ハリー・ポッター 「オーグリーの旗を掲げよ」RTA 1938年シナリオ トム・リドル攻略チャート   作:魔法省真理部記録局

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操作可能になったので初投稿です


Part 3

 さて、ここからキャラクターを操作できるように。普通のプレイであれば楽しいダイアゴン横丁の旅なのですが、今回はまずイギリスに行くところから始める必要があります。移動はほぼルート固定なので遊べる要素はありません。手持ちの硬貨も少しだけですしね。

 

 今ヴェルダンディさんがいる場所は文字通りに世界を相手に戦おうとする勢力の秘密拠点ですので、当然ながら周囲には様々な魔法的防護がありますし、出るのも入るのも制限がかかっています。そこから出て、ドーバー海峡を越え、目的地であるスコットランドはハイランド、ホグズミードまで行くとなるとそれはもう大変なわけです。

 

 方法として考えられるものの一つはポートキー。届け出のないポートキー作成は禁止されていますし、複数の魔法省管轄区域をまたぐようなポートキーの使用には面倒な書類とかが必要で、却下されることも珍しくありません。しかし禁止されているってことは可能だし、みんなやってるってことです。もちろんポートキーは作ると魔法省に検知されるのですが、このあたりはいくらでもやりようがあります。有名なところだと忠誠の術で隠した場所は周囲から認識できなくなるのでそれを利用するというものがあります。だから少なくない純血名家はこういう別荘を持っていたり借りたりしているんですね。

 

 あるいはホグズミード鉄道を使うこともできます。特にホグワーツ特急で有名なのでホグワーツ鉄道と呼ばれることもありますが、一応休暇シーズン以外にも普通にホグズミード村の住人とか屋敷妖精(ハウスエルフ)ならぬ軌条妖精(レールエルフ)の作業用に運行してはいます。ただしここに乗るとそれなりに人目につくのでこれまた避けたいところ。

 

 というわけで今回はもっと素直なマグル風の方法、船を使いましょう。ただし普通の航路だとロンドンに寄ることになってリスクがあるので、シェルブールからリヴァプール、そこからアヴィモアまで鉄道という形にします。ドーバー海峡の間にあるものに比べれば数は少ないですが定期航路もありますしね。

 


 

 ──1938年3月、ケルト海上

 

「……酔っているのかい、嬢ちゃん」

 

 英語で話す若い男は、甲板で潮風を浴びてふらついている少女に言った。

 

「大丈夫ですわ……」

 

 そう言いながらもおぼつかない足取りの少女のために、彼は手すりをゆずった。

 

「ま、大西洋側は荒れるからな。今日もちょっと天気が悪かったら出られなかったかもしれないし」

 

 そう言いながら、彼は海の先を見ていた。今回の任務は少人数での長期間にわたる潜入と情報収集となる。今後戦争が始まってしまえばイギリスに入国する人は強く疑われることになるだろうから、これがほぼ最後の常駐する人員を送る機会と言っても良かった。

 

「……これでも、まだ旅は始まったばかりなのですよね」

 

「ああ、そうだ。今回は特にマグルにも魔法族にも気がつかれたら終わりだ」

 

 ポートキーであれ、煙突飛行粉(フルーパウダー)であれ、魔法的なものは魔法的な痕跡を残す。ポートキーで去るだけであれば影響を最小限に抑えられるが、それでも今回の作戦で取るべき手段ではない。

 

 ホグワーツ魔法魔術学校には、すでに関係者が入っている。彼らに何かあった時に支援し、あるいは身元が明らかにされた時に一時的に避難するための場所が必要だった。そのために、遅れながらも彼らが派遣されることになった。

 

「……あなたは、ホグワーツの卒業生ですの?」

 

 ヴェルダンディは彼に小声で尋ねる。

 

「いいや。家がちょっと色々とあってね。俺は通わせてもらえなかったんだ」

 

「……そうでしたか」

 

 彼の話す英語には少しだけ学術的な雰囲気が漂っていた。だからこそ、信奉者(アコライト)の中から彼を含めて数人が選ばれたのだろう。

 

「ま、あんまり気にしないでくれ。あと普通に俺は今回の調査、すごい楽しみにしているんだからな」

 

「博物学調査のための滞在、でしたわよね」

 

「ああ、向こうの手続きは進んでいるはずだ」

 

 ホグズミードから徒歩で行ける範囲にある小さなマグルの集落、その一角に居を構える計画になっていた。英国陸地測量局の職員として、動植物および鉱物の長期調査を行うと言う名目だ。フランス人を一人入れた三人による滞在で、今回の旅は彼らに加えて責任者の男と彼の娘が同行する、が、二人は長期滞在はせずに帰る、ということになっていた。

 

 もちろん、これらは魔法的に探られかねない方法をできるだけ避けて行われた。実際に英国陸地測量局の職員として彼らは登録されている。ただその過程でとある魔法使いが局員に呪文を使っており、その魔法使いも服従の呪詛を受けていた。これらの入り組んだ条件を探ることは、今となっては不可能になっている。

 

 事実、当時のイギリスでは多くの秘密計画が進んでいた。開戦が避けられないと読んだ政府は戦略資源の確認を進め、各地の資源の再確認を行っているという事実もあった。その中で、たまたまホグズミードの近くにある集落に専門家が滞在するのは、決しておかしなことではなかった。

 

「……ここを出る時に新聞を読んだのですが、シュシュニックが辞めたそうですわね」

 

「ウィーンは見事な都市だったが、それが保たれることを祈るしかないな」

 

「……保たれて、よろしいのですか?」

 

 ヴェルダンディは彼に尋ねる。彼らは戦争を起こそうとしている。その混乱の中で強いものが正しく人々を導ける世界を作ろうとしている。そのような中で、平和を望むのは臆病者と言われるかもしれない行動だった。

 

「平和は悪いことじゃないさ、それが避けられない時に剣を取ることを批判するのでなければ」

 

 そう語る彼は、信奉者(アコライト)の中でも穏健な、しかしその総帥には強く忠誠を誓った男だった。また、今回の協力者の一人として参加している植物学者はマグルである。彼は先の戦争の裏であった戦いで魔法薬学者であった妻を喪い、そしてその実態は両方の世界から覆い隠されていた。だからこそ、その欺瞞を暴くために作戦に身を投じることにしたのだ。

 

 ただ、ヴェルダンディは戦争は避けられないことを知っていた。それは固い事実であり、その運命を変えることのできる地点はすでに過ぎていた。

 


 

 このゲーム、スキップできないムービーがかなりあるんですよね。普通にプレイする分には楽しいんですが周回プレイとかすると暇になりますし。基本的に周回プレイを前提としてないゲームだろと言われればその通り。

 

 今回、彼らはホグズミードの近くの村に逗留します。ホグズミードの周囲にあるマグル除けはあくまで認識阻害とかの類であって、積極的な検知とか排除をするものではないので普通に山道を正しく歩いていけばマグルの集落からでもたどり着けます。特にホグズミードは有名な場所ですし、おじさまにとっても縁がある場所ですからね。事前に地理関係はしっかり調査してあります。

 

 数日の旅が終わって宿を確保したら、次はホグズミード行きです。ここから自由行動ですが、移動時間がかなりかかりそうな気配がしてきたな……。

 

 ちなみに今回の目的地は普通にやると年齢的に入れてくれません。本当は隠密とか説得とかが必要になるのですが、今回はちょっとした招待状が用意されているのでそれを使わせてもらいます。

 


 

 ホグズミード村はイギリス魔法界で唯一、魔法族だけで構成される集落である。その端にあるホッグズ・ヘッド・インは、お世辞にも良い店とは言えなかった。ただ、ここしばらくはその店の女給が静かな人気を持っていた。

 

「いらっしゃい……ここは子供の入るような店ではありませんよ」

 

 少し疲れた雰囲気を纏う黒髪の女性は、入ってきた少女に声をかけた。

 

「はじめまして、ナギニ様。あなたに渡すようにと託されたものがありますわ」

 

 まだ若い、ホグワーツに入るか入らないかという年齢の少女は、少し訛りのある、しかし上品な雰囲気の英語で言いながら、封筒を差し出した。

 

「なに、またアバフォースに殴られたい馬鹿がいるの? 子供に手紙を託すような卑怯者相手に私が……」

 

 そう言って取った封筒に書かれた紋章を見て、ナギニの表情が険しくなった。正三角形と、縦線と、内接する円。その紋章を、彼女は良く知っていた。そして恐る恐る、封筒を開けて、中に入っているものを取り出した。

 

「まもなく戦争が始まろうとしています。だから今のうちに届けておきたかった、とあの人は言っていました」

 

 何枚かの写真。若い男性が一人で、仲間と、あるいは女性と二人で写っているもの。彼女はそれを見るとふらふらと椅子に座り、目元を手で抑えて、小さく、押し殺すような声とともに、背中を震わせた。少女は彼女の向かいに座り、じっと待っていた。

 

「……あの人は、何が望みなの? 今更こんな物を渡して、私に何をさせたいの?」

 

 か細い声で、ナギニは言う。彼女は欲望と意思で相手を操る人を複数知っていたし、結果として彼らに巻き込まれ、大切な人を喪っていた。

 

「……そういうものではありません。これは不本意に終わった別れをそのままにしておきたくないためだ、と言っていました」

 

 そう返しながら、少女はそれが欺瞞であることを知っていた。それだけの甲斐性があるなら、彼はすでにかつての恋人にもっと伝えるべきことを伝えられていただろう。

 

 ただ、完全に嘘であるわけではなかった。ダンブルドアの一族の監視下にある彼女を駒として使うことは難しい以上、少女にこの写真を託した彼にとってこれらはもはや不要となったものであった。

 

「……なら、あなたには? 寒い中を歩いてきたようだから、なにか温かいものの一杯でよければ出すけれども」

 

「もしよろしければ、ホット・チョコレートを頂けると助かりますわ」

 

 少女は少し赤くなった指先でシックル銀貨を多めに三枚出して言った。ナギニは少しためらった後、一枚だけ取った。

 

「……あなたはホグワーツの学生ではない、のよね」

 

 そう言いながらナギニは杖を振るい、牛乳を入れた大釜に火をつけた。

 

「はい。……私は彼と会ったことはありませんが、おじさまはたまに彼のことを話していました」

 

「……そう」

 

 彼女は大釜にコンジュア・ココアの粉と少し多めの砂糖を足し、杖を振った。輸入品であったが、特別な客人に出すには陳腐なものでもあった。

 

「……一つ、あなたに教わりたいことがありますの」

 

 縁の欠けた無骨なカップに入ったホットチョコレートをスプーンで混ぜながら、少女は向かいに座ったナギニに言う。

 

「……私に?」

 

 そう言って、ナギニは少し濡れたままの目を(しばた)かせた。

 

「話せるようになりたいものがありますの。あなたにしかお願いできないけれども、無理にとは言いませんわ」

 

 微笑む少女を見て、ナギニはかつて見た、ある男の微笑みを思い出して、小さく身震いをした。

 


 

 ホグズミードは徒歩圏って言ってただろ! なんだよ朝から移動して昼じゃないか! このまま帰ったらもう夕方だぞ、時間がシビアすぎる。

 

 というわけでナギニお姉様と繋がることができました。この時のお姉様は付き合っていたクリーデンスくんを看取って傷心状態です。かなしい。クリーデンスくんはおじさまの養子ポジ、つまりヴェルダンディさんの義理の兄に当たります。つまりナギニさんのことを義姉様(おねえさま)って呼んでいい? そんな筋合いはない? はい……。

 

 本当はここの店主はアバフォース・ダンブルドア、つまりホグワーツにいるアルバス・ダンブルドア教授の弟なのですが、今日はたまたま出かけていたようでナギニさんが店番をしていました。こういうところで予見者特性を持っておくと待ち時間とか少なくてすむんですよね。

 

 店番と言っても店主は夕方には帰ってくるので、ナギニさんから発音に問題ないと言ってもらったらそそくさと暗くなる前に帰りましょう。安定を取るならここで忘却術とかすべきなのでしょうが、もしここでヴェルダンディの人相をアバフォースに伝えられたとしてもアルバスまで届かないでしょうし、もしそうなっても捜索できないので特に問題ありません。

 

 あとそうだ、セーフハウスに戻ったら信奉者(アコライト)の皆様に見守ってもらってちょっと杖を振っておきましょう。未成年が杖を振ると「痕跡」が残るのですが、ホグワーツ入学式の前であれば管轄がホグワーツの入学者名簿になっていてそこに名前が入り、必要であればホグワーツからの入学許可証がやってきます。さすがに杖をわざと使って変なもの連発したりすると怒られますが、ちょっとぐらいなら検知システムの判定が甘いので大丈夫なはずです。

 

 もし変な手紙が来たら届けてくれと頼んである近くの家で杖を振ったので、夏にはそこに手紙がやってくるでしょう。セーフハウスでやるのはさすがにまずいですからね。許可証さえあれば入学式に行くことができますし、ホグワーツは相当なことをしないと退学にはなりませんからね。まったくレストレンジ家の令嬢ならこんな面倒なことをせずに済んだのにな……。

 

 では次回、トム・リドルとご対面。

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