空を駆け 影に潜みて 敵解つ   作:エルンストレーム総統

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第15話 調査兵団

 

 

 

トロスト区内に進入した巨人の掃討および遺体の回収を完了し、エレンの身柄を決定する兵法会議が開かれた後、調査兵の一人がカイのもとを訪れた。

 

 

「カイ・シュナイダー訓練兵だな」

 

 

「はい。そうですが……」

 

 

「調査兵団団長、エルヴィン・スミスから伝言を預かっている。『明日の12時、トロスト区兵団支部で待っている』とのことだ」

 

 

「団長が……?承知しました」

 

 

調査兵の去っていく姿を眺めて、荷物を用意しながらエルヴィンの目的を考える。

特段彼との交流も無い上、何か情報を流した訳でもない。奪還作戦では呪力残量の関係で術式を使用してもいない。

 

 

(何の目的が?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トロスト区付近にある、調査兵団支部の一室。カイを出迎えたのは、調査兵団の団長であるエルヴィン・スミス、リヴァイ兵士長、ハンジ・ゾエ、ミケ・ザカリアスなどの幹部たち。

部屋へ入った瞬間に見えたのは、変な持ち方で紅茶を飲んでいるリヴァイ、エルヴィンの後ろで窓の外をジッと眺めるミケ、肘を付きながらカイを神妙な面持ちで見るハンジ、そして、穏やかな笑みを浮かべながらカイを見つめる団長の姿だった。

 

 

「率直に言えば、調査兵団への勧誘だ」

 

 

(勧誘……?)

 

 

エルヴィンが口を開き、召喚した目的を伝える。

カイは、彼から伝えられた目的に関しては予想していなかった。

 

 

「勧誘……ですか。光栄ではありますが、なぜ『私』に?」

 

 

「至極単純な話だ。一つ、聞いた話では、巨人を30体近く討伐していること。複数人で巨人と交戦していたとはいえ、戦闘は君が先頭に立ち、班員には索敵や陽動を担当させていたという。二つ、君が調査兵団志望だということ。壁外では『巨人と戦闘しないこと』が重要とは言っても、調査兵団は戦闘能力のある兵士を常に求めている」

 

 

「……なるほど」

 

 

「個人でブイブイ言わせるかと思いきや、意外なことに組織行動も出来るようだしねえ」

 

 

エルヴィンとの会話に、ハンジも混ざってきた。

ハンジは、その表情を変えることなく、期待の籠もった眼差しをカイに向けている。

 

 

「先のトロスト区攻防戦では、地獄を見たと思う。しかし、それでも君が調査兵団を志望すると言うなら……」

 

 

エルヴィンは、言葉を濁す。だが、その先で言うことはわかりきっていた。

 

 

(まあ、30体近く倒しまくってる新兵なら、否が応でも引き入れたいよな)

 

 

「志望は、今でも変わりません」

 

 

カイは、端的に、だが強く答えた。

それ以上の言葉は不要だと理解していたからだ。

 

 

「……そうか。ありがとう」

 

 

エルヴィンがカイに感謝を伝える。

しかし、その様子を見ていたリヴァイは、カップを置き、その切れ長の目をカイへと向け、鋭く問う。

 

 

「入るのは良いが、何がしたい?」

 

 

「……したいこと、ですか?」

 

 

「そうだ。お前の調査兵団志望は、訓練兵団入団時から変わっていないようだ。あのガキもそうだったが。なら、何かしらの理由がある筈だ」

 

 

「エレンのことですか。……まあ、理由はありますよ」

 

 

地下街で生まれ育ったリヴァイは、諦観を多分に含んだ目を多く見てきた。

前へと進もうとする目、希望を持ち合わせた目、そういった『目』を、カイからも感じたのだ。

 

 

「強くなること」

 

 

故に、カイも一言だけで答えた。

 

 

「……そうか。死に急ぐ奴という訳でもなさそうだな」

 

 

「当然です」

 

 

「なら良い」

 

 

カップの口を持ち、紅茶を飲み始めたリヴァイは、カイから視線を外した。

 

 

「ところでさ」

 

 

二人の問答が終わったタイミングで、再びハンジが口を開いた。

 

 

「君は、どうやって巨人を倒したのかな?」

 

 

眉がピクリと独りでに動く。そして、カイの身体全体が僅かに強張る。

 

 

「おいクソメガネ。まさか、こいつを巨人の捕獲に使おうって訳じゃないだろうな」

 

 

「使わないよ!ただ、参考にするだけだよ。そう、参考に《opacity:20》ね《/opacity》」

 

 

「声が小せぇぞクソメガネ。そのニヤニヤしてる口も何とかしろ」

 

 

「ハンジ、既に巨人は2体捕らえた筈だ。それで良いだろう」

 

 

「えぇ!?でもさ、これから巨人を捕まえることがあるかもしれないじゃんか!」

 

 

(巨人ヲタクのハンジさんらしいな。巨人を大勢殺せる技量を持つ人間なら、巨人を捕獲できる可能性もあるだろうと踏んでの質問か……)

 

 

カイは、一寸考えた。これからの身の振り方、そして調査兵団内での戦闘、未来で起こること。

それらを考慮し、カイは、ここでの返答を導き出す。同時に『縛り』を結んで。

 

 

「倒した秘訣は、単純ですよ」

 

 

カイは、未だ無駄な抵抗をするハンジと、それを止める二人を前に、両手を交わらせた。そして術式に呪力を流す。

 

 

「ん?」

 

 

術式を発動させる、その僅かな間で、ミケは鼻を鳴らして何かを嗅ぎ取った。

ミケが窓から視線を外し、匂いの元へ視線を向ける。

エルヴィンたちも、妙な気配を感じて同じ方向を見た。

 

 

彼らは、ただ驚いた。

 

 

「呪術を使った迄です」

 

 

視線の先には、カイの足元から白い兎が絶えず出現する光景があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







さて、第15話にて「呪術の開示」を行った訳ですが、ここで本作は『中断』します。
アンケートの結果を反映させるため、『再スタート』という形にするつもりです。

でないと、ここから恋愛要素を入れようがありませんからね。


加えて、幾つか設定も見直します。大枠は変えませんが、進撃の原作知識とか「邪魔じゃね」と思ったので、そういうのを消します。
後、原作キャラクターとの描写もドガッと増やします。特に訓練兵団時代ですね。現在では描写が全く無いので、ザッと5倍とかに増やすつもりです。

という訳で、再スタートした『進撃の呪術師』第1話まで、お待ちください。第1話を公開した時は、こちらで「投稿報告」としてお知らせします
(既に展開は決定済みで、第1話の執筆に入っています。)

アンケート第2回です。見た感じ、半分程度の方が、「私に委任する」という立場のようで……。この様子だと、3回目は不必要ぽいかな?取り敢えず、また好きな所に投票してください。後、恋愛要素って要ります?「作者に展開は委任する」立場の方は、①と②に投票してください。原作の展開的に、ヒロインはユミルやクリスタになるかも。

  • 57回壁外調査 女型に先制攻撃
  • 57回壁外調査 リヴァイ班と共闘
  • ストヘス区 女型本体を生身で捕獲
  • ウトガルド城 ユミル巨人化と共に大暴れ
  • 王政編 リヴァイと共にケニー戦
  • 王政編 反転術式でケニーを治癒
  • マリア 区内で鎧と超大型と交戦
  • マリア エルヴィンとアルミンを反転治癒
  • グリシャの手記と共に呪術公開
  • マーレ襲撃で大暴れ
  • ①恋愛要素は必要
  • ②恋愛要素は不必要
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