うたって☆メロディランド♪   作:あいライス

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第2話「ドキドキ☆初出勤」⑤

◇ことり・千砂都の楽屋

 

千砂都「絵里さん、かっこよかったな〜」キラキラ

 

ことり「クスッ…。 私はびっくりしたよ。絵里ちゃんが振付師になってたなんて、全然知らなかったから」

 

千砂都「えっ? 連絡とかしてなかったの?」

 

ことり「ううん、連絡はしてたよ。 絵里ちゃんが黙ってただけ」

 

 

また、ちょっとほっぺを膨らませることり。

 

 

ことり「多分ほかのみんなも知らないんじゃないかな? あとで教えよう。『内緒にしてて』って言われなかったし」

 

千砂都「あはは…。  私は推しに会えて、しかも、推しから直接ダンスを教えてもらえて嬉しかったよ!」

 

ことり「あはは…」

 

千砂都「あと、『μ’sって、やっぱりすごかったんだなぁ』って、改めて思ったよ」

 

ことり「…! ふふっ…、ありがとう。 でもね、私たちも最初は、右も左もわからないまま、スクールアイドルを始めたんだよ」

 

千砂都「え…? そうなの!?」

 

ことり「学校が廃校の危機になっちゃって、入学希望者をどうしたら増やせるかって考えてたとき、穂乃果ちゃんが『スクールアイドルを始めよう』って言ってくれたの」

 

千砂都「じゃ、発起人は穂乃果ちゃん?」

 

ことり「うん」

 

 

(BGM:絵里のやりたいこと)

 

 

ことり「歌もダンスも全部が初めてで、失敗もいっぱいして、悩んだりすることもあったけど、みんなで力を合わせたから頑張れたの」

 

千砂都「……」

 

ことり「スクールアイドルを始めなかったら、学校を廃校から救うことはできなかっただろうし、衣装を作る経験なんてできなかった。  それになにより、穂乃果ちゃん、海未ちゃん以外に、あんな素晴らしい仲間と出会えることもなかった。  いつも、みんながそばにいてくれたから、私は頑張れたの。 服飾の道に進もうと思えた。    だけど…」

 

千砂都「…? だけど?」

 

ことり「学校を卒業して、これからは私一人で頑張らなきゃいけない。  自分一人でデザインして、誰かに評価されて、時には売上にも向き合わなきゃいけない。 そんな世界に私は飛び込めるのかなって考えたら、急に怖くなっちゃって…。 誰も『かわいい』って言ってくれないんじゃないかって…」

 

千砂都「ことりちゃん…」

 

ことり「ごめんね、暗い話になっちゃって…。  ダメだよね、昔からの癖なの。急に怖くなって怖気づいちゃう…。  今でも思う…。 本当に私が、歌のお姉さんをちゃんとやれるのかなって…。 子供たちに気に入られなかったらどうしようって」

 

千砂都「………」

 

 

千砂都「…」ニコッ

 

 

千砂都「大丈夫だよ!」

 

ことり「えっ?」

 

 

千砂都はことりの手を握る。

 

 

千砂都「今日からは、私がいるよ!」

 

ことり「千砂都ちゃん…?」

 

千砂都「私たち、まだ出会ったばかりだけど、もう仲間でしょ? 一緒にお姉さんをやる仲間!」

 

ことり「…っ!」

 

千砂都「ねっ?」

 

ことり「………。  うん…! そうだね! 私たち2人で、お姉さんやるんだよね?」

 

千砂都「うん!」

 

ことり「ありがとう。 なんか心が軽くなったよ」ニコッ

 

千砂都「よかった! やっぱりことりちゃんは笑顔が一番似合うよ!」

 

ことり「えっ…? もう…千砂都ちゃんったら」

 

千砂都「いやいや、ことりちゃんの笑顔は、すごく優しくて可愛いもん! ちゃんと子供たちに届くよ!  μ’sのことりちゃん見てた私が言うんだから間違いないよ! な~んて、ファン目線からの、アドバンス?」

 

ことり「千砂都ちゃん…! ふふっ、ありがとう!  千砂都ちゃんも、可愛いし、優しいから、きっと元気をくれるお姉さんになれるよ!」

 

千砂都「えっ? そ、そうかな…?」

 

 

千砂都は頬をかいて、照れ隠しのように笑った。

 

 

ことり「うん!」

 

千砂都「それじゃ、私も頑張ろう!」

 

ことり、千砂都「ふふふっ!」

 

 

二人はそのまま、くすくすと笑い合った。

 

それは、まだ始まったばかりの小さな絆だった。

 

 

◇ことり・千砂都の楽屋前

 

絵里「……ふふっ…」

 

絵里「(よかったわね、ことり。 これから楽しみにしてるわ。 あなたが千砂都と一緒にお姉さんとして活躍する姿を)」

 

 

絵里は楽屋を離れ、きな子とすれ違う。

 

 

絵里「お疲れ様」

 

きな子「お疲れ様っす♪」

 

 

◇ことり・千砂都の楽屋

 

コンコンコンッ

 

 

ことり、千砂都「はい?」

 

 

きな子が入った。

 

 

きな子「ことりちゃん、千砂都ちゃん。 これ、今週の台本っす」

 

 

きな子が差し出した二冊の冊子。

 

表紙には《うたって☆メロディランド♪》のタイトルロゴ。

 

そしてタイトルの下には…

 

 

 

歌のお姉さん:南ことり

体操のお姉さん:嵐千砂都

ピアノのお姉さん:桜内梨子

 

 

 

ことり、千砂都「ありがとうございます!」

 

 

ことりと千砂都は受け取り、表紙を見つめた。

 

“お姉さん”という肩書きを見つめるたびに、胸の奥がふわりとあたたかくなって、不思議と鼓動が早くなる。

 

 

ことり「ふふっ。 いよいよ本当に始まるんだね」

 

千砂都「うんっ! やる気出てきた!」

 

きな子「ふふっ。 このあとカメラリハーサルも始まるっすよ。 準備が出来次第また呼びに来るっすから、それまで台本読んで待っててほしいっす」

 

ことり、千砂都「はい」

 

 

きな子は楽屋を出た。

 

ことりと千砂都は椅子に座り、早速台本を開く。

 

1ページには、オープニングトークの台詞が書いてあった。

 

 

ことり「……。  『みんな~…こんにちは~…歌のお姉さんのことりお姉さんだよ~…』」

 

 

ことりが、小さな声で読み上げる。

 

 

千砂都「『みんな~…元気~…? 体操のお姉さんの千砂都お姉さんだよ~…』」

 

 

すぐ隣で、千砂都も練習を重ねる。

 

2人とも、読み終えた瞬間に目を合わせ、思わず笑った。

 

 

ことり「ことりお姉さん。 えへへっ♡」

 

千砂都「千砂都お姉さんか〜。 ふふんっ♪」

 

ことり「なんか自分で『ことりお姉さん』って言うの、ちょっと照れちゃうね…」

 

千砂都「あはは、確かに。 う~ん…『ちぃお姉さん』に改名しようかな~?」

 

ことり「クスッ…、それも可愛いかもね♪」

 

 

ことりは改めて、『ことりお姉さん』の文字と、千砂都を見る。

 

 

ことり「……。  ふふっ♪」

 

ことり「(一人じゃないんだ…♪)」

 

 

数十分後。

 

楽屋のドアが開いて、きな子が顔をのぞかせた。

 

 

きな子「ことりちゃん! 千砂都ちゃん! カメリハ始めるっすよ!」

 

ことり「はい!」

 

千砂都「今いきます!」

 

 

ことりと千砂都は、台本を胸に抱えながら、廊下へ出る。

 

いよいよ、初めてのカメラの前。

 

ことりと千砂都は、きな子と一緒に、撮影スタジオに再び足を踏み入れた。

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