ハリー・ポッター 「オーグリーの旗を掲げよ」RTA 1938年シナリオ トム・リドル攻略チャート 作:魔法省真理部記録局
デルフィーニ・レストレンジ。父親不明。母親は魔法省魔法法執行部のしがない官僚。11歳になり、ホグワーツに行くことになった生意気盛りの女の子です。かわいいね。まだ髪は染めてないけど。
さて、問題はここからどれぐらいメインの関係性がずれるかですね。魔法省からだと大きな介入ができないので、デルフィーさんに頑張ってもらうしかありません。一応原動力はあるし指示を流せるルートも最初の数年は用意しているんですけどね。
どういうことかと言いますとルシウス・マルフォイさんに娘をよろしくと伝えてあります。卒業して省に入った時にしごかれる相手からそういうこと言われるのは怖いかもしれませんが社会とはそういうものなので頑張ってくれたまえよ。
デルフィーニ・レストレンジは、魔法のかかった鞄一つと軽装で駅に来ていた。母は省の仕事で忙しいから、と言ってすぐに帰ってしまった。ママに連れられて出たことのある集まりで知っているような人がいるはずだと思ったが、周囲の人はそういう様子ではなかった。
「ふん」
デルフィーニは鞄に座り、足を組んで周囲を見渡した。付き添いとして来ている大人たちを見て、気にするものかと彼女は視線をまだ列車の来ていない線路の方に向けた。
ホグワーツの話は聞いていた。大人たちは昔のことを話したがる。全部が面白いわけでもなかったし、中には自慢話もあったが、それでもホグワーツでどう過ごせばいいのかはだいたいわかっているつもりだった。
何をしてもいい。魔法の力があれば、大抵のやりたいことはできる。深い魔法の本を図書館で読むことも、教授たちに直接教えてもらうことも、あるいは友達と一緒に練習をすることも。そして、デルフィーニには七年のうちに倒したい相手がいた。その域に到達するためには、ホグワーツは一番良い場所のように思われた。
「──私が、なんでそんな──そんな
そういう声が聞こえた方にデルフィーニは視線を向け、自然に鞄を持って立ち上がり、さも汽車に乗るためですよ、という顔をして二人の少女へと近づいた。
泣きそうな、いや、涙を目に溜めている二人の少女。似ている雰囲気と家族の様子からして片方がスクイブだろうか、いや違う、彼女はマグル生まれだ、とデルフィーニは察しを付けた。
魔法使いとそうでないものの間には、色々な壁がある、わかっているはずだった、とデルフィーニは考える。友達には遠くの寄宿学校に行くから長期休みのときにしか帰ってこれないとデルフィーニは言っていた。嘘ではないけれど、大切なことを言っていなかった。
その後の話を聞いて、デルフィーニはちょっと笑いそうになった。そうだ。パパもママも
デルフィーニは汽車の中で座るのではなく、うろうろと歩き回っていた。誰が誰と仲良しなのかを知るのは大切、というのはママの言葉だった。やりたいことがあるならちゃんと学ぶ必要があるし、そのためにはいろいろな方法がある、と話してくれた。なんとなくそういうやり方をデルフィーニは好んでいなかったが、それでもいくつかは取り入れようと思えるものがあった。
そうして、彼女は少し騒がしいコンパートメントの前で足を止めた。
「楽しそうな話してるわね、私も混ぜてもらっていい? ミスター・ブラックとミスター・ポッター」
四人がけのコンパートメントの中にいる人のうち、通路側の男子二人をデルフィーニは知っていた。魔法薬発明者のフリーモント・ポッターの息子と、ブラック家の嫡男。というより、前に帰ってきたトムから写真付きの名簿を見せられていた。それに、ブラック家の方とは知り合いだった。
「げ、デルフィーかよ」
冷たかった雰囲気の少年は、表情を歪めた。
「知り合いか?」
その向かいに座っていた少年、ジェームズ・ポッターが呟いた。
「煮詰めたようなスリザリンさ」
シリウス・ブラックは言った。
「友情と歴史を重んじ、文化を誇りとするかのスリザリン寮の、です」
そう補足したデルフィーニは、別にスリザリン寮に入りたいわけではなかった。両親がそうだからといって、子供がそうでなくてはいけない理由はない。ただそれはそれとして、ママの寮を馬鹿にされるのは気分が悪かった。
「スリザリンなんかいいところじゃないだろ」
拗ねたようにジェームズは言う。
「愚かな突撃を厭わないグリフィンドールと同じぐらい、いいところよ?」
「やめて、みんな」
奥にいた少女、リリー・エバンズが、声を張り上げた。その向かいに座り、既に制服を着ていた少年は、その少女を止めようとしているようだったが手が微妙に遠慮のためか伸び切っていなかった。
「……ねえセブルス。スリザリンとグリフィンドールって、どういう場所なの?」
「……ここで説明すると難しいことになる」
セブルスと呼ばれた少年は田舎の魔女の息子であった。そして彼でも、通路側にいる三人の家名はどこかで見たような覚えがあった。彼は大切なリリーを守るためであれば彼らを敵に回して杖を振るう覚悟があったが、少なくともデルフィーと呼ばれた少女はセブルスと似た考え方を持っているようだった。
「入る場所を決めるならレイヴンクローとハッフルパフもちゃんと候補に入れておいたほうがいいわよ、四択のところを二択に隠して出す悪い人は多いから」
そう言って、デルフィーニはコンパートメントの扉を閉じようとした。
「頭でっかちと甘ちゃんのいるような場所だろ」
「よく知っているわね、ミスター・ポッター。ホグワーツの四分の三を敵に回して勝てるほど強いという自信かしら? それともグリフィンドールらしい勇気というもの?」
そう言って去ったデルフィーニを見て、ジェームズは拗ねたように足を組んだ。その様子を見て、シリウスはにやっと笑っていた。
うーん完璧なコミュニケーションができたな……。さすが両親から英才教育を受けているだけある……。えっ彼女の目標が歪んでいるって? 何言ってるんですかRTAの目標にきちんと沿っているじゃないですか。
さて、改めて今回の実績プレイの話をしましょう。今まで全然RTAやってこなかったじゃないかとか言われそうですけどまあ落ち着いて。この実績はどういう形であれデルフィーニが魔法大臣となって、かつ政策条件を満たすとクリアになります。この時にデルフィーニがプレイヤーキャラクターである必要はありません。つまりもし運命の補正がない状態で試行を繰り返せば、そういう歴史になる可能性は十分にあるわけです。
ただ、大抵の場合はそうではないからこそ条件とかイベントルートとかを踏むか、あるいは新しい可能性を開拓する必要があったわけです。そのためのコストがそれなりに重かった。なので逆転の発想としてデルフィーニを産む側になって、彼女が自発的に大臣となって法改正とかをするように仕向ければいいわけです。完璧な作戦でしょう。
そのためには彼女に政治の道に進んでもらう必要があります。それも大臣を目指す強い理由が欲しい。大臣にしかできないことを誰かが作ってくれればいいんだがなぁ。すなわち何らかの権威とか決定とかを大臣のみができるような制度にイギリス魔法界を組み替えることができるほどの老獪で、しかしそれを自分の権力拡大のために実行するわけではないような人物が大臣にならなければなりません。
そう、アルバス・ダンブルドアを大臣にしたのはこのためだったのです。トム君から言い出してくれたのは想定以上だったけれどもこれも成長ってことでいいですかね。
えっなんでデルフィーの周囲の様子がプレイアブルキャラクターがいないのにわかるのかって? どこかのストーカーが鞄に監視系の魔法仕込んでいてそれを
「で、どうしてこのセブルス君は不機嫌なんだね?」
監督生のバッジをつけたルシウス・マルフォイは、小声でデルフィーニに尋ねた。
「知り合いがグリフィンドール寮に行ってしまったようで」
「そんなことじゃない」
そう言って、彼はがつがつと食事をかきこんでいた。
「……そうか」
ルシウスはかわいい後輩に微笑んだ。
「で、ルシウス先輩。私がトム・リドルを倒してしまってもいいのですね?」
「もちろんだとも。私を含めて、君と同じ想いを持つ者は多い」
ルシウスの父、アブラクサス・マルフォイは今のイギリス魔法界において重要な地位を占めていた。ダンブルドアの軍門に下ったアークタルス・ブラックとは疎遠になったこともあり、様々な業界から頼られるようになっていたのだ。
しかし、それは同時に裏切りと受け取られても仕方のない行為の結果でもあった。だからこそ、アブラクサスは息子のルシウスに自分とは違う形の人脈を作るように告げた。かつてトム・リドルが
その中で、トム・リドルという男を脅威に思う学生は少なくなかった。婚約者を彼に取られたと嘯くロドルファス・レストレンジとルシウスは友人であったが、彼以外にも純粋に闇の魔術で彼を上回りたいであるとか、一族の敵を取るであるとか、そういう形でトム・リドルを敵と見なす者は少なくなかった。
そんな彼らの中に、ある噂があった。トム・リドルには実は隠し子がいて、その少女がホグワーツに来る、と。もちろん裏の事情をだいたい知っていたルシウスにとってそれはただの事実だったのだが、それをわざわざ言いふらすほど彼も愚かではなかった。ただ、既に何度か家のパーティーで会っていた彼女から、デルフィーニの持つトム・リドルへの執念のようなものは感じ取っていた。
「よかったです。この学年で私が一番闇の魔術に詳しいでしょうから」
デルフィーニがそう言ってからの攻防は、ほぼ一瞬だった。決闘の心得があるルシウスですら、一年生がここまで見事にできるものなのかと感心したほどだった。
まず、セブルスが杖を抜いた。それに合わせてデルフィーニも杖を抜き、セブルスが無言で放った呪文を無言で弾き返した。簡易とはいえ無言の防御呪文をこれほどまでに淀みなく、とルシウスが感心する間もなく、返すようにデルフィーニが杖を向けてまた無言の魔法を放ち、セブルスはそれをとっさにひっくり返した皿で受け止めた。
「「
そして落ちようとした食事は、二人の唱えた呪文によって床に触れる前に止まった。この世代は恐ろしいぞ、とルシウスは感じてかすかに引きつった笑みを浮かべた。
「何かあったのかね、ルシウス」
声がして振り返った彼らの後ろに立っていたのは、闇の魔術に対する防衛術教授であるトム・リドルだった。
「いえ、何も」
ルシウスはとっさに言った。二人に恩を売る、という意識を持てるほどの余裕はなかったが、それでも友人をかばうことは彼にとって大切な美徳であった。
「そうか。二人とも、もし次にふさわしくない杖の使い方があれば、スリザリンから減点だ。監督生の責任も問われるだろう」
そう言って去っていくリドル教授に、三人は息を吐いて、その後小さく吹き出した。
なんでこいつらちょっとした喧嘩で杖を抜くんだろうな。まあこういうわけでデルフィーニさんにお友達ができました。やったね。闇の魔術オタクですよ。ただまあネグレクト環境で育っているので仲良くなるのは少し難しいかもしれない。母親仕込みの愛で彼も救ってやってくれ。
あ、組分けではデルフィーニさんはスリザリンになりました。野心のために手段を選ばないところが評価してもらえたんですかね。あるいは両親の遺伝か。どちらにせよ、マローダーズとは対立することになるでしょう。よく考えなくてもこの世代は大物揃いなんだよな。普通は
というわけでパパに認めてもらいたいデルフィーニちゃんの学園生活編が始まります。えっお母さんの方? ダンブルドア大臣が碌に仕事をしないので裏方としてクラウチさんと一緒に頑張ってお仕事するんですよ。