ハリー・ポッター 「オーグリーの旗を掲げよ」RTA 1938年シナリオ トム・リドル攻略チャート   作:魔法省真理部記録局

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夏で忙しくなりそうなので初投稿です


Part 17

 あとは特に操作をしないので今後の方針の説明だけやっておきましょう。大規模な改変をしない場合、五年生の時にトム・リドルは秘密の部屋を開けます。その前提条件は正確にラインを引くことができるものとして確立しているわけではありませんが、それでも大まかな指標はあります。

 

 まずトム・リドルが闇属性であること。これは今回きちんと満たされています。ちゃんと伯父にひどいことしていますし、これから父の方の家にもそれなりのことをしに行くわけでしょう。善人を殺すとカルマが溜まるんですが悪人を虐待するのはそれほどまでじゃありませんからね。まあイギリス魔法界の善悪判定なんていい加減なんですが。弁護人制度とかも特になく魔法大臣が判決を下す人物なんですよ。

 

 それと彼がホグワーツについて一定の知識を持っていること。厳密には多少足りていなくても他のものでカバーしてフラグを立てられるという判定になるなら、秘密の部屋を開けることができるようになります。今回は伯父さんの知識を読み取ってゴーント家のやってきた「功績」を知っているはずです。彼の世代には具体的な開け方の知識は失われていましたが、それでもヒントは色々と手に入るでしょう。

 

 というわけで基本条件はもう満たされているのであまりやることもないですね。リトル・ハングルトン編も終わりです。結構長かったなぁ。

 


 

「詳しくは話さないからな」

 

 ホグワーツへ向かう汽車の中、トムは向かいに座ったヴェルダンディに言った。

 

「構わないよ、おおかた方法の見当はついているし」

 

 ヴェルダンディはそう言って、少し手触りの変わってしまった髪を撫でた。

 

「じゃあ、何だ?」

 

「簡単ないたずら呪文(ジンクス)。それもマグルの認識を狂わせるような」

 

「悪くない方向性だ」

 

 そう言ってトムは笑った。リトル・ハングルトンを離れる前、トムは忍び込んだリドル邸でいくつかの仕込みをしてきた。その一つは、館全体にかけたいたずら呪文(ジンクス)だった。

 

 十分強くすれば、一年以上続けて誰かが住むことができないほどにもできただろう。ただ、実際にトムが使ったのはそれほど強いものではない。ホグワーツやカステロブルーシューを周囲の目から隠すために使われるようなものの変種だ。

 

 屋敷の中では様々なものが静かに、しかし確実に狂って感じられるようになっていく。扉が消え、誰かが時間を忘れ、あるいは昨日までなかったはずのものが現れる。それらは少しずつ、館の住人から正気を奪っていくだろう。そして多くのマグルにとって、そのような狂気は真剣に気にされるようなものではないというのは、パブでの会話からわかっていた。

 

 あの酒場で、メローピー・ゴーントに同情はおろか、哀れみさえ向けた人は一人もいなかった。彼らにとってトムの母はあの屋敷に住む男となにかがあったというだけの女であり、彼女が感じた苦しみも、解放も、逃げられた絶望も、そしてその中で自らの産んだ子に向けた感情も、彼らにとってはどうでもいいものだったのだ、とトムは考えていた。

 

「しかしいいのかい、トム。君はもっと行動的だと思っていたのだけれども」

 

「衝動的だと思っていた、の間違いじゃないのかい?」

 

「さぁ」

 

 ヴェルダンディに対しては、トムは自分の中の感情をかなり素直に見せることができていた。そのような振る舞いは、弱く、何かにすがらないと生きていけない弱者たちから見れば悪の行動なのだろう。けれども、ヴェルダンディはトムのそういった行動を否定しなかった。

 

 それは心地よかった。誰かから何かを取り返しているときも、あるいは自分を隠しているときも、そういう感覚はなかった。ナギニと一緒にいるときの落ち着きとも、また違うものがあった。

 

「五年生になるけど、進路選択はできた?」

 

 しばらくして、ヴェルダンディは呟くように言った。

 

「四年生の間ずっとカステロブルーシューにいたから、考える余裕がなかった」

 

「それもそうか」

 

「……あと、ヴェルダンディ」

 

「なに?」

 

「英語、上手になったな」

 

「あー……寄宿学校(パブリック・スクール)のいいところのお坊ちゃんをずっとやってたからかな、なんとなく口調も変わった気がする」

 

「驚かれるからきちんと直しておけよ、ルストランジュ家のお嬢様らしく、さ」

 

「そっちだって、純血のゴーント家の坊っちゃんだろ」

 

 ヴェルダンディはトムの右手中指にはめられた指輪を見て、そう言い返した。

 


 

 よし、仲良くなったのでハッピーエンドですね。本当か? とはいえ二人で秘密を共有するっていうのは思春期の少年少女にとって大事なことですからね。

 

 あとは入学式を見てしばらくのんびり過ごすだけです。秘密の部屋を開けられるイベントまで待てばいいでしょう。あ、トムは監督生になっていました。本当は四年生の時の成績とか態度で決まるのですが、スラグホーン教授の選択とカステロブルーシューからの調査書あたりが効いたらしいですね。あとはトムのギャングたちの推薦もあったとかなかったとか。

 

 ……待てよ? なんでこのタイミングでムービーが入るんだ?

 


 

「トムを見てない?」

 

 ハロウィンのパーティーが終わって食堂がまばらになった時、ヴェルダンディに声をかけたのは、彼女の同級生の女子であるロジエールだった。

 

「ううん、残念ながら。彼をお探し?」

 

「そう。どうしよう……ハロウィンのパーティーにもいなかったし、どこかで何かしているのかな」

 

「最近は灰色の乙女(レディ)と何かしていたわよね、聞いていない?」

 

 ヴェルダンディから聞かれたロジエールは、一拍遅れて首を横に振った。

 

「となると……図書館の奥に何か変な本を探しに行ったか、学外で謎でも解いているか、あるいはパンプキン・ジョニーを探しに禁じられた森へ足を踏み入れたか」

 

「さすがにそんな話をトムは信じないわよ」

 

 ロジエールは真面目に取り合おうとしないヴェルダンディに少し呆れたが、それでもまだ楽観的だった。

 

「トム先輩の話ですか?」

 

 少し訛った英語で、二人の後ろから少女が話しかけた。

 

「……あなたは?」

 

「あっ話すのははじめましてですねスリザリンの先輩! あたしはベネディッタ、ベネディッタ・ドゥラードです」

 

 そう言って、ベネディッタはロジエールと握手をした。

 

「紹介するわ、カステロブルーシューでトムの後輩だった人。英語ができるっていうのでホグワーツに留学しに来たの」

 

 ヴェルダンディは彼女を紹介した。一応は入学式の時に組分けをされていたので全校生徒が知っているはずなのだが、新入生の組分けが終わった後に遅れて入ってきたので多くの学生は食事の方に夢中になっていて気がついていなかったのだった。

 

「まあなんか校長とかサントスさんとかはもっと面倒なこと考えていそうっすけどね!」

 

 そう言って明るく笑う彼女のネクタイは黄色と黒のものだった。献身と勤勉を重んじる、そして歴史的に魔法動物学や薬草学に長けた人物が集まるというハッフルパフ寮である。

 

「サントスって……上級大魔法使い(シュープリーム・マグワンプ)の……」

 

 さすがにロジエールも、その名前を持つような人物に多くの心当たりがあるわけではなかった。そして同時に、それほどまでの人物の名前を気軽に呼べるこの少女が、決して油断できる相手ではないことも理解した。

 

「はい! ホグワーツって変わった人が多くて危ないところだとトム先輩から聞いていましたけど、今のところはいいところですね、カイポーラもいませんし」

 

「何が?」

 

 ロジエールが聞き返す。

 

「カイポーラですよ、見たことないですか?」

 

「ないわよ……」

 

 トムも向こうで大変だったんだろうな、とロジエールは考えていた。

 

 それから少ししても、トムは現れなかった。事態はすぐにスラグホーン教授へと知らされ、手の空いた教授と上級生たちによる捜索が始まった。

 

「ヴェルダンディ、一緒に来てくれるか?」

 

 捜索に参加した一人、ダンブルドアはそう言って塔の一つに向かう通路を進んだ。

 

「ええ。何かありました?」

 

「……君が、夏の間トムの手伝いをする、という話をしていただろう?」

 

「ええ、あの時は呪文をいくつか教えてくださりありがとうございました」

 

 ヴェルダンディは丁寧に頭を下げた。ダンブルドアからすれば、それはそれでまた恐ろしいものでもあった。

 

 トムは三年生の時点で、勉強会を開いていた。教えている内容は授業の範疇であり、参加者の大半はスリザリン生でトムと同学年だったが、他寮の学生や上級生もその中に含まれているということをダンブルドアは知っていた。

 

「彼は、何か見つけたのか?」

 

「……自身がゴーントの血を継ぐものであるということを、彼は突き止めました」

 

「まさか」

 

 ダンブルドアはその家名を知っていた。かつて愛した男と行った秘宝の探索。その中で出てきた名前の一つ。そしてダンブルドアは、最近トムがつけていた指輪があることを思い出していた。

 

「彼が決定的な悪に足を踏み外すのは辛うじて避けましたが……それでもなお、危険な状態にはあると思います。ホグワーツの神秘を探る中で、自分の祖先との繋がりを見出す可能性は十分にあります」

 

「サラザール・スリザリンか」

 

 ダンブルドアの言葉に、ヴェルダンディは頷いた。

 

「おそらくは。灰色の乙女(レディ)と組んで五年生が始まってから行っていたことも、その関連の調査でしょう」

 

「彼女は神秘の満ちた古代を生きた証人であり、その母はホグワーツの設計者であるからな……」

 

「設計者の一人、ですよ。名前の忘れられたあの像の人も数えてあげてください」

 

 そんな会話をしながら、二人は部屋を一つずつ丁寧に見て回った。だが、どこにもトムはいなかった。魔法で部屋が入れ替わり、階数も曖昧になる場所では、丁寧に探すのも決して楽ではないのだ。

 

「……さすがに、ここにはおらんだろう」

 

 ダンブルドアは杖に灯した明かりを持ち上げて女子トイレの入口を照らした。

 

「……一応、見ておきましょうか」

 

 警戒しながらヴェルダンディは進んでいった。そして、入ってすぐに違和感に気がついた。蛇口が本来あるべき場所からが動いて、その下に穴が伸びていた。

 

「……通路があります」

 

「なんと」

 

 ヴェルダンディの呟きに、ダンブルドアはすぐさまいくつかの呪文を唱えた。

 

「ヴェルダンディ、準備はできているかね」

 

「ええ」

 

 ダンブルドアは上着を、ヴェルダンディは制服の外套を床に置き、そしてためらうことなく穴に飛び込んだ。

 

 床に散らばった骨。先へと伸びる薄暗い通路。洞窟のような空間。数百年は誰も足を踏み入れていないだろう場所が、そこにはあった。

 

「……秘密の部屋、か」

 

 ダンブルドアは周囲の彫刻を見て呟いた。あからさまなまでの蛇への偏執が、そこには見られた。

 

「おそらくは。サラザール・スリザリンはここで秘密裏に学生を教えるつもりだったのでしょう」

 

「しかし怪物をここに残し、彼は去った……」

 

「怪物がいる可能性はあります」

 

 二人は進み、そして最後の部屋にたどり着いた。

 

「……トム!」

 

 ヴェルダンディの声が、広い空間に響いた。

 

「待て。……石化、か?」

 

 ダンブルドアは警戒しながら、複数の呪文を唱えつつ近づいた。そこにいたのは固まったゴーストと、一人の学生だった。

 

 灰色の乙女(レディ)と、トム・リドルは、こうして物言わぬ身となった。

 


 

 トムの馬鹿! なんで初っ端に犠牲者になっているの! いやまあ通路が自動で閉じていなくてよかったけどさ。もしそうなったらかなり大変なんですよ、蛇語使い(パーセルマウス)に頼めば開けてもらうことはできるのですが、それをお願いすればいいと気がつくまでのフラグを揃えるのが難しい。

 

 だからゴーント家で生まれるか、あるいはゴーント家がしばしば開いていた秘密の部屋での勉強会を知っている人の記憶を見る、みたいなことが必要になります。でもその方向性の攻略はあまり見たことがないので純粋に高難易度なのかもしれない。

 

 とはいえ、チャートにはあまり影響はありません。最悪トム・リドルが純血主義側になってもなんとか走りきれるようにすること前提でイベントとNPCの調整をしてありますからね。というわけでこの後は楽しいバジリスク討伐タイムです。ちなみに史実の時とは違ってニワトリもマンドラゴラの薬もちゃんとあるのでかなりすぐ終わる……といいな……。

 

 本当ですって、信じてください! 計画が狂ったからオリジナルチャートを発動しようとしているわけではないんです! 自分が消された時に解決まで困らないようにするっていうグレンジャー先輩のチャートの踏襲です!

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