぐや姫(ミニ)が爆誕したぞ。

 お前らがゲーミング電柱とか言い出した時は「何言ってんだこいつ」状態だったが、実際に酒寄嬢から連絡飛んで来た時は意味がわからんくて一瞬フリーズしたけど、事前にトンチキな情報を聞いてたおかげで対応できたわ。

 

17:名無しの転生者さん

 お、ゲーミング電柱来たか〜

 

18:名無しの転生者さん

 かぐやちゃんリリィも到着したってことは本格的に原作開始だな。色んな意味でどうなることやら

 

19:名無しの転生者さん

 という事は彩葉ちゃんは子育てに奮闘してる最中なのかにゃ? それとも既に成長しきってるのか…まあどちらにしろここまで来たら手伝ってやるんだぞイッチ

 

20:名無しの転生者さん

 お前がパパになるんだよ!

 

21:名無しの転生者さん

 ちょっと気になる、見てみたかったなゲーミング電柱

 

22:名無しの転生者さん

 それとできれば彩葉ちゃんの有り金が消し飛ぶのは阻止してあげてくれ、いくら聖人の彩葉ちゃんであろうと、あれは見ていてちょっぴり可哀想だった。

 

23:一般ナナシビト

 >>20 俺はパパじゃない。

 子育て奮闘してる彩葉嬢はお手伝いしたが、かぐやの成長スピード早すぎてびっくりしてた。なんなら俺もびっくりした、まさか3日でこんなに我儘お姫様として逞しく育つとは…やっぱこいつかぐやだわ、初対面なのに初めて会った気がしない。悪童の気配をひしひしと感じる

 それと彩葉嬢の金に関しては大丈夫っぽかったぞい。彩葉のパソコンで買い物しようとしたタイミングでヤチヨが割り込んで土下座する勢いで自分のスマホとクレカ渡してた

 

24:名無しの転生者さん

 草、何やってるんだヤッチョ

 

25:名無しの転生者さん

 過去の自分のやらかしを修正しようとしても、苦学生彩葉のウォレットを使い切った君の罪と過去は消えないぞヤッチョ

 

26:名無しの転生者さん

 学費も生活費も自分で賄ってる限界ちょー無理苦学生に12万とかいうスマコンは重すぎる買い物だしなぁ。いやあれでよく許したよ、人が良すぎるぞ彩葉ちゃん

 

27:名無しの転生者さん

 でも12万であんな近未来的なハイテクデバイスがゲットできるならアリなのか。コンタクトレンズつけた事ないから怖くて触りたくはないが

 

28:名無しの転生者さん

 使用してる最中に故障したりしたらやばそうよね。

 

29:名無しの転生者さん

 ところでイッチは今バイト中なんか?

 

30:一般ナナシビト

 いや、有休消化というか、しばらく休みになった。

 3連休の間は付きっきりというか、彩葉嬢のお手伝いしたり赤ん坊の世話したりって感じだった。彩葉嬢の勉強の時間確保してその間俺が面倒見てたり、その次は彩葉嬢って感じで交代で赤ん坊の世話してたな。

 なおヤチヨは逃げ出して、『擬態』解除からのフルダイブでツクヨミに引きこもってやがったから、強制的に引き摺り出してやった。自分のおしめは自分で取り替えんかい。

 

31:名無しの転生者さん

 あー、なるほどね…。

 

32:名無しの転生者さん

 それはまあ、どんまいとしか言いようがないな。

 

33:名無しの転生者さん

 ヤチヨちゃんからしたら、目の前で赤ん坊状態の過去の自分がミルク飲まされたり、オムツ替えてもらったり、子守唄歌ってもらったり、トントンされたりよしよしされたりで、とんだ羞恥プレイだろうからな

 

34:名無しの転生者さん

 そう考えるとあれだな…なんていうか……その…下品なんですが…フフ……下品なんでやめときますね…

 

35:名無しの転生者さん

 やめとけやめとけ

 

36:名無しの転生者さん

 >>33 あかん、このままじゃヤッチョちゃんが新しい扉を開いてまう

 

37:一般ナナシビト

 ほいさ

 【写真】

 

38:名無しの転生者さん

 かわいい、これはキュートな悪童ですわ

 

39:名無しの転生者さん

 かぐやちゃん、イッチに肩車されてはしゃぎまくりじゃん。というかイッチが疾走してるせいで写真がブレてターボ歩実みたいになってる

 

40:名無しの転生者さん

 躍動感生まれててワロタ

 隅っこでヤッチョが複雑そうな顔してるじゃん。こうして見比べてみると、やっぱりというか、なんとなく似てるというか、面影があるというか……いや、同一人物だから当たり前なんだけどさ

 

41:名無しの転生者さん

 ふと思ったんだが大丈夫これ? リアルで顔を合わせるとなるとヤッチョの正体というか存在というか、かぐやちゃんに身バレしないか? 月人のことだったりライバーのことだったりとか諸々

 

42:一般ナナシビト

 その辺はバレてないっぽい…?

 同じ月人同士で何か感じるものがあるのか、ヤチヨを見て不思議そうにしてたけど、今のヤチヨはヘルタ作スタレ技術産の『もと光る竹』で受肉してるからか違和感はあるけどそれが何かわかってない…みたいな感じかも

 ヤチヨもバレるんじゃないかって冷や汗ダラダラだったけど、かぐやが気が付いてないってわかると胸を撫で下ろしてたから、多分大丈夫。でもライバー云々は時間の問題な気もする

 

43:名無しの転生者さん

 まあ、『擬態』という機能が一緒でも使ってる技術の中身が全くの別物だから気が付いてないのか…?

 

44:名無しの転生者さん

 まあ詳しい事は分からんが、バレてないのなら一安心か。だとしてもイッチの言う通り時間の問題っぽいな

 

45:名無しの転生者さん

 >>37 かぐやちゃんとヤチヨちゃんが2人揃って現実世界に居るって中々レア光景やな。2人ともお団子ポニテでお揃いにしててかわいい、イッチもお揃いでお団子ポニテにしろ

 

46:名無しの転生者さん

 >>45 イッチくんはなぁ、顔がアカンわ。イケメンやからどんな髪型の服装も着こなせるけど、ほぼリチャードの所為で第二再臨の格好が一番しっくり来る……後は言わんでも分かるやろ。イケメンや、顔の良さで死ぬでワイ……うおっ、顔が良い

 

47:名無しの転生者さん

 褒めてるのか貶してるのかわからんぞドブカス

 

48:名無しの転生者さん

 でもまあ言いたい事はわかる。なんだかんだ、革ジャンと三つ編みが一番似合ってる

 

49:名無しの転生者さん

 ところでさっきの写真を見る感じ、イッチはかぐヤッチョコンビと一緒にお出かけ中なんか?

 

50:一般ナナシビト

 せやで。3連休の間は彩葉嬢とかぐやとも一緒に居たけど、休日明けて彩葉嬢は学校も始まるしで、お泊まり会らしきモノもお開きになって家に送り返してる。

 帰ろうとする彩葉嬢をヤチヨが引き止めたり、彩葉嬢は謎の宇宙人(かぐや)をこっちに押し付けてこようとしたりで色々あったが……まあ、おまえらの言う原作通りの形には収まってるんじゃないか?

 

51:名無しの転生者さん

 イッチが派手に原作崩壊させてるから、今更原作通りもクソもないゾ。

 

52:名無しの転生者さん

 その『原作通り』の道筋は既にぶっ壊れてるんだよなぁ

 

53:名無しの転生者さん

 かぐやベビーのお世話を手伝ってるとは言ってたが、お泊まり会してたんか。その話をもっと詳しく聞かせなさい、俺はいまそう言う甘酸っぱいであろう話に飢えている

 

54:名無しの転生者さん

 女子高生に手を出しちゃダメって言ったでしょおじいちゃん!

 

55:名無しの転生者さん

 ヤッチョは彩葉ちゃんとも一緒に居たいだろうし、かと言ってイッチのことを手放すつもりもないだろうしなぁ……うん、もうヤッチョちゃんの為にも一緒に住んじゃえよイッチ

 

56:名無しの転生者さん

 そうだぞ、『(原作)崩壊』の運命の行人。遅かれ早かれ後戻り出来ないところまで来てるだろお前、自分の『運命』を受け入れて女子高生と一緒に新しい物件を『開拓』してこいナナシビト

 

57:一般ナナシビト

 え、ヤダよ。男1人とか絶対肩身狭いじゃん、共同で住むとしてもせめて半々というか、列車組と同じくらいの男女比にしてくれよ。俺は男同士でバカ話とかしたいタイプなんだ

 それと女子高生と物件を探すことを『開拓』とかいうな。

 

58:名無しの転生者さん

 そういや『星穹列車♡ファミリー』の男女比もそんな感じか。

 女性陣は星ちゃん、なのかちゃん、姫子さん、男性陣は丹恒、ヨウおじ、イッチ、それとサンデーきゅんか。あかんな、このままイッチが共同で住むとなると男女比が『星核ハンター☆ファミリー(笑)』と一緒になってしまう

 

59:名無しの転生者さん

 女性陣に囲まれて肩身の狭い刃ちゃん…!

 

60:名無しの転生者さん

 いまの刃ちゃんがそういうの気にしてんのか知らんが、発言力は弱そうだなぁ…。イッチが列車内で男性陣とどんな話してるのかも気になる

 

61:名無しの転生者さん

 ふと気になったんだが、イッチは星核ハンター組と面識あるの?

 

62:一般ナナシビト

 あるで、特に銀狼とかはよくゲームのお誘い来て一緒に遊んでる。星核ハンター組の中じゃ一番仲良いというか、接点があるかも。

 一応、星核ハンターとはストーリーで絡んで来る以前から顔見知りてか、いきなり接触してきたというか、絡んで来たというか……黒猫から意味深な感じで勧誘?っぽいの受けたことあるし、カフカお姉さまからも提案されて頷きかけたが、理性で堪えた。だって普通に怖いもん。

 それと挨拶代わりに4対1で集団リンチしようとして来るのはやめてください、ネームド相手だと普通にキツイんです…!

 

63:名無しの転生者さん

 イッチはボンキュッボンでエッチなお姉さんが好きだもんね……しかし美人が相手でも煩悩よりも恐怖が優ったか

 

64:名無しの転生者さん

 襲撃されてて草

 ……え゛よく生きてたなイッチ

 

65:名無しの転生者さん

 エリオが絡んで来るって事は、あっちの世界の住人からしたらお前やっぱ厄ネタだろ

 

66:名無しの転生者さん

 イッチの交友関係が普通に気になってくるぞい

 

67:一般ナナシビト

 わりとネームドポジとかは会ってるかも? 変に警戒されてたりするけど、やっぱ仲良くなりたいよね。それと純美キチのベルバラニキのことは勝手に心の友だと思ってる、気さくで仲良くしてくれるしあいつがいるだけ俺の心労も減り生存率がグッと上がる気がする

 

68:名無しの転生者さん

 流石は純美の騎士…!

 イッチからの好感度も高くてワロタ、お前にはオンパロスを一緒に駆け抜けた相棒がいるだろうがッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  


 

 

 

 「ではでは、彩葉ノートで赤点回避記念〜!」

 

 「こちらがお礼の品でーす。ご査収くださーい」

 

 「あ、ありがとう…!」

 

 

 芦花と真実の2人に連れられて、貧乏女子高生の願いと僅かな抵抗も空しく連行されたのは、『空と大地と人がつながる』という壮大なコンセプトの複合施設。自然光をたっぷりと取り入れたオシャレ度も価格帯もハイクラスなカフェの一角……い、いやうちのアルバイト先のカフェだって負けてないぞい。

 

 多分、店長と従業員のキャラの濃さで言えばどこにも負けない自信がある…うん。

 

 そして私の前に運ばれてきたのは映えの象徴とも言うべき、白いクリームがたっぷりいっぱい夢いっぱいなふわふわの三段重ねパンケーキ。

 

 お、美味しそう……オシャレなカフェでこのレベルのパンケーキが出てくるのはわかるが、この前チヨちゃんがこれに引けを取らないようなパンケーキを作ってたな。

 

 チヨちゃんは「楽しくなっちゃった! ささ、彩葉も食べてね!」なんて言っていたが自宅へ遊びに行った時に出てくるレベルのパンケーキじゃないでしょうに……あれと比べると私の作ったアレを()()()()()と呼ぶのが烏滸がましく感じでしまうレベルだ。

 

 先輩がアレを口にした時「うん、醤油、いやソースとかマヨネーズをかけて食べれば全然イケるぞ! これが何かわからんが割とイケるな……所で酒寄、俺は今何を食べさせられているんだ?」なんて言っていた。

 

 それはもうパンケーキを食べた感想じゃない。私が作った『粉と水のパンケーキ』をお好み焼きか何かと絶対に勘違いしてるぞあの人。

 

 ……思い出したら腹が立って来たな。今度チヨちゃんから材料をもらって本気で作ったパンケーキを口の中にぶち込んでやろう、うん。料理下手のイメージを払拭しなくては。

 

 

 「いただきまー……」

 

 「───シャッ!」

 

 

 2人は言葉にしなかったが、芦花と真実の、このノリからして奢りだ。正直言って嬉しすぎる、オシャレなカフェでパンケーキを食べられることもそうだが、2人が私の為にしてくれたというだけでもありがたい。

 

 形式的な遠慮こそするものの、2人のことなので断っても優しく跳ね返されてしまうことはわかってる。なので、私も変に遠慮せずパンケーキへと手を伸ばした瞬間。

 

 横から伸びて来た雪のような白い手が、ふわふわのパンケーキに三又の刺突武器を突き刺して掻っ攫っていった。

 

 

 「いただきまーす! あむ、もぐもぐ……ゥンンまああ〜いっ!!」

 

 「……えっ?」

 

 

 こいつ、私が食べる筈だったふわふわのパンケーキちゃんを一口でいきやがった…!

 

 3段重ねのパンケーキは一瞬にして二階建てへと減築され、更に気がつけばお皿の上は何も残らない真っさらな空き地へと変貌していた。なんだここは、小学生が放課後に集まって野球でもする狭い空き地か?

 

 

 「よっ、彩葉!」

 

 

 私のお皿の上を更地へと変えた犯人は、お伽話の月のお姫様もかくやと言わんばかりに飛び切りの笑顔を光らせていた。更には綺麗なウインクまで飛ばしてくる始末だ。

 

 ば、おま、は?…な、なぜ貴様がここに?

 この妖怪は私のアパートに封じ込め、先輩に頼んで様子を見てもらっていたはずでは…!?

 

 なぜこの宇宙人がここにいるのか理解が追いつかず、わなわなと震えて困惑していると、その背後の離れた席で見慣れたジャケット姿の男性の姿があることに気がついた。その隣にはどこか不貞腐れたような様子の少女の姿もあった。

 

 ───視線がかち合う。

 

 すると青年も、この月のお姫さまと同じようにバチコーンと完璧なウインクで星まで飛ばして来やがった。そんなてへぺろみたいな顔されても可愛くないですから、冗談抜きでぶっ飛ばしますよ?

 

 

 「えー、可愛い。誰この子?…あ、リンさんとチヨちゃんもいるんだ。こんにちわ〜」

 

 「わ、彩葉の服着てるぅ。もしかして彩葉の友達ー?……あ、彩葉のバイト先のイケメン!」

 

 「あ、あああ、そう、そうなの! いや友達っていうかその…!」

 

 

 な、なんて説明すればいいんだ!? 助けを求めた事で事情を知っていた先輩やチヨちゃんへの説明はすんなりといったが、この2人に事の経緯を説明しようにもあまりにも馬鹿げた話で通じるかもわからない。

 

 ……ってちょっと待って、こいつ本当に私の服勝手に着てるし! というかその両手いっぱいに持ってる買い物袋の山はなに!?

 

 

 「パンケーキ好き? はい、これもど〜ぞ」

 

 「パン、ケーキ? これが? うおっすげー、彩葉のと全然違〜う! ちょーおいし〜!!」

 

 

 うっさい! 私が作ったパンケーキと全然違くて悪かったな! てかなんでここにいるんだ。あれほど部屋の外に出るなって言っておいたのに、先輩にだって監視を頼んでおいて……いや、待て、まさか嬉々として連れ出したんじゃないだろうなあの人!? いやありえるぞあの人の性格なら…!

 

 って、芦花も甘やかさないで!

 

 ───そんなパニック状態な私を差し置いて、謎多き宇宙人は芦花から貰ったパンケーキを一口で平らげると、その味にウネウネと身を捩っている。あまりにも堂々たる姿で、逆に私の頭の火照りがスッと冷めていくのを感じる……こ、こいつ、本当に自分が置かれている状況を理解してるのか?

 

 どうすればこの状況を切り抜けられるのか、頭を悩ませていると背後に控えていた青年が一歩前に出て近づいて来た……せ、先輩! 助けてく…れる様子はなさそうですね、はい。

 

 

 「や、()()ちゃんに()()ちゃん。2人とは()()に会いにバイト先へ遊びに来てくれた時にちょくちょく顔は合わせていたが、こうしてオフの日に顔を合わせるのは初めてかもな」

 

 「あ、確かにそうですね。今日はチヨちゃんとお買い物ですか?」

 

 「そんなところだ、それよりも騒がせたみたいですまなかった。目を離した隙に、酒寄を見つけたとか言って走り出して行ってな」

 

 「いえいえ、可愛い子ですね〜。ね、紹介してよ彩葉。こんな可愛い友達独り占めはズルいって」

 

 

 なんでそんな呑気に会話してるんですか?

 そ、それに友達っていうか、3日前に拾った赤ん坊が急成長した宇宙人というか、えーっと、その……?

 

 どう答えるべきかわからず、時間を稼ぐように口篭りながら、「早く帰ってくれ」と視線を突き刺すが効果はなし。先輩も芦花と仲良さげに喋ってないで……、そうだチヨちゃん助けて…ってなんでそんな不貞腐れたような顔でこっちを見てるだけなの? お願い助けてチヨちゃん。

 

 親しげに2人と会話している先輩を、どこかモヤモヤとした気分で見て見ぬフリをしながら、この場で唯一頼りになりそうなその妹さんへ視線を送るも、頼みの綱である彼女も動いてくれそうにない。

 

 ど、どうすれば。

 

  

 「───月から来たの!!」

 

 

 その時、差し出されたパンケーキを全て平らげた宇宙人が、胸を張り言葉を口にした。おい、口の周りに食べカスついてるぞ…!

 

 というか、なんてことを言ってくれてるんだこの宇宙人。何をどう解釈したのか、どうしてそんな更に状況を混乱させるような最悪な自己紹介をしてくれてるんだ。

 

 

 「……え?」

 

 「ツキ……?」

 

 「ン゛ッゔゔんっ!! そう、ツキ……()()! 築地から来たんだよ、私のイトコなんだよねこの子!?」

 

 

 思わず、自分でもこれは苦しいだろといった出まかせが口から出て来た。いや、どうせなら先輩のイトコとかにすればよかったか? それなら深掘りされた時に誤魔化す事になるのは私ではなく先輩だし……ミスったな。

 

 おい、そこの金髪。こっちが必死に誤魔化してるというのに、なんで宇宙人の後ろで必死に笑いを堪えてるんだ……お、覚えとけよ!

 

 

 「わー、築地かぁ。美味しいお鮨屋さん教えて〜〜?」

 

 「可愛いね、お名前は何て言うの?」

 

 

 ヨシ! 誤魔化せた! これなら何の問題もないな!

 我ながら苦しい言い訳だったが、立川一のグルメガールは築地のグルメに気を取られている。そして芦花の方もこの謎の宇宙人の見目麗しさに夢中のようだ。流石だ立川一の美容ガール。

 

 いつも可愛い服とかコーディネートを教えてもらっていて助かってます…!

 

 

 「名前? 名前は、えーっと……かぐや!」

 

 

 不意に、どこかこの宇宙人と似たような境遇であるお伽話を思い出した。それはこの宇宙人が驚くべき成長スピードで大きくなった時に、読み聞かせた日本人なら誰もが知る物語。

 

 そのお姫様と同じ、かぐや姫の名が頭を過り口に出した。

 

 

 「ほえ〜、かわよー!」

 

 「え〜、ぴったりだね。かぐやちゃんって言うんだ」

 

 

 そうだよね、かぐや! なんて盛り上がる芦花と真実を尻目に、話を合わせろとメッセージを添えたフルパワーの眼力で視線を向けてやれば、暫定かぐや姫は、ポカンとした表情を浮かべた後に表情を崩して嬉しそうに笑っている少女がいた。

 

 

 「かぐや…? かぐや、かぐや……うへへ、そっかぁ。かぐやかぁ〜!」

 

 

 なぜそこまで嬉しそうな顔をしているのか、なんて思ったが『名前は人生最初のプレゼント』。そんな言葉をどこかで聞いたような気がする、つまり今のもそういった感覚に近いものなのだろうか。

 

 ふと、視線を横へずらして見れば何かに納得したような表情をした先輩と、どこか懐かしそうに、嬉しそうに、それでいて羨むような、何故かそんな不思議な表情を浮かべているチヨちゃんの姿があった。

 

 いや、今はそれよりも…!

 

 

 「ごめん! 帰るね! ありがとね、ごちそうさま! 今度埋め合わせするから、2人もそんなとこに立ってないでついて来てください! ほらかぐやも行くよ!!」

 

 「うおっ! わかった、わかったから引っ張るな。何だか邪魔したみたいで悪かった2人共、ここは俺の奢りって事でこれで何か美味しいモノでも食べてく……あいたた、酒寄、髪を引っ張るのは無しにしよう」

 

 「ええ〜、かぐやもっとパンケーキ食べたい!」

 

 「家にもあったでしょ、作り置きしといたやつはどうした!」

 

 「いやだってアレくそまじぃから……」

 

 「あー! 置いてかないでよ彩葉ー!」

 

 「ごめんチヨちゃんもついて来てっ!」

 

 

 これ以上はもう限界だ。

 このまま芦花や真実から色々と聞かれるとなるとボロが出ることになる。未だに、にへらと表情を崩して笑っているかぐやの手を引き、それと助け舟すら出してくれなかったパツキンの阿保を引きずるようにして慌ただしくカフェから脱出した。

 

 まるで嵐が過ぎ去ったかのように店内は静まった気がする。

 

 それから問題児2人を引き摺りながら歩いて行き、人気のない一角まで歩き切ると上機嫌なまま1人でずっと喋っていた宇宙人(かぐや)へと向き直り、小さく息を吸って。

 

 

 「正気!? なんでここにいんの!? なんで部屋から出てくんの!? 家にいてって言ったでしょ! というか月から来たって何!? 正体バレたらどうすんの!!? なんで私の服着てるの!? それとその大量の買い物袋はなんなのっ!!?」

 

 「ぶー、だってつまんないんだもん。あ、それとこれはリンと一緒にブラブラしてる時に色々と買ってくれた! 可愛い服とか食べ物とか、もちろん彩葉の分もあるよ!」

 

 「……はあっ!?」

 

 

 言いたいことは一息で全て吐き出した。

 そのどれもが私にとっては至極真っ当な疑問とクレームだったが、この宇宙人は自分の正体がバレるリスク云々を含めて「つまんない」の一言で一蹴しやがった。というか買ってくれたってなんだ!?

 

 隣に立つ青年にも文句を言ってやろうとなんて考えていたのに、その言葉で思わず、かぐやの買い物袋をいくつか取り上げて中身を確認してしまう。するとそこには衣服や生活用品なんかが入っていた。

 

 ……え゛???

 確かに可愛い洋服だが、これ全部でいくらしたんだ…!?

 

 あ、これ私が気になってたメーカーのお化粧品だ。芦花におすすめされたけど結構高かったんだよな。え、先輩、私がバイトの休憩時間に嘆きながら話してたこと覚えてたんだ普通に嬉し……って違う!

 

 バッと先輩のほうへ視線を向ければ、そこにはサムズアップと共に良い笑顔を浮かべる青年がいた。

 

 

 「安心しろ、流石に高級なブランド品とかには手を出してないぞ!」

 

 「そういう問題じゃないですから!……え、い、いくらしたんですか? 流石にお金は返しますから……!」

 

 「ん? ハハハ……なに、子供がそんな細かいことは気にするな。普段あまり散財しないからな、使える時に使っただけだ。今時の女子高生は何かとお金がかかるモノだろうし、ほら、まあ、これも何かの記念って事で受け取っておいてくれ」

 

 「き、記念って、なんの記念なんですか…」

 

 「えー……しゅ、出産とかご祝儀あたりか?」

 

 「育てた覚えはありますけど、こんな宇宙人を産んだ覚えはないですからっ!?」

 

 

 確かにあの3連休の間に、この手のかかる宇宙人を小さな我がままお嬢様時代の時からお世話はしてきた。オムツも変えて、服も着替えさせて、子守唄だって歌った。でも産んだ覚えもなければご祝儀だってもらう理由はない。

 

 それに先輩にはお世話を手伝ってもらった上に、ミルクやら哺乳瓶やら必要な赤ちゃん用品の買い物だってしてもらったのだ。決して安い買い物ではなかったはずだ、その時のお金だって返せていないまま時間が過ぎている。

 

 ここ数日はずっと助けてもらってばかりだ。「赤ん坊の為の必要経費だから気にするな」なんて先輩は言っていたが、ここまで施しを受けてしまえば私は気にしてしまう。だって私は何も返せずにいるし、その為の目処も術もないのだから。

 

 これでは、私だけがもらってばかりだ。

 ただでさえ普段から助けてもらうだけで、何か恩返しができているわけでもないというのに。

 

 つい、視線が地面を見つめて下がってしまう。するとポン、と頭の上に大きな手のひらが優しく置かれたかと思うと、ぐしゃぐしゃと動物でも撫でるかのように少し乱暴に掻き回された。

 

 な、なにごと…!?

 ポカン、と目の前に立つ青年を見上げる。

 

 

 「なにしけた顔してんだ。最初に言っただろ、頼ってもらったからには見捨てるつもりはないって。それにこっちが勝手に世話を焼いてるだけなんだ、子供のうちは細かいことなんて気にせず素直に甘えとけ」

 

 「っ……こ、子供扱い、しないでください」

 

 「ははは、悪い悪い……それでも酒寄が細かいことを気にするようなら、そうだな……お酒でも飲めるような歳になったら恩返しでもしてくればいいさ……まあ、それまで俺がここにいるかもわからないが

 

 「……え、いま何か言いました?」

 

 「いや、なんでもないさ」

 

 

 優しい表情で、こちらを見ている。

 

 だけどそれは私を見ているようで別の何かを見ているような。何故か、どこか遠い場所を見つめるような、そんな表情を浮かべる先輩に首を傾げてしまう。何か小さく呟いていた気がするが、まるで誤魔化すように再び髪をぐしゃぐしゃにされてしまう。

 

 なんだかそれが嫌な予感のようなものがして、少しだけモヤモヤも強くなった気がする……というかいつまで頭を撫でてるんですか? というかこれって手つきからして絶対に犬とかを撫で回すような感覚でやってますよね?

 

 とりあえず、モヤモヤした気分のまま手を跳ね除けて乱れた髪を直す。

 

 

 「と、とりあえず、これ以上は大丈夫ですから! 先輩もかぐやのことは必要以上に甘やかさないでくださいね!?」

 

 「───そうだそうだァ! そこのクソボケにもっと言ってやって頂戴な彩葉! それと彩葉のことを誑かそうなんて8000年早いんだから!」

 

 「わっ、ち、チヨちゃん…!」

 

 

 突然、背後からガバッとチヨちゃんが飛びついて来たことにより僅かにふらついてしまう。肩の上から顔を覗かせている少女の顔は明らかに不貞腐れた様子で不満に満ちていた。

 

 うおっ……チヨちゃん良い匂いする……はっ! いかんいかん。

 

 

 「ぶー! リンってば“かぐや”ばっかり甘やかすんだから! さっきだって彩葉を探してブラブラしてる最中に、美味しそうなものいっぱい買ってあげて一緒に食べてるしさァ! パンケーキに掛かったシロップよりも甘々な対応で可愛がって甘やかしてるんだから!」

 

 「いや、それはお前も一緒になって食べてたろ。というか食べ歩きに関してはお前のほうが出費高いぞ」

 

 「うぬぬ…それはそれ、これはこれ! ふーんだ、デロデロに甘やかしてかぐやにばっかり構ってたじゃん! そーいうのどうかとヤッ……チヨ的には良くないと思うけどなー!」

 

 「そりゃ、()()()()()()()()()目を離した隙にどっか行くし危なっかしいからな。好奇心旺盛な大型犬二匹連れて散歩させられてる俺の身にもなれ!」

 

 「ぐ…うぅっ……うわーん、彩葉ぁ! ダメダメ兄貴がここぞと言わんばかりに可愛い可愛い妹に意地悪言ってくるー!」

 

 「あー!! チヨってばまた彩葉にくっ付いてる! うぎぎっ、はーなーれーて! それ私のー!!」

 

 

 どうやらチヨちゃん的にも、かぐやへの対応は思うところがあったようだ。とは言ってもそれは良識やかぐやが甘やかされてることに対して、というよりは自分の兄が他の人に取られてしまっていることに対する可愛い嫉妬のようにも見えた。

 

 だがしかし、チヨちゃんの言う事にも一理あるはずだ。この宇宙人は甘やかせば甘やかすだけつけあがる、しかもこちらが断れないと分かった上で可愛いおねだりまでしてくる始末だ(経験済み)

 

 ───そんな時、私に引っ付いている2人、チヨちゃんの方を見た先輩がニヤリと何かを思いついたように笑う。

 

 それはまるで小さなイタズラや仕返しを思いついた子供のような表情で。

 

 

 「いやいや、本当にかぐやを甘やかしてるのはどっちなんだろうな。なにせ俺はそこまで高い買い物はしてないからな、どっかの誰かと違って12万もするスマコンを買い与えるなんてマネを俺はしてないからなー!」

 

 「え、スマコン?……チヨちゃん???

 

 「え、あ、その…違うの彩葉。これにはちょ〜っと深いワケがあって、それはそれはもう駿河湾のような深い理由でして、決してかぐやのことを甘やかしたわけではないと言いますか〜。い、彩葉?……どうしてそんな目でこっちを見てるのかにゃ?」

 

 「……かぐや、買ってもらったの?」

 

 「え? これのこと? そだよ〜、チヨがこれでお買い物しなさいってスマホ貸してくれたんだ! 他にも色々と買い物しちゃったし、チヨは太っ腹ってやつだね!」

 

 

 ───絶句する。

 かぐやが懐から差し出してきた小さな物体、コンタクトレンズ型のPCデバイス・通称スマコン。そのスマコンには傷もなければ使い込んだ形跡もない真っさらな新品と思われる綺麗な状態だった……マジかチヨちゃん。

 

 先輩の金銭感覚もおかしいとは思っていたが、まさかそれ以上のダークホースが存在していたとは。

 

 やっぱりこの兄妹は色んな意味でおかしい…!

 チヨちゃんには後でウォレットの決済履歴を何が何でも確認させてもらわねば…!!

 

 

 

 





 ・『店長』
 たぶん本編には登場しないです。
 超かぐや姫の小説版読んでも『BAMBOOcafe』辺りはそこまで深掘りされてなくて、『BAMBOOcafe』の元ネタになったであろうお店の知識もなく魔改造した結果誕生しました。普通にすいません。

 (転生者では)ないです。本編には登場しないからこそ設定盛ってキャラ濃くしても良いか、なんて安易な考えで生まれた怪物。多分最強のオカマポジ。戦闘能力はクリリンくらいあるんじゃないですかね(適当
 
 オネエ口調のキャラ好きなんですよね、なので単純に作者の癖です。
 色んなアニメや漫画を見てきましたが、作品にもよりますがオネエキャラってその人物ごとの思想というか覚悟というか、深みがあって好きになりがち。敵であろうと味方であろうと、オネエキャラが登場して深掘りしてくれると嬉しくなる視聴者勢です。

 個人的には作中の活躍とか含めてFGOのぺぺさんとかタイバニのネイサンとか大好き
 

 ps.頂いた感想などにはしっかり目を通しているのですが、こっちが貼った伏線?に鋭い人がいてびっくりしたり、面白い感想とか作者が意図していない深い考察をしてくれている人がいて思わず声を出して笑ったりしてます。タハー!

 感想ありがとうございます。

執筆中その作品の用語とか設定を使う際に、なんとなく気になりました。

  • 『超かぐ』も『スタレ』も知ってる!
  • 超かぐや姫!しか知らんで!
  • 崩壊:スターレイルしか知らんで!
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