本日最後のエピソード投稿です。
次回は明日投稿します。
基本、12時とか13時頃に公開しようと思います。
「あれは?」
アルミン、コニー、マルコ、ミーナと一緒にいるエレンが、坂を登る場所を見ながら呟く。
「脱落者よ。開拓地への移動を願ったの」
「そんな……まだ初日なのに……」
「仕方ないさ。力のない者は去るしかない」
ミーナの答えを聞いたアルミンは、驚きの籠もった声を発する。エレンは、哀れみのような、失望のようなものが混じった表情で馬車を見る。馬車の中には、俯いて一言も発さずに乗る複数人の姿が見えた。
「バカスカ死なれるよりは、精神的にマシだろ」
エレンたちに、彼らの会話を聞いていたカイが話しかけた。
ゆっくりと進む馬車に乗った脱落者を見ながら、彼らが立体機動の訓練中に頭を木で割られて血を流す姿や、雪山で凍死している姿で発見される様子を想像し、今のうちに去ってくれたほうがお互いのためになると、カイは思う。
訓練とはいえ、『兵士になるための』訓練だ。『防災』や『避難』の訓練とは次元が異なる。
「カイさん!」
「久しぶりですね!」
カイの姿を見たエレンとアルミンは、顔を綻ばせて彼を迎える。
「よお。2年ぶりだな。前にも言ったが、敬語は止めてくれ。15歳のガキに敬語は不要だ」
「……わかった。じゃあ、そうする」
「名前は、呼び捨てで良いよ」
「了解。俺のことも呼び捨てで良い」
三人が話をする様子を、コニーとマルコとミーナがポカーンとした表情で見つめる。知らない人が来たことへの驚きではなく、カイの体格と雰囲気に当てられたからである。
(デケェ……15で『ガキ』なら、12の俺たちは何だよ)
(僕と同じくらいだ……)
(筋肉ヤバ……)
呆けている三人に気付いたカイは、彼らへと向き直る。
「俺はカイ・シュナイダー……ああ、敬語は無しでいい。君たちは?」
「コニー・スプリンガーだ」
「マルコ・ボット。よろしくね」
「ミーナ・カロライナ。よろしく」
(原作キャラクターだ……。というか、何故か知らんが、今まで敬語を使われることが多いんだよな……。少し面倒だな)
三人の様子を見て、845年から847年の二年間を思い出す。開拓地で農作業に従事したり、体格を見出されて土木工事に励んだりしたが、年上にも関わらず敬語で話しかけることが殆どであった。
体格や身長ではなく、その雰囲気が年齢離れしていることが原因であった。
「しっかし、また石拾いや草むしりをやりたいなんてな……」
馬車へと振り返ったエレンは独りごつ。既に馬車は見えなくなっている。
「そう言えば、エレンとカイは出身とか聞かれなかったけど……」
エレンの呟きの後、マルコが二人に尋ねた。
エレンはアルミンの肩に手を置く。
「こいつと同じ、シガンシナ区だ」
「っ……」
エレンの答えに、コニーとマルコは目を開く。
そして、飄々としてカイも答えた。
「二人はシガンシナ区か。俺も同じだな。と言っても、シガンシナ区近くの山林に住んでいて、街の中には行ったことが無いが」
「えっ!」
「同じなのか!」
カイの出身を初めて聞いたアルミンとエレンは、カイが近くに住んでいた──近くと言えど、数キロは優に離れているが──ことを知って驚く。
「そうだったか……そりゃ……」
「てことはよ、その日もいたよな」
マルコは、三人がシガンシナ区に住んでいたことから、『あの日』どんな体験したのかを察して黙り込む。しかし、コニーはお構いなしだ。何故なら天才だから。
「なっ……お、おい……!」
「見たことあるのか!超大型巨人!」
「っ……あ、あぁ……」
コニーを止めようとするマルコだが、コニーは止まらない。コニーの質問に、エレンは肯定をもって答えた。
「だから、見たことはあるって……」
食事をしながらのエレンの答えに、彼を囲む数人がどよめく。囲んでいる人だけでなく、立ち止まって話を聞く者や、机に座りながら耳を傾ける者もおり、エレンの話を聞く人は多数いる。
「どれくらい大きいんだ?」
「壁から顔を出すぐらいだ」
「何!?俺は壁を跨いだと聞いたぞ!」
壁を跨ぐほどの大きさであれば、人類の一般的な比率を元とすると、超大型巨人の身長は最低でも110メートルはある計算だ。だが、それだけ巨大であれば、そのまま倒れ込むだけで壁は破壊されるだろう。そうではなく、開閉扉"だけ"壊されたことを考えれば、不自然な話であるということは落ち着いて考えると辿り着けることだ。
だが、100年保った平和が破られ、人類の2割と領土の三分の一を失ったことにより、その『落ち着いて』ができなくなっている。
「いや、そこまでデカくは無かった」
「どんな顔だったの?」
「……皮膚が殆ど無くて、口がデカかったな」
「ウォールマリアを破った鎧の巨人は?」
「そう呼ばれてるけど、俺の目には普通の巨人に見えたな」
カイは、エレンたちの会話を隣で聞きながら、横目でベルトルトとライナーを見ている。
(自分の話をされているのに、僅かな硬直や動揺が全く無い。『戦士』として育てられた賜物か……。それに、体格や身長も、壁内の人類と差がある。マルコやキース、サシャのような、比較的高身長と言える人はいる。けど、あの二人は、そういう遺伝的なものではなく、栄養バランスのある食事と継続的な運動によって獲得したものだろう)
「違うぞ!」
エレンは声を発し、パンを口で食い千切り咀嚼する。
「巨人なんてな、実際大したことねえ。……俺達が、立体機動装置を使いこなせるようになれば、あんなの敵じゃない」
引き攣った表情なのは確かだ。だが、己の内にある恐怖を振り払うため、自分に向かって言い聞かせるように強く言葉に出す。
その姿は、周りに何かを感じさせる。それは嘲笑かもしれないし、勇気かもしれない。
(この強さこそ、皆が前に進む契機を与える。エレンが勝手に前を進み、その後を皆が自然と付いて行く。恐らく、フロックはエレンの強さに当てられたんだろう)
「おいおい正気か?」
「ん?」
「今お前、『調査兵団に入る』って言ったのか?」
「ああそうだが……。お前は確か、『憲兵団に入って楽したい』んだっけ?」
隣のテーブルで肘をつき、エレンに向かって話しかけたジャン。エレンはジャンの表情と声音から、単なる疑問ではないことを察し、その顔を険しいものとする。
「俺は正直者なんでね。心底怯えながらも勇敢気取ってる奴よりは、よっぽど爽やかだと思うがな」
カイはジャンの表情を見ながら、原作と同じ流れを噛み締めている。
(反抗期真っ只中の年頃だ。自分とは違う何かを持ってるエレンへの嫉妬心か反発心か……。喧嘩を売るのは当然か)
「そりゃ俺のことか?」
「はっ……おいおい……」
ジャンからの売り文句を買ったエレンが立ち上がる。そしてジャンも立ち上がり、エレンに向かって歩いていく。エレンもジャンへと歩みよっていく。
「俺は別に……」
そして顔を見合わせて、すわ喧嘩かとなった時、鐘の音が響いてくる。
(さて、明日は立体機動の適性判断の試験がある。問題無いとは思うが、念の為早く寝よう)
鐘の音を聞き、エレンとジャンが手打ちにしている場面を見届けた後、食器を持って所定の場所まで運んだカイは、そそくさと寝所へと向かう。
勿論、この間にジャンはミカサに一目惚れし、失恋する。
そしてコニーは、ジャンから『人との信頼』を服に拭われる。
ジャン「人との……信頼だ……」
それを失うのは良いけど、何故コニーの服で拭った?
本格的に原作介入を開始するのはどのタイミングが良いと思います?アンケートは、今回含めて3回ほど実施します。2回目は、第一回のアンケートにおける上位1位から10位で投票。第3回は、第2回の上位1位から3位で決選投票です。介入時期を作者に委ねる場合、(19)と(20)に投票してください
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①57回壁外調査 女型を先制攻撃
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②57回壁外調査 女型によるカイ先制攻撃
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③57回壁外調査 リヴァイ班と共闘
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④ストヘス区 女型本体を生身で拘束成功
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⑤ウトガルド城 ユミル巨人化と共に大暴れ
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⑥ローゼ壁上 鎧と超大型に瀕死
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⑦エレン奪還作戦 ユミルは未定
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⑧王政編 リヴァイと共にケニー戦
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⑨王政編 礼拝堂で大暴れ
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⑩王政編 地上のロッド巨人を細切れ
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⑪王政編 反転術式でケニーを治癒
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⑫マリア 区内で鎧、超大型と交戦
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⑬マリア 区外で獣と交戦するだけ
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⑭マリア 特攻時、領域展開
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⑮マリア エルヴィンやアルミンを反転治癒
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⑯グリシャの手記と共に、呪術公開
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⑰イェレナの思惑阻止
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⑱マーレ襲撃で大暴れ
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⑲黒閃と反転術式を、①から⑥の間で会得
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⑳領域展開を①から⑪の間に会得