空を駆け 影に潜みて 敵解つ   作:エルンストレーム総統

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何か思いついたので、見切り発車で書きます。
進撃の巨人、呪術廻戦共に、アニメしか見てません。なので、設定や展開などに不備があるかもしれませんが、大目に見てくださると幸いです。

では、第1話をご覧あれ


第1話 生まれ

 

絶望に満ちた表情の人たちが、列を作って歩いていく。背の曲がった老人、痩せ細った男、若い女性が、処刑台に向かう囚人のように、足枷を着けたように、重い足取りで歩いていく。ボロボロの服、片足しかない靴など、地獄から逃げてきた避難民そのものと言える格好の人が殆どだ。その列は幾つも連なり、群れを形成している。

だが、そこに漂う空気は澱み、下水を彷彿とさせるほど濁っている。

 

 

「人類の反撃を開始する!ウォールマリアを奪還するのだ!」

 

 

列の先頭にいる、制服を纏って騎乗した兵士が叫ぶ。ブレードを高く上げ、声を張り上げ、只管に鼓舞する。だが、兵士の視線には、俯き、震え、死相が濃く表れた、哀れな死刑囚のように佇む者たちばかり。

 

 

「……嫌だ……嫌だ……」

 

 

「……ぐすっ……」

 

 

自分で自分を抱きしめ、小さな声で同じことを囁き続ける人や、ただ泣き続ける人が、次第に多くなっていく。

 

 

「……こりゃ、ひどいもんだな」

 

 

列から少し離れた場所で、木箱に座る少年が呟いた。絶望に塗れた民衆を、緑色の目が映し出している。服はボロボロで、体も薄汚れている。豊かではないことは明らかで、見た目からは貧しさが滲み出ている。だが、民衆とは違い、その目には、確かな「強さ」が伺える。

彼は、これから死地に向かう民衆に対して憐れみを抱いてはいない。ただ、そこに漂う空気を見ている。

 

 

(呪霊が出ないだけマシか。25万人の絶望と恐怖が集まっても、一匹たりとも出てこない)

 

 

視線を、民衆から群れ全体へと移す。負の感情を強く感じながらも、異形の存在は無い。

彼は、そのことに安堵しながらも、深く失望する。

 

 

(巨人だけでなく、呪霊まで出てこられたら対処できなくなる。だが、呪霊がいないとなると、術式の相手が無くなる。黒閃や反転術式、領域展開まで会得するには、戦闘が必須だ)

 

 

彼は列から目を外す。その視界には、高さ50メートルほどの巨大な壁があった。

 

 

(戦闘か……。調査兵団に入り、巨人を相手にするだけで強くなれるだろうか?そもそも、『地獄』で俺は生き残れるのか?)

 

 

深い思考の海に浸りながら彼は立ち上がり、その場から離れていく。その途中、金髪の男の子が、帽子を深く深く頭に被って涙を堪える姿が視界に映る。

 

 

(……いや、調査兵団しかない。このまま生きていても、何時かは『地獄』がやって来る。それに、この世界で俺が生まれた意味も、『そこ』にあるのかもしれない)

 

 

ポケットに突っ込んだ手を、彼は強く握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

832年 ウォールマリア内の山奥

 

 

(ここは……)

 

 

彼は、気付いたら「ここ」にいた。何故かは分からない。どうやったのかも分からない。だが、「ここにいる」という事実は、確かに分かった。

 

 

「カイが目を覚ましたよ」

 

 

「ふふっ。かわいい」

 

 

薄っすらと開いていく視界。男性の顔が、直ぐ目の前にあった。彫りが深く、緑色の目をしている。

少しばかり動く顔を横に流せば、女性の顔が見える。綺麗な金髪で、緑色の目。2人とも、彼を見つめて微笑みを浮かべている。

 

 

「ああぅ」

 

 

「何か言ってる」

 

 

「何だろうか」

 

 

(意味がわからない。誰だ?何処だ?)

 

 

彼の脳内では、疑問がグルグルと廻っている。だが、疑問は一切解決しない。答えを出そうと、視線を彼方此方へ向ける。

 

 

(木造の家だ。硝子もある。けど、電子機器の類は見当たらない。テレビもクーラーも、何もかも。それに、『カイ』って何だ?俺のことか?)

 

 

未だ解けない謎を考えている内に、眠気が襲ってきた。瞼が次第に落ちていく。

 

 

(……日本じゃ、無いのか?……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その通り。日本ではなかった。836年、4歳の誕生日を迎えて数日後、カイは家の近くにある畑で作物を見ていた。

 

 

(最悪だな。まさか『進撃の巨人』の世界だとは……)

 

 

脳内にある、巨人の群れが「世界を平らに鳴らしていく光景」を思い浮かべる。そして、装置を着け、ブレードを持った兵士が巨人の周囲を飛び回り、無惨に食い殺される場面を想起する。

 

 

(父さんと母さんの会話から、今は836年ということが分かった。「地鳴らし」まで、まだ時間はある。けど、それを知っているからって何になる?)

 

 

作物の葉っぱに、虫が止まっている。

 

 

(「あの歴史」は、「あの歴史」である必要がある。未来のエレンが「始祖」を通じて過去に干渉し、それによって紡がれる必要がある。その「道」をぶった斬って、結局何になるだろう)

 

 

彼は、葉っぱに止まる虫を手で追い払う。虫は素直に飛んでいかず、何処かに行ったかと思えば再び葉っぱに止まる。

 

 

(そもそも、生き残れるかどうか怪しい。幸い、ここまで病気に罹ることは無かった。845年の「あの日」まで生き残ったとして、その後はどうする?兵士になるのか?)

 

 

思考はグルグルと廻る。虫が葉っぱに止まったとしても、カイは気にしなかった。気にすることができなかった。

 

 

「カイ〜!ご飯にするよ!」

 

 

母親の声が聞こえてきた。家の扉を開けて、カイに向かって叫んでいる。

 

 

「分かった!今行く!」

 

 

母親に聞こえるよう、カイは大きな声で返事をする。思考を中断して、虫を追い払い、畑を後にして家へ向かう。

 

 

(まあ、後で考えるか。母さんと父さんに迷惑をかけず、取り敢えず生き残る。それが目標で良いだろ)

 

 

未来は『地獄』になることが確定しているという事実を、カイは知っている。だが、少なくとも「今」は『地獄』では無かった。愛情を注ぐ両親の元で、ゆったりと過ごすことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カイ……逃げて……」

 

 

「全く、ヒヤヒヤさせやがって」

 

 

この世界は『地獄』である。それは、ミカサの境遇を思い出せば分かることだった。この世界は残酷である。生きるために他を喰らい、他から奪い、そうやって生きていくのが当然だった。それは、虫や、植物だけでなく、人間も同じだった。

 

 

「母さん……父さん……」

 

 

瞳孔が開き、カイに向かって手を伸ばしながら、血に塗れて床に倒れ伏す母親。扉の近くで横になっている、腹から血を流し続ける父親。

そして、ゴミを見るような目で二人を眺める、"二体"の盗賊。

 

 

「おい、そいつは殺すなよ」

 

 

「分かってるって」

 

 

盗賊の一人が、カイに向かって顎をしゃくる。もう一人は、真っ赤に染まった斧を持ちながら、カイへと歩み寄る。

 

 

「確かに、この顔なら売れるな」

 

 

「だろ?街で見かけた時、ビビッと来たんだよ。地下街で売りゃ、カッコイイ男を壊すのが趣味な、イカした方が殺到するだろうさ」

 

 

下衆な笑みを浮かべながら、盗賊はカイの近くで止まる。そして、彼の髪を乱暴に掴み上げた。

 

 

(……『世界は残酷だから』……)

 

 

両親の死体を目に焼き付けながら、カイは一つの言葉を脳内で反芻する。そして、右の掌を、カイを掴み上げる盗賊の腹へ静かに押し付けた。身体を持ち上げられているため、彼の胸は盗賊のヘソ辺りにある。

 

 

「何だ、ガキ?手なんか押し付けんじゃ……」

 

 

カイを持ち上げる盗賊が怪訝な表情を浮かべ、カイに向かって睨みつけた時、彼は呟く。

 

 

「『解』」

 

 

盗賊の身体は、彼が掌を押し付けた場所を起点にして、横に真っ二つとなった。上半身は、そのまま重力に従って床に落ちた。

 

 

「なっ……!?」

 

 

残る盗賊は、真っ二つになった仲間を見て驚き、そしてカイに「化け物」を見るような視線を向ける。

盗賊から解放されたカイは、静かに床へと足をつけ、死体となった盗賊へと視線を落とす。

 

 

「何をしやがった!?何を……!?」

 

 

カイは、叫ぶ盗賊へと目を向ける。カイの緑色に光る瞳は、盗賊には「真っ黒な瞳」に見えていた。

 

 

(『御厨子』か……。奴に頭を掴まれた瞬間、何かを感じた。そして、「出来る」と思った時には、もう体が動いていたな……)

 

 

盗賊を見ながらカイは、先ほどを回想する。自らが知覚した術式の片方、『御厨子』のことを。そして、その術式で盗賊を、人を殺したことを。

 

 

「ば、化け物めっ!」

 

 

血で赤く染まった室内で、盗賊はカイに向かって一つ叫ぶと、扉に向かって走り出した。その声は、少し裏返っていた。

たった4歳の子供が、大の大人を真っ二つにして殺した。武器も使わず、一言声に発しただけで。逃げる盗賊の頭には、疑問が浮かんでいた。しかしそれ以上に、分からないことへの恐怖が盗賊を襲っていた。

 

 

「……逃げるのか」

 

 

扉まで歩いたカイは、逃げる盗賊の背中を見つめていた。そしてカイと盗賊には、10メートル程度の距離があることに気付く。

 

 

(『解』は……当たらないだろうな。なら……)

 

 

ゆっくりと、両手を上げて、一つの形を作る。そして、小さく呟いた。

 

 

「玉犬」

 

 

地面から、2匹の犬が現れた。黒と白の犬だ。呼び出された2匹の犬は、逃げる盗賊を睨みつけている。

 

 

「玉犬、やれ」

 

 

カイが命令すると、2匹はサッと駆け出した。逃げる盗賊は、大の大人であり男性である。そして、追っ手から逃げるためにも、身体は鍛えてある。だが、所詮は人と獣である。玉犬は瞬く間に盗賊へと追い付き、その足へ同時に喰らいついた。

 

 

「あ゛あ゛!」

 

 

両足を玉犬に噛まれた盗賊は叫び声をあげると、地面へと倒れ込む。二匹は盗賊の足を食い千切ると、咀嚼して飲み込み、また次の肉を喰い始めた。

 

 

「止めろ!たす、助けてくれ!?誰か!」

 

 

大声で盗賊は叫び出す。その間にも、玉犬がバクバクと盗賊を食い続けている。ここは山奥だ。商人が通る道も無い山奥。鬱蒼と茂る森で囲まれた山奥。

 

 

(助けに来る奴は、一人もいねぇよ、馬鹿が)

 

 

黒色の玉犬が盗賊の喉元に食い付き、そのまま肉を引き千切った。静かに歩いてきたカイは、物言わぬ骸となった盗賊を、ゴミを見る目で見下ろしていた。

 

 




こんなんで良いんですかね?どう書いたら良いか、サッパリ分からん。
御厨子と十種は、個人的に好みで選びました。投射呪法、呪霊操術、無為転変、フィジギフなんかも選択肢にあったんですが、やっぱこの二つだろうと。

本格的に原作介入を開始するのはどのタイミングが良いと思います?アンケートは、今回含めて3回ほど実施します。2回目は、第一回のアンケートにおける上位1位から10位で投票。第3回は、第2回の上位1位から3位で決選投票です。介入時期を作者に委ねる場合、(19)と(20)に投票してください

  • ①57回壁外調査 女型を先制攻撃
  • ②57回壁外調査 女型によるカイ先制攻撃
  • ③57回壁外調査 リヴァイ班と共闘
  • ④ストヘス区 女型本体を生身で拘束成功
  • ⑤ウトガルド城 ユミル巨人化と共に大暴れ
  • ⑥ローゼ壁上 鎧と超大型に瀕死
  • ⑦エレン奪還作戦 ユミルは未定
  • ⑧王政編 リヴァイと共にケニー戦
  • ⑨王政編 礼拝堂で大暴れ
  • ⑩王政編 地上のロッド巨人を細切れ
  • ⑪王政編 反転術式でケニーを治癒
  • ⑫マリア 区内で鎧、超大型と交戦
  • ⑬マリア 区外で獣と交戦するだけ
  • ⑭マリア 特攻時、領域展開
  • ⑮マリア エルヴィンやアルミンを反転治癒
  • ⑯グリシャの手記と共に、呪術公開
  • ⑰イェレナの思惑阻止
  • ⑱マーレ襲撃で大暴れ
  • ⑲黒閃と反転術式を、①から⑥の間で会得
  • ⑳領域展開を①から⑪の間に会得
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