トウカイテイオーの大冒険   作:アイアイホイホイおさるさん

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トウカイテイオーの大冒険

 さてさて、ここは平和なトレセン学園。

 そこに通うウマ娘の一人トウカイテイオーは、自身の最近の走りが伸び悩んでいると言う悩みを抱えていた。

 

「困ったなー、どうしたら早く走れるんだろ………」

 

 そんな事を考えながら歩いていると、ふと話し声が聞こえてきた。

 見ればそれは、ハルウララとライスシャワーの仲良し二人組である。

 

「おっ、黄金のにんじん………?」

「そう!その黄金のにんじんを手に入れたら、どんな願いでも叶うんだって!」

「それは凄いね……!本当にそんな凄いにんじんがあるのかな……?」

「本当だよ!ターボちゃんから聞いたの!」

 

 これはいい話を聞いた。その黄金のにんじんとやらを手に入れれば、自分の走りもより良い物になるかも知れない。

 

「よーし!ならその黄金のにんじんはこのボクが手に入れてやるモンニ!」

 

 という訳で、早速この黄金のにんじんとやらを探しに行くことにしたテイオーであった。

 ハルウララの言っていた黄金のにんじんを探すため、テイオーは学園を探索する事にした。

 

「うーん……どこに行けば見つかるんだろう?」

 

 そんな事を呟きながら歩いていると……。

 

「ふぉふぉふぉ、黄金のにんじんを探しているようじゃな?」

「その声は………ゴルシ!」

 

 そう、仙人の真似事をしながら話しかけてきたのは、テイオーと同じチームスピカ所属のウマ娘・ゴールドシップである。

 

「黄金のにんじんなら学園にはないぜー」

「ええーっ!?そうなの!?」

「黄金のにんじんは町外れにあるサイゲタワーの頂上に生えてるんだ」

「ふむふむ、サイゲタワーか……」

 

 とりあえず情報が手に入ったので、今日は解散することにした。さて、明日は早速サイゲタワーに向かうことにしよう。

 次の日。

 

「さて、今日は黄金のにんじんを取りに行きますか!」

「あらテイオーさん、どちらへ行かれるのですか?」

 

 出発しようとしたその時、クラスメイトのメジロマックイーンが声をかけてきた。

 

「マックイーン!ちょうど良かった!今から黄金のにんじんを取りにサイゲタワーに行くんだけど一緒に来ない?」

「え、ええ……構いませんわ」

 

 と言う訳で、マックイーンと共にサイゲタワーを目指す事になったのであった。

 そして数時間後、2人はとうとうサイゲタワーへとたどり着いた。

 

「ふぅ、結構遠かったね……」

「そうですわね、ここまで来るのに思いのほか時間がかかってしまいましたわ……」

「じゃあ早速頂上に行こう!きっとそこに黄金のにんじんがあるはずだよ!」

「はい、行きましょうか」

 

 そして2人は、黄金のにんじんが生えているというサイゲタワーの中へと入っていった。

 ギィと扉を開けて入ると、そこは広い部屋になっていた。

 

「フォフォフォフォ………貴様ら、黄金のにんじんが目当てだな?」

「お、お前は………!?」

 

 そこには、テイオー達を待っていたと言わんばかりに立ち塞がる人影が一つ。

 セミのような顔に両腕のハサミ。間違いない、それは宇宙忍者バルタン星人である。

 

「黄金のにんじんは確かにサイゲタワーの頂上にある。が、貴様らに渡すわけにはいかん。どうしても欲しいなら俺様を倒してみる事だ!」

「望むところさ!いくよマックイーン!」

「ええ、わたくし達の力を見せてあげますわ!」

 

 こうして、2人はバルタン星人と戦うこととなったのである。

 まずはテイオーが先制攻撃を仕掛けた!

 

「はぁっ!!」

「ぐぬぅ!」

 

 しかし、バルタン星人も負けてはいない。ハサミを使ってテイオーの攻撃を受け止めつつ反撃に移ろうとする。

 

「これでも食らえぇー!!」

「うわあっ!!」

「テイオーさん!」

 

 テイオーはなんとか回避するが、その隙を突いてバルタン星人が畳み掛けるように攻め立ててきた!

 

「くっ、このままではまずいですわね……」

「大丈夫だよ!ここで諦めるワケにはいかないんだ!」

「ですが……」

「2人で力を合わせれば絶対勝てるよ!だから頑張ろう!」

「……分かりましたわ」

 

 テイオーの言葉に奮起したマックイーンは、バルタン星人に向かっていくのであった。

 

「くらえーっ!!」

「うおおっ!?」

 

 テイオーは渾身の一撃を放ち、バルタン星人の腹部に命中させることに成功した!

 

「やったか!?」

「甘いわっ!」

 

 バルタン星人は両腕のハサミを振るい、テイオーとマックイーンに襲い掛かる。

 

「危ないですわっ!」

 

 間一髪、二人はそれぞれ別の方向へ飛び退いて避けることができた。

 

「おのれ……よくもやってくれたなぁ!!」

 

 怒りに燃えるバルタン星人は、テイオーに向けてレーザー光線を放ってきた。

 

「うわぁーっ!?」

 

 咄嵯に回避行動を取るテイオーだが、直撃こそ免れたものの肩口に僅かなダメージを受けることになってしまった。

 

「テイオーさんっ!?」

 

 心配するマックイーンだったが、幸いにも怪我自体は浅く問題はないようだった。

 

「ごめんマックイーン……ちょっと油断しちゃったみたい……」

「無理はなさらない方がいいですわよ?」

「ありがとう、気を付けるよ……」

 

 バルタン星人はハサミを上下させてからエネルギーを溜め、再びレーザー光線を放とうとしている。

 

「まずいですわっ!避けてっ!」

 

 二人は慌てて横に跳んで回避するが、それでも尚勢いが衰えない程の威力を持っており、少し掠っただけでも大きなダメージを受けるだろう。

 

「どうしますか!?このままでは埒があきませんわ!」

「うーん……そうだ!あの技を使おう!」「ええと……」

 

 テイオーは何を思ったか、突然その場に座り込んでしまった。

 

「ちょっ、何をしていらっしゃるんですか!?早く逃げないと──」

「落ち着いて聞いてほしいんだけどさ、ボクに良いアイデアがあるんだ!」

 

 そう言うとテイオーは立ち上がり、バルタン星人の方へ向き直る。

 

「見ていてね……これがボク達の新しいコンビネーションだよ!!」

 

 そういうと、テイオーはマックイーンに目配せをした。

 それを合図に彼女は大きく息を吸い込み始め……

 

「ヘックシュン!!!」

 

 とくしゃみをするフリをしたのだ!

 

「何っ!?」

 

 驚いたのはバルタン星人だけではなく、マックイーンも同様だった。

 

「おいおい!? 一体何をやってるんだぁ!?」

 

 困惑する彼に対して、テイオーは涼しい顔でこう告げるのだった。

 

「これが新しい必殺技『ツイン・アクセル』さ!」

 

 一方のマックイーンもまた、バルタン星人に向かってニヤリと笑いかける。

 

「この匂い……覚悟しなさい!」

 

 そして二人は同時に飛び上がり、回転しながら急降下キックをお見舞いする!

 

「喰らえーっ!!!」

「グッフォオオオッ!?」

 ズドォォオンッ!!

 

 凄まじい爆音と共にバルタン星人は吹き飛ばされてしまった。

 土煙が晴れた後には、ぐったりと項垂れたバルタン星人の姿。どうやら勝負ありと言った所か。

 

「やったー!ボク達の勝ちだ!」

「やりましたわね!」

 

 二人はハイタッチを交わし合い喜びを分かち合うのだった。

 こうして見事に敵を倒した2人は、黄金のにんじんを手にする為再び頂上を目指すのであった。

 バルタン星人の背後にあった階段を登ってゆき、次の階へとたどり着く。そこには、また扉があった。

 

「次はどんなヤツが待ち構えているんだろう………」

「不安ですわ………!」

 

 おそるおそる、テイオーは扉を開いた。するとそこは一面が畳張りの和室のような部屋になっていた。

 そしてやはり、そこにはこの階を守る番人が待ち構えていた。

 

「バルタン星人を倒したとは、やりますねぇ!」

 

 そいつは浅黒い肌をしたブリーフ一丁の裸の男であった。全体的に汚く、くさい雰囲気が漂っている。

 

「俺は野獣先輩。上の階に行きたいなら俺を倒してみろよおうあくしろよ」

 

 野獣先輩と名乗った男は、何やら不気味な動きで2人に迫ってくる。

 

「なんかやべー奴だよぉ……!」

「こうなったら、2人で協力して倒すしかないですね……!」

 2人は覚悟を決めて構えを取った。

 

「俺のターンドロー!」

 

 野獣先輩は不思議な動きをした。

 

「魔法カード『ドロー!ドロー!ドロー!』を発動。『ドロー!ドロー!ドロー!』。カードを3枚引く。モンスターカード『マキシマム・キャノン』を召喚!」

 

 マキシマム・キャノンが現れた。野獣先輩はマキシマム・キャノンで攻撃してきた。

 

「トラップカード発動!」

 

 マックイーンが何かを取り出し発動した。

 

「『エクストラターン』」

「な、なんだって!?(驚愕)」

「これにより私は1度だけ相手プレイヤーに追加攻撃を行う事ができますわ」

「行くよマックイーン!」

「はい!行きましょう!」

 

 テイオーは力強く宣言する。

 

「うおおおっ!食らえええっ!!」

 

 野獣先輩はマキシマム・キャノンを召喚したが、テイオーの猛攻によって倒された。

 

「私のターン……ドロー!モンスターカード『キング・ザウルス3世』を召喚!」

 

 マックイーンがキング・ザウルス3世を召喚した。そしてそのまま攻撃を行った。

 

「モンスターカード『フリーザ第一形態』を召喚!バトルフェイズ、『フリーザ第一形態』で直接攻撃!」

 

 野獣先輩はフリーザ第一形態を召喚し、テイオーに直接攻撃を仕掛けようとしている。

 テイオーはフリーザ第一形態の攻撃を防ぐことができずに受けてしまった。

 

「ぐあああああっ!!」

「テイオーさん!大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫だよ!それよりもこの状況を打破しないと……!」

 

 テイオーは満身創痍になりながらも立ち上がった。

 

「俺のターン……ドローマキシマム・キャノン!……キング・ザウルス3世に攻撃!ファイナル・スパーキング・マキシマム・キャノン!」

 

 野獣先輩はマキシマム・キャノンで攻撃してきた。キング・ザウルス3世に攻撃を行った。

 

「テイオーさん!私に秘策があります!今から作戦を伝えますね!」

 

 マックイーンは耳打ちで作戦内容を伝えた。2人は顔を見合わせて頷いた。

 それからお互いに小さく深呼吸をして精神統一を行う。

 

「いきますわ!」

「行くぞぉ!」

「僕のターン……ドロー……よし!『ヒャダイン』を召喚!さらに魔法カード発動!『ワンチャンス・ワンモア・ワンダフル・ワールド』。この効果によりフィールド上の全てのモンスターを破壊します!」

 

 ヒャダインとフリーザ第一形態が消滅した。

 

「続いて『ドローン・ウォーズ』発動!この効果によって破壊された『マキシマム・キャノン』を特殊召喚!さらに魔法カード発動!『スペシャルウィークエンド』。これにより俺の山札から任意のカード一枚を手札に加えることが出来る。『メタルフォース』を選択!この魔法カードの効果により俺は次のターンまでモンスターを召喚することができなくなる代わりに相手プレイヤーのライフポイントが0になるまで攻撃できるようになる。最後に罠カード発動!『クラッシュバーン』!これにより相手の場に存在する魔法罠ゾーンにセットされているカードをすべて破壊することができる!これで準備完了だ!バトルフェイズ!マキシマム・キャノンでダイレクトアタック!!」

 

 野獣先輩はマキシマム・キャノンでテイオーに直接攻撃しようとしている。

 

「残念だけど、貴方の負けよ」

「何だと?」

「私の伏せていた『メテオ・ストーム』の効果発動!自分フィールド上のモンスター1体につき、相手モンスターを一枚破壊する事ができます。つまり貴方の『マキシマム・キャノン』は破壊されます」

 

 マックイーンはそう言って、野獣先輩の『マキシマム・キャノン』を指差した。

 野獣先輩は悔しそうに歯ぎしりをしている。

 

「俺の負けだ……」

 

 そう呟くと野獣先輩は静かに散っていった。

 

「やりましたね!これでまた一歩前進ですわ!」「そうだね!早く上の階に行こう!」

 

 2人は互いに微笑み合うと、次の部屋に向かって駆け出した。

 階段を上って次の部屋へ入ると、そこは薄暗い空間が広がっていた。周囲を見渡しても特に目立ったものは見当たらない。

 ただ、西洋の城の広間のような作りになっているのは解った。

 

「ふん、野獣先輩め、易易と突破されたか………まあいい、所詮は雑種か」

 

 ガシャンガシャンと黄金の鎧を揺らしながら、金髪の堂々とした態度の男が現れた。

 野獣先輩と違い、見ているだけで荘厳な雰囲気を醸し出している。

 

「我は英雄王ギルガメッシュ。この階の番人を担当している。そこのウマ娘二人組、ここを通りたくば我に力を示せ」

 

 ギルガメッシュと名乗った男は、腰に携帯していた剣を抜くと、切っ先をこちらに向けながら宣戦布告をしてきた。

 

「うーん、面倒臭そうなヤツが出てきたねぇ……」

「そうですわね……しかし、やるしかないようですわね」

 

 2人は覚悟を決めた表情になると、ゆっくりと前進していく。

 

「ほう、我が恐ろしくないのか?」

「だって、所詮はゲームのキャラクターだし」

「なるほど、貴様らは余程の命知らずらしいな」

「あなたのような偉そうで威圧的で、それでいて傲慢不遜で態度悪い人なんて怖くありませんわ」

「はぁ?誰が傲慢だと?」

「そのような態度こそ傲慢の極みですわ」

「ふざけるな!!我を愚弄するか!?もう許さないぞ!死ねえ!!」

 

 激昂したギルガメッシュは、持っていた剣を振り上げた。

 

「食らえ!エヌマエリシュ!!」

 

 黄金に輝く光線を放ってきたのだ。

 

「まずい!マックイーン!」

 

 テイオーは咄嵯にマックイーンの前に出て盾代わりになろうとしたが、間に合わなかった。

 直撃した瞬間、凄まじい爆発音と共に巨大な爆風が巻き起こった。

 砂埃が舞い上がる中、やがてそれが収まっていくにつれて視界が開け始める。

 そこにはギルガメッシュとテイオーの姿はなく、変わりに地面に大穴が開いていた。

 

「テイオーさん!!」

 

 マックイーンは悲痛な叫び声を上げた。するとその時、

 

「馬鹿者!そんな程度で死ぬわけなかろう!貴様もウマ娘ならば根性を見せんか!!」

 

 ギルガメッシュの声が響き渡った。マックイーンは慌てて穴の中を見る。

 そこにはギルガメッシュとテイオーがいた。

 どうやらテイオーはギルガメッシュに助けられたらしく、抱きかかえられている格好だった。

 

「テイオーさん!無事でよかった……」

「ふん、当然だ。こやつの身体は頑丈だからな」

 

 ギルガメッシュはそう言いながら、テイオーをそっと地面に下ろした。

 

「ありがとうございます!助かりました!」

「礼などいらん。それよりもこれで分かったであろう?貴様如きが我に勝てるはずもないのだ!」

 

 ギルガメッシュは高笑いすると、再び剣を構えた。

 

「それでも我々は負けられない理由があるのです!」

「ほう、それは一体どんな理由だ?」

「私達は黄金のにんじんを手に入れるために此処へ来たんですわ!!」

 

 マックイーンは胸を張って答えた。

 

「成程な。だが残念ながら黄金にんじんはこのタワーの天辺にある。そこに行く為には我が認めた者のみ許されるのだ!」

「だったらボクたちが勝てばいいだけだろ!」

 

 テイオーは立ち上がると、拳を握り締めた。

 

「ふむ、その意気や良し。では改めて名乗ろう。我はギルガメッシュ。王でありながら人の身にて最高最古の英雄なり!!」

 

 ギルガメッシュは剣を上段に振り上げると、力強く名乗りを上げた。

 

「ボクはトウカイテイオー!夢は三冠ウマ娘だぞ!」

「わたくしはメジロマックイーン。ウマ娘の中で一番強い女ですわ!」

 

 3人は各々武器を構えると、睨み合ったまま静止した。

 しばらく沈黙の時が続くと、最初に動き出したのはテイオーだった。

 

「はあああっ!!」

 

 テイオーは雄叫びを上げると、ギルガメッシュに向かって一直線に走り出した。

 そして拳を振り下ろす。

 

「甘いわ!!」

 

 だがしかし、ギルガメッシュは難なく躱した。

 

「まだまだぁ!」

 

 それでも尚、諦めずに連続パンチを繰り出すテイオー。

 

「ほほう、やるではないか。ならばこれはどうかな?」

 

 ギルガメッシュは再び剣を高く掲げると、

 

「天命全うすべし、エア!マジカルバナナ!」

 

 と呟いた。

 すると次の瞬間、テイオーの身体は宙に浮かび上がっていた。

 

「な、何ぃ!?」

 

 そのまま落下するテイオーだったが、なんとか空中で体勢を整えることができた。しかしその隙を突かれた。

 

「もらったぞ!!」

 

 ギルガメッシュは大きく跳躍すると、落下しながら剣を振り下ろした。

 

「くっ、やばい!」

 

 このままでは斬られると思ったその時だった。

 

「危ない!」

 

 マックイーンが咄嵯に割って入り、テイオーを押し退けたのだ。

 

「ぐうっ!!」

 

「マックイーン!?」

 

 剣先がマックイーンの身体を掠めると、赤い鮮血が飛び散った。

 

「やったぞ!」

 

 勝利を確信するギルガメッシュ。だが、気付いていなかった。マックイーンは既に逆転の切り札を発動していた事に。

 

「残念でしたわね」

「何だと!?」

 

 ギルガメッシュが驚愕している隙に、マックイーンは懐から何かを取り出した。

 それは小さな宝玉のようなもので、中に青白い光が宿っているように見える。

 

「まさか貴様、それは」

 

「ええ、そうですわ。わたくしのとっておきの奥の手です」

 

「そうか、そういう事か。見事だ!褒めて遣わすぞ!!」

 ギルガメッシュは感心したような表情を見せると、剣を捨て両手を広げて待ち構えるようなポーズをとった。

 

「では行きますわよ!特製エレメントストーム!!」

 

 マックイーンが宝玉を投げつけると同時に、強烈な爆風と共に七色の閃光が溢れ出す。

 ギルガメッシュの巨体が宙高く吹き飛んで行き、壁に激突した。

 

「よし!やったよ!」

 

 テイオーは嬉しさのあまり飛び上がった。

 ギルガメッシュは、壁にめり込んだまま動かなかった。気を失っている訳ではない。ただ、満足げに笑っている。

 

「貴様らの勝ちだ、先に進むがいい」

「いいんですか?」

 

 マックイーンが心配そうな顔で尋ねる。すると、ギルガメッシュは首肯した。

 

「構わぬ。そもそも最初から我に勝ち目などなかったのだ」

「どういうことですか?」

「簡単な話だ。我が負けたということはつまりそういう事なのだよ」

 

 ギルガメッシュはゆっくりと起き上がると、出口に向かって歩き出した。

 

「あ、ちょっと待って下さい!まだ聞きたいことがあります!」

 

 マックイーンは呼び止めようとしたが、聞く耳を持たずに行ってしまった。

 

「行っちゃったね……」

 

 テイオーは寂しそうに呟く。

 

「しょうがないよ。それより早く黄金のにんじんを取りに行こうよ!」

「はい!そうですわね!」

 

 そう言って二人は再び歩き始めた。

 二人は更に塔を登って行った。

 そして暗い階段を進み、また大きな扉の前にきた。

 

「今度はどんなヤツが相手なんだろう………」

 

 テイオーは息を呑み、扉を開いた。その先は洋館や屋敷を思わせる広い部屋であった。

 そして部屋の中央には一人の少女が待ち構えていたのだが、なんと少女の背中からはコウモリのような翼が生えていた。

 

「はじめまして、私はこの階の番人をしている吸血鬼のレミリア・スカーレットよ」

 

 吸血鬼と名乗った少女は不敵な笑みを浮かべていた。

 

「あなたが次の相手ですか」

 

 テイオーとマックイーンは臨戦態勢に入る。

 

「そうだけど?」

「では問います。あなたの目的は何なのでしょう?」

「別に何も企んでなんかいないわよ?ただ単純に戦いたいだけ。それ以外の理由なんて必要?」

「質問を変えます。どうしてこのタワーに住んでいるのでしょう?」

「それは私がこのタワーの所有者だからよ!」

「は?」

 

 テイオーとマックイーンは唖然としていた。

 

「あら?聞こえなかったかしら?ここは私の家なのよ!だから好きに使わせてもらっているだけ!文句ある?」

「ありますけど……」

「ないならいいじゃない!とにかく始めましょう!」

 

 レミリアは右手を挙げた。すると部屋のあちこちから無数の蝙蝠達が集まってくる。

 

「さあ行くわよ!私の眷属達!」

 

 レミリアの号令と同時に、蝙蝠達は一斉に襲い掛かって来た。

 

「こっちにもいるみたいですわね!」

 

 マックイーンは周囲を警戒しつつ叫ぶ。

 

「そうだね!」

 

 テイオーは正面から来た蝙蝠を殴り飛ばすと、続けて他の個体を蹴り飛ばす。

 

「数が多いな!」

 

 マックイーンは銃で応戦するが、倒しても倒しても一向に減らない。

 

「キリがないですわ!」

「だったらまとめて吹き飛ばしてやる!」

 

 テイオーはジャンプすると、空中で回し蹴りを放った。それにより十匹以上の蝙蝠を纏めて薙ぎ払う。

 しかし、それでもまだ終わりではない。

 

「まだまだ出てくる!?」

 

 次から次へと湧いて出て来る蝙蝠に対して、徐々に追い詰められていく二人だった。

 

「もう!キリがないですわ!」

「こうなったらあれを使うしかないよね」

 

 テイオーはポケットの中からあるものを取り出してみせる。

 それは小さな水晶玉であった。

 

「それってまさか」

「うん、そうだよ。これを投げつけたら、一網打尽さ」

 

 テイオーはそう言うなり、大きく振りかぶって水晶玉を投擲した。

 

「いけー!!」

 

 すると水晶玉は凄まじい速度で飛んでいき、床に落ちた途端に眩い光を放った。

 

「きゃあっ!!」

 

 レミリアの悲鳴と共に、蝙蝠たちが消滅していく。

 

「やったよマックイーン!」

「流石テイオーさんですわ!」

 

 二人はハイタッチをして喜び合っていた。

 

「ふん、なかなかやるじゃない」

 

 レミリアは少々悔しそうな顔をしながらも、再び攻撃を仕掛けてきた。

 

「それじゃあ今度は私の番ね。行くわよ!」

 

 そう言うと彼女は両手に紅色の弾幕を作り出すと、二人に向かって連射してきた。

 

「今度はこちらも本気で行きますわよ!」

 

 マックイーンも負けじと、腕に付けている籠手から緑色の光線を放った。

 それらは激しくぶつかり合い、衝撃波が巻き起こる。

 

「すごい……」

 

 テイオーは驚いていた。まるで花火大会のように様々な色彩の火花が咲き乱れている様子はとても綺麗なものだったのだ。

 だがそれはほんの一瞬のこと。

 次の瞬間には、大量の爆発音と共に建物全体が揺れ動き出したのだった。

 

「うわぁ!?何ですか!?」

 

 突然の出来事に対処できず、慌てふためくマックイーン。

 テイオーもまた、何が起きているのか理解できずに混乱していた。

 

「どうやら時間切れのようね」

 

 レミリアは冷静に状況を判断すると、再び翼を羽ばたかせ始めた。

 

「貴方達との戦いは楽しかったわ。でも、もう行かないといけないみたい。あ、ついでにコレあげるわ」

 

 そういうとレミリアは小さい宝石を投げた。

 テイオーがそれをキャッチする。

 

「ありがとう!大切にするね!」

「また会いましょう。次に会うときはもっと強くなっておくようにね!」

 

 レミリアはそう言い残すと、飛び去っていった。

 

「ああ、レミリアさん!!」

 

 マックイーンは彼女を呼び止めようとしたが、もう姿は見えなくなっていた。

 

「行っちゃった……」

 

 テイオーは残念そうな表情を見せた。それを見て、マックイーンも寂しげな声を上げる。

 

「仕方ありませんわ。先を急ぎましょう」

「そうだね」

 

 テイオーとマックイーンは階段を登り始めた。

 階段を登って行くと、扉がありテイオーは扉を開けて中へと入った。

 

「ここは……」

 

 目の前には広いホールのような場所が広がっていた。どうやらここが最上階のようだ。

 

「やっとここまで来れたんだね」

 

 テイオーは安堵したように溜め息をつくと、ゆっくりと進んで行った。

 そこには神殿のような場所があり、置かれた台座には黄金に輝くにんじんが佇んでいた。

 間違いない。あれが黄金のにんじんである。

 二人は目を輝かせて駆け寄った。

 

「これが黄金のにんじんなの!?」

「ええ!間違いありませんわ!」

「やったぁ!これで願い事が叶うんだね!」

 

 二人は喜び勇んで、黄金のにんじんを取ろうとした。その時だった。

 

「ギャアアアアーーッ!!」

 

 突如空から咆哮が響き、轟風と共に巨大な翼が舞い降りた。

 それは、テイオー達と黄金のにんじんの間を遮るかのように、立ち塞がる。

 

「な、何アレ!?ドラゴン!?」

「あ、あれは………リオレウスですわ!!」

 

 マックイーンが言った通り、そのモンスターは空を統べる王の異名を持つ飛龍・リオレウスである。

 どうやら黄金のにんじんを守る最後の番人が、このリオレウスのようだった。

 

「まさかこんなところで遭遇するなんて……」

「どうするマックイーン?」

「こうなってしまっては戦うしかありませんわ!」

「そうだね!よーし!行くぞー!」

 

 テイオーとマックイーンは意を決すると、同時に走り出した。

 

「先手必勝だよ!マックイーン!」

「任せてください!いきますわよ!」

 

 二人はタイミングを見計らい、同時にジャンプする。

 そして空中で回転しながらの強烈な蹴りを放った。

 

 ドゴォン!!

 

 凄まじい衝撃音とともに、リオレウスの頭部が揺れ動く。

 しかし、リオレウスは微動だにせず、二人の方を振り向いて睨みつけてくる。

 

「効いていないのか!?」

「そんな馬鹿な……」

 

 二人が驚いている間もなく、リオレウスは口を大きく開けると、灼熱の炎を吐き出してきた。

 

「うわっ!?」

「危ないですわ!!」

 

 二人はギリギリの所で避けたが、リオレウスの熱線はまだ続いている。

 

「このままじゃまずいよ……どうすれば……」

 

 テイオーは必死になって考える。

 一方、マックイーンは冷静だった。彼女の眼には既に勝利への道筋が見えているようだ。

 

「テイオーさん、わたくしに策があります」

「え?どんな作戦?」

「いいですか?よく聞いてくださいね……」

 

 マックイーンは小声で耳打ちする。その作戦を聞いたテイオーは目を見開き、興奮気味に返事をする。

 

「なるほどね!それならいけるかも!」

「では始めますわよ!」

「うん!」

 

 二人は一旦距離を取ると、作戦の最終調整に入った。

 

「それじゃあ行くよ!」

「はい!」

 

 テイオーは深呼吸をして精神を集中させる。

 

「はああっ!!」

「いきますわよ!」

 

 二人は同時に動き出した。まずはマックイーンが先陣を切ってリオレウスに近づいて行く。

 それに合わせて、テイオーも少し離れた位置から接近していく。

 

「くらえー!!」

 

 マックイーンは掌底打ちを叩き込むが、全く効果がない。

 

(やっぱりダメみたいですわ)

 

 マックイーンは内心舌打ちをする。

 

(こうなったら仕方ありませんわ)

 

 マックイーンは思い切ってリオレウスの足元に滑り込むように潜り込んだ。

 

「今ですわ!」

 

 合図と共に、テイオーも全力疾走で距離を縮める。

 

「とおっ!!」

 

 テイオーは飛び上がると、右脚を上げた。その瞬間、リオレウスの尻尾が動き出す。

 

(間に合って!!)

 

 テイオーは祈るように両眼を閉じる。次の瞬間、激しい金属音と共に何かが砕け散った音が響き渡った。

 恐る恐る目を開けたテイオーの瞳には、凄惨な光景が映し出されていた。

 なんと、リオレウスの背中に鋭い槍のようなものが突き刺さっているのだ。よく見るとそれは巨大な氷柱のようなものだった。

 

「やった!成功だ!」

 

 テイオーは歓喜の声を上げる。

 

「はい!成功しましたわ!」

 

 マックイーンも飛び上がって喜ぶ。

 テイオーとマックイーンが編み出した作戦とは、二人同時攻撃による奇襲だった。

 まず一人目が相手の注意を引き付けている間に、もう片方の仲間が死角から攻撃を仕掛けるというものだ。こうすることで不意を突かれやすいはずだ。

 

「でも油断は禁物だよ」

 

 テイオーは真剣な顔つきで言った。

 

「もちろんですわ」

 

 マックイーンは力強く頷く。

 

「さあ!まだ終わってないよ!」

 

 二人は再び戦闘態勢をとる。

 リオレウスは苦悶の表情を浮かべていたが、すぐに怒りの形相へと変わった。

 そして怒涛のごとき勢いで、二人に向けて突進して来たのであった。

 

「来た!!」

 

 テイオーは迎撃体制に入る。

 

「お願い!受け止めてくれる!?」

「分かりましたわ!」

 

 マックイーンが前に出る。彼女は両腕を大きく広げて構えている。

 

「いきますわよ!」

 

 マックイーンの全身に、淡い光が集まり始める。

 

「マックイーン!?」

「大丈夫ですわ!信じて!」

 

 マックイーンは、迫りくるリオレウスに向けて静かに語りかけた。

 

「これで終わりですわ!!」

 

 次の瞬間、彼女の体から眩い光が放たれた。

 

「うわぁっ!!」

 

 テイオーはあまりのまぶしさに目を閉じる。しばらくして目を開けると、そこには信じられない光景が広がっていた。

 なんと、リオレウスの肉体が崩れ落ちるように消滅していっているではないか。

 

「どうしてこんな事が……」

 

 テイオーは呆然と立ち尽くす。

 マックイーンの能力は、触れた物体の分子結合を切断し、原子レベルに分解してしまうという恐るべきものであった。

 故に、どんな防御力を持った相手であっても通用する。

 ただし、その力は非常に消耗が激しく、長時間の使用は困難だった。

 そしてもう一つ欠点がある。それは、自身にもダメージを負ってしまうことだった。

 今回の場合は、リオレウスの体表を覆っている鱗のお陰で何とか耐えられたものの、普通の人間であれば即死していたことだろう。

 

「マックイーン!怪我は無い!?」

 

 心配そうに声をかけるテイオーだったが、

 

「平気ですわ。多少疲れた程度ですもの」

 

 マックイーンは涼しい顔で答えた。

 

「本当に大丈夫?無理してない?」

 

「ええ、本当に平気ですから。それよりも黄金のにんじんを取りに行きましょう」

「うん!」

 

 二人は意気揚々と黄金のにんじんのもとへ向かった。

 

「これが黄金のにんじんなんだね」

「こんなに大きいとは思いませんでしたわ……」

 

 二人は黄金のにんじんを見上げながら感嘆する。

 

「さあ早速願いを込めるんだ!」

「そうしますわ!」

 

 二人は目を閉じて祈り始める。

 

「(どうかレースの成績がよくなりますように………!)」

「(どうか菊花賞でテイオーさんが一着になりますように……!)」

 

 しばらくしてから、二人はゆっくりと目を開けた。

 すると、黄金のにんじんは眩い光を放ち始めた。

 

「うわぁっ!?」

 

 驚いて飛び退く二人だったが、やがてその輝きは収まった。

 

「これでいいのかな……?」

 

「多分ですけど、きっと大丈夫だと思いますわ」

 

 二人は互いに顔を見合わせて微笑んだ。

 

「帰ろっか」

「はい!」

 

 テイオーとマックイーンは手を取り合い、地上に戻るため階段を下っていった。

 途中で他の番人たちが襲って来るかと思ったが、そんなことはなく順調に下りていくことが出来た。

 やがて下層に到着した二人は、出口に向かって歩き出す。

 

「結局黄金のにんじんって何だったんだろう………」

「分かりませんわ」

「まぁいいや。とりあえず今は早く帰って報告しないとね」

「ええ」

 

 二人は外に出ると、朝日が昇り始めた空の下、並んで歩き出すのだった。

 それから数ヶ月後の春天では、テイオーが見事な逃げ切り勝ちを決め、ファンからは歓声が沸き起こった。その後は皐月賞、日本ダービーと二冠を達成したものの、秋華賞では惜敗し三冠は逃してしまうものの、有馬記念では圧勝する等、今期の活躍も順調であった。

 

 おわり

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