インフィニット・ストラトス 〜愛のシナリオ〜   作:ぬっく~

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第十八話 乱入者

――クラス代表戦当日。

 

アリーナは、熱気に包まれていた。

 

「第一試合――一組代表、織斑一夏!」

「対するは――二組代表、凰鈴音!」

 

歓声。

 

視線。

 

すべてが集まる。

 

「……鈴とかよ」

 

一夏が苦笑する。

 

「何よ、不満?」

 

鈴が構える。

 

その表情は――真剣そのもの。

 

「全力で来なさいよ、一夏」

 

「言われなくても」

 

白式が展開される。

 

同時に。

 

鈴の専用機も展開される。

 

「――始め!」

 

開始の合図。

 

次の瞬間。

 

「はあっ!」

 

鈴が一気に距離を詰める。

 

速い。

 

迷いがない。

 

「っ!」

 

一夏が迎撃する。

 

金属音。

 

衝突。

 

「……やるじゃない!」

 

鈴が笑う。

 

「そっちこそな!」

 

打ち合い。

 

読み合い。

 

互いに一歩も引かない。

 

だが。

 

(……読まれてる?)

 

違和感。

 

一夏の動きに対して、鈴の反応が早すぎる。

 

「そこ!」

 

攻撃が、的確に差し込まれる。

 

「ぐっ……!」

 

弾かれる。

 

距離を取る。

 

「シックスセンスってやつよ」

 

鈴が得意げに言う。

 

「なんとなく分かるの」

 

「なんとなくでそれかよ……!」

 

舌打ち。

 

押されている。

 

確実に。

 

(指輪は……)

 

ちらりと、右手を見る。

 

だが。

 

――何も起きない。

 

沈黙。

 

(……反応、なしか)

 

妙な安心と、不安が混ざる。

 

「どうしたのよ!」

 

鈴が踏み込む。

 

「余裕なくなってきたんじゃない!?」

 

「……っ」

 

連撃。

 

防戦一方。

 

(このままじゃ押し切られる……!)

 

その時。

 

鈴の動きが、ほんの一瞬――甘くなる。

 

(今だ……!)

 

一夏の目が変わる。

 

「……もらった!」

 

一気に踏み込む。

 

セシリアから叩き込まれた技術。

 

――瞬時加速。

 

一瞬で、視界から消える。

 

「なっ――!?」

 

鈴の背後へ。

 

完全に死角。

 

「終わりだ!」

 

雪片二型を振りかぶる。

 

その一撃が――

 

決まるはずだった。

 

――その瞬間。

 

「――警告! 防御シールドに異常発生!」

 

場内に、警報が鳴り響く。

 

「なに!?」

 

観客席がざわつく。

 

「おい、あれ……!」

 

空。

 

アリーナ上空。

 

防御シールドが――

 

「――割れた?」

 

ひび割れ。

 

そして。

 

破砕。

 

「――っ!?」

 

次の瞬間。

 

何かが、落ちてくる。

 

高速で。

 

轟音と共に。

 

――ドンッ!!

 

アリーナ中央に叩きつけられる。

 

衝撃。

 

土煙。

 

試合は、強制的に中断された。

 

「……なんだ、あれ」

 

一夏が呟く。

 

煙の中。

 

ゆっくりと――

 

それは立ち上がる。

 

「……IS?」

 

鈴が警戒する。

 

だが。

 

「……違う」

 

一夏の直感が告げる。

 

異質。

 

明らかに、何かが違う。

 

現れたのは――

 

全身を装甲で覆われたIS。

 

顔も、機体も。

 

一切の識別情報がない。

 

無機質。

 

不気味なほどに。

 

「識別コード、なし……?」

 

管制の声が震える。

 

「そんな……あり得ない……!」

 

「おい、聞こえてるか!」

 

一夏が叫ぶ。

 

「ここは試合中だ! 所属を――」

 

反応はない。

 

微動だにしない。

 

「……」

 

沈黙。

 

だが。

 

次の瞬間。

 

「――っ!?」

 

空気が変わる。

 

殺気。

 

明確な。

 

敵意。

 

「来るわよ!」

 

鈴が叫ぶ。

 

同時に。

 

そのISが――

 

一夏へと、踏み込んだ。

 

「なっ――!?」

 

速い。

 

異常な加速。

 

「くっ!」

 

受ける。

 

だが。

 

「――重っ!?」

 

衝撃が違う。

 

純粋な質量と出力。

 

押し切られる。

 

「何なのよ、コイツ!」

 

鈴も動く。

 

援護に入る。

 

だが。

 

「っ!」

 

攻撃が通らない。

 

装甲が、硬すぎる。

 

「反応がない……?」

 

セシリアの声が管制から入る。

 

「完全に無人……いえ、それ以上に――」

 

言葉が途切れる。

 

「――戦闘しかしていませんわ」

 

機械的な動き。

 

感情のない攻撃。

 

ただ。

 

破壊するためだけに動いている。

 

「……くそっ!」

 

一夏が構える。

 

試合は終わった。

 

これは――

 

戦闘だ。

 

そして。

 

その異常事態を。

 

遠くから見ている者がいた。

 

「……来たんだ」

 

静かな声。

 

流星一花。

 

その目は――

 

わずかに細められていた。

 

「予定より、少し早いけど」

 

微笑む。

 

だが。

 

その瞳は――

 

まったく笑っていなかった。

 

物語は。

 

次の段階へ、踏み込んだ。

 

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