ハリー・ポッター 「オーグリーの旗を掲げよ」RTA 1938年シナリオ トム・リドル攻略チャート   作:魔法省真理部記録局

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チャートのガバを見つけて修正したので初投稿です


Part 2

 さて、色々と問題が起きています。本来はイギリス開始だったので家族旅行とかでホグズミードに行く機会が入学直前にあるだろうと見込んでそれ前提でチャートを作っていたんですが、予見者としての力の大幅強化イベントと引き換えにそれが失われました。

 

 とはいえまだリカバリー可能な範囲にあります。たぶん。特にホグズミードで出会いたかった予定の相手とおじさまは浅からぬ縁があるので、それを使ってどうにか対応したいところではあります。うまく知識を引きずり出したいところですね。

 


 

 ──1938年冬、アルプス山脈某所。城の一室にて。

 

「勉強は進んでいるかね、ヴェルダンディ」

 

 男は部屋に入り、本に目を通す少女に声をかけた。

 

「はい、おじさま。……でも、この城にこういう本があってよろしいのでしょうか?」

 

 少女の手の中にあったのは英語で書かれたノン・マジーク(非魔法族)、あるいは英語風に言うならマグルの絵本だった。

 

「戦う相手のことについては、知らなくてはならないだろう?」

 

「知ってしまっては、戦う時に弱さとなりませんの?」

 

「それを乗り越えられる強さを、我々は持っている」

 

 男は自信に満ちた声で少女に告げる。その強さこそが魔法使いとそうでないものを、護るものと護られるものを分けるのだ、というのが彼と彼の信奉者(アコライト)の意見であった。

 

「……わかりましたわ」

 

 彼女の言葉遣いは少し独特なものだった。この城には多くの国から人が集まり、まもなく始まろうとする大きな戦いに備えている。彼らはより大いなる善のために(für das größere Wohl)ここにいた。そのような人の多様な言葉を聞く中で、彼女はこれから学びに使う英語以外のものもある程度は操れるようになっていた。

 

 そのような人々の中で、ヴェルダンディの扱いは特別であった。彼女は戦士ではない。グリンデルワルドから部屋と食事を与えられており、しばしば二人だけで過ごす時間もあったが、それでも戦術的に重要であるとはみなされていなかった。

 

「改めて、今後について話そう」

 

 そう言って男は自身の杖を取り出し、無言で部屋に何重もの防護をかけた。未来について語る時、それは余人には伏せねばならないというのは力ある予見者たちの共通した見解であった。そうでなければ、その予見はその影響を受ける人の耳に入り、複雑な因果の網を作り、予見を変質させかねない。

 

「アルバス・ダンブルドアは知っているね?」

 

 少女の正面に座った男は、足を組んで少女を見る。

 

「私の学ぶホグワーツで、校長先生になる人、ですよね」

 

「そうだ。今は変容術、そして闇の魔術に対する防衛術の教授。戦争となれば、彼も学校の外で動くよう求められることが増えるだろう。私に対抗できるとすれば、彼だけなのだから」

 

 男はかつてダンブルドアという人物と浅からぬ因縁があった。そして彼との戦いを予見を通してある程度組み上げているところであった。

 

「……しかし、その人はあなたを想わなくなる」

 

 目を閉じたヴェルダンディは、囁くように言った。

 

「ほう、続けてくれ。必要なものはあるかい?」

 

「いいえ、私が見るのはただの文字に過ぎません。おじさまのように、形までしっかりとは……」

 

「予見の感じ方は人それぞれだ。落ち着いて」

 

 男に言われ、少女は深く息を吐いた。

 

「……彼は大いなる戦いの終わる年に巣箱を発ち、二つの小さな争いを故郷の地で起こした」

 

 少女の言葉を聞きながら、予見者の男はその言葉を読み解いていく。過去形であるということは、予見上はすでに起こったとみなされるものになる。少女の予見は男の指導もあり、未来を決めることよりも未来の輪郭をなぞるものとなっていた。

 

(énigme)がそこにあった。狡猾な追放者の継承者にして、蛇のごとく毛も鼻も無く、(mort)に怯え飛び去る(s’envoler)もの。白き蜂(bourdon blanc)(énigme)を制することができず、ただいたずらに駒と己の命を失った」

 

 その言葉を聞き、男は顔を歪める。アルバス・ダンブルドア(白き蜂)が、そのような暴走した自意識と闇に肉体を蝕まれた男に煩わされるとは。それはダンブルドアにとっての、男にとっての侮辱であった。ただ、その怒りを向ける先が眼の前の少女ではないことを彼は理解していた。

 

「だから、あなたは私を招いた。運命の外側から、彼を変えるために」

 

 そう言って、少女は目を開く。男は眼の前の少女の力を理解していた。それは決して未来を手繰り寄せるものではない。厳密には予見ではなく予測に近い、と言ってもいいだろう。だからこそ運命の形を歪ませることが可能となる。

 

「……そうだ。そして、これは取引だ。ヴェルダンディ。君が七年間、あの学び舎にいるならば、何をしても構わない。あの学校はアイルランドとブリテンの学生向けの場所であるが、異国の学生を受け入れないわけではない」

 

「……役割を、期待してはくださらないのですね」

 

 少しだけ悲しそうに、ヴェルダンディは微笑んだ。すでに欧州の各地に潜んだ男の信奉者(アコライト)のように、彼女は何かをしろ、と告げられているわけではなかった。

 

「……かつて、私が息子のように接した男がいる。彼は結局私のもとを離れた。私は彼に期待をしすぎたのかもしれない」

 

 男はそう言って、少女を見た。

 

「彼の愛した女に、届けてほしいものがある。彼女は蛇をよく知っている。イギリスで蛇となると、言葉は知っておくべきだろう」

 

「言葉……」

 

 ヴェルダンディが言うと、男は杖を振って霧を作り出した。

 

蛇語(パーセルタング)、あるいはそれを話すものである蛇語使い(パーセルマウス)。かの国にはサラザール・スリザリン、ホグワーツを築いた魔法使いたちのうち一人の子孫の系譜がある。純血主義などという欺瞞に嵌った愚かな家だがな」

 

 霧の中からは人の姿が現れて消えていく。あごひげを伸ばした禿頭の老人。彼から繋がる家系図は、その一族の中で絡み合いながら薄れて消えていった。

 

「それは今、私が知るべきことでしょうか?」

 

「いや、おそらくホグワーツで君はそれを知り、学ぶだろう。十八の大人であっても、隣に立ち、対等な力を見せれば道を変えることができたのだ。そして君が解くべき(énigme)、あるいは(riddle)は十一歳、ほんの子供に過ぎない」

 

「私もそうですわ、おじさま」

 

「いいや、君には意思がある。意思は幼さを勇敢さに、知識を知恵に変える。しかしあまり多すぎても問題がある」

 

 男の言葉に、ヴェルダンディは小さく頷いた。

 


 

 わけわからない予見というか振られた男との未練の話をわかる人同士で勝手にしないでほしいですね。とはいえボタン連打の想いが伝わったのか、自由行動の開始がホグズミードになりそうです。

 

 内なる目の足りない人のために説明しておきますと、ここでヴェルダンディと彼女を引き取ったおじさまはいくつかの予見を手に入れて共有しています。予見には何種類かありまして、一つは何かをすると何かが起こるという条件型。これはその条件を回避すれば逃れることができます。もう一つは確定型。何かが起こる、とすでに決まるようなものです。しかしこちらは言葉が曖昧なことが多く、解釈によってうまくその予見を達成したことにするという手口があります。

 

 ヴェルダンディはこれらとは違う観測型とでも言うべきもので、原作知識を引っ張ってくるみたいなものに近いですね。このあたりのシステムはよくできていて、プレイ目標に合わせてうまく調整してくれるようです。

 

 ヴェルダンディが見たものは、アルバス・ダンブルドアをこのおじさまの次に困らせる闇の魔法使い。まだ彼とダンブルドアは会っていないタイミングのはずですが、ただでさえ国際情勢が危険なのでダンブルドアのGG値は変動しやすくなっています。っと、ここでGG値について説明しておきますね。

 

 これはアルバス・ダンブルドアが持っている内部値であり、平時であればこの値は低下します。今はイギリス内部に信奉者(アコライト)、おじさまの手下がそこまで多く入っていないので上がっていません。これが上がると「より大いなる善のために(for the Greater Good)」と言い出して少年兵を特攻させたり二重スパイをこき使うような強硬手段を取ってきます。なのでおじさまもあまりイギリスには手出ししたくないわけですね。

 

 ちなみに無理にイギリスを信奉者(アコライト)勢力の支配下に組み込もうとするとGG値が急上昇、彼が権力への怯えを断ち切って魔法大臣となり、レジスタンスであるヴォルデモート卿がエマニュエル・ゴールドスタインよろしくずっと存在していると唱え続け、愛の部屋による「再教育」も辞さないオーウェルめいた「たのしい」イギリス魔法界が生まれます。全部愛のためじゃよ。

 

 それとénigme、英語で言うとriddleが今回のチャートでヴェルダンディが解く必要のある謎です。このゲームどういうシステムでうまく予定調和起こしているんでしょうね。逆物欲センサーよろしく走者の心を読むためにウェブカメラがきらめいていたりしないか? タイムのために閉心術を身につけるべきかもしれない。

 

 というわけでちょっとしたおつかいクエストが入学前に発生します。マグル生まれなら学校からの招待、そして基本的に新入生にはダイアゴン横丁でのイベントがあるのですが、このルートだとそれが省略されるようです。まあロンドンでダンブルドアとすれ違ったら負けイベントですからね。特に今回のヴェルダンディさんはあからさまにダンブルドアが敵視している男の手下なので入学式まではできるだけ距離を取りたいところです。あと下手にトム・リドルとの接触イベントも起こしたくないのもあります。

 

 というわけで道具は基本的にはフランスのセーフハウスで時間をかけて揃えることになります。ドーバー海峡を超えた密輸入ルートは今後もちょくちょく使うことになるでしょうから覚えておいて損はありません。杖はオリヴァンダーに頼むことができないので、別の職人に頼りましょう。

 


 

「ふん、ホグワーツに俺の杖を持っていこうとはね」

 

 欧州大陸随一と名高い杖職人、マイキュー・グレゴロヴィッチは工房にやってきた少女を椅子に座らせ、木材と小刀を持ってきていた。

 

「……芯は持ち込みか。銀葉菩提樹(ズィルバー・リンデ)を指定するとは、わかっているな」

 

「おじさまが選んでくださったのです。ただ、もし必要があれば変えても良い、と」

 

「無茶な組み合わせであれば、さすがに断るが」

 

 そう言いながら、彼は封筒に入っていた毛を取り出した。セストラルの尾の毛は扱いにくく、腕の良い職人を必要とする。グレゴロヴィッチはかつてニワトコの杖を持っており、それは何者かに盗まれたが、それでもなおその芯材であったセストラルの尾の毛を使う方法は理解していた。

 

「……難しいでしょうか?」

 

 そう尋ねたヴェルダンディを、グレゴロヴィッチは睨みつけた。

 

「俺を誰だと思っている。俺はオリヴァンダーやアメリカの杖職人のように芯材を縛るつもりはない。……ああ、このあたりは向こうでは黙っておくのが処世術というやつだ。かの地の杖はほぼオリヴァンダーが独占しているからな。先代まではまだこちらに注文をする人もいたのだが」

 

 そう言いながら彼は荒く削った木材に毛を埋め込み、ヴェルダンディに持たせた。

 

「振ってみろ」

 

 腕を伸ばして杖先を動かすと、ヴェルダンディの腕に痺れるような熱が走った。

 

「違う。手首ではなく肩から指先まで全体を滑らかに使うんだ。……悪くないが、まだ杖が悪いな。貸してみろ」

 

 そう言って彼はヴェルダンディの手から抜き取った杖の先端を少し削った。

 

「……二十八センチメートル。しなやかさがあったほうがいいだろうから細めにした。強い魔法を使うことに向いているものではないが、学ぶには便利だろう」

 

 ヴェルダンディが受け取った杖をもう一度振ると、その先端に明るい光が灯った。

 


 

 というわけで11インチ、ギンヨウボダイジュ、セストラルの尾の毛。インチとかいう忌まわしい単位を使うイギリスってもしかして滅んだほうがいいんじゃないですか?

 

 かつてギンヨウボダイジュは美しさのみならず予見や開心術といった神秘への適性があるという評判から人気でした。これはギャリック・オリヴァンダーの祖父、ゲボルド・オリバンダーの時のギンヨウボダイジュ在庫処分一掃セールで使ったマーケティング文句だったという都市伝説もありますがね。

 

 彼女の杖のデザインは美しいかと言われると微妙で結構無骨ですが、ちゃんと彼女の手にあうように作られています。指の長さの成長も加味されているあたり、さすがは一流の杖職人。既製品を押し付けるやつとはやり方が違うぜ。ちなみに杖の伝承に基づくバフとかは正直数値化できないのでよくわかんないです。

 

 というわけで次回からは本格的に初期条件決めのために動いていくことになります。ではまた。

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