インフィニット・ストラトス 〜愛のシナリオ〜   作:ぬっく~

24 / 35
第ニ十三話 それぞれの答え

――夕方。

 

食堂。

 

いつもより、人は少ない。

 

だが。

 

一角だけ、空気が違った。

 

「……」

 

沈黙。

 

テーブルを囲む三人。

 

篠ノ之箒。

 

セシリア・オルコット。

 

凰鈴音。

 

誰も、すぐには口を開かない。

 

「……で?」

 

最初に沈黙を破ったのは、鈴だった。

 

「どう思った?」

 

ストレートな問い。

 

「……」

 

箒が目を伏せる。

 

「……理解不能だ」

 

短く、吐き出す。

 

「だが、一つだけ確かなことがある」

 

顔を上げる。

 

「流星一花は――危険だ」

 

はっきりと断言する。

 

「……同意見ですわ」

 

セシリアも静かに頷く。

 

「戦闘技術の範疇ではありません」

 

思い出す。

 

あの瞬間。

 

「空間を……裂いた」

 

言葉にするだけで、違和感が残る。

 

「ISの性能では説明がつきません」

 

「でしょ?」

 

鈴が肩をすくめる。

 

「アタシもそう思う」

 

そして。

 

少しだけ表情が変わる。

 

「……でもさ」

 

視線を落とす。

 

「怖いってだけじゃないのよ、あれ」

 

「……何?」

 

箒が問う。

 

「アイツ」

 

鈴が言う。

 

「一夏のために、やってる」

 

その一言。

 

「……っ」

 

空気が、変わる。

 

「……それは……」

 

箒が言葉を詰まらせる。

 

「分かっている」

 

セシリアが静かに言う。

 

「だからこそ厄介ですの」

 

「そう」

 

鈴が頷く。

 

「止める理由が、正しいから」

 

「……」

 

沈黙。

 

「……だが」

 

箒が拳を握る。

 

「それで許されるわけではない」

 

強い声。

 

「一夏をあそこまで追い詰めたのも、あの力だ」

 

「……っ」

 

鈴が目を細める。

 

「確かにね」

 

一夏の姿を思い出す。

 

痣。

 

苦しそうな呼吸。

 

「……あれ、普通じゃなかった」

 

「ええ」

 

セシリアも頷く。

 

「明らかに負荷がかかっていましたわ」

 

「……なら」

 

箒が言う。

 

「尚更、放置はできん」

 

まっすぐな視線。

 

「流星一花は、一夏を守る存在でありながら――」

 

一拍置く。

 

「壊す可能性もある」

 

断言。

 

「……」

 

鈴が息を吐く。

 

「ほんと、めんどくさい関係ね」

 

だが。

 

その目は、真剣だ。

 

「でもさ」

 

ニヤリと笑う。

 

「だからこそ、放っておけないんでしょ?」

 

「……当然だ」

 

箒が即答する。

 

「……ええ」

 

セシリアも微笑む。

 

わずかに。

 

だが、確かな意思。

 

「織斑一夏は、クラス代表ですもの」

 

「それだけじゃないでしょ」

 

鈴がツッコむ。

 

「……」

 

二人が、わずかに視線を逸らす。

 

「……ふーん」

 

鈴が楽しそうに笑う。

 

「いいじゃん」

 

そして。

 

前に身を乗り出す。

 

「なら、決まりね」

 

「……何がだ」

 

箒が問う。

 

「対抗するってことよ」

 

きっぱりと。

 

「流星一花に」

 

その言葉に。

 

一瞬の静寂。

 

だが。

 

「……ああ」

 

箒が頷く。

 

「負けるつもりはない」

 

「当然ですわ」

 

セシリアも応じる。

 

「誰であろうと」

 

「へぇ」

 

鈴が笑う。

 

「やる気じゃん」

 

そして。

 

三人の視線が、交わる。

 

敵ではない。

 

だが、仲間でもない。

 

それでも。

 

「――あいつは渡さない」

 

誰かが、心の中で呟いた。

 

同じ言葉を。

 

同時に。

 

静かな火花が。

 

新たに散り始めていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。