ハリー・ポッター 「オーグリーの旗を掲げよ」RTA 1938年シナリオ トム・リドル攻略チャート   作:魔法省真理部記録局

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睡眠時間を休日に確保して健康のための一歩を踏み出したので初投稿です


Part 30: 1949-1955年

 世界魔法戦争の終結以降、魔法界は比較的穏やかな時代を過ごしていました。次のイベントのために時計が止まったのは1949年。史実だとまだボージン・アンド・バークスでトムがママ活してたり闇バイトしていたりしなかったりしている頃ですね。ホグワーツの校長はまだアーマンド・ディペットです。あまり進んでないな。メリーランド州でスナリーガスター保護連盟が設立されたぐらいですね。わかるやついるか。あとモリー・プルウェットが生まれたぐらいですね。後にウィーズリー閥を実質的に管理する女傑です。

 


 

 ──1949年、イギリス魔法省八階、アトリウム。

 

 二人の若手職員が、扉の前で杖を構えていた。両方とも隙のない様子であったが、その振る舞いは異なっていた。

 

 片眼鏡をつけた女性の方は凛として背筋を伸ばし、落ち着いて息を吐いていた。男性の方は中腰で周囲をせわしなく見渡していた。

 

 そして二人は覚悟を決め、扉を開けた。

 

「ようこ」

 

「「武器よ去れ(エクスペリアームス)」」

 

 入ってすぐ、椅子に座っていた人物に二人は杖を向けて赤い火花を飛ばした。その魔女が吹き飛ばされたあとも、男は立て続けに呪文を打ち込んでいた。

 

「ムーディ! ほどほどにしなさい」

 

「ここまでの仕掛けをした相手だ。油断する必要はない。油断大敵(Constant Vigilance)!」

 

「ああ、待ってください二人とも。魔法の類はあまり効かないのだけれど、君達に敵対するつもりはないんの」

 

「なるほど、ならこれでどうだ」

 

 そう言ってムーディと呼ばれた男は魔法で縄を呼び出し、床に倒れた女性を縛り上げた。

 

「……ええと、闇祓いのアラスター・『狂人(マッドマン)』・ムーディと魔法法執行部のアメリア・スーザン・ボーンズだね。改めましてようこそ、稀少・不透明・交絡事件局(Rare, Obscure, and Confounding Case Division)へ」

 

「あなたにはいくつか質問があるわ、ヴェルダンディ・ルストランジュ」

 

 ボーンズと呼ばれた女性は、ムーディによって浮遊させられた惨めな状態の魔女に杖を向けて言った。

 

「ええ、どうぞ」

 

「魔法維持管理部の下にこんな人員と装備を集めて、何をしているの?」

 

「君達のような人物を探している。ワルプルギスの夜騎士団(ナイツ・オブ・ワルプルギス)から、君達の噂は聞いているよ」

 

 ヴェルダンディのその言葉に、二人は顔を見合わせた。学生時代に参加していた勉強会、その中にある秘密結社だ。その名前を知る人は珍しくなくなる程度には有名になっていたが、具体的な話まで知っている人はいないはずだ。

 

「……私達は、あなたの話を聞いていない」

 

魔人議会(ウィゼンガモット)のエイブリー議員に聞いてくれ、私が敵ではないことは確認できるはずだ。確か今日は議会があるし、紙飛行機でも飛ばせば来てくれるはずだ」

 

「アメリア、頼む」

 

「わかったわよ」

 

 ボーンズが書面を書いて折り、飛ばしてからしばらくすると一人の男が部屋に入ってきた。

 

「……何やってるんだよ、ルストランジュ」

 

 部屋に入ってきたエイブリーは、呆れた顔をしながら言った。

 

「有望な新人への囮役よ。一番頑丈なのは私でしょう?」

 

「……二人とも、彼女はこういう人だ。だから解放してやってくれ」

 

 エイブリー議員に言われ、ムーディは渋々という顔で彼女の拘束を解いた。

 

「しかし、何をやっているんだ? 盾の呪文(プロテゴ)の気配はなかった。あれは……ドラゴンのような、魔法との干渉を起こさない反応に思える」

 

「闇の魔術だ。彼女の肉体はそれで護られている」

 

 エイブリーの言葉に、ムーディは目を見開いた。

 

「……魔法省は先のグリンデルワルドとの戦いを踏まえ、国際協力と調査を専門とする部署を秘密裏に設立したの。それが稀少・不透明・交絡事件局(Rare, Obscure, and Confounding Case Division)、略称はROCC。あなた達は試験に合格したわけ」

 

 エイブリーを無視して、ヴェルダンディは言った。

 

「……お前達が省の予算を無断で流用し、秘密裏に戦力を整えている信奉者(アコライト)残党でない理由がどこにある?」

 

 ムーディはルストランジュを睨みながら言う。

 

「ないね。だから君達には信じてもらうしかない」

 

「……なるほど。つまり常に疑い続けろ、と」

 

「そう。もし正しいことがあると思えばここを通してもいいし、間違っていると思うなら行動を拒めばいい。ただし、あなたは闇祓いで、その職務への義務がある。もしその義務を果たせないなら省を去るか……」

 

 それ以上を、ルストランジュは言わなかった。そしてムーディは頷いて、杖をポケットに戻した。

 


 

 というわけであまり知られていない部署、稀少・不透明・交絡事件局(Rare, Obscure, and Confounding Case Division)です。不透明な予算、各種の権限、そして奇妙な管轄領域。奇妙な採用形式。まあよくある組織内組織、碌でもない代物です。

 

 とはいえ、この組織は第二次イギリス魔法内戦中でも活動していたようなんですよね。当時存在した省内のレジスタンスやサボタージュ運動、そしてマグル生まれの亡命などを考えると、この部署が裏である程度動いていたと考えるべきです。いわゆる「金庫世代」の人達ですね。

 

 ただ、彼らの貢献はやはり英雄の若者たちと比べれば軽視されがちですし、体系だった調査はされていません。まだ関係者が生き続けているというのはありますし、魔法族の寿命を考えればこの種の調査ができるのは相当先になるでしょう。

 

 そして今回、この組織はワルプルギスの夜騎士団(ナイツ・オブ・ワルプルギス)の手に落ちたようですね。まあ秘密組織が本来なら敵の組織と繋がるのはよくあることです。アルバニア人亡命者を秘密裏に工作員として送り込むオペレーション・ヴァリュアブルの情報がなぜか当地の国家保安局(シグリミ)に流れていた理由の一つであり、最終的にはイギリス秘密情報部の次期長官候補とまでみなされた『キム』・フィルビーとかいますからね。まったく、トムもまた危ない場所に行っているものです。

 

 おっと、さっきの二人の若手職員について一応説明しておきますか。女性の方はアメリア・スーザン・ボーンズ、戦間期の魔法法執行部の長官で、マグル側では密室殺人事件の被害者として知られています。男性の方は義眼からアラスター・『狂眼(マッドアイ)』・ムーディとして知られるようになる、闇祓いの教育制度を整えた大物です。まあバーテミウス・クラウチ・ジュニアに成り代わられていた人として有名なところが悲しいところですがね。

 

 とかなんとかしていたらなんかもうトムと別れてから十年経ってました。なんてことだ、この時間を使って皆様のために色々やろうと思っていたのに。ええと今の状況を確認しておきましょう。

 

 あ、あと以降の映像は時系列がおかしくならないように編集で入れたものです。後で説明するのですが憂いの篩(ペンシーヴ)を使えるようになると相手と記憶の共有ができるようになり、再現ムービーを見ることができるようになるんですよね。開心術持ちとかが仲間にいるならかなりの情報を得ることができますし、例えば今回のプレイであればワルプルギスの夜騎士団(ナイツ・オブ・ワルプルギス)の構成員と記憶を容易に共有することができます。これがあれば上司の面倒でいい加減な依頼を後出しで否定されることもなくなるんだ、欲しい。でも進捗も知られるんだな、いらないかもしれない。

 

 本来は憂いの篩(ペンシーヴ)は希少な品かつ個人的なもので、その中に詰まっている記憶も大抵は所有者の死とともに葬られます。ホグワーツにある憂いの篩(ペンシーヴ)が一番知られているのですが、あれはホグワーツ以前からある、あるいはその場所にホグワーツ城を建てる事になった原因ともされる曰く付きの代物ですからね、あまり基準にしてはいけない。

 


 

 ──1955年、冬。

 

 ホッグズ・ヘッドの店主であるアバーフォースは、来店者を見た。彼の纏う雰囲気は、歴戦の闇祓いにも劣らないものであった。

 

「……アバーフォースさん、お久しぶりです」

 

 フードを外したところにいたのは、髭を生やした人物だった。もともと大人びた顔をしていたが、今では経験によって作られたのだろう目元のかすかな皺があった。この店には多くの客がやってきていたが、彼らのほとんどよりも威厳があり、おそらくは杖を出さずとも威圧できるだけの力があることが読み取れた。

 

「トム、か。ナギニは?」

 

「ここに」

 

 そう言って彼が持っていた鞄を開けると、その中から蛇が這い出してトムの身体に巻き付いた。

 

「……無茶は、していないだろうな」

 

 蛇は頭でトムを小突くようにした。少し気まずそうなトムの顔に、アバーフォースは息を吐いた。

 

「おいトム、こっちに来い」

 

 そして、店の隅には既に何人かの魔法使いが集まっていた。アバーフォースは彼らを知っていた。ノット、ロジエール、マルシベール、ドロホフ。名家や期待の若手といった、将来が期待される人物たち。少なくとも、場末のパブにそうそういるような人ではない。

 

「さて、我らが(ロード)の帰還に乾杯ね」

 

 魔女のロジエールがそう言って、カップを掲げた。

 

「十年……一時期は俺達と一緒とはいえ、ほとんどはそのナギニさんと一緒だろう? 寂しくなかったのか?」

 

 マルシベールがバタービールに口をつけながら言った。

 

「ああ、俺は軟弱ではないからな。ところで、他のやつらはどうした?」

 

「仕事だよ、仕事。あとは(ロード)の就職が上手くいくような準備さ」

 

 ドロホフは声を潜めて言った。

 

「ふむ……エイブリーに任せていたはずだが」

 

「彼は魔人議会(ウィゼンガモット)で忙殺されているわよ、ダンブルドア教授と対立して、マグル生まれの扱いをどうするかだのなんだの」

 

 ロジエールの言葉に、ノットが頷いた。

 

「ああ、ダンブルドアは生まれで人を見るからな。マグル生まれを殊更に贔屓する」

 

「ノット、君の父親と同じような人物だな」

 

「……親父は屑だ。もしあれで、本当に純血の力を、歴史に対して敬意を払っているのならばよかった。だが金で『純血』を売るのであれば、それはもう、どうしようもない」

 

 ノットはトムに吐き捨てるように返した。

 

「……だが、君には父親とは違う力がある。知性を正しく振るう方法を知っているじゃないか」

 

「早く、早く命令してくれよ、トム。お前の命令であれば俺達は何でもする。禁じられた呪詛だって、タフトを殺してこいって命令だって、お前が必要だと思うなら」

 

「やめろ」

 

 トムの言葉に、興奮していたノットは黙った。

 

「久しぶりの再会で飲みすぎたのだろう。事を急に運ぶことは今は得策ではない。まずは基盤を築く必要がある。……あの城に、必要な席を手に入れる」

 

 その城がどこであるかは、席に座っていた彼らは理解していた。アーマンド・ディペット校長との面接は、あと数日に迫っていた。

 


 

 うーんやはりトムくんの周りには危ない人しかいないな、いつか刺されるんじゃないかこいつ。あ、タフトというのはウィルヘルミナ・タフトですね。平和な時代の魔法大臣です。なおアリホッシー風味のファッジのアレルギーで亡くなって、跡を継いだ息子のイグナティウスは吸魂鬼(ディメンター)繁殖計画を立てて普通に議会に潰されました。いやこれについては特に擁護とか批評とかしようがないな。まあ、ある意味ではそれぐらいの些細なことが政治的問題に成り得たぐらい落ち着いた時代であったということです。

 

 アリホッシーというのはこう、ちょっと危ない植物です。基本的に葉を直接摂取するな、とされるぐらいですね。食べると笑いが止まらなくなるそうで。なんか向精神作用とかあるやつですねこれ。

 

 そしてイグナティウス・タフトの引退後、史実では1962年にノビー・リーチが第二十八代魔法大臣に就任します。初のマグル生まれの大臣であり、そして純血主義者と後に呼ばれるようになる保守派たちが自分たちの時代が終わりつつあると危惧した原因であります。

 

 このあたりの改変については、今回は手を出しません。というより今のところ一番の問題はヴェルダンディさんがトム・リドルを落とせるかどうかなんですよね。まあなんかこう、いい感じになるでしょう。どうしようもならなかったら愛の妙薬(ラブ・ポーション)でも使うか……でもそれやると好感度最悪になるよな……。まあタイミングさえ合わせればあとはどうにでもなるでしょう。というわけで次回、トム・リドル就職活動編。

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