空を駆け 影に潜みて 敵解つ   作:エルンストレーム総統

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第5話 入団式

 

「おい貴様!」

 

 

「はっ!」

 

 

「貴様は何者だ!」

 

 

「シガンシナ区出身、アルミン・アルレルトです!」

 

 

「そうか!馬鹿みてぇな名前だな!親が付けたのか!」

 

 

「祖父が付けてくれました!」

 

 

「アルレルト!貴様は何しにここに来た!」

 

 

「人類の勝利の、役に立つ為です!」

 

 

「それは素晴らしいな!貴様は巨人の餌になってもらおう!3列目、後ろを向け!」

 

 

大勢の訓練兵が列を成し、キースによる恫喝を次々に受けている。大声を出し、自らの名前と出身を答える。そして、キースが更に強く声を張り上げる。声を出せ、お前はクソだ、ゴミみたいな顔だ、と。そして訓練兵として来た目的を答えると、キースが否定する。何の役にも立たない、巨人に喰われるだけ、生きることすら儘ならない情けないガキだ、と。

その様子を、訓練兵団の紋章を付けた制服を着る二人が見ながら歩いている。

 

 

「やってるな。お前も訓練兵の時は、初っ端から『あれ』だったろう」

 

 

「懐かしいです」

 

 

教官から脅される訓練兵を見て、白髪の男性と若い男性の二人は微笑む。これから兵士となる卵であり、自らが育て上げる人材。その幼き雛たちが、兵士となるため必死に喰らいついている。

 

 

「違うぞ!貴様は豚小屋出身、家畜以下だ!」

 

 

「はっ!私は家畜以下であります!」

 

 

黒髪の女子が、教官から訳の分からないことを言われるも、それを肯定するため声を張り上げる。

 

 

「あの恫喝には何の意味が?」

 

 

「通過儀礼だ。それまでの自分を否定して、真っ新な状態から兵士に適した人材を育て上げる。そのために必要な過程だ」

 

 

訓練兵の恫喝が終わると、また別の訓練兵へ恫喝する。そして、また次へ。

だが、一部の訓練兵に対して教官は一瞥するだけでスルーして、別の訓練兵へと向かう。

その様子を見て、若い男性は疑問を投げかける。

 

 

「お?何も言われていない子がいるようですが」

 

 

「既に通過儀礼を終えたものには必要ない。恐らく、二年前の『地獄』を見てきた者たちだ。面構えが違う……。ん?」

 

 

「あの兵士……ヤバいですね」

 

 

「ああ、激ヤバという奴だな」

 

 

二人の視線の先には、カイがいた。整列休めのポーズで、前を見つめている。だが、体格や身長だけでなく、その眼差しと雰囲気が明らかに他とは異なる。

 

 

「アイツは逸材になるな。だが、あのような人材は、えてして協調性が無いことが多い。身体能力が高くても、集団行動が苦手で一人で突っ走り、巨人に喰われる。どうなるか見物だな。さ、行くぞ」

 

 

白髪の男性は期待の籠もった視線をカイへ向けると、若い男性を伴って去っていった。

だが、通過儀礼は未だ続く。訓練兵の試練は、終わっていない。

 

 

「貴様は何者だ!」

 

 

「トロスト区出身、ジャン・キルシュタインです!」

 

 

「何しにここに来た!」

 

 

「あっ……憲兵団に入って、内地で暮らすためです」

 

 

ジャンが恐る恐る本音を口にする。そして、エレンがジャンへと目線を向けた。

ジャンは額から汗を流し、瞳が揺れている。今までの教官なら、すぐさま声を張り上げて否定の言葉をぶつけてくる。しかし、今の教官は、黙ってジャンを見つめているだけ。

 

 

「そうか、貴様は内地に行きたいのか」

 

 

何処か嘲笑の混じった声で教官が言葉を発すると、漸く言葉が出てきたことに安堵してしまったジャンは、僅かに口角を上げて肯定してしまった。

その瞬間、教官は己の光る額をジャンの額へと思い切りぶつける。

 

 

「いっ……!」

 

 

頭突きをくらったジャンは、あまりの痛さに額を抱えて膝から崩れ落ちた。

 

 

「誰が座って良いと言った!こんなところでヘコたれるものが、憲兵団になど成れるものか!」

 

 

(やってるな……。アニメで見た通りの展開だ。けど、間近で見ると違うな。12歳と少しの子供には、かなりキツイだろ)

 

 

ジャンが頭突きをくらい、マルコが己の目的を吐く姿を黙って見ながら、カイは思う。

 

 

(さて、この後は『アレ』だな)

 

 

「次、貴様だ!貴様は何者だ!」

 

 

「コニー・スプリンガー!ウォールローゼ南区、ラガコ村出身です!」

 

 

「逆だ、コニー・スプリンガー……!最初に教えた筈だ。この敬礼は、公に心臓を捧げる決意を示すものだと……!貴様の心臓は右にあるのか……!」

 

 

(何で逆にするんだ。右手を胸、左手を背中に回せば良いんだが……まあ、コニーだから仕方ない。天才には、何か思惑があるんだろう)

 

 

カイは、頭を掴んだ手と腕力だけでコニーを持ち上げるキースの力に内心驚きながらも、そのまま視線をスライドさせる。そこには、退屈が覆る光景があった。

 

 

(そして『アレ』は何だ?何で『芋』を『今』食べる?教官が遠くにいる間でもなく、自分の番が終わった後でもなく、教官の視界に入る『この』タイミングで食べ出す……。激ヤバという奴だな。奇行種すら恐れ慄くぞ)

 

 

サクッ。この場には不似合いな、間抜けな音が辺りに響く。教官がそちらへ目を向けると、『彼女』が芋を食べていた。

 

 

(教官もクリスタもトーマスもポカーンとした顔になってる)

 

 

彼女の後列にいる訓練兵は、彼女を『変なモノ』を見る目で見たり、彼女から目を逸らして「私は無関係です」と言わんばかりの表情をしたり。そして当の彼女は、変わらず芋を食べている。

 

 

(サシャの後ろから見てても分かる。何故隠そうとしない?堂々とし過ぎだろ)

 

 

カイは、彼女と教官がコントのような問答をする姿を見ながら、原作と全く同じ展開が目の前で繰り広げられていることに、少し安堵した。

 

 

(成績上位には、ならない。『あの10人』は、『あの10人』でなくてはならない。なるべく手を抜き、協調性が無い行動を取る。調査兵団に入るには、成績上位である必要は無い)

 

 

サシャが『半分』の芋を教官に差し出す様子を眺めながら、これからの行動方針を決めた。

 

 

(兵士として動きながら、正体を隠し、密かに行動する。ライナーたちと同じだな。王政やエルヴィンに目を付けられると困る。それに、未来のエレンが何をしてくるか分からない。タイミングを図り、ここぞという時に明かすこととしよう。当面は、呪術を隠しながら呪術を磨くことに専念だな)

 

 

「サシャ・ブラウス。死ぬまで走れ!」

 

 

「なっ……」

 

 

「飯も抜きだ!」

 

 

「はがっ……!」

 

 

(『飯抜き』で、この世の終わりみたいな顔して崩れ落ちてる。アニメ見てて思ったが、サシャやっぱ面白いな)

 

 

 

 




皆さんは、原作登場キャラクターの中で誰が一番好きですか?
私は勿論、ダントツでサシャです。色気もへったくれも無いのに、何か好きなんですよね

本格的に原作介入を開始するのはどのタイミングが良いと思います?アンケートは、今回含めて3回ほど実施します。2回目は、第一回のアンケートにおける上位1位から10位で投票。第3回は、第2回の上位1位から3位で決選投票です。介入時期を作者に委ねる場合、(19)と(20)に投票してください

  • ①57回壁外調査 女型を先制攻撃
  • ②57回壁外調査 女型によるカイ先制攻撃
  • ③57回壁外調査 リヴァイ班と共闘
  • ④ストヘス区 女型本体を生身で拘束成功
  • ⑤ウトガルド城 ユミル巨人化と共に大暴れ
  • ⑥ローゼ壁上 鎧と超大型に瀕死
  • ⑦エレン奪還作戦 ユミルは未定
  • ⑧王政編 リヴァイと共にケニー戦
  • ⑨王政編 礼拝堂で大暴れ
  • ⑩王政編 地上のロッド巨人を細切れ
  • ⑪王政編 反転術式でケニーを治癒
  • ⑫マリア 区内で鎧、超大型と交戦
  • ⑬マリア 区外で獣と交戦するだけ
  • ⑭マリア 特攻時、領域展開
  • ⑮マリア エルヴィンやアルミンを反転治癒
  • ⑯グリシャの手記と共に、呪術公開
  • ⑰イェレナの思惑阻止
  • ⑱マーレ襲撃で大暴れ
  • ⑲黒閃と反転術式を、①から⑥の間で会得
  • ⑳領域展開を①から⑪の間に会得
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