うたって☆メロディランド♪   作:あいライス

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第2話「ドキドキ☆初出勤」⑦

果南「よ~い、スタート!」

 

 

再び赤く点灯するカメラのタリーランプ。

 

 

ことり「…!」ニコッ

 

 

 

(BGM:アクション!)

 

 

ことり「みんな〜!こんにちは〜! 歌のお姉さんのことりお姉さんだよ~!」

 

 

ことりの声は、さっきまでの緊張が嘘のように、伸びやかな明るさが出た。

 

 

一同「…!?」

 

千砂都「……ふふっ…」

 

 

千砂都も負けじと元気いっぱいに笑顔を弾けさせて、カメラに手を振る。

 

 

千砂都「みんな〜!元気〜? 体操のお姉さんの千砂都お姉さんだよ~!」

 

 

2人の元気な声は、本当に子供たちの前に立っているような親しみがあった。

 

マルガレーテ、ほんのわずかに口角を上げる。

 

 

マルガレーテ「そうよ。それでいいのよ」

 

すみれ、可可「ホッ……」

 

果南「うん」

 

 

果南が手を腰にあてて満足そうに頷く。

 

 

恋「ふふっ…」

 

 

恋も静かに微笑んだ。

 

カメラはそのまま回り続け、台本にある“自己紹介パート”の続きを再現していく。

 

 

梨子「みんな、びっくりしたね? 今日から『うたって☆メロディランド♪』に、新しいお友達が二人も来てくれたんだよ!」

 

ことり「わぁ~素敵な場所! ねぇ、千砂都お姉さん、今日から私たち、みんなとお友達になれるんだよね?」

 

千砂都「そうだよ、ことりお姉さん。 じゃまずは、みんなと仲良くなるために、自己紹介をしないとね!」

 

梨子「ことりお姉さん、千砂都お姉さん、ようこそ、うたって☆メロディランド♪へ。 私はピアノのお姉さんの梨子お姉さんです。好きな食べ物はサンドイッチです♪」

 

 

きな子「2人とも可愛いっす」

 

彼方「さっきの緊張が嘘みたいだね~」

 

花丸「梨子先輩の完璧なフォローがあれば、これからきっと最高のチームになるずら」

 

曜「あはは、梨子ちゃんもすっかりお姉さん板についてるもんね」

 

 

千砂都「ねえねえ、ことりお姉さんの好きな食べ物はなに?」

 

ことり「ことりお姉さんはね、チーズケーキが大好きなんだ!」

 

千砂都「へぇ〜そうなんだ!」

 

梨子「美味しいわよね、チーズケーキ。私も大好きよ」

 

ことり「千砂都お姉さんは?」

 

千砂都「う~ん、千砂都お姉さんはね~、たこ焼きかな!」

 

ことり「たこ焼きなんだ~?」

 

千砂都「うん! 特に綺麗な、ま~るいま~るいたこ焼きが大好きなんだ!」

 

 

善子、エマ「……」ニコッ

 

 

和気あいあいと進む掛け合いに、スタッフたちも思わず頬が緩む。

 

緊張は、もうすっかり消えたらしい。

 

 

ことり「これから毎週、たくさんのお歌を歌うよ!」

 

千砂都「テレビの前のお友達も、一緒に歌ってね~♪」

 

 

果南「はい、OK~!」

 

 

タリーランプがふっと消えると同時に、ことりと千砂都は、ふぅっと息をついた。

 

 

恋「ことりさん、千砂都さん。素晴らしかったです! 初めてのリハーサルとは思えないほど、息が合っていましたよ。梨子さんも、見事なリードをありがとうございました」

 

ことり、千砂都、梨子「ありがとうございます」

 

 

果南、台本確認。

 

 

果南「えっと…この自己紹介の流れから、そのまま一曲目の『はじめまして』を歌う構成だよね?」

 

彼方「そうだよ~。 千砂都ちゃんの『一緒に歌ってね~♪』のあとに、梨子ちゃんが弾き始める予定だよ」

 

梨子「あの~…、今の実際にやってみて思ったんですけど、少し提案してもいいですか?」

 

果南「なに?」

 

ことり、千砂都「…?」

 

梨子「はじめましての間奏のときに、好きな食べ物を言ったほうがいいんじゃないですか?」

 

果南「えっ? 間奏で言う時間あるかな?」

 

梨子「そこは私が演奏でうまく調整しますよ。少し尺を伸ばしたり、テンポを揺らしたりして」

 

果南「う~ん…、テンポはそっちが確かにいいかな。  彼方はどう思う?」

 

彼方「そうだね~。じゃ〜……ことりちゃん、千砂都ちゃん。ちょっと台本変えていいかな~?」

 

ことり、千砂都「え…?は、はい」

 

彼方「ありがとう。 彼方ちゃん的には間奏じゃなくて、『拍手でこんにちは』のあとに言ったほうがいいと思うよ」

 

果南「余計に言う時間なくない?」

 

彼方「だからそこを梨子ちゃんに調整してほしいかな~」

 

梨子「なるほど、そこもありですね。  そうしましょうか!」

 

果南「いける?」

 

梨子「はい。そのあたりならアレンジできそうです」

 

果南「ははっ、いつものながら頼もしいね」

 

ことり、千砂都「……」

 

 

3人の話し合いを聞いて、ことりと千砂都はちょっとびっくり。

 

 

恋「すみません。たまにこんなふうに突発的に流れを変えることがあります。現場の空気感を最優先にするスタッフばかりなので、慣れるまで大変かと思いますが……」

 

千砂都「あ、いいえ。全然」

 

ことり「むしろ、一つ一つの言い回しやタイミングが大事なんだって伝わります」

 

果南「あはは…、ごめんね。 本当はリハーサル前に決めなきゃいけないってわかってるんだけど、やっぱり実際見てからじゃないと、ちょっと決められない部分があるんだよね」

 

千砂都「そういえば、最初に台本見たとき、好きな食べ物が書いてたのびっくりしましたよ」

 

彼方「2人が応募フォームに書いてくれた好きな食べ物を使わせてもらったよ~。 自己紹介はそれを使うって決めてたから」

 

ことり「あ…、だから好きな食べ物の欄があったんですね」

 

彼方「そういうこと~」

 

 

その時、『はじめまして』のピアノの音が聞こえる。

 

 

ピアノ「~♪」

 

ことり、千砂都「…?」

 

ピアノ「~♪」

 

梨子「♪ はじめまして ことりちゃん。 拍手でこんにちは」

 

果南「ここでことりちゃんが、『こんにちは』って返して、自己紹介がいいかな?」

 

ことり、千砂都「…!」

 

 

ことりと千砂都は台本を手に取り、ちゃんとメモをする。

 

 

梨子「なのでここの『すくすくるんるん』の前をちょっと調整しますね。 そうなると…」

 

 

『はじめまして』をもう一度弾く。

 

 

ピアノ「~♪」

 

梨子「♪ はじめまして ことりちゃん。 拍手でこんにちは」

 

ピアノ「~♪」

 

ことり「あ…。 こんにちは~」

 

ピアノ「~♪ ~♪ ~♪」

 

一同「……」

 

梨子「♪ すくすくるんるん友達じゃん。 友達じゃんじゃんできちゃった。   って感じかしら?」

 

彼方「できそうかな?」

 

ことり「えっと…タイミング難しそうですけど、やってみます」

 

梨子「ふふっ、大丈夫よ。 私がちゃんと長さを合わせるから、ことりちゃんと千砂都ちゃんは、気にしないで自分の言葉で話していいわよ。 そのための今日、タイミング合わせる練習なんだから」

 

ことり「あ…はい!」

 

千砂都「わかりました」

 

果南「とりあえず、いってみようか」

 

 

* * *

 

 

ことり、千砂都「♪ 友達じゃんじゃんできちゃった。  じゃんじゃん!」

 

ピアノ「~♪」←はじめましての終奏

 

果南「うん、揃ってきたね! これでいいかな?」

 

彼方「バッチリ」

 

恋「はい」

 

果南「OK。 じゃ本番もこの調子で三人ともお願いね!」

 

ことり、千砂都、梨子「はい!」

 

 

果南は腕時計に目を落とす。

 

 

果南「そろそろいい時間だし、昼休憩にしちゃおうか! みんな、昼休憩~!」

 

恋「午後から歌のリハーサルですから、よろしくお願いします」

 

スタッフたち「は~い!」

 

 

スタッフたちがぞろぞろと準備や片付けを始める。

 

 

ことり、千砂都「ふぅ…」

 

梨子「お疲れ様」

 

ことり、千砂都「お疲れ様です」

 

梨子「また午後、一緒に頑張りましょう」

 

ことり、千砂都「はい」

 

 

絵里とかのんが、ことりと千砂都のもとへ歩いてきた。

 

 

絵里「ことり、よかったわよ」

 

かのん「ちぃちゃんも、すごくよかったよ!」

 

千砂都「ありがとう」

 

ことり「はぁ…すごく緊張した~…!」

 

千砂都「でも、ことりちゃんの歌声、μ’sのときと変わらない優しい感じがして、可愛かったよ!」

 

ことり「ありがとう。千砂都ちゃんも可愛い歌声だったよ!」

 

千砂都「ホント? ありがとう!」

 

ことり、千砂都「ふふふっ!」

 

絵里「(ホントこの二人、いいコンビになれそうね)」ニコッ




実際に、おかあさんといっしょで、お兄さんお姉さんが最初に歌う曲ではあるらしいw
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