インフィニット・ストラトス 〜愛のシナリオ〜   作:ぬっく~

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第八話 例外の資格

教室。

 

いつもより張り詰めた空気の中、千冬の声が響いた。

 

「本日は、クラス代表を決定する」

 

ざわめきが広がる。

 

「本来なら一年での選出は行わない」

 

その言葉に、誰もが頷く。

 

だが――

 

「今回は例外だ」

 

空気が変わる。

 

理由は、言われるまでもなかった。

 

視線が、一斉に一人へ向く。

 

「……また俺かよ」

 

織斑一夏。

 

ISを起動させた“例外”。

 

「推薦制とする。異論のある者は挙手しろ」

 

静寂。

 

その中で――

 

「……はい」

 

小さな声。

 

一人の女子生徒が手を挙げた。

 

「織斑くんが、いいと思います」

 

それをきっかけに。

 

ぽつり、ぽつりと手が上がる。

 

「起動させたのは事実ですし……」

「適性はあるんじゃ……」

 

確証はない。

 

だが、期待がある。

 

「……」

 

一夏は、何も言わない。

 

ただ、その視線を受け止める。

 

やがて。

 

「他に推薦は?」

 

千冬の問い。

 

その瞬間――

 

「お待ちなさい」

 

凛とした声が響いた。

 

教室の空気が張り詰める。

 

立ち上がったのは、セシリア・オルコット。

 

金の髪を揺らし、優雅に一歩前へ出る。

 

「その決定には、賛同できませんわ」

 

はっきりと言い切る。

 

「彼はまだ何も証明していない」

「それにも関わらず代表に選ばれるなど、公平性を欠いています」

 

正論だった。

 

教室が静まる。

 

「……続けろ」

 

千冬が促す。

 

「では、提案いたします」

 

セシリアは視線を一夏へ向ける。

 

「実力で決めましょう」

 

空気が張り詰める。

 

「ISを用いた模擬戦」

「それにより、代表の座を決定することを提案します」

 

一瞬の沈黙。

 

そして――

 

ざわめきが爆発した。

 

「一年で!?」

「ありえない……!」

 

当然だ。

 

本来、一年にISの実戦使用は許可されていない。

 

だが。

 

「……いいだろう」

 

千冬の一言で、すべてが止まる。

 

「ただし、特例だ」

 

鋭い視線が二人に向けられる。

 

「両者とも“例外”として扱う」

「安全制御を最大までかけた上での模擬戦とする」

 

その言葉の重みは、誰もが理解した。

 

「異論は?」

 

「ありませんわ」

 

セシリアが即答する。

 

迷いはない。

 

「……やる」

 

一夏も短く答えた。

 

逃げない。

 

それだけは決めている。

 

「よし」

 

千冬が頷く。

 

「試合は明日、アリーナで行う」

 

決定だった。

 

そして――

 

「もう一点」

 

千冬が続ける。

 

教室が静まり返る。

 

「織斑一夏」

 

「……はい」

 

「お前には、専用機を支給する」

 

――一瞬、誰も言葉を発せなかった。

 

「……え?」

 

理解が追いつかない。

 

だが次の瞬間。

 

「お待ちなさい!!」

 

セシリアの声が響く。

 

その表情には、明確な怒りがあった。

 

「専用機は、代表候補生にのみ与えられるものですわ!」

 

教室中が頷く。

 

それは常識だった。

 

「それを、彼に……?」

 

鋭い視線が千冬に向けられる。

 

「説明を求めます」

 

張り詰めた空気。

 

その中で。

 

千冬は、静かに口を開いた。

 

「織斑一夏は――」

 

一拍、間を置く。

 

「今回の件をもって、“代表候補生に準ずる存在”とする」

 

「――っ!」

 

教室がざわめく。

 

セシリアの表情が歪む。

 

「ふざけていますわね……!」

 

抑えきれない感情。

 

「そのような前例――!」

 

「ないな」

 

千冬が即答する。

 

「だからこそ“例外”だ」

 

完全に断ち切る言葉。

 

「……」

 

セシリアは言葉を失う。

 

だが。

 

ゆっくりと息を吐き――

 

「……いいでしょう」

 

顔を上げる。

 

その目には、決意が宿っていた。

 

「ならば、証明していただきます」

 

視線が一夏へ向く。

 

「その“例外”が、本物であるかどうか」

 

挑戦状だった。

 

「……ああ」

 

一夏は、真正面から受ける。

 

「証明してやる」

 

静かに言い返す。

 

もう、迷いはない。

 

「楽しみにしていますわ」

 

セシリアが微笑む。

 

だが、その目は鋭い。

 

完全な敵意。

 

そして――

 

物語は、次の段階へ進む。

 

例外同士の衝突。

 

その幕が、今上がろうとしていた。

 

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